2011年12月24日
ヨーロッパはギリシャの経済危機を発端とした、金融不安に晒されており、EUそのものの問題や、共通通貨のユーロを継続していくこと自体を考えなおさなくてはいけないほど、経済と金融がピンチに立たせれている。
ところが、欧州のサッカーリーグは金融危機とは関係なく着実に成長を続けている。2009/10シーズンは前年比で4%成長、全体で16.3ビリオンユーロ、ざっくり日本円で1兆6600億円増加した。プロスポーツに関する収入の4本柱は・チケット・スポンサー・グッズ・TV放映権だが、TV放映権が7%も拡大したのが大きな要因だ。それだけではなく、消費者マインドが落ち込んでいてもサッカー観戦にくる費用を節約する傾向は見られなかった。チケットの前年比プラス傾向だった。
世の中不景気でも気分展開にスタジアムに行ってサッカー観戦する消費者心理はわかる。その際に最も節約する気になるのは、グッズじゃないかと予想される。
「今年は不景気だし、レプリカユニフォーム去年のままでいいか」
となりそうな気がするのだが、報告によるとグッズも前年比プラスだった。このへんは私達日本国内でサッカーと接しているのと、欧州都ではその基本が異なるのかも知れない。
最も成長率が高かったのはイングランド・プレミアリーグだった。プレミアは世界各国へTV放映権を販売しており、欧州が経済危機になってもBRICSなど成長傾向にある地域から確実に収益を上げているのだ。BRICS各国はどの国でもサッカーに関心が高く、マーケットとしては最高だ。
欧州5大リーグの中でも成長率が2番目に高かった、ドイツブンデスリーガは内需の拡大によって大きな成長を遂げた。全チーム全試合の平均観客動員数が4万2700人と欧州サッカーリーグ最高の数値になった。これに伴ってスポンサー料金も拡大した。欧州サッカーがグローバル戦略に奔走するなか、ドイツらしい堅実な戦略でしっかりと足元を固めてきた。
スペインリーグは、2つのビックチームに支えられた格好になった。レアル・マドリッドと、バルセロナがスペインリーグ全体売上の52%を占めており、この2チームが好調かどうかが、そのままスペインリーグ全体に影響を及ぼしている。2010/09シーズンは両チームとも堅調で前年比8%成長と、欧州サッカーリーグの中で成長率では最も高い数字を叩き出した。スペインの実体経済はなかなか深刻で失業率も20%を越し、16−24歳の失業率は45%を超えた(毎日新聞2011/11/24)。消費者マインドは最高に冷え込んでいるにも関わらず、サッカー観戦だけはやめないという実態が見えてくる。
イタリア セリエAは国内も海外へのTV放映権も大幅な伸びを示している。先日退陣したベルルスコーニ大統領はACミランのオーナーでもあり、国をあげてスポーツ振興に取り組んだり、サッカークラブの税金を優遇していた効果もあるようだ。
フランスリーグは成長率では5番目だが、金額では1072mユーロと押収5大リーグでは2番目に大きな成長を遂げている。
不景気なると、スポーツ観戦は真っ先に「仕分け」されそうだが、欧州は訳が違うのだ。消費者は給料が下がったり、インフレが進行したり、失業率が上がったりしてもサッカースタジアムには行き続ける。それは歴史や文化の違いが大きく、このBLOGで説明するには長くなりすぎるので、「サッカーが世界を解明する」や「ディナモ・フットボール」宇都宮徹壱:著に任せたい。
経済学的に評価しよう。
不景気になったとしても、景気が悪い業界と、いい業界が存在する。不景気の時はその格差が開く傾向にあるわけ。例えば「すかいらーく」は景気が悪いけど「マクドナルド」は悪くない。そうすると「マクドナルド」はこのチャンスにもっと売上を伸ばして「すかいらーく」を引き離そうとする。
どこか効果的に広告が出来る場所はないかと考えた時「サッカー場は盛り上がっている」という事実に「マクドナルド」が吸い寄せられてくるわけだ。
