2009年11月22日
Jリーグ経営難2 東京ヴェルディ
11月17日のJリーグ理事会で、2010年度「東京ヴェルディ」がJ2で闘う事が決まった。 新聞報道によると、ヴェルディには「経営再建中」という前書きがついている。どうして「再建中」と書かれるまで深刻な事態に陥ってしまったのだろう。 ヴェルディの経営を分析してゆくと、ひとつの奇妙な事実に当たる。それは「株主」が流動的なこと。 株主とは経営資源となる資本金を出資している人や団体のことで、資本主義経済では会社の所有者と考えられている。 株主は「資本金」を出して、経営を取締役会に委託。「資本金」を運用する投資家だ。 1994年Jリーグ開幕当時の主要株主は、読売新聞社だった。 1997年のシーズン後半になって、読売新聞社の渡辺恒雄社長が 「チームの赤字経営は、企業を軽視するリーグのやり方のせい」 とリーグを痛烈に非難し 「改革されなければ脱退も考える」 とマスコミに向けて発言したことに対して、当時チェアマンだった川淵さんが 「リーグの理念を理解できないなら、(脱退も)仕方ない」とつっぱねた。 この川淵発言にキレた「ナベツネ」がリーグ批判を始めたという流れだった。 なんとも大人げない、おじさんたちのケンカに世間は、シラけて眺めていたんだ。でもキレたおじさんは性が悪かった。 1999年2月に読売新聞社とよみうりランドが撤退し、 日本テレビの100%出資になった。 それまでヴェルディの資本金は2000万円 読売新聞49% 日本テレビ49% よみうりランド2%だった。 <1998/11/12, 日本経済新聞> 2001年 本拠地を川崎から東京へ移転すると同時に、ホームスタジアム周辺の企業へ出資を呼びかけた。日本テレビが21%の株式を多摩市、日野市や清水建設、京王電鉄系列の広告代理店である京王エージェンシーなど地元企業の出資により増資。日本テレビ100%子会社から、資本政策でも地域密着指向を強めた。 2006年4月にITバブルでキャッシュリッチになっていた、 サイバーエージェントがヴェルディの株式48.1%を取得。 日本テレビに継ぐ大株主となり、サイバーエージェントの藤田晋社長がヴェルディの取締役就任に就任した。 この頃、ITベンチャー企業のスポーツクラブ買収が流行しており、携帯コンテンツのインデックスも、フランスのサッカークラブ「グルノーブル」を買収するなど、スポーツチームのオーナーになって社会的信用を得ようと目論みた新興富裕層が多く存在した。 2007年わずか1年で、 サイバーエージェント社が大株主を撤退し同社社長の藤田晋副社長の退任も決まった。 サイバーエージェントその後は2008年は胸スポンサーのみとなり、2009年からは完全に支援から手を引いた。 なんともお粗末な話だ。たった1年で株主を撤退するなど、クラブにとっては迷惑以外の何ものでもない。 2009年9月 ヴェルディから日本テレビが撤退し 「東京ヴェルディホールディングス(崔暢亮会長)」 に全ての株式が譲渡されることが決まった。日本テレビは99%の株式を保有していた。 同ホールディングスは東京Vの前身にあたる読売クラブの下部組織出身者らが7月に設立した持ち株会社。崔会長は「OBとして歯がゆい思いで見ていた。身の丈経営が最重要課題」と述べ、再建に向け経営規模の縮小に取り組む考えを示した。<2009/09/17, 日本経済新聞> 東京Vの筆頭株主が、Jリーグのクラブでは前例のない持ち株会社に変更されたことについて、Jリーグの鬼武健二チェアマンは16日、「理事会(15日)でいろんな意見はあったが、ほぼ全会一致で承認した」と述べ、問題ないとの考えを示した。 ただ一方で、今後の問題点を問われたチェアマンは「これから討議するが、将来の経営などたくさんあると思う」と指摘した。<2009/09/17, 日本経済新聞> Jリーグは17日、2部(J2)東京Vの経営から日本テレビ放送網が撤退し、東京ヴェルディホールディングス(東京VHD、崔暢亮会長)に株式を譲渡することについて、11月16日までに5億4千万円のスポンサー料収入を確保することを条件に承認すると発表した。同日までに資金のメドが付かなければ、今季限りでリーグから退会させる。 Jリーグは15日の理事会でこの問題を審議し、東京VHDは経営実績はないものの、5億4千万円の収入があれば、規模を縮小する来年度の事業計画には実現可能性があると判断した。鬼武健二チェアマンは「歴史のある東京Vの存続を第一に考えた。ぜひ再生してほしい」と強調し、「リーグが資金を支援することはない」とも話した。 <2009/09/18, 日本経済新聞> 11月18日に、来年度のスポンサー5億4000万円のメドが経ち、来年もヴェルディが存続することが決まった。 新聞報道によると東京VHD、崔暢亮会長は2010年の事業計画を大幅に見直しし、2008年に41億円かかっていた費用を9億5000万円まで圧縮する経営計画を立て、味スタから駒沢、西が丘などに本拠地を移転することなどを表明している。 さてさて、ここまでは新聞やWikipediaを調べて行けばわかることばかりだ。ここまでの基本を踏まえて、ヴェルディの経営環境を分析してみよう。
