2012年01月03日

お正月番組とスポーツ

marketing-293081.jpgお正月のテレビ番組はスポーツが上位を占めるようになった。かつては、お笑いに代表されるバラエティーがお正月の定番番組だった。
カラフルな紋付を身にまとった落語家や芸人が司会をつとめ、「染之助染太郎」などおめでたい芸がブラウン管を占拠していた時代があった。文字通りブラウン管が液晶テレビに移り変わると同時に「スポーツ」がお正月番組の主役になってしまった。昨年のデータを確認しておこう。




【2011年お正月番組視聴率】
1月3日 箱根駅伝復路 29.5%
1月2日 箱根駅伝往路 25.1%
1月1日 相棒-劇場版 19.3%
1月2日 とんねるずのスポーツ王 17.0%
1月1日 芸能人格付チェック 15.1%


1月1日 天皇杯決勝 5.6%
1月2日 高校サッカー 4.0%

箱根駅伝が、どうしてこんなにも視聴率が高いのか。色々な要素があるが他のスポーツ中継との共通点を中心に確認してみよう。

◆家族や親戚と正月を過ごす時のテレビ
【音声が聞き取れなくても楽しめる】
お正月番組を観る環境を思い浮かべてによう。家族や親戚が集まって「おせち」を囲む。その時になんとなくテレビは付いているものだ。積極的に話題に参加しない親族や、苦手な親戚がいる人などは話しの輪に加わらずにテレビをぼんやり観ているものだ。「おとそ」を呑んで機嫌良くなっている親戚のおっちゃんが、大声で話していても番組を楽しめる。

【子どもに見せたくないシーンが無い】
バラエティーなどでは稀に「お色気」シーンや、子どもには覚えて欲しくない「単語」などが登場することがあるが、箱根駅伝を代表とするスポーツ中継には、その心配は無い。

【途中観ていなくても楽しめる】
子どもが「お雑煮」をひっくり返して大騒ぎになり、10分間テレビを観られない時間があったとしても、箱根駅伝やスポーツ続けて楽しめる。これがドラマだとそうは行かない。重要なシーンを見逃すとついけゆけなくなる事も少なくない。

これらの条件は、親戚が大勢集まった時に限定されるわけではない。数カ月ぶりに会った恋人にも当てはまる。2人がどちらかの家でお正月を祝っている。やっぱりなんとなくテレビが付いている。2人の時間を大事にしたいので、テレビに集中する可能性の低い番組にチャンネルは合わせられることになる。バラエティーかスポーツだが、バラエティーは音声が重要なので、ここでもスポーツを選択することになる。

◆孤独な正月を楽しくするテレビ
【完成度の高いコンテンツ】
ドラマや音楽番組など、よく計算された、完成度の高いコンテンツを楽しむことでテレビへの没入感を高くし、一人であることをマイナスに感じる機会を減少させることが出来る。

【集中出来る番組】
セリフ一つ聞き逃さない。映画館で映画を観るように集中する必要がある良質なコンテンツを選ぶことで、充実した時間を過ごすことが出来るようになる。

孤独と限定するのは誤りかもしれない。家族でワイワイ騒いでやっと一人になって、ゆっくりとテレビを楽しむ人も存在するだろう。
いずれにしても、複数人お正月を過ごすシチュエーションにはスポーツが適しており、ひとりで過ごすシチュエーションではドラマや映画が適しているということだ。

日常よりも「集まる」機会の多いお正月にスポーツがマッチしてしまうのは道理が通っていると考えられる。「とんねるずのスポーツ王」も、このスポーツの要素を上手く取り入れた良質のコンテンツというわけだ。箱根駅伝の様に「硬派」なスポーツ中継も歓迎だが、とんねるずのスポーツ王のような「軟派」なスポーツ番組がもっと増えてもいい様な気がする。


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2011年08月26日

スポーツが盛り上がると、節電できない?

全国の注目が集まるスポーツの試合があると、電力需要が増える?

