2008年08月14日

参加する事に意義がある

marketing-42787.jpg連日、北京オリンピック競技の結果がメディアを賑わせている。
競泳の決勝が午前中に行われているのを不思議に思う方もいると思う。これはアメリカのTV局の要請で、IOCが競技実施時間を変えた結果だ。
2006年10月にIOCは、アメリカ3大ネットワークのNBCの要請に応えて、競泳、陸上などの決勝実施時間変更を発表欧州放送連合は、選手のコンディションに悪影響があるとして従来通り、午前中予選、午後決勝。というスケジュールに戻すように、受け入れられなかった。

競技時間をTV中継の都合に合わせる。という事実はオリンピックだけじゃない。2006年ワールドカップドイツ大会でも、日本戦はドイツの午後に開催され、選手は猛暑の中で試合をすることになった。最近の、2010年大会予選でも同様だ。テレビ中継の為に、選手に負担を掛けるのは賛成できない。
視聴者だって、選手がいい成績を残すのなら、TV中継が深夜になるくらい問題にしないハズだ。

さて、前置きが長くなってスイマセン。
本題は「参加する事に意義がある」という言葉。
オリンピックの思想を代表する言葉のように言われていて、時として「勝てなくても、弱くても参加するだけでオアリンピックは素晴らしい」という意味に取られたり、敗者に対しての励ましに使われることがある。
それは必ずしも正しい理解とは言えないようだ。


1908年第4回のロンドン大会で、イギリスアメリカ間には対立が絶え間なく起こり、スポーツにあるべき、公平性やフェアプレー精神が失われかける場面もあった。
両国とも陸上競技に力を注いでおり、開催国のイギリスは、活躍めざましいアメリカの上を行くことを期待されていた。

綱引きでの「靴」がきっかけだった。当時陸上競技として行われていた綱引き。イギリスはスパイクのついた靴で参加、それに対してアメリカは普通の靴で参加した。
アメリカは同じレギュレーションでないので、不公平だと猛抗議をしたが、イギリス人だけで編成されていた審判団は、この抗議を棄却。イギリスの綱引き選手は全員警官であり、職務で使っているスパイ付のブーツを履き替える必要は無い。というのが審判団の棄却理由だった。結果は予想どおりイギリスが勝利した。

陸上400m決勝ではアメリカ選手のフライングの判定に対し、それを不服としたアメリカが他の決勝進出選手も出場をボイコット、イギリスのウィンダム・ハルスウェル一人で走るという前代未聞のレースとなった。

こういった両国のフィールド以外での対立は、大きな問題だった。
近代オリンピックはまだ誕生したばかりだったし、世界情勢は、第一次世界大戦前でイギリスは大英帝国で、世界中に植民地を持っていた時代だった。

日曜日に行われたミサでペンシルバニア大司教エチュルバート・タルボットは、各国選手団を前に
「オリンピックで重要なことは、勝つことよりも参加したことだろう」
と説教をした。
数日後イギリス政府主催のレセプションに参加した、クーベルダンIOC会長は
「先日の主教の説教は的を得ている。人生で重要なことは勝つことではなく、勝つために努力をすることである」
と演説の中で話している。

1932年第10回ロサンジェルス大会の選手村に、この言葉が掲げられた。それをきっかけに広く一般に知られるようになっていった。

「参加することに意義がある」という言葉には、自国の代表になるまで努力をしてきたことの素晴らしさと、その力を充分に発揮することが最も重要であり、その結果メダルを獲得できるものである。という想いが込められている。
平たく言うと、
「勝つことよりも参加することに意義がある」は、
「メダルよりも、頑張ることに意義がある」となるんじゃないかな。
僕たち国民が、選手のメダルの数に一喜一憂素のは仕方がない。
だけど、メダルが取れなかった選手は「敗者」じゃないんだ。


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2008年08月07日

聖火と政治とオリンピック

marketing-41688.jpg北京オリンピックが開幕する。
オリンピックを嫌いな人はあまりいないと思う。じゃあどこが好きか。と尋ねられるとあんまり具体的に答えられないものだ。
僕は開会式がとっても好きだ。夏季オリンピックだと開会式は4時間近くに及ぶ。その半分以上が選手の入場行進だ。ただただ世界中の選手がメインスタジアムを歩くだけだ。自分でも何が面白いんだろう。と疑問に思う事もある。それでも楽しいのだ。IOCの偉い人のスピーチや、選手宣誓のあと、開会式のメインイベント聖火点灯向けてどんどん盛り上がって行く。

