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2011ジェフユナイテッドスタッフ短評 ~ドワイト・ローデヴェーヘスの10か月~

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新監督が清水のヘッドコーチである木山隆之さん(藤田選手と同級生!)に決まりそうということで、2011年を振り返るために昨季のスタッフについても触れてみたいと思います。

神戸監督はまだ天皇杯の戦いを残しているため、今回はドワイト時代メインに書き進めていきます。

あくまでもドワイトの評価なので、選手がどうフロントがどうという話はなるべく割愛いたしますのでご容赦を。

また、どうしても今季は厳しい言葉が出てしまう可能性もありますが、ドワイトへの感謝やリスペクトを忘れず、人格の否定などに走らないように注意したいと思います。

そんなわけで、あんまり楽しい話にはならないですが、今季の反省としてここにまとめておきます。

関連記事:2010ジェフユナイテッドスタッフ短評




■求めていたのは土台作り

昨季オフにドワイトが就任した際、それまでの主力選手、特に攻撃的な選手を多く欠いたこと、そしてレギュラーが誰かもわからない状況であったことを加味して、彼に望んでいたテーマは「土台作り」でした。

レギュラーを固定し(出来れば若手を起用し)、個人はもちろん組織を鍛えながら、下部組織と一体になったジェフのサッカーを作り上げる。

11年にチームの基盤を作り、翌年から昇格を見据えた補強をしながらチーム力を上げていく。

それはまさに名古屋でフェルフォーセンが担っていたタスクで、彼と共に仕事をしていたドワイトだからこそ、期待出来ることなのだと考えていました。

・・・ただし、フェルフォーセンは基盤作りまでは成功しましたが、上位進出はなりませんでしたけども。


■オーロイという劇薬

その意味で、就任当初のドワイトは期待通りの働きをしてくれていたように感じました。

チームとしての規律を重んじながら、伊藤大介、米倉恒貴と若い選手を抜擢した上でレギュラーを固定(青木孝太、マット・ラムが定着出来なかった右サイドハーフを除く)して起用。

U-18と同じように攻守のバランスを大切にしながら、サイドをワイドに使うという明確な方針も打ち出した。

さらに前年よりも守備が安定していたことで、勝ち点を上手く拾いながら、「やらなければいけないことはポゼッションを高めた中でどういう攻撃をしていくか」とポゼッションサッカーへの色気も見せていました。

それこそ、名古屋時代のフェルフォーセン、そしてU-18の菅澤コーチのように、サイドバックがビルドアップしながらワイドな展開を見せる、決してユニークではないけれど堅実な組織を構築していくのだと個人的に期待していました。

しかし、今季のジェフは「オーロイ」という文字通り「大きな武器」を獲得しました。

その強烈な個性はちばぎんカップから開幕戦、ホーム開幕戦のFC東京戦で如何なく発揮されたことでもわかるように、その武器を使いこなせれば昇格も可能ではないかという期待をさせる魅力が確かにありました。

フロントから「1年での昇格」を求められていたドワイトがその武器を使わないはずはなく、しかもそれを最大限活用するために、いつのタイミングからか、「基本的にオーロイ1人に頼ったチーム作りはしないと考えています」と言いながらも、オーロイ不在では機能しないであろう戦術を取るようになっていました。

※蛇足ながら、記者から「オーロイありきの戦術」って突っ込まれているところを公式サイトに載せちゃうのはどうなんでしょうね。


■結果オーロイ

「後ろを固めて前線の外国人で勝つサッカー」は悪い考え方ではないですし、ドワイト自ら「もしオーロイがいなかったら他の選手でサッカーのスタイルを考えます」と語っており、実際に久保選手が出場した際には彼を活かす戦い方が序盤は出来ていたように見えました。

しかし、おそらくドワイトにとっても未知数であった「オーロイ」という他にはない個性がチーム作りの根幹になってしまったことで、それまで10勝3敗4分という「1試合勝ち点2ペース」で来ていたチームが、オーロイ選手が怪我をしたホーム横浜FC戦から一気にペースダウン。

決して若くはないオーロイ選手ですから、もう少し休ませながら戦っていればまた違っていたのかも知れませんが、いつしかオーロイ選手に依存し、ロングスローとセットプレーと深井正樹を除けば、彼抜きでは成立し得ないチームになっていた。