景気がイイ時は、広告を出す場所も沢山あった。不景気になっても盛り上げっているところは、ほんの少しになってしまった。その結果「競合」が減って、サッカーにスポンサードする会社が集中することになった。スポンサーをしたがる会社が多ければ、サッカークラブも値上げが出来るわけだ。まさに「需要と供給」のバランスで値上がりした。ということ。
同じように、TV番組にしても同じ事が言える。景気がイイ時には多く存在していた「競合」が、不景気になって市場から退場して行った。その結果「競合」が減少し、生き残った「サッカー」に需要が集中。「需要」が高まったから「値上げ」が起こり「サッカー」の一人勝ちになる。
そういう構造がここにはあったわけだ。
スポーツは不景気に左右されにくい。俗説だったけど、今回の欧州危機で証明されたことになる。やっぱりスポーツのチカラはスゴイなあ。
posted by marketing |11:47 |
サッカー |
コメント(0) |
トラックバック(0)
2010年12月12日
2018年のワールドカップ開催がロシアに決まった。
ソビエト連邦時代からみても初めてのサッカーワールドカップ開催になる。2010年の南アフリカもそうだったが、FIFAはワールドカップを単なるスポーツイベントとしてではなく、開催地の発展や経済効果などを視野に入れて、開催地の選考を行っているのかもしれない。ロシアもワールドカップ開催によって様々な効果を享受するのだろうか。
そのためには、ロシアについての知識を整理しておかなくてはならない。
■ロシアの歴史と経済
1991年12月26日にソビエト連邦大統領ミハイル・ゴルバチョフが辞任し、ソビエト連邦は崩壊。
1992年元旦にはロシア連邦が成立。
2000年に大統領となったプーチンは、国内の安定と政府権力の強化を目指し、ロシア経済を半ば私物化していた新興財閥「オリガルヒ」の解体に成功。石油・ガス会社ガスプロムの国有化をはじめ、親欧米・反政府的なオリガルヒはほぼ一掃された。
ソ連崩壊後経済的に苦しんでいたロシアも、プーチン政権発足後から続くエネルギー価格の急騰により、一転して巨額の外貨準備国となり、世界経済での影響力を急速に回復した。
世界金融危機が表面化した2007年頃から、ロシアの経済を牽引していた新興財閥が打撃を受け、金融市場から資金が激減し、原油価格も下落、グルジア紛争の影響もあり、金融危機の影響を強く受け、現在も低迷中であり、2012年の大統領選挙でプーチンが再選される可能性は不透明だ。
■ロシアのサッカー
かつてはソビエト連邦リーグといい、15の連邦構成共和国の強豪チームが名を連ね、スパルタク、ディナモ、CSKAの首都・モスクワ勢のチームや、FCディナモ・キエフ(ウクライナ)といったチームがヨーロッパのカップ戦などにも進出し、ナショナルチームとともに東欧諸国の雄といわれた。
1991年にソ連が崩壊した後、それぞれの構成共和国のサッカーリーグも独立。ロシアにも国内サッカーリーグが誕生するようになる。 2001年までは国内の最上位リーグを「トップリーグ」「トップディヴィジョン」と称していたが、2002年に現在の「プレミアリーグ」に名称を変更し16チームで熱戦を繰り広げている。
2000年代に入ってから国内の好景気を背景として各クラブに大手企業の資本が投入されるようになると有力資本の参入を受けた地方クラブの勃興が目立ち始め、現在ヨーロッパで最も活気のあるリーグの一つとなっている。
■今後の効果
2018年のワールドカップ開催で、ロシア経済を再起させようとするプーチンの思惑が表面化してきた。12月6日のモスクワタイムスによると。
政府は2018年ワールドカップのために3000億ルーブル(96億ドル)を供給することを決めた。その一方で、ワールドカップのために投資される金額は、サッカー関係者だけにむけられたものではなく、全ての国民に利益のあることだと繰り返しメディアで発言している。