 聖火リレーは1936年のベルリンオリンピックで初めて行われた。ナチスがその国力を世界に示すために利用されたオリンピックだ。この大会でアテネで聖火の点灯式が行われ、その炎をランナーが手に持って開催地まで運ぶと言う企画が発案された。現代風に言うと、プレイベントであり、オリンピックが行われる事を、メディアに露出するためのパブリシティー狙いのイベントだった。
聖火ランナーが到着した国ではニュースになる、しかも大きなニュースだ。このニュースを見た大衆は、いつどこでオリンピックがあるのかという情報を自然とインプットするのだ。ナチスが世界中の注目を集め、過去最大のオリンピックを開催し、自国を宣伝するための手段のひとつに過ぎなかった。
こういった政治的な背景の上で誕生した聖火ランナーは、その後も様々な政治的なメッセージを世界中に届ける役割を担わされるハメになる。
開会式で聖火の点火は、もっともオリンピックを象徴し最も注目があつまる瞬間だ。世界中の目が見守る中、メインスタジアムに聖火を掲げて入場してくるランナーたち。そこには天文学的数字のメデイア価値が存在するのだ。

【1964年10月10日東京オリンピック】
東京オリンピックの開会式は、国立競技場で行われた。
選手の入場行進に続いて、昭和天皇の開会宣言。そして聖火ランナーが登場した。
1945年8月6日に広島市近郊で生まれた青年が、聖火トーチを持っていた。広島に原爆が落ちた日に、広島市近郊で生まれた青年だ。
世界でたった1国、原子爆弾の被害を受けた国日本。東京オリンピックの聖火ランナーに込められた思いは、戦争の無意味さと、大戦敗戦から復興した日本の姿を世界に示す事、そして二度と原爆を使って欲しくない。というメッセージを、1962年秋にキューバ危機が起こり、アメリカとソ連は核戦争一歩手前にまでエスカレートするほど激しく対立した、東西冷戦まっただ中の諸国へ向けたものだった。

【1988年ソウル大会】
では、ソン・キジュンさんが最終ランナーだった。
ソンさんは1936年ベルリンオリンピックに、マラソン選手として出場し、金メダルを取っている。しかし韓国選手としての出場ではなかった。
当時韓国は日本の占領下にあったため、日本人としてオリンピックに参加していたのだ。日の丸を胸につけての金メダルだった。
ソウル大会では、誰よりも最初にメインスタジアムに走って入ってくる、最終聖火ランナーになった。祖国の国旗を胸につけて、1番最初にスタジアムをかけ抜けた。そして満場の喝采を浴びたのだ。52年前の屈辱を晴らした瞬間だったに違いない。

【1992年バルセロナ大会】
1992年バルセロナ大会の最終ランナーは、ロサンジェルス大会バスケット銀のエピ。そして、右足が不自由なパラリンピックのアーチェリー選手アントニオ・レボリョが火のついた矢を放ち、70m離れた聖火台に点火した。オリンピックは健常者だけのものではないことを、このセレモニーで世界に伝えた。

【1996年アトランタ大会】
1996年アトランタ大会で、聖火点火を担当したのはモハメッド・アリだった。1960年ローマ大会でボクシングライトヘビー級で金メダルを獲得。プロボクシングでも、世界ヘビー級チャンピオンだった。
ローマ大会で、黒人であることを理由にレストランへの入店を拒否され、それに抗議して川へメダルを捨ててしまったり。アメリカのベトナム戦争への徴兵が黒人中心であると非難。アリ自身に送られてきた徴兵礼状を拒否し、ヘビー級チャンピオンをはく奪されたり、人種差別問題に対して少々過激な活動を行ってきた。
そのモハメッド・アリが、世界が見守るオリンピックの桧舞台に帰ってきた。それはアメリカ政府とアリとの関係回復を意味した。しかし病に侵された手は震えていた。経緯を知る者には、言葉では表現しきれない様々なメッセージを投げ掛けたシーンだった。

【2000年シドニー大会】
2000年シドニー大会の聖火最終ランナーはキャシー・フリーマン。オーストラリア先住民の血を引くアボリジニの女性だった。民族や人種による長年の冷遇から開放されたことを伝え、オリンピックの理念である、全ての人類が集う平和の祭典であることを強調した。キャシー・フリーマンは女子400mに出場し優勝し、その雄姿を世界中に強く印象づけた。


