2007年01月07日

箱根駅伝の人気を探る(後編)

箱根駅伝が、スポーツ中継の中でコンスタントに高視聴率を叩き出す原因を、むちゃくちゃ私的見解で考えてきた。

ここで競合するコンテンツを確認しておこう。
TVというフレームの中で見てみると。
NHK総合  10:05~11:30NHKスペシャル再放送
      12:15~15:15初笑い東西寄席
NKH教育  8:00~11:20アニメ宝箱
      12:00 ~13:30地球ドラマチック再放送
TBS    9:00~11:39玉緒&オセロ・中島のTOKYOグルメ完全制覇SP
      11:55~13:54 ゴールドラッシュ2007
フジテレビ 9:00~12:00新春ドラマ傑作選「西遊記」
      12:10~14:20電車男デラックス 再放送
テレビ朝日 7:55~11:45 絶景富士山!極上温泉紅白ハワイ縁起物満載
      12:00~14:25細木数子の大予言3
テレビ東京 10:00~佐藤藍子が感涙リポート!
      11:00~今夜放送!ボクシング&たけしの世界七不思議
      12:00~13:55オールスター”らくご”暴露話
(箱根駅伝が高視聴率を出した1月3日)

バラエティー、ドラマ、ドキュメンタリーが占めている。
TVフレームの中で考えると、
年末から続いているスペシャル番組がほとんどだ。それに食傷気味の視聴者は少なくないだろう。
ドキュメンタリーやドラマなど集中して観る必要のある番組は「家族の正月」には不向きだ。
その結果「箱根駅伝」にチャンネルを会わせる理由がなんとなくわかる。

TV以外の競合は、基本的に外出になる。
・初詣
・親戚宅訪問(訪問先でも箱根駅伝にチャンネルが会わせられているかも)
・初売り
・デート
・映画
などが考えられる。
いずれも午前中から出かけるケースはあまり多くない。

コメントにもあったが、駅伝はルールがシンプルだ。とうことも重要だろう。
駅伝そのものの、チームワーク、一生懸命走る姿、苦行にも似た競技スタイルなども日本人の好きな要素だと言えるのではないだろうか。

「箱根駅伝」のコンテンツを確認してみよう。
2007年の箱根駅伝の見どころを復習してみると。

1区/レースを組み立てる スタートから飛び出した東海大学佐藤残り1キロで右太股に異変を起こしながら、区間新記録を達成。
2区/各校エースを投入する花の2区 山梨学院大学モグスが11位でタスキを受取り、一時2位に浮上。しかし残り1キロで大きくペースダウン。結局6位でタスキを渡した。
3区/海沿いを走り富士山もきれいに見える景観区 
4区/最も距離が短い高速区 
5区高低差800mを登る山登区 2年連続で区間記録を更新している順天堂大学の今井が、5位でタスキを受取り上り坂で4人を抜き去り、往路優勝を決めた。
6区/長い下り坂でペース配分が重要な下山区 
7区/平坦で挽回を狙うことが可能な調整区 中大の山本が14位から10位に大幅浮上
8区/シード件争いが本格化する10位争区 2006年優勝したアジ大学が11位通過でシード落ちは前例が無いだけに中盤が注目された。
9区 トップから20分以上遅れると、8区のランナーが中継所にゴールする前に9区走者がスタートするという「繰り上げスタート」というルールがある。神奈川大学森津は20秒間に合わず、その目でアンカーがスタートするのを目にした。ゴールしてもタスキを渡す相手のいないランナー。日テレは泣き崩れるランナーをアップで映し出した。
10区 都内に入り大歓声の中アンカーとしてのプレッシャーも多い最終区} そしてゴール。

こうして見ると、しっかり起承転結がある、ストーリーになっている。
スタート、平坦な高速コース、上り坂が続く5区、下りの6区、8区あたりでシード権争いも見えてきて、9区で繰り上げスタートの涙、そして歓喜のゴール。
優勝争いの上位チーム、シード権争いをしている10以前後のチーム、そしてタスキを渡せない下位チームと、まんべんなく登場させるための舞台が用意されている。

TV映像の演出も、質実剛健でシンプルな作り方をしている。
男性のアナウンサーのカッチリした実況。走るランナー中心のカメラワーク。
TBSの世界バレーみたいに、人気タレントを起用することもなく、斬新な応援グッズの開発もせず。沿道で応援する人は何十年も旗を振り続けている。
タレントを起用して、浮遊層にキッカケを与える戦略は、正月午前中の家族が一同に会しているリビングにはマイナスなのだろう。

