2010年01月09日

箱根駅伝 高視聴率と大学経営

2010年の箱根駅伝東洋大学の2連覇で幕を閉じた。視聴率も2009年を上回り平均で27%台だった。朝7時50分から6時間後の午後2時までの平均視聴率で27%もあるのだからスゴイ。

2009年のスポーツ中継の視聴率を参考までに確認しておこう。
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箱根駅伝がどの程度多くの人に見られているかを伺い知る事が出来る。
しかし箱根駅伝の凄いところはそれだけじゃない。他のTV局が同じ時間帯でマジメに制作費をかけた番組をぶつけて来ていないんだ。何ていうか試合放棄というか、敗ける試合に労力を使わないと言うか。完全に力を抜いている。
2010年の1月2日、箱根駅伝の放送は7時50分から14時まで、そのあと高校サッカーを続けて放送して16時位まで日本テレビが、高視聴率を稼ぐ可能性が高かった。
この時間帯、フジテレビドラマBOSSの再放送を9時55分から16時10分で放送し、16時25分から「さんまのまんま新春特番」を放送。明らかに、16時までを死に枠として編成している。
TBSは、9時30分からバラエティーの「ウンナン極限ネタバトル」の再放送。12時から14時までは、「東京フレンドパーク」の再放送と、こちらも勝負を避けてコストも掛けずに、箱根駅伝が終わるのを待っていた感じだ。

marketing-134872.jpgお正月の箱根駅伝がどうしてこんなに視聴率が高いのか。
それは色々説があるけど、2日のこの時間帯に家族が集まってお節料理と、お雑煮をつついいている。可能性が高く、そのシチュエーションで最もクレームが出ないのが箱根駅伝だから、という説が有力だ。
具体的には、駅伝中継はドラマやバラエティーみたいに、誰かがTVに集中してしまって、久しぶりに集まった家族のだんらんを阻害する可能性が低いこと。そして出演している人物に、好き嫌いが存在しないこと(有名では無い大学生だから)、若者が必死に走っている姿はリアリティーがあり虚構ではないから。などが主な理由だと言われている。

あとは、構成の素晴らしさもある。都内から、風の強い海沿いのコースそして、山登りコース。復路はシード争いと、制限時間によってタスキを渡せずに悔し涙を流す選手の姿など。とにかく編成がよく出来ていて、ドラマ性を維持させる仕掛けが完成されている。

こういったお正月のTVを代表する箱根駅伝。これに何度も出場することで、少子化により学生募集が厳しくなってきた大学が、大学名を有名にしブランド力を高めようと次々と挑戦してきている。

順天堂大学のスポーツ健康科学部の試算によると箱根駅伝優勝の広告効果は58億4688万円。往路だけで校名は74回アナウンサーが連呼し、テロップで63回表示された。TV中継以外のスポーツ新聞やニュースなどの効果を含めると100億円を超える。と計算されている。

18歳人口は1992年をピークに減少し、4年生の大学の4割は定員割れを起し、淘汰されることなると試算されている。
そんな環境下で生き残るために、大学名のブランド力向上は何にも変え難い重要な要素となる。箱根駅伝は前述の通り家族での視聴が多く、高校生の子供を持つ親、親戚などが、進学先を考えている子供と一緒に観る機会が少なくない。箱根駅伝での活躍はまたとない生徒募集広告の役割を果しているのだ。
大学の本分である研究や勉学、または入試時の偏差値などは、短期間で改善させるのは容易では無い。だがスポーツは偏差値などに比較すると短期間で結果を出す事が可能なのだ。
城西大学は2001年に創部し3年目に箱根駅伝初出場、以降6年連続で出場を果し、その知名度を向上させることに成功している。
箱根駅伝に限らず、スポーツで成果を上げて、大学のブランド力を向上させる。そういった戦略を取る大学も少なくない。

一方でブランド力は充分にある大学も、新興大学に遅れを取るわけにもいかないのだ。
早稲田大学は1990年代後半にスポーツ振興協議会を発足させスポーツ強化を促進した。
「世界に通用する大学は研究・教育だけでなく、スポーツにおいても輝いている。ハーバード大学は、五輪において52名のメダリストが輩出している」とスポーツを強化する理由を説明した。
わかりやすいのが入試改革だった。従来の特別選抜入試は50人枠で「内申点の平均3.5以上」など出願条件が厳しく、学力試験も行われていた。変更後のスポーツ推薦入試はテストを無くし、運動部長が推薦する選手を書類審査と面接だけで入学させるこを可能にした。その結果2007年は約80人が入学。これとは別にトップアスリート入試でも7人が合格した。
野球、ラグビー、陸上の看板競技には1千万円超の強化費を拠出し。それまでボランティア同然だった指導者に「客員准教授」など大学のポストを用意、専任で指導する体制を整え、報酬も出すように体勢を変化させた。
ただ入試体勢を緩和させただけでは、最高学府としての尊厳が保てない。そこで推薦入学者が2年続けて取得単位が20未満だと、その学生が所属する部の翌年の推薦入学枠を減らすという規則も存在する。運動ばかりやっていることは許さない。成績低迷者は部全体で面倒をみてゆく仕組みだ。

早稲田にここまでやられると、ブランド力の劣る大学は、エスカレートするしか無くなる。スポーツ選手として能力のある学生は、学力など問題視しなくなってしまう。
学力に目をつぶりスポーツ推薦枠で入学した学生は、学費免除など「特待生」であることも少なくない。熾烈な受験をくぐり抜けてきた一般学生に比較すると、完全にスポイルされてしまっているのだ。
彼らは、大学の授業について行く事が難しい。授業態度も悪く一般学生を阻害することもある。
だが、彼らのミッションである「スポーツで活躍する事」が遂行されていると、授業態度や成績には目をつぶるしか無くなっているのが現状だ。

大学生スポーツ選手はアマチュアなのに、アマチュアリズムが希薄化してしまっている気がしてならない。大学スポーツはこの先どこに行ってしまうんだろう。


posted by marketing |21:36 | その他のスポーツ | コメント(1) | トラックバック(0)
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箱根駅伝 高視聴率と大学経営

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初めてコメントをさせていただきます。「箱根駅伝高視聴率と大学経営」興味深く読ませていただきました。大学スポーツでのアマチュアリズムの維持の難しさは日々感じております。各大学での取り組みの他に、最終的にはアメリカのNCAAのように日本の各競技団体がある一定のガイドラインを引くことが必要ではないかと思います。各大学での文武両立への取り組みや規律などは個人的には限界があり、大学内の力関係や人間関係によって、時に曲解され、悪用される事があるように思います。しかし各スポーツを統括する競技団体が学業条件を決めれば、ある程度(完璧には程遠いながらも)の文武両立を維持できるのではないでしょうか。

自分はアメリカ大学スポーツ経営に関してのプログを投稿しています。機会がありましたらご覧いただければ幸いです。http://www.plus-blog.sportsnavi.com/maxsgoodies/

Masaru Ito

posted by Masaru Ito | 2010-01-11 05:31

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