2008年12月21日
FIFA クラブワールドカップの「賞金」
サッカーのクラブ世界一を決めるトヨタ・クラブワールドカップは12月21日、横浜市の日産スタジアムで決勝を行い、マンチェスター・ユナイテッドが南米代表のリガ・デ・キトを1-0で破り、初のクラブ世界王者に輝いた。 後半4分、ビディッチが一発退場になりマンUは10人での戦いを強いられるが、後半28分にロナルドのパスを受けたルーニーが右足で1点を取り、そのまま試合終了。マンU選手のスピードある攻撃と、ひとつ一つのサッカーの精度の高さが印象に残る試合だった。 さてさて、僕が試合の流や解説をしても誰も読んでくれない。そういう事は専門家に任せて、この大会のビジネス的な側面を考察してみよう。 1980年から2005年まで、この大会は「トヨタカップ」という名前だった。 トヨタカップの前身はインターコンチネンタルカップ。この大会は1956年に第1回大会が開催された。当初はホーム・アンド・アウェー方式で行われていて、南米のサポーターが過激でかつての宗主国への反感もあって、頻繁に暴動が起こるようになった。審判が観客から拳銃で撃たれて、欧州のチームが南米には行きたがらなくなったこともあり、中止されていた。 これに目をつけたのが「日本テレビ」。 プロ野球「巨人」の成功で、次のコンテンツを探していた読売グループと、日本サッカー協会の考えがタイミングよく重なって、コンチネンタルカップを日本で開催して、ホンモノのサッカーを生で見る機会を作り、国民やメディアを刺激して、日本の競技力を向上させようと考えたわけだ。 その先には、サッカーのプロ化、W杯の日本開催を見据えての行動だった。 読売グループと、サッカー協会で準備を進めていた大会に、電通を加えてスポンサー獲得が始まる。その結果TOYOTAとの交渉がまとまり、「トヨタ ヨーロッパ/サウスアメリカ カップ」となって日本で開催されることになる。 トヨタカップを成功させるためにクリアしなくてはならない問題が2つあった。 ひとつは運営面での安全。南米での過激なサポーターと全く気質の異なる、日本のサッカーファンなら問題は無いし、何しろヨーロッパ対南米の試合を第三国の日本で行うという事で、周囲も納得した。 2つ目は大会の意義だった。参加するクラブチームが必死になって優勝を目指さないと、いい大会にはならない。公式戦ではないカップ戦へのモチベーションをどこに設定するかが問題だった。名誉という点では、サッカー後進国の日本で開催される大会で、歴史も無いので設定しずらかった。残る手段はひとつ「賞金」だったという。 1980年当時は、ヨーロッパのサッカークラブも今のように潤沢な資金で運営されていたわけではない。南米クラブチームの運営資金不足は、さらに深刻だった。 その結果、比較的高額な賞金設定がされることになった。 賞金の原資は、TOYOTAのスポンサーと、世界各国へのTV放映権の販売が中心だった。 決勝に出るクラブがある国では、TV放送される可能性が高い。ベッカムがMLSにいた頃、アメリカのサッカーの試合がイングランドに中継されていたように、国の人気選手が出場している国も、放映権販売の対象になる。 クラブチームが、リーグを超えて試合をする機会も少なかった当時としては、希少な組合せという事もあり、販売先は多かった。 当時のトヨタカップのプロデューサーは、『インターコンチネンタルカップ』という名称では無く、『サッカーのクラブ世界一』というコピーを頻繁に使い、この大会の価値(名誉)を高める努力をした。 TOYOTAカップの転機は1985年だった。 ユベントスが来日した。当時のユベントスは欧州全土から注目される人気チームで、欧州各国から放映権の申込みがあった。同時に放映権料が高騰した。 1980年代前半は、民放で海外のサッカー大会を中継する時代ではなかった。TVは国家的なインフラで、民間企業が高額な放映権を支払えるほど儲かっていなかったが、この頃から民放でもメディア王国化した企業が出てきて、優良なコンテンツを世界中から、独占的に購入する動きが出てきた。 衛星放送の回線使用料金も安くなっていた。東西冷戦の宇宙開発合戦のお陰で、数多くの衛星が打ち上げられた恩恵だった。 1985年大会を機会に、TOYOTAカップは、欧州でも認められるようになる。 2005年から、欧州と南米だけでなく、6大陸の大陸別サッカー選手権王者がトーナメント方式で優勝を争う形になった。 2007年から開催国である日本の出場が認められるようになった。チケットショップでは、額面の倍近い値段で販売されており、日本のクラブが出場することによる国内での関心は高まっているようだ。 クラブW杯-2007年チケットショップ価格 <準々決勝> カテゴリー4 4000円(額面2000円) <準決勝> カテゴリー1 35000円(額面18000円) カテゴリー4 14000円(額面7000円) (2007/11/30, 日経産業新聞) 2007年クラブワールドカップ賞金 優勝 500万ドル(約5億5000万円) 準優勝 400万ドル(約4億4000万円) 3位 250万ドル(約2億7500万円) (2007年12月の為替相場で計算) 出場するだけで、数千万円がクラブチームに出場料金として支払われている。 (2007/12/17, 日本経済新聞) リガ・デ・キトの年間総予算は、日本円でおよそ8億円。この大会にで決勝まで残った事で、2008シーズンの事業業績は前年比150%に成長する事になる。選手への賞金分配もあるだろう。選手も年俸が1.5倍になるのなら、ハリキルのは当たり前だ。 カンバ大阪にしても、年間総予算は32億円。2億7500万円は、8.5%で馬鹿にできない金額だ。ガンバのボーナス額は公表されていないが、選手への分配もあるだろう。欧州代表以外のチームにとっては、大会賞金は充分モチベーションとして機能していると思う。 2009年 アジア・チャンピオンズリーグ 予定優勝賞金 230万ドル(およそ2億円 ※$1=¥90) 2006年ワールドカップ賞金 優勝国 23億円 準優勝 21億円 3位4位 20億円 ベスト16 約8億円 1次リーグ敗退 5億6000万円 (2006/07/07, 日本経済新聞)
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posted by marketing |22:47 |
サッカー |
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師走の休日の過ごし方 ... 今のように世界中の各地域から代表が 出てくるようになったのはつい最近のことで、 それ以前は”トヨタカップ”ということで、ヨーロッパと、南米の代表が 長い間戦ってきました サッカーの実力はその歴史と比例してこの2地区が抜きんで ...(続き..
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Re:FIFA クラブワールドカップの「賞金」
コメント投稿者ID :
優勝と準優勝は大差ないんですね(>_<)
posted by jefrotte | 2008-12-21 23:39
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