2011年は震災があったため、電力需要を考えた節電をすることが一般化した。これまでも毎年夏になると、節電要求が電力会社から出ていたものだ。
関西の町工場の社長に興味深い話を聞いた。
「かつては、夏の高校野球のシーズンになると、テレビの電力需要が増えるので、電力会社から工場へ節電要求が来ていた」というのだ。ブラウン管型から、液晶型に変わりテレビそのものの消費電力が少なくなったこともあり、最近は「高校野球節電」のお願いは来なくなったそうだ。

では、この情報が本当かどうか、考察してみよう。

【全国高校野球選手権大会】
ちなみに関西電力の電力需要推移を見ると8月9日に2万784万キロワットを消費して、8月一番の電力消費があったが、この日は甲子園4日目。どの試合も視聴率は9%以下で、甲子園の熱い戦いが電力需要を押し上げたとは考えにくい。

高校野球で、2011年最も高い視聴率だった試合は、やはり決勝戦だった。10時36分以降は平均世帯視聴率が16.5%と午前中にしては、高い数字を叩き出した。
だが決勝戦の行われた8月20日の大坂地域の天候は、曇り最高気温29.5度と涼しかったことと、土曜日だったために工場などが休業しており電力需要は低かった。
状況が整わなかった事もあるが、
2011年全国高校野球選手権大会による電力需要増加の証拠は無かった
と考えるのだ妥当だ。

【FIFA女子ワールドカップ™2011】
2011年7月18日に行われたサッカー女子ワールドカップの決勝。午前5時からフジテレビで放送されたこの試合。番組平均世帯視聴率で21.8%と、早朝にしては驚異的な視聴率を記録した。
ちなみに、同時期に行われていたプロ野球オールスター第一戦は金曜日の19時からの放送で視聴率13.0%。
世界水泳は日曜日の19時からの放送で10.9%だった。
テレビそのものが高視聴率が出にくくなっているとは言え、なでしこ以外は厳しい数字と言えるだろう。同時に、なでしこの決勝戦がいかにスゴイ数字かご理解いただけたと思う。

東京電力は、過去の電力需要のデータを1時間ごとに公開している。
7月の朝5時と6時の電力需要をグラフにしてみた。
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なでしこの決勝が放送された8月18日は、7月で一番電力需要が高かった。つまり、21.8%の人が朝5時からTVのスイッチを入れ、コーヒーを沸かしたり、トースターでパンを焼いたり、エアコンを入れたりしたために、電力需要が高くなったと考えてよさそうだ。 7月の朝5時の平均電気需要は2,633万Kw、なでしこの決勝日の電力需要は2,837万Kwと10%近く増加している。 7月の朝6時の平均電気需要は2,802万Kw、なでしこの決勝日の電力需要は3,069万Kwと同じく10%近く増加している。 なでしこ決勝で21.8%の人が朝の5時からTVを観た為に、電力需要は増加した、と考えられる。 ここまで、スポーツのTV視聴率が上がると電力需要が高くなる。という仮説を説明出来る証拠を集めてきたが、1勝1敗で結論が出ていない。大阪電力が過去の電力需要データを詳細にHP上で公開していないことと、なでしこが早朝の放送だったことが幸いした結果だ。 このままでは終われないので、あとひとつケースを検証してみることにしよう。 【2010FIFAワールドカップ™日本×パラグアイ】 2010年南アフリカで開催されたサッカーワールドカップ。日本は決勝トーナメントに勝ち上がった第一戦。 2010年6月29日火曜日、TBSで22時40分から放送された。同点延長の結果PKで日本が敗れたあの試合だ。 番組平均世帯視聴率で57.3%の視聴率を上げ、2010年で最も視聴率の高いTV番組に輝いた。2位、3位、4位、5位もワールドカップ。6位にやっとNHK総合「第61回NHK紅白歌合戦」が登場し、41.7%だった。 スポーツのコンテンツとしての力が計り知れないものであることを、証明した数字だ。 東京電力の2010年6月11日から7月10日までの23時と0時の電力需要をグラフ化してみた。
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夏に向けて右肩上がりに電力需要が増加しているのが見て取れる。 結果から言うと、当該期間の中で最も電力需要が高かったのが6月29日で、「日本VSパラグアイの試合を57.3%の人が観ていた為、電力需要が多くなった」と判断出来るデータだった。 当該期間の23時の平均電気需要は3,430万Kw、決勝日の電力需要は3,807万Kwと10%以上多い当該期間の0時の平均電気需要は3,145万Kw、なでしこの決勝日の電力需要は3,449万Kwと10%以上多かった。 当該期間電力需要が多い順番で見ても、6月29日が最高で、その次は7月7日、7月9日と後半に集中しており、気候変動によるトレンドの変化を織り込んだ統計的処理をすれば、より正確に6月29日の電力需要が特別であることを示唆する可能性が高そうだ。 【結論】 今回検証した3つのケースでは、2つのケースで明らかな電力需要増加が見られた。従って、TV視聴率が上がると電力需要は大きくなる、と考えていいだろう。特に高視聴率を深夜早朝に叩き出す国際スポーツ中継では顕著だった。 都市伝説みたいな、TV視聴率と電力需要も、こうしてしっかり調べてみるとなかなか面白かった。 どなたか、スポーツに関わる似たような都市伝説があったら、知らせてください。分析してみたいと思います。


