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新国立競技場 建築費は異常に高額

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2020年の東京五輪でメーン会場になる新国立競技場について、政府は28日、総工費の上限を1550億円とする新たな整備計画を決定した。未公表分を含め2651億円に上っていたコストが、40%以上削減されることになる。コスト削減のため、観客席の冷暖房設備は設置が見送られ、五輪時の収容規模は6万8000席に減らされた。【8月29日 AFP】

この問題、多くの方がワイドショウなどで論じておられるので、是非は解説者にお任せして建築費用の比較をしてみよう。新国立競技場の1550億円の建築費は従来のスタジアムと比較しても高額過ぎる。なんでこんなに高額なのか、専門的な資料を見てもよく解らない。 2012年ロンドン・オリンピックのメインスタジアムは、収容人数80,000人で486百万ポンド、約909億円(1ポンド187円で換算)。2016年に予定されているリオ・デ・ジャネイロオリンピックの場合は、既にあるスタジアムを改修して利用する計画なので、400億円以下で収まると報じられている。 2008年の北京オリンピックメインスタジアム「鳥の巣」は423百万ドル、約507億円(1ドル120円で換算)。 2004年のアテネオリンピックは265百万ユーロ、約360億円(1ユーロ136円で換算)。 こう見てみると、新国立競技場が異常に高額であることが解る。

近年のオリンピックは、環境に配慮し高額な投資を行わないのが主流だ。その流れに逆行した2014年のソチ・オリンピックでは、当初の計画から予算が4倍にも膨れ上がったと報じられている。(2014/02/10 Washinton Post) それでもメインスタジアムの建築費は779百万ドル、約935億円だった。世界に国の威信を示したいロシアが国力を挙げて建設したメインスタジアムより、新国立競技場が1.5倍以上の建築費が掛かる理由は何なのだろう。

大きなスタジアムといえば、FIFAワールド・カップの会場もキャパが大きく建築費も高そうだ。 2010年南アフリカ大会のFNB Stadiumは、収容人数94,736人と大型だが、建築費は440百万ドル(約528億円)だった。

当初の設計コンペを勝ち取ったザハ・ハディド氏は、「東京の建設市場にあります。東京の建設市場は、インフレ市場であり、限られた業者だけが受注できる状態、建築費の高騰はデザインよりも施工業者にある」と日本の構造的な問題を指摘した。ということは、日本国内に建築されたスタジアムは、高額にだったのだろうか。 開閉式の屋根を持ち、屋根の外装を全てチタンで行った福岡ドームは、建築費が高額だったことでも知られている。完成してからすでに20年が経過しているとは言え、760億円(総事業費)で建築されている。ザハ・ハディド氏の主張が正しければ、ここ20年の日本のインフレ率は300%以上でないと説明が出来ない。国際通貨基のデータによると、過去20年間のインフレ率はわずか3.26%に過ぎない。不況で1999年から7年間デフレに陥ったことなどが影響しているのだ。

とにかく不自然に建築費が高過ぎる。それは間違いない事実だ。 ワイドショウで解説をしている見識者の方々も、個人的な意見にとどまらず、論理的に数字で示していただきたいものだ。

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東京都出身。1988年リクルートを退職後起業。2001年ダイエーホークスの公式携帯サイトをオープン し、その後ベイスターズ、近鉄、千葉ロッテ、オリックス、日本ハム、ジャイアンツ、清水エスパルス、J SPORTSと公式携帯サイト運営を契約。チームの内側からITによる観客動員を模索、3度の日本シリーズと1度の天皇杯決勝を経験。2004年アテネ五輪では、Yahoo! JAPANのオリンピック結果データを全て担当。現在大学でスポーツビジネス研究者として 教壇に立っている。
【現職】尚美学園大学准教授・一橋大学スポーツビジネス研究会研究員・特定非営利活動法人スポーツマンシップ指導者育成会 理事
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