スポーツマーケティング探求記

東京マラソン2016 経済効果300億円

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2月28日10回目になる東京マラソンが開催された。36,172人が出走し34714人が完走。完走率はなんと96%にも達した。出場ランナーの男女比は男性77.5%、女性22.5%と男性多数であった。

昨今のマラソンブームは、この東京マラソンがキッカケだと多くのメディアが書いている。キッカケであることは否定しないが、そんなに簡単にマラソンブームが来たとは考えにくい。

【物質消費の終わり】 消費者の嗜好が変わった。「モノ」を欲しがる時代は終わったのだ。読者の皆さんだって、殆どのモノは既に所有しているハズだ。テレビは既に液晶の薄型で、4K対応では無いけれど現状で困っている状況では無い。だいたいがそんなカンジで、無いと困るとか、欲しくて仕方がないという「モノ」が無くなってしまったのだ。ということは消費が「モノ」から「コト」へ移ったということ。 そこで、どんな「コト」を選ぶかということになる。

【スポーツは誉められやすい】 誰しも誉められたいという欲求を持っている(承認欲求)。「モノ」を消費する時にも「誉められたい」という価値観はあった。「コト」になるとこれが顕著になる。スポーツはとっても褒めるのが簡単に出来ている。 例えばフラメンコダンス、例えば三味線、例えば絵画、例えば陶芸、例えば鉄道模型、例えば二次元。その分野に興味関心の無い知人友人は、褒めることが出来ない。だって、何が良くで何が悪いか判別できないから。でもスポーツは簡単だ「試合に勝った」や「マラソン完走した」は、褒めやすい。専門知識が無くても褒められる。今年の東京マラソンの完走率は96%。34714人の人が「完走祝い」をする権利を有する。 完走証とランニングウエアで写真におさまれば、FaceBookでたくさんの「いいね」を送ってもらえるのだ。

【SNSの普及】 FaceBookは「いいね」を友人・知人からおくられて、承認欲求を満足させることが出来る。簡単に言えば「自慢話」をしても許される環境だ。そこに「マラソン完走」と書きたい、との欲求が湧き上がってくるらしい。自慢話をするほど親しくない友人知人から「いいね」をもらうことでシビレル輩が増えたそうだ。

【パラレル・コミュニティ】 仕事場だけのコミュニティでは閉塞感が出る、かと言って学生時代のコミュニティーを維持していくのはなかなか難しい。そこで自分なりのコミュニティーが必要になってくる。マラソンはちょうどいいのだ。なぜならマラソンの練習はひとりで出来る。サッカーや野球みたいに練習段階でチーム全員が集まるものと、マラソンの様に1人で練習が出来るものの違いがある。練習はひとりで、試合はみんなで出来る都合の良さがウケているそうだ。

そんな社会学的な背景もあって、東京マラソンには11.3倍のランナーが殺到した。その結果TOKYOマラソン2016の経済効果は301億円を越える額になった。 3万6000人の参加者から考えると、経済効果は桁ハズレだ。だが150万人以上の観客を集めた事が経済効果に大きな影響を与えている。

【大会はプラス収支】 都民には気になる収支だが、 TOKYOマラソン2016の総事業費は25億8100万円。 その中には、選手招聘費用1億円や、賞金4100万円なども含まれている。収支はほぼトントン。

収入は、協賛金18億8700万円、参加料4億3500万円、会費収入1億35600万円などもあるが、東京都からの補助金1億4800万円もある。 つまり、東京都からの補助金(税金の一部)が無いと赤字ということになる。 しかし、今回の私の計算によると、TOKYOマラソンの経済効果が東京都内の様々な産業に波及効果を与え、結果的に6億7800万円の税収効果があることが判明した。

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東京都出身。1988年リクルートを退職後起業。2001年ダイエーホークスの公式携帯サイトをオープン し、その後ベイスターズ、近鉄、千葉ロッテ、オリックス、日本ハム、ジャイアンツ、清水エスパルス、J SPORTSと公式携帯サイト運営を契約。チームの内側からITによる観客動員を模索、3度の日本シリーズと1度の天皇杯決勝を経験。2004年アテネ五輪では、Yahoo! JAPANのオリンピック結果データを全て担当。現在大学でスポーツビジネス研究者として 教壇に立っている。
【現職】尚美学園大学准教授・一橋大学スポーツビジネス研究会研究員・特定非営利活動法人スポーツマンシップ指導者育成会 理事
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