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2011年02月06日

スーパーボウル CM料金と効果

marketing-219805.jpgNFL スーパーボウルで放送されたコマーシャルをFaceBookとYouTubeを使ってコンテンストを行った。
スーパーボウルと言えば、全米で最も多くの人がTV観戦をする番組として有名だ。毎年そのCM放送料金が話題になる。このBLOGでも過去のCM料金について紹介したことがある。
TV局も放送だけではなく、コマーシャルを放送するクライアントからより高額の料金を取るために知恵を絞った。それが、FaceBookとYouTubeとの連携だ。

YouTubeを使ってのコマーシャルコンテストは今年で4年目だが、モバイルを使ったCM視聴と投票が今年から出来るようになった。スーパーボウルでCMが放送された瞬間からサイト上で投票が可能になり、優秀賞に選出されたCMは、それから1週間専用サイト上で見ることが出来る。
視聴者は、CMコンテストの投票権があると同時に、結果に関して予想をすることが出来る。競馬みたいに、どのCMが優秀賞を取るのか予想して当たれば、豪華景品がGET出来るという仕組みなのだ。
1人で何度も投票しちゃえばいいじゃん。と考えた読者の方がいるかも知れない。そんなことはいとも簡単に予防出来てしまうのが、今のWEB技術であり、Google傘下のYouTubeにとってそんなことを阻止するのは「あさめし前」なのだ。
そしてGoogleは、消費者がどんなCMに投票したかをデータベースに取り込む。例えば僕がバドワイザーのCMを面白いと感じて投票したとする。すると今後Googleに僕がアクセスするとバドワイザーやビールのバナー広告が優先的に表示される、という仕組みだ。
フォルクスワーゲンのスーパーボウル向けCMは既にYouTubeで公開されており、1000万回を超える再生回数に達している。<Super Bowl期間に1000万アクセス増え2/9には2100万アクセス>
アウディVISAカードは、CMの中にTwitterハッシュタグを表示して、それを含めた「つぶやき」をした消費者に様々なサービスを展開する予定だ。

2011年のスーパーボウルCMの料金は30秒で300万ドル。およそ2億5000万円。この効果を最大化するために様々なWEBメディアと連携を図ったキャンペーンが行われる。

日本でもアメリカのCMが入ったスーパーボウル中継を見たいと思うのは僕だけだろうか。

スーパーボウル コマーシャル(英語)




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2010年08月17日

イチロー30位 選手収入ランキング

marketing-182206.gif毎年アメリカ経済誌Forbesが世界のスポーツ選手収入ランキングを発表している。この4月頃に2009年版が発表になっていた。このBLOGでの紹介が遅くなりました。

順位で見ると、タイガー・ウッズが飛び抜けている。ウッズの場合ゴルフの賞金よりもナイキと契約しているウッズモデルのライセンス収入が大きいようだ。ナイキのウッズモデルは2009年1年間で$638M売れた。その何パーセントかがウッズに入る仕組みだ。ゴルフの賞金は$30Mで、グッスライセンスの収入が圧倒的だと言えそうだ。2010年はスキャンダルがあったし、成績も下がり気味なので影響はありそうだ。

ベッカムが5位に入っているのが気になる読者もいるだろう。選手としてはピークを過ぎた感じのあるベッカム。W杯南アフリカ大会でもユニフォーム姿を見る事は無かった。メッシは26位。ロナウジーニョが32位なのを見ても、どうしてベッカム?と考えるだろう。ベッカムモデルの男性用下着と、男性用化粧品が売れているから、だそうだ。そういえばベッカムパンツが発売になっていた。あれが世界で売れているのだろう。

フィールド以外の商売での売上を除外すると、コービー・ブライアントが最高額の年俸を取っている事になるのかも知れない。

年俸の高額契約記録を持っているのは、NYヤンキースのアレックス・ロドリゲスだ。10年間で$275M(約235億円)と、天文学的数字の契約をしている。
記録と言えば、欧州サッカー界にある「移籍金」最高額の記録は、クリスティアーノ・ロナウドが持っている$132Mで、マンチェスター・ユナイテッドに、レアル・マドリードが支払った。本人は25歳で$35.8Mで13位の高額所得者だ。

日本人は唯一イチローが健闘し30位に登場している。
2007年に5年間で$90Mの契約をしている。それ以外の収入も含めた金額が年間$26Mということになるみたいだ。

さてさて、個人別の年収は見ていただければ解ると思う。
今回はこの上位50選手を競技別に集計してみた。
競技別収入シェアのグラフは、50人の年収合計のうち何パーセントがバスケ関係選手か、というグラフ。27%のシェアを持っているバスケはそれだけ選手数も多いのだが、競技別シェアという指標としては間違っていない。