エンターテイメント化が進むスポーツにあって、
予定調和的な映像は、父親にとって安心出来るのかも知れない。

読売新聞が2006年12月17日から放送している「ヨリモ」のコマーシャルに「箱根駅伝編」がある。

~人生駅伝論・娘 編~(NA=ナレーション)
箱根駅伝を観ている家族(父、母、娘)
娘NA「一生懸命だなこの人」
「一生懸命なんてかっこ悪いのに、どうしてそんなに頑張れるの」
「えっ。父さん泣いている」
父「がんばれ」
娘NA「がんばらないでよ。危うく頑張りたくなっちゃうじゃない。キャラじゃないんだ、私の。」
映像/選手が追い抜くTV画面
娘NA「あれ? なんでドキドキしてるんだろう」
テロップ「あなたの駅伝は今、何区ですか?」
テロップ「今よりも、先へ」
NA「進化する、参加するヨミウリ。ヨリモ」

~人生駅伝論・父 編~
映像/箱根駅伝を観ている家族(父、母、娘)
父NA「どうして毎年正月に、ただ走る若者達を見続けてしまうのだろう。
君たちは何のために走ってるんだ。
待てよ。私は彼らに自分を見てるのか。
映像/タスキを片手に走る父(イメージ)
父NA「じゃあ私は何のために走ってるんだ。そして誰にタスキを渡す」
映像/娘とその恋人らしい青年が父からのタスキを受け取ろうと手を伸ばしている
娘「お父さん頑張って」
父NA「誰なんだ君は。まだまだ俺は止まれない」
映像/箱根駅伝を観ている家族(父、母、娘)
父「頑張れよ」(TVに向かって)
テロップ「あなたの駅伝は今、何区ですか?」
テロップ「今よりも、先へ」
NA「進化する、参加するヨミウリ。ヨリモ」

というのを放送していた。
24時間テレビの100キロマラソンじゃないけど。
学生の走る姿に自分を重ね合わせて、「頑張れ」と応援したくなるのかも知れない。
確かに、優勝出来なかったチームのゴールシーンを見ても「よく頑張った」と思える競技だ。
オリンピックなど他の競技でも、順位は良くなかったが、逆境やトラブルを乗り越えて「頑張った」選手のシーンは、ハイライトで紹介されることが多い。

10人でタスキを繋いでゆく駅伝。
その競技のドラマ性、そして正月の午前中放送。20年以上放送し続けている季節の風物詩的なブランドマネージメント。
シンプルな競技ルール。
過度の演出が無いTV中継。
家族全員で、年賀状を見ながら、おせちを食べながら、観られるコンテンツ。
競合の、高校サッカーの放映権を日本テレビが抑えているのも要素のひとつだろう。
優位点を挙げたら、本当にいくつもある。

むちゃくちゃ私見で結論づけるなら、
集中して観ていなくても「泣ける」コンテンツと
1月2日3日という環境が、最大の勝因だと思う。

「箱根駅伝」は、本当に学ぶ事の多い事例であることは間違い無い。

皆さんなりの結論があれば、どんどんコメントに書き込んでください。

posted by marketing |10:50 | その他のスポーツ | コメント(1) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
Re:箱根駅伝の人気を探る(後編)

ごぶさたしています。

私は毎年1/2~3日は妻の実家で過ごすのが恒例になっているのですが、
必ず3日は義父が箱根駅伝を、見る風でもなく見ています。
私も会話をつなぐために、TVを見ながら適当に世間話をしますが、その話題に箱根駅伝はぴったり。
義父は毎年見ているので、ある程度駅伝については教えてもらえるし、ルールが複雑でなさそうなので私も質問しやすい。

スポーツとしての駅伝にはあまり興味はありませんが、
義父との会話の媒介としては私にとっては重要ですね(笑)

ちょっと感じたのですが、駅伝というのは、凄く社会的なスポーツのような気がします。
或る一選手が、スターの様に早くても優勝を得られるということではないですし、
登りに強い選手が、必ずともどこでも強いとは限らない。
自分の強みを自覚した上で、戦略上どのように進めればいいか、自分なりに考えながら走る。
タイムレースではないので、駆け引きが重要。
タスキを渡すと言う行為自体、社会的だな~と感じます。

何事も、自分一人で成り立っているのではない。

こんなところが、根強い駅伝人気を支えているのではないかと感じました。

posted by kameplan | 2007-01-17 00:51

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