2009年11月08日
Jリーグ経営難1 大分トリニータ
大分トリニータがJリーグに「公式試合安定開催基金」による融資について非公式に相談していたことが11月2日報道された。Jリーグ規約によると大分が実際に融資を受けた場合、来季のJ2リーグ最終日の30日前までに完済しなければ、成績に関係なくJ1に昇格できない。 約5億5千万円の累積赤字を抱える大分は、4年間で約13億円の支援を受けていたレジャー産業大手「マルハン」が来季のスポンサーから撤退するなど資金繰りに苦しんでいる。 大分トリニータの溝畑宏社長は「基金からの融資を含めた財政面の相談は、毎年行っていること。これまで同様、融資を受けないような方向で努力している」とコメントしている。(11月3日 西日本スポーツ) 僕は大分で何度か試合観戦をしたことがある。 キレイなスタジアムだし、ファンは暖かいし、チームも特徴があってとても好感を持っている。以前ケイタイサイトのビジネスを持ちかけていて、経営陣とも何度かお目に掛かる機会に恵まれた。どの方も一生懸命でチームを愛している姿勢が感じられた。僕自身スポーツビジネス研究をやってきて、大分のチーム経営に何か役に立てないかと常々考えてきたんだ。 大分は長い間、経営難に喘いできた。 1999年 この頃は観客動員数が1試合平均3800人と少なく、総収入5億6500万円のうちチケット収入はわずか8%、82%を協賛企業からの会費収入に依存し、最終利益は4000万円の赤字だった。 同時期に、ペイントハウスが1億円を出資して筆頭株主になり、2000年からは、ペイントハウスの社長星野初太郎氏が自ら社長を務めてきた。 2003年J1に昇格 2004年 星野氏は年間数億円を投じてチームを支えてきたが、ペイントハウスの業績が悪化。2004年2月中間期で15億円強の債務超過に陥ったのを機に、「本業の立て直しに専念したい」と社長交代を求める。 同年6月に中小企業再生ファンドからの投資(1億円)で財政基盤強化に乗り出すことになる。経済情勢の厳しさからスポンサー撤退の動きもあり、この投資だけで経営を安定させるのは難しい状況だった。 2004年9月、運営会社社長に、大分県庁から再出向の形で溝畑宏(44歳)が就任。様々な課題を抱えながらも創設から10年で急成長を遂げ、九州では唯一のJ1チームとなった。「5年以内に日本一、観客数3万人、総収入25億円」との高い目標を掲げた。 だが同時にペイントハウスのスポンサード(球団総収入の25%)を失うことになる。 この溝畑氏、そもそも大分に2002ワールドカップの大分招致を発案した張本人。地元プロチームの創設は、W杯誘致とセットの課題だった。分権論で知られる実力派知事(平松守彦氏)は地方からの文化発信に共鳴、溝畑を使い動き始め、ビッグアイを建築しトリニータをJ2まで育て上げ、ワールドカップ招致に成功したのだ。 チームの誕生に深く関わった溝畑氏は、いわば大分の切り札とも言える。 2005年 前ユニフォーム胸スポンサーの小室哲哉が代表を務めるレコードレーベル・企画会社トライバルキックスのスポンサー料未払い問題が発覚し、クラブの債務超過が問題となりチーム存続の危機に立たされた。大分県スポーツ文化振興財団が資本を2億円融資(2009年10月現在約1億2千万の債務)、さらに6月にユニフォーム胸スポンサーとなったマルハンが2006年から6年間の年間シートを購入したことにより、当面の危機は回避された。このスポンサーに関してはJリーグの規定に抵触するのではないかとの指摘があったものの、特例として認められた。 2006年 ビックアイの命名権を九州石油が年間7000万円で3年契約を締結(日経新聞2006/02/14)この命名権の収入がトリニータに入っているかは未確認。 2007年 マルハンの業種を理由に、Jリーグ実行委員会から胸スポンサーの承認が得られなかったため、2007年シーズンは「スペシャルスポンサー」という扱いとなり、大分は胸スポンサーの権利を他社に与えず、空白とすることにした。 2008年 ヤマザキナビスコ杯優勝 溝畑社長の就任時目標「5年以内に日本一」が達成された。 2009年 「ユニホームに企業名が入らず広告対価が伴わない」ことを理由に、ついにマルハンがスポンサーを撤退することを発表。 8月スポンサーとして健康補助食品製造販売のフォーリーフジャパン(大阪市)が2011年1月末まで資金を提供する。金額は明らかにしていないが、ユニフォームの胸に企業名を表示する最高額のスポンサー企業となる。 フォーリーフジャパンはマルチ商法で経済産業省から2009年8月中旬まで6カ月間の業務停止命令を受けていた。行政処分企業がスポンサーとなることにトリニータでは「コンプライアンス面で検討したが、業務停止期間が終わり問題ないと判断した」と話している。(日経新聞 2009/08/29) 過去4年間の経営状況を見てみよう。