だからこそ、オーロイ選手には少しでも長くピッチに立っていて貰う必要がありましたし、もしかしたら、その時点で「土台作り」は失敗に終わっていたのかも知れません。

中断期間に別のサッカーを模索するでもなく、代役に大島秀夫選手を獲得するも元々怪我持ちでフル活用は出来ず、選手交代によって試合展開を変える程の駒も手腕もなかった。

フォローになりますが、手腕については監督経験が豊富ではないのだから、仕方ないことでしょう。

有能な監督は値段が高いですし、そもそもフェルフォーセンもこの部分はあまり評価が高くなかった(交代枠を余らせる・交代が遅い)ですから。


■オーロイで成り立っていた土台

オーロイというスペシャルな存在を下地に作っていた土台は、その後脆くも崩れることとなりました。

攻撃が連動するわけでもパスを繋げるわけでもなく、得点を奪う意識は希薄で自分のポジションだけ守って、奪ったら新人FWに向けてロングボールを蹴りこむか、単独の突破を試みるのみ(なのに90分間もたない)。

オーロイ選手に依存していた期間が長かったからか、序盤に見せていた久保選手の活用法すらも、「トーレがいなくなってブレ始めた。久保にロングボールを蹴ってもしょうがない。でも、その癖が付いている」と米倉選手が語るように、監督も選手たちもすっかり忘れてしまっていた印象があります。

気付けば、ジェフというクラブが過去に否定したアレックス・ミラーに近いサッカーで、ジェフが自ら放出した「巻待望論」まで巻き起こる。

林選手や孝太選手からは監督の指示(選手の距離感)そのものに疑問を感じているようなコメントを残しており、監督と選手が別の方向を向いているというような報道もありました。

「オーロイありき」で成り立っていたチームの基盤は結局完成の時を待たぬまま、崩壊を始めてしまいました。

もしかしたら、「重要な選手が出場できていないのが影響はしている」とドワイトが認めることになった時点で、クラブはドワイトを諦めていたのかも知れません。


■監督解任

唯一の連敗を喫した10月19日の水戸戦でドワイトは解任。

後任の監督は神戸TDでしたが、実質指揮を執ったのはU-18でドワイト以上に良いサッカーをしていた菅澤コーチであったことは必然だったのかも知れません。

神戸監督のサッカーを見るに、ドワイトの目指した方向性をクラブも支持していたとは思えず、実際にオーロイ選手を投入してのパワープレーはすでに相手も研究済みであったように思えます。

ジェフに限らず、エースFWが離脱すれば結果を出せないことがあることは充分に承知していますが、それでもオーロイ依存のチームでJ1でも戦えるかと言えば疑問符が付きました。

一方でクラブが求めていたのが「1年での昇格」なのであれば、ドワイトの選択が一概に間違っていたとも言いきれず、ドワイト解任後もまったく得点が取れないことを考えればオフに昨季の攻撃陣を丸ごと放出したことが逆風になっていたとも考えられます(サッカーと戦力の齟齬は明確でした)。

結局はオーロイ選手が離脱した時点でこれまで続けていた「オーロイ中心のサッカー」を継続させようとした監督、クラブの判断が間違っていたのかも知れません(これは私も支持していたところなので、情けない気持ちもあります)。

土台は作れず、チームの基盤は見えないまま、「若返り」をテーマにした来季を迎える上で、今季の「失敗」はクラブとしてもサポーターとしても忘れてはならないことなのだと、私は考えます。


本日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。

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短評のはずが長くなりました。

下村選手の湘南移籍報道など、オフシーズン盛り上がっていますね。

もしかしたら、ジェフの水戸化がどんどん報道で明らかになるかも知れませんね。


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選手短評(2011)
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ドワイト・ローデヴェーヘス
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2011ジェフユナイテッドスタッフ短評 ~ドワイト・ローデヴェーヘスの10か月~

マルコスさん こんにちは

ドワイトについては、(私の感想は)解任時の記事で書いたので...やはり監督としての経験の差かな?

どこの監督も得点のあげられる選手(FW)を要求しますが(結果が出なければ言い訳にも使いますが)、ドワイトは(神戸さんも)どうだったんでしょうねぇ(今でも疑問です...どう取るつもりだったんでしょう?)。


〔神戸TDのチーム作り〕
『1-0で勝つサッカー』を理想(ベース)としているんだろうけど...結果として1-0ではないはずなんです(でもそうならなかったのはやはり問題)。

今回、木山氏の監督招聘で神戸TDの考えが(ドワイト前監督時の体制作りの意味も)少しながら見えてきたような印象です(あくまでも個人的です)。

(多分マルコスさんが今後記事にするであろう内容を先走ってしまいます。ごめんなさい。)
木山氏は、清水のHCとしてゴトビ監督の下でチーム作りを見てきた方です。
そのゴトビ監督はヒディンク氏の懐刀(戦術分析官)として力を発揮した方で、ハイテクを駆使し戦術などをデータベース化する事に長けた指導者です。
*今季はこの役割(アナリスト)に志垣コーチを充てましたね(ドワイトもタイプ的にはそうかな?)。
ただ、数値化・映像化と言う『見える化』(プレゼンテーション技術)にゴトビ監督との差があったのでしょう(当然ですけど)。