北京では、誰が聖火の最終ランナーを担当し、どんなメッセージがそこに込められるのだろう。
どんな競技よりも僕がわくわくしてオリンピックを観る瞬間だ。


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2008年06月27日

【収入4500億円】行き過ぎたオリンピック商業主義

20080627-00.jpgもうすぐ北京オリンピックが始まる。
1896年に近代オリンピックが始まった時、かのクーベルタン男爵が唱えた
「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」
という「オリンピズム」は、帝国主義全盛の時代にあって画期的なものだった。
100年以上が経過し、29回目を迎える北京オリンピックで、IOC(国際オリンピック委員会)の総収入は4500億円を超えると予想されている。そんなに巨額の費用がオリンピック開催には必要なのだろうか。
私たちがかたずを呑んで見つめる、TV放送画面の中には、スポンサーのロゴが踊り、選手が身に付けられるユニフォームなどにも、契約スポンサーと言う「大人の都合」が存在する。

1984年に行われた第23回ロサンゼルスオリンピックが、商業主義オリンピックの始まりだった。これを否定するつもりは全く無い。ロス五輪は、オリンピック大会を1歩進化させた記念すべき大会だった。
それまでの大会は、スタジアムの建設や環境整備などで開催都市が多額の費用を負担し、赤字続きで大きなダメージを残していた。ロス五輪大会委員長のピーター・ユベロス氏が、税金を1セントも使わないオリンピック開催に向けて、スポーツ・マーケティングの基礎を作った。ユベロス氏が考案したオリンピックの収入は、
1,TV放映権料金
2,スポンサー収入
3,入場料収入
4,記念グッズの販売収入
この考え方が、2008年の北京オリンピックでも継承されている。

IOCのWEBで公開されている"OLYMPIC MARKETING FACT FILE"から紹介しよう。

◆オリンピックのマーケティングの基本的な目的
1、オリンピック活動の独立した財政的な安定を確実にして、それによってオリンピック精神の世界的なプロモーションに貢献すること。
2、オリンピック活動とオリンピックゲームの将来を安定させるために、長期的マーケティングプログラムを作成し維持させること。
3、オリンピックゲームを支えている、いくつかの組織委員会の活動を成功に導くために、一括してマーケティング活動を行うこと。
4、全てのオリンピック活動を通して公正な収益配布行う。
Organising Committees  for the Olympic Games (OCOGs)
National Olympic Committees (NOCs)や新興国への競技組織への経済支援
5、テレビを通して世界中のあらゆる地域で多くの人が、オリンピックゲームを観られるようにすること。
6、オリンピックの商業化をコントロールして、制限すること。
7、オリンピックのイメージと理念という固有資産を保護すること。
8、オリンピックのマーケティングパートナーを、オリンピックの理念のプロモーションに参加させること。

と書かれている。
この8項目がオリンピックで、商業活動を活発に行うための大義名分というわけだ。
5番目の、世界中の地域でオリンピックTV中継を見られるようにしたいのなら、何故あんなに高額なTV放映権料金を、各国の放送局から取るのだろう。先進国が高い金額を負担し、新興国の負担を減らすという理屈はわかる。それにしても値上がりが激し過ぎる。少し矛盾を感じるのは僕だけだろうか。

IOCのレポートに戻ろう

◆オリンピックのマーケティング収益生成策
現在のオリンピックのマーケティングでは、6つの主要プログラムで収益を生んでいる。
1、放映権(インターネットも含む)
2、国際公式スポンサー
3、IOCオフィシャルサプライヤー
4、各国の国内スポンサー
5、チケット収入
6、ライセンスプログラム(記念グッズ)
オリンピックのスポンサーは、最短4年単位でしか契約が出来ない。また大会も4年単位で行われるので、収支の単位も4年で考えられている。1993年から2004年までの収入内訳を表にまとめた。
20080627-02.gif
なんともスゴイ伸び率だ。160%も成長している。
もし国家経済が、こんな短期間で、こんなに経済成長したら、激しいインフレに見舞われて破綻してしまうだろう。それくらい異常な伸び率だ。

オリンピックの商業主義は賛否両論色々ある。1984年のロス五輪以降、オリンピックを開催すると経済効果があり、その上利益が自国に残るので激しい招致合戦が繰り広げられるようになった。それはきっといい事だろう。オリンピックを開催したい国が無かったら、続かなかったかも知れない。

でも行き過ぎなんじゃないかとも思う。
4500億円以上のお金が無いと、本当にオリンピックは開催出来ないのだろうか。
アトランタ大会2800億円で出来たのだから、それで充分じゃないのか。
こんなに巨額のお金が動くと、きっとどこかで「ぼろ儲け」している人たちもいるハズだ。
クーベルタンがオリンピズムを唱えた帝国主義の時代と、商業主義の現在を同じテーブルで議論するのはいささか乱暴だ。
それでも、オリンピックの商業主義は行き過ぎだと思うのは僕だけだろうか。


posted by marketing |10:20 | オリンピック | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年05月21日

北京オリンピック放映権、日本は198億円

 ロイターの報道によると、IOCが手にする北京オリンピック関連の放映権料は、25億ドル(およそ2600億円)になる。前回のアテネ大会におけるIOCの収入総額は40億ドル、そのうち53%の21.2億ドルが放映権料収入だったと報告されている。ざっと15%の値上がりだ。

 2012年に予定されているロンドン大会の放映権料は、30億ドルを超すと見込まれており、その高騰ぶりは驚くばかりだ。
 1984年のロサンジェルス大会が、オリンピックビジネスの幕開けと言われており、この大会からIOCにも、開催地域にオリンピックにより収益が期待出来るようになった。スポンサーを1業者1社に絞り、清涼飲料水メーカーで、オリンピックマークを使えるのは世界で1社のみとしたことで、コカコーラとペプシコーラが競い合ってスポンサー料金が高騰。他にも様々な施策を行って、1セントも税金を使わずにオリンピックを成功させた。

このロス五輪から、アテネ五輪までで、放映権料はおよそ5倍。
ワールドカップドイツ大会では16億ドルの放映権がFIFAに入った。参加選手数も多く、毎日たくさんの競技が行われているだけにオリンピックの放映権が高いのもうなずけるが、ここまで高騰するとTV局にとっての負担も相当なものだ。

 ところで日本は、オリンピックを放送するのにいくら位の金額を支払っているのだろう。
日本では198億円と伝えられている。放映権は、ジャパンコンソーシアムが、IOCから放映権を一括購入して、加入放送局と協議をして放送協議の振り分けなどを行っている。ジャパンコンソーシアムは、オリンピックだけでなくワールドカップの放映権購入も行っている。

この198億円。IOCの代理人を行っている電通に、ジャパンコンソーシアムが支払っている。電通がオリンピック放映権販売手数料をいくらとっているかは不明だ。
 ここで上手いのが、電通はこの高い放映権料金を回収するための、CMスポンサー探しも行っている。TV局にしてはありがたい話だが、電通はオリンピックの放映権だけで、CMスポンサー→TV局、TV局→IOCと2度手数料を得ることも出来る。サスガ電通やることにスキが無い。

ソウル大会以降の放映権料
20080521-01.gif
日本がアメリカ、ヨーロッパに比べて、高額な放映権料金を支払っているのがわかる。 ちなみに、他のスポーツ放映権料と比較してみよう。 大相撲 国内全大会全日程で 年間30億円 MLB 2004年に6年間2億7500万ドル(28億6000万円)で電通がMLBから購入し、NHKやスカパーに販売している。 パ・リーグ 日ハムを除く5球団は08-09年主催試合のCS放送の独占放映権を、ソフトバンクの子会社GTエンターテイメントに1球団3〜4億円で販売。同時にインターネット販売権も同社に売却している。 巨人戦 2005年当時 セパ交流戦をTV東京が1試合1億円で購入していた。(2008年現在最大50%まで値崩れしていると予想される) Jリーグ 2007年から5年契約で、総額150億円。スカパーが日本国内でのCS独占放送権、IPインターネット独占放送権、モバイル独占放送権を取得。 オリンピックの放映権がいかに高額かわかる。2週間で198億円は、他と比べても飛び抜けている。それだけ視聴率が取れるのだろうか。 巨人戦の放映権料が1億円だった当時、TV関係者は視聴率20%とれないとペイ出来ないとコメントしている。2時間番組20%で1億円。この条件を満たせるとは思えない。このまま高騰して行ったら、どうなってしまうのだろう。オリンピックをお金を払って見る時代が来てもおかしくない。 スポーツのビジネス化は、必然だと思うけど、行き過ぎはやっぱり良くないよね。おかしくなる前に、自浄作用が働くといいんだけど。


posted by marketing |07:30 | オリンピック | コメント(0) | トラックバック(1)
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