2008年は縮小したが、売上も伸ばしているし、一般管理費も低く全体的に節約されている感じが出ている。 2008年はナビスコ杯優勝の賞金があったので、リーグ分配金が増えているが、それでもギリギリ黒字だった。 マルハンがスポンサーについた翌年の2007年から選手年俸を増やし、勝てるチーム作りをしてきたことがよくわかる。今回のJ2降格は、スポンサー不安から選手年俸を削減した可能性も考えられる。選手年俸を掛けずに強いチーム作りを迫られる事になるだろう。この問題は永遠のテーマでそんなに簡単に解決できるものではない。正解が無いだけに、ガンバって欲しいものだ。 観客動員数 大分トリニータの観客動員は今期平均1万8027人で昨年の2万322人より減少している。とは言えJ1チームで5位の地位は譲っていない。 ここで昨年の観客数と収入の関係を観客数上位6チームで見てみよう。注目したいのは、チケット収入の客単価だ。 大分は1589円で新潟についでワースト2、浦和の3541円は別格としても2000円位を狙いたいところだ。大分はシーズンシート購入者が多いので有名だ。シーズンシートは固定のファンがついている証しであり、事前に購入者が支払っているのでファイナンスとしても有効なのだが、低価格化する危険性がある。大分はこのリスクが顕在化した例の様だ。 広告収入の客単価は大分2570円、まずまずのところだ。広告料はスタジアムの観客と、TV中継された時の視聴者と、雑誌などメディア露出する際の読者などの総数を計算して算出されることが多い。つまり全部で何人の人がスポンサーの広告を目にするのか。ということだ。鹿島の4965円となるとスポンサーから値引き交渉をされかねないし、新潟の様に1620円だと、もっと値上げできると考えられる。高過ぎても低過ぎても良くない数値なのだ。 ファンとして出来る事 もう一つ値段の高いチケットを買って、年間でもう1試合多く見に行く事だ。そして、いつも2人で観戦してたのなら、もう一人誘って3人で九石ドームを訪れて欲しい。スポンサーの問題で何度も経営難に直面した大分トリニータを、安定したいいチームにするのには、チケット収入の増加が一番なのだ。
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posted by marketing |12:35 |
サッカー |
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Jリーグ経営難1 大分トリニータ
コメント投稿者ID :
そうですよね、クラブを強くしたいなら、
まず、ホーム戦を見に行くことですよね。
だから、ホームとアウェイでは
クラブや選手も絶対負けられないとなるわけですよね。
もちろん、観客が多ければ露出度も高いためスポンサーも
付きやすくなると思います。(成績が良ければ尚いいですが・・)
ちなみに、もう1つ高いチケットに関しては
例えば、イベントやファンサービス等、
それ相応のニーズにあった付加価値を、考えたい所ですね。
これからも、スポーツ界のため経済面から
色々楽しい分析を期待してます。がんばってください♪
posted by 興味深い分析でした。 | 2009-11-08 20:32
Jリーグ経営難1 大分トリニータ
コメント投稿者ID :
非常に興味深く読ませていただきました。
ただチケット収入の客単価の低さは、シーズンパスの占有率が高いというよりも、招待券あるいは割引券の多さが起因していると考えられないでしょうか。
>もう一人誘って3人で九石ドームを訪れて欲しい
全く同感です。サポーターの一人として、その努力を今後も続けていきたいと思います。
posted by きくりん | 2009-11-09 01:02
Jリーグ経営難1 大分トリニータ
コメント投稿者ID :
ご意見ありがとうございます。
ご指摘の通り、チケット収入の客単価の低さは、招待券発行率の高さも考えられます。
ただ大分の場合、無料招待券は減少する努力をしており、現在はスポンサー提供という形で実施しているのがほとんどです。
つまり球団にとって、無料提供は基本的にしていません。
計算上、客単価があと1000円高くなれば、大分の経営は安定します。お弁当やビールに使う予算を、チケット代に回してチームの経営を安定させましょう。
posted by えとう | 2009-11-15 23:45
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