まず、ここ4年間の経営状況を確認しておこう。営業収入は「売上」のこと。結果的に赤字になっているのは、2006年にJ1からJ2に落ちた翌年だけで、8億7800万円の赤字を計上している。しかしその後の利益は決して大きくは無いが、赤字にもなっていない。 それなのにどうして経営再建中と新聞に書かれるほど経営状態が悪化したのだろう。 2008年の営業収入内訳を見てみよう。ヴェルディの収入は41億円でリーグ4位。 だが広告収入は最下位。 チケット収入も17位だ。 Jリーグ分配金は13位。 ところが「その他」の収入が31億円もあり、ダントツの1位だ。 順位だけでなく、経営状況をJ1の18チーム平均と比較してみよう。売上は平均よりも 6億9300万円も大きいのに、 広告収入はマイナス10億円、 チケット収入はマイナス3億円と大幅に落ち込んでいる。 ヴェルディを支えているのは、「その他」の31億円ということになる。J1チームの平均でこの「その他」は9億3500万円。ヴェルディの1/3以下だ。 じゃあこの「その他」収入って何だ? ということになる。広告でもチケットでもリーグ分配金でも無い、その他。 答えは2009年10月23日の日本経済新聞にあった。 草創期にブームに酔ったつけで放漫経営に陥り、親会社から赤字を補てんしてもらう甘えの構造ができあがった。坂田信久社長(現・国士舘大教授)時代に「補てんは年10億円まで」という原則を築き、三浦知、ラモスら高額年俸選手との契約を切って運営費を大幅に削ったが、02年の同社長の退任後は再び経営体質が戻り、08年には日本テレビが31億円も拠出した。<2009/10/23, 日本経済新聞> ヴェルディの「その他」収入は株主からの損失補填だったのだ。実質的には赤字を親会社に肩代わりしてもらっていただけで、毎年毎年赤字で運営してきたことが、この事実から読み取れる。 株主がコロコロ変わってきたのも、この損失補填が大きな負担になっていたから、と考えられる。 たった1年で株主から撤退したサイバーエージェントは、2006年の「その他」14億9000万円をその持ち株比率48.1%にあたる7億円前後を負担していたと考えられる。その上胸スポンサー費用も支払っていたとすると8億から9億円だ。それだけの投資対効果は2006年のヴェルディには無かった。というのが経営判断だろう。 ここで問題になるのが、「東京ヴェルディホールディングス(崔暢亮会長)」だ。この会社は持ち株会社で本業を持たない。 もし損失補填の必要が出てきたらどうするのだろう。 他のビジネスで収益を上げていない会社が、損失を補填出来るとは考えられない。 その結果、41億円から9億5000万円へのダウンサイジングという経営計画になったのだろう。補填出来ないのなら出資を抑えるしかない。 9億5000万円の規模の経営が可能なのだろうか。 J2クラブの現状を見ると、可能だ。と考えられる。 水戸は3億4900万円 岐阜は4億100万円 草津は5億4400万円 湘南で9億3000万円だ。 そこまでダウンサイジングして、ファンがついてくるのだろうか。 ヴェルディファンはチームに強い事。J1で優勝争いをすることを望んでいるのではないだろうか。 だとしたら、その希望を叶えるのは、しばらく難しそうだ。 前回の大分もそうだったが、 ファンが出来る事は、あと1回スタジアムに多く行く事。 スタジアムに行く時には、もう一人初心者を誘い、ファンを増やしてゆく事。 そして、もう1ランク値段の高いチケットを買う事。 こうしてチームの台所事情を、多くのファンで少しづつ支えるしか無さそうだ。 ヴェルディが弱くなっても、選手が必死にゲームをしていれば、サポーターは勝敗に関わらずに支援をし続ける、我慢の時期が始まりそうだ。
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posted by marketing |14:15 |
サッカー |
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Jリーグ経営難2 東京ヴェルディ
コメント投稿者ID :
結局、国内でしか収入を得られないJリーグとしては、
観客とスポンサーがポイントになってくるんですよね。
ただヴェルディは、しっかりした下部組織があります。
そこから、若い選手もトップに昇格しつつあるので、
後はサポータに、それら選手の成長を見守り、
楽しめれば、ヴェルディは今より強くなって復活する
のではないかと思います。
ポイントは、クラブとサポーターの若手選手への
育成の目ではないかと思います。
posted by hope_8841 | 2009-11-22 15:41
Jリーグ経営難2 東京ヴェルディ
コメント投稿者ID : OOH00007959
読売が野球の巨人軍で行ってきた「自分のチームさえ強ければ良い」という、企業至上主義、スポーツ理念とはあまりにかけ離れたリテラシーしか持ち得なかったゆえに、結果Jリーグの中で取り残される結果になったと思います。そこで支えてくれる地元スポンサーやサポーターの意義、そうやって行うスポーツで何を目指すのか、クラブチームの価値とは、といった考えがない、極めて稚拙な意識しか持っていなかった経営陣だったことがよくわかる記事でした。サポーターの皆さんには何ともツライお話ですが、今のVサポの皆さんには是非とも頑張って欲しいですね。
posted by evergreen | 2010-04-26 11:53
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