また開催されるまでの間にロシアが享受する経済効果を50億ドル(約4000円)と試算し発表。ロシアにある1400のサッカースクールと48万人のサッカーをする事どもたちにも夢と感動を与えられると、ワールドカップ開催が決まったことをきっかけに、ロシアに活気をとりもどそうと必死になっているようだ。
2018年に向けて13ものスタジアムの改装や新設が予定されている。スタジアムは大会終了後も残り、維持費が掛かり続ける。一時的な「お祭り」で終わらず、永続的にロシアが元気になることをワールドカップがサポート出来れば。
スポーツの力の大きさは、やっぱりすごいんだなあ。
posted by marketing |15:28 |
サッカー |
コメント(0) |
トラックバック(0)
2010年06月29日
経営不振に陥っているJリーグ2部の東京ヴェルディは29日、臨時株主総会を開き、東京ヴェルディホールディングス株の98.8%をJリーグ子会社のジェイリーグエンタープライズに譲渡し、新社長にJリーグの羽生英之事務局長(46)を起用することを決めた。Jリーグが加盟チームを直接運営する極めて異例の方法で、東京Vは再建の道を探ることになった。
羽生新社長はJリーグ事務局長を兼務したまま、チーム運営に当たる。Jリーグの由井昌秋マネージンググループマネジャーも取締役に就任し、崔暢亮会長と渡貫大志社長は辞任した。<時事通信>
とうとう、Jリーグモデルが危機に立たされてしまった。
1993年に開幕して以来、拡大路線をひた走ってきたJリーグ。ここにきてそのビジネスモデルが限界に達したのか、はたまたヴェルディホールディングスの経営が良くなかったのか、いずれにしても拡大路線を見直さなくてはいけない出来事が起ってしまった。
ヴェルディの経営危機に関しては、以前の記事を参照してもらうとして、今回はJリーグモデルを考えてみたい。
開幕以来チーム数を拡大し、日本全国にプロサッカーチームを誕生させて、サッカーによる地域活性化や、地域アイデンティティーの確立を謳っていたJリーグ。チーム数拡大の影で、拡大することでの副作用も存在していた。
副作用1 有力選手の希薄化
Jリーグが発足してサッカー競技者人口は増加した。しかし競技者人口増加を遥かに上回るスピードでチームが増加。実力のある選手が育つより前にプロ選手が増える事で、現実的な「プロサッカー選手」になれる基準が下がってしまう結果になった。同時に、1チームに幾人もの有力選手を揃える事が出来なくなってしまったのだ。1チームに有名選手が1人または0という現象が起きている。
副作用2 メディア報道の時短化
チーム数が増える事で、TVや新聞などのメディが1チームに割り当てる時間やページ数が減少していった。10チームしかなかった当時と比較して30チームを超える現在は、メディアで大きく扱われる事が無くなってしまう。サッカー専門雑誌は増加したため、全体のメディア露出は増えた。しかし増加したのは「専門誌」でサッカー愛好家は手に取るが、ファンを開拓する役割は果さない。
副作用3 スポンサーの奪い合い
チームが増えれば、それに比例して必要とされるスポンサー数も増加する。しかし日本経済も長いトンネルに入ったままだし、アメリカ発端の金融危機もあり、実質的にはサッカーをスポンサードする企業は、チーム数増加と同時に増える事は無かった。リーグは「パチンコ」がユニフォームスポンサーになることを不適切とし、消費者金融も除外した。限られたスポンサーの争奪戦が始まってしまったのだ。
副作用4 観戦難易度の高度化
チームが増え、選手数が増える事で、試合観戦をするファンに要求される情報量も増加した。全チームの全選手、戦術の特徴などを頭に入れないと楽しめなくなった。これはリーグに興味を持った消費者が、おいそれとサポーターに昇格することを許さなくなったのだ。にわかファンは、多くの努力をしなくてはサポーターになれなくなり、観戦難易度が高くなってしまったのだ。
