2006年10月19日

有名無実化したFA制度

20061028-00.gif18日2006シーズンオフにFA資格を獲得する選手が、コミッショナー事務局から公示された。新たに権利を獲得したのは、小笠原(日ハム)、黒田(広島)をはじめとする17人。再取得は金本(阪神)、山崎武(楽天)など5人。04年以前に権利を取得したが行使していなかった小久保(巨人)などを含めると全部で72人になる。


左上のグラフは、1993年から2005年までFA権を行使し移籍をした選手の、移籍先チーム比率をグラフにしてみた。やっぱりというか、予想通りというか。

資金のたっぷりあるチームはFAで選手補強をしていることがハッキリわかる。今まで1度もFA補強を行った事の無いチームは、
・ヤクルト
・広島
の2チーム。
しかし1度だけFA補強をしたことがあるチームは
・1995年 仲田幸司 阪神タイガース→千葉ロッテマリーンズ
・1997年 中嶋聡 オリックス・ブルーウェーブ→西武ライオンズ
・2001年 加藤伸一 オリックス・ブルーウェーブ→大阪近鉄バファローズ
・2003年 村松有人 福岡ダイエーホークス→オリックス・ブルーウェーブ
・2004年 稲葉篤紀 ヤクルトスワローズ→北海道日本ハムファイターズ
横浜ベイスターズは過去2回
・1993年 駒田徳広 読売ジャイアンツ→横浜ベイスターズ
・2002年 若田部健一 福岡ダイエーホークス→横浜ベイスターズ
となっており、8チームは現在FA補強に無関心と考えてもいいかも知れない。
その上、1度だけFA補強を行ったチームの成功率は低い。補償金の負担をし前年同様の年俸を維持して、その上契約金を選手に支払わなくてはならない。
例えば年俸1億円の選手なら、移籍前に所属していたチームへの
補償金が1億2000万円、
選手年俸が1億円
選手への契約金が5000万円~1億円
となり合計で3億円近い出費になる。
しかも、複数年契約を提示しないと選手を説得出来ないという事情もあり2~3年契約を締結することがほとんどだ。

獲得するチームにとっては、すごいギャンブルだ。
FAは9年以上プロ野球をやっていないと権利が獲得出来ない。高校卒業してスグにプロ入りした選手で27歳。何年かファームで過ごしてしまったらその分だけ遅くなってしまう。選手としてピークを過ぎているケースが多く、使えても1~2年が圧倒的だ。投資にくらべて期待した活躍をしてくれなかった苦い経験を持っているチームは、FAに消極的になってゆく。だから1度だけFA補強をしたチームが存在するわけだ。

Major Leagueと比べてみよう。
MLBはFA権利獲得が、メジャー契約6年と日本に比べて3年も短い。その上、移籍前に所属していたチームへの補償金が必要ない。選手に支払う契約金と年俸だけでイイ。FA補強に必要なお金が少なく、選手の年齢も若いMLBは、日本に比べてFA補強を行うチームのリスクが凄く軽減されているわけだ。それに、日本にくらべてドラスティックな文化が根づいているアメリカでは、FAの権利を獲得したら、ほぼ100%権利を行使する。メジャーリーグ選手会(MLBPA=Major League Players Association)が1975年のMessersmithとMacnally事件をきっかけに制度化した、選手が勝ち取った雇用の自由を放棄するなんてありえないのだ。

日本では、FA権利の行使をしない選手が多数派だ。
「この球団に育ててもらった」という意識が高く、終身雇用の文化が野球界に波及しているのかも知れない。その意識を否定するつもりは無いが、せっかく存在するFA制度が、機能していないのが残念だ。もっとFA市場を活性化させて、FA補強の成功事例をバンバン作って、補強する球団のリスクを軽減すれば、選手も球団ももっとFA制度による戦力の均衡化が図れるハズだ。お金持ちの球団が、ピークを過ぎた有名選手を買いたたく。そんな不健全な市場から早く脱却してほしいものだ。

【1975年のMessersmithとMacnally事件】
当時とても活躍していたこの2人の選手は、1975年シーズン1年間球団との契約書にサインをしないまま試合に出場。75年シーズンが終わった後で、契約書にサインをしていないのだから、球団との専属契約も切れているハズ。自分が希望する球団へ自分の意思で移籍することが可能だと主張した。論争は法廷に持ち込まれ審議され、MessersmithとMacnallyが勝訴。裁判所は選手の言い分を認めた判決を出した。これに慌てたのは、球団側だった。同じことが繰り返されれば、球団運営に支障が出ると考えたリーグは選手会(MLBPA)と交渉。メジャー契約6年でFA権を取得する内部規約を作った。


posted by marketing |00:49 | プロ野球 | コメント(0) | トラックバック(0)
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