スポーツマーケティング探求記

経済効果と東京マラソン

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国内最大規模の市民マラソン「東京マラソン」が2月22日に行われ、2015年は3万6000人のランナーが参加。約5000人が日本以外の88の国と地域から参加し、国際色がさらに濃くなって来た。制限時間の7時間以内にゴールしたのは3万4045人と参加者の96.4%だった。ボランティアは総勢10000人。2015年は海外からの参加者へ対応するため、英語やスペイン語で対応可能な専門チーム250人を作り対応した。2020年に開催されるオリンピックでは、海外からの観戦者、関係者が多く東京を訪れる。外国語で対応できるボランティアは多数必要になるだろう。

さてさて本題は「経済効果」。 いまや日本全国で1600を越える市民マラソンが存在し、各地方自治体が税金を投入して「町おこし」の一環としてマラソン大会を開催している地域も存在する。各地で競うようにマラソン大会が誕生するのは、地域活性化の効果が期待されているためだ。ハコモノ建設などに頼らずに遠方から集客でき、周辺観光や宿泊の需要をもたらす。ランニング人口の増加も背景に、募集開始後すぐに定員に達する大会がほとんどだ。経済波及効果は事業費の数倍〜10倍程度に達する例が多い。 東京マラソンの経済効果は、世界のマラソン大会と肩を並べる額だ。ニューヨーク・シティー・マラソンは観衆が沿道にびっしりいて主催者発表で200万人がマラソンを楽しんだ。その結果およそ270億円の経済効果がニューヨークにあったという計算だ。一方の東京マラソンは172万人が観衆として沿道から声援を送ったわけでが、271億円(もの経済効果があったと試算された。

東京マラソンは、日本の国内で開催されているマラソン大会とは比較にならない。2015年大会の総事業費は22.5億円(大会公式資料)と事業費そのものの巨額だだが、事業費の12倍程度の経済効果があると試算されている。大阪マラソンは観戦者100万人で133億円の経済効果があったと主催者が発表。神戸マラソンは定員2万人で経済効果は59億円。

参加者1人あたりの経済効果を、国内外のマラソン大会で比較してみると、世界的なマラソン大会と比較しても東京マラソンは突出している。ランナー1人で75万円の経済効果があるというのだから驚きだ。経済効果は「波及額」を計算しているので、東京マラソンの事業費用22.5億円も2から3回転すると考えて計算されている。この業界で実績のある関西大学の宮本教授は、効果係数2.1倍としている。

東京マラソンは、日帰り参加が可能なランナーが大半を占める他大会と異なり、宿泊を必要とする地域からのランナーが多いことが特徴的だ。申込倍率が10倍ある大会だけに、マラソン仲間とグループで参加とはなかなか行かない。例えば新潟から参加するランナーは一人で東京マラソンをするのではなく、家族や友人と東京観光を兼ねてマラソンに参加するケースが少なくないのだという。ハワイで行われるホノルルマラソンも同様の傾向があり、同伴者と開催地まで「旅」をする事例が多い。東京は観光資源が多く、同伴者も楽しむことが出来る。この東京の観光資源の多くは、マラソンコースになっているのも経済効果を押し上げる要因の一つだ。 例えば「浅草」で参加者の応援をする。自分が応援したい人物はわずか数十秒で目の前を駆け抜ける。その後、雷門から仲見世を満喫し「人形焼」や「雷おこし」を頬張って、ゴール地点のお台場へ向かう。参加者3万6000人に対して、沿道の観戦者172万人というのも頷ける。スタート地点、途中1箇所、ゴール地点と移動しながら声援を送ればそれだけで、1人が3回カウントされることになる。 東京マラソンは「町おこし」としての役割を求められているわけではないが、大会の設計が巧妙だったと言えるだろう。

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江頭満正/Mitumasa ETOH
東京都出身。1988年リクルートを退職後起業。2001年ダイエーホークスの公式携帯サイトをオープン し、その後ベイスターズ、近鉄、千葉ロッテ、オリックス、日本ハム、ジャイアンツ、清水エスパルス、J SPORTSと公式携帯サイト運営を契約。チームの内側からITによる観客動員を模索、3度の日本シリーズと1度の天皇杯決勝を経験。2004年アテネ五輪では、Yahoo! JAPANのオリンピック結果データを全て担当。現在大学でスポーツビジネス研究者として 教壇に立っている。
【現職】尚美学園大学准教授・一橋大学スポーツビジネス研究会研究員・特定非営利活動法人スポーツマンシップ指導者育成会 理事
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