競技別平均収入は、1人当たりの収入ということだ。ゴルフとボクシングは2-3人と該当者が少なく高額のためデータとしての信憑性は低いが、選手入入に格差があることは読み取れる。サッカーから野球までは$30M周辺に集まっている。どうやらこの辺が一流選手と呼ばれる収入の目安になりそうだ。アメリカ4大スポーツより欧州サッカーの平均が僅かだが高い。これはスポーツビジネスの潮流が変わってきたことを物語っているのかも知れない。戦力均衡で合理主義のアメリカモデルと、BIG4など、大型グラブと地域クラブが経済的にも市場規模的にも格差を抱えたまま、同じリーグで戦う。どちらが勝つか解らないからスポーツには価値がある。というアメリカ的な思想は、万能的な正解とは言えないのかも知れない。

最後に、年齢と年俸の分布グラフを付けて、最小二乗法で3次元近似値グラフを書き加えてみた。どうやらトップアスリートの収入のピークは37歳前後。ちょうどイチローの年齢だ。37歳というと日本ではピークを過ぎた選手が多いが、世界ではそんなことは無いみたいだ。本当に一流になるということは、そういうことなのかも知れない。
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2010年08月11日

松山市のスポーツ戦略

marketing-180744.jpg2010年7月31日から8月4日まで、愛媛県松山市で全日本女子硬式野球選手権大会が開催された。今年は全国から27チームが参加し、予選リーグと決勝トーナメントあわせて35試合が行われた。
松山市は、ここ数年女子野球のメッカとなるよう、様々な努力を行っている。
全国大会は2010年で6度目。主要スポンサーは、伊予銀行とJALだ。
2008年には、女子野球ワールドカップを開催し、世界中の女子野球選手を松山にあつめて大会を行った。

どうして女子野球なのか
松山市の今治北高校が日本で初めて女子野球チームを作った。
松山出身の正岡子規は日本に野球を普及させるために、野球用語を作った。
そして日本でただひとつ、女性の名前を冠したスタジアム「マドンナスタジアム」があるから。
そんな理由で、松山は女子野球のメッカを目指して、毎年全国大会を開催している。女子野球はメジャーな大会ではないので、今のところ松山だけが、女子野球を応援していることもあって、選手や関係者の間でも、徐々に「マドンナスタジアム」が聖地。という意識が芽生え始めている。
松山はなかなかいい所に目をつけたものだ。
野球そのものはポピュラーで、特別な施設が必要では無い。
野球場は女子野球以外にも活用法が多い。
しかし女子野球はまだまだマイナーで聖地とし定まった場所が無かったのだ。


そもそも松山市は、このところ観光による地域活性化に真剣に取り組んでいる。NHKで放送されたドラマ「坂上の雲」が、松山を舞台にしたもので、司馬遼太郎による長篇歴史小説が原作になっている。
このドラマの効果を狙って
坂上の雲の街 松山
というキャッチフレーズを使っている。
原付のナンバープレートを雲形にしたり、博物館を作ったり、それはもうよく考えられ様々な政策が行われている。

この観光による活性化の中にスポーツも含まれており、女子硬式野球大会も松山市を挙げて積極的に取り組んでいる大会だ。
松山市には、スポーツ大会・合宿助成制度があり、1000人以上が参加する大会には100万円。100人以上の合宿には10万円の助成金を松山市が支払ってくれる。
どんどん松山で大会や合宿をやってもらおうという考えだ。

今回の女子公式野球大会の経済効果をざっくり試算してみよう。

参加チームは27チーム。選手、スタッフ、父兄などを入れると総勢で1000人に及ぶ。大会期間は7/31から8/4まで5日間。
宿泊と飲食だけで、4000万円程度、松山までの移動交通費が1500万円。参加選手やスタッフが個人で使う金額は5日間で1人1万円としても1000万円。合計で6500万円になる。

数年に一度開催される世界的なスポーツイベントを招致して数千億円単位の経済効果を狙うのもいいが、毎年行われる数千万円単位の大会をしっかり獲得し、少しづつ積み上げてゆくのも、賢い戦略だ。経済効果の金額は少ないがリスクも少ない。

小規模だからこそ、聖地として地域が競技を支援してゆくことも出来る。小規模だからこそ、大会主催者や競技者とのコミュニケーションも活発に行える。

地方都市がスポーツを素材に、活気づけて行くひとつのモデルが松山にはある。


posted by marketing |13:03 | スポーツビジネス | コメント(0) | トラックバック(0)
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