スポーツマーケティング探求記

東海大相模のジンクスとゲン担ぎ

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今年の高校野球は、45年ぶりに夏の大会で東海大相模が優勝して幕を閉じた。見応えのある決勝戦にシビレた読者の方も多かったのではないだろうか。東海大相模は多くのプロ野球選手を排出している。現巨人の原監督をはじめとして、最近では大田泰士、菅野智也(ともに巨人)川端崇義(オリックス)田中広輔(広島)市川友也(日本ハム)だ。ところが有望選手がチームにいるシーズンには甲子園に出場できないというジンクスがあるのだ。

野球は「運」や「ツキ」に左右されるスポーツだと言われている。会心の当たりが野手の正面に飛ぶこともあれば、打ち損なった打球がポテンヒットになることもあるからだ。この「ツキ」を自分でコントロール出来るようにするために、選手たちは「ルーティーン」や「ジンクス」「ゲン担ぎ」を重視することが知られている。グランドには右足から入るとか、先発登板する日には新品の下着を身に付けるとか。選手によって様々だ。これは野球界全体で行われており、日本だけではなくアメリカの選手にも多い superstitious behavior(迷信行動)と言われており、日本選手より熱心に行われていることが報告されている。

アメリカの心理学者ジェリーMバーガーが2005年に発表した論文で日米の迷信行動を比較している。日本人は失敗の原因を自己へ引き寄せる傾向が強く、アメリカ人は外的要因(天候や環境)などを失敗の原因とするケースが多い。しかし迷信行動となると、日本人は自己の成績よりもチームが勝利した時の行動を繰り返す例が多い。勝ち試合「ゲンを担ぐ」傾向が強いそうだ。アメリカ人は個人の成績に対して「ゲンを担ぐ」らしくマルチヒットを記録した日の靴下を洗濯せずに履き続けたり、食事のメニューを同じものにするなどの行動が観察されている。

MLB5チームとNPB3チームのプロ選手にアンケートを行った結果、74.3%の選手がなんらかの迷信行動(ゲン担ぎ)を行った経験があり、53.3%が現在も全ての試合で行っていることがわかった。迷信行動を行っている人の36.5%が効果が必ずあると回答している。 もちろん迷信行動には科学的根拠は無い。しかしこれだけ多くの選手が実施しており、その36.5%が必ず効果があるのなら、やってみる価値はあるかも知れない。野球に限らずイイ結果を残した時に行った行動を、再現することで自分のパフォーマンスもベストな状態に持っていく。ある種の自己暗示なのかも知れない。 東海大相模のジンクスは、ネガティブな迷信行動だとすれば、「ジンクス」として当事者が意識の中に存在する間は、存在しつづける可能性があると言うことだ。 「気持ち」という便利な言葉で選手を鼓舞する指導者が少なくないが、迷信行動の効果は36.5%しか無いのだ。なんでも「気持ち」で片付ける、頭脳的ではない指導者がもう少し減ってくれればいいのだが。

Superstitious Behavior Among American and Japanese Professional Baseball Players Jerry M. Burger BASIC AND APPLIED SOCIAL PSYCHOLOGY,2005-27(1), 71–76

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東京都出身。1988年リクルートを退職後起業。2001年ダイエーホークスの公式携帯サイトをオープン し、その後ベイスターズ、近鉄、千葉ロッテ、オリックス、日本ハム、ジャイアンツ、清水エスパルス、J SPORTSと公式携帯サイト運営を契約。チームの内側からITによる観客動員を模索、3度の日本シリーズと1度の天皇杯決勝を経験。2004年アテネ五輪では、Yahoo! JAPANのオリンピック結果データを全て担当。現在大学でスポーツビジネス研究者として 教壇に立っている。
【現職】尚美学園大学准教授・一橋大学スポーツビジネス研究会研究員・特定非営利活動法人スポーツマンシップ指導者育成会 理事
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