ざっと、こんな事が起っているのだ。
東京ヴェルディの事例は、リーグ全体で受け止め、9月までにスポンサーを見つけて存続させていく道筋を示さなくてはならない。
そして同時に「拡大路線」も、しかりと考える必要があることを示している事例なのだ。
posted by marketing |22:12 |
サッカー |
コメント(5) |
トラックバック(0)
2010年06月20日
南アフリカ・ワールドカップで日本が善戦したのもあって、いいカンジで盛り上がりを見せている。
そんな中、スペインが優勝した時に選手に支払われるボーナスが話題になっている。
スペインは1選手あたり60万ユーロ(約6540万円)を支払うと発表した。スペインは現在経済危機に直面しており、年金が凍結され、賃金も落ち込み、失業率は19.4%と状況は深刻だ。国民が経済危機に直面している中で、サッカー選手だけが6500万円以上もの優勝賞金を出すなんて不謹慎だ。とスペインの野党が言い出した。
ちなみに、2位はアルゼンチンの5560万円、その後イングランド、フランスと続いて日本が優勝したら選手1人につき3000万円を支払う事になっている。
確かにスペインが用意している選手向けの優勝賞金は世界一高額だ。
しかしこの賞金。何も財政の苦しいスペインの税金で選手に支払うと言っているわけではない。FIFAワールドカップには、優勝賞金が存在しているのだ。もしスペインが優勝すれば約26億4000万円の優勝賞金が入ってくる。これを選手で分割するだけで、スペインの財政を痛める事は無いのだ。
次に、ワールドカップで優勝した事による経済効果だ。
2006年のドイツ大会で優勝したイタリアは、その経済効果の高さを認めている。
24年ぶりにサッカー・ワールドカップを制したイタリアで、優勝効果による経済の活性化期待が高まっている。イタリアは巨額の財政赤字と苦闘しており、格下げの恐れもつきまとう。W杯優勝の勢いに乗って低成長と決別できるかどうか、市場関係者も注目している。
伊財務省のマリオ・レッティエリ次官は十日、ロイター通信に「W杯の優勝は国内総生産(GDP)を少なくとも0.5%押し上げる効果がある」と述べた。イタリア株が買われ金融市場へ投資資金が流入する、個人消費が盛り上がる、内需が活性化する――という読みだ。<2006/7/12日本経済新聞>
というほどなのだ。
だとすれば、FIFAから入ってくる優勝賞金を選手に分配するなんて「安いもの」ではないだろうか。
もしスペインのGDPが0.5%上昇すれば、2008年実質GDP1兆885億200万ユーロの0.5%にあたる54億ユーロ(6095億円)の経済効果があり、失業率や賃金の低下も改善させる可能性がある。選手23人に6500万円渡しても15億円程度。しかもそれはFIFAから受け取る優勝賞金を原資にすればスペイン財政の負担は全くない。
15億円で6000億円以上の経済効果が期待出来るのなら、選手にやる気を出してもらって「カップ」をスペインに持って帰ってもらうのが、スペイン経済にとっても世界経済にとっても、一番いいことだと思える。
選手に支払う賞金をもっと高くしてもいいくらいだ。
先日の試合でスペインはスイスに負けてしまったが、まだまだ予選は2試合ある。なんとか決勝トーナメントに進出して、優勝を目指して欲しいものだ。ユーロ通貨圏で連鎖的に起きている経済危機をサッカーの力で改善させることが出来るかも知れない。スペインの野党も下らない事言っていないで、国民をあげてワールドカップを応援すればいいんだ。
スポーツには予想もしないようなスゴイ力があるんだから。
posted by marketing |19:20 |
サッカー |
コメント(0) |
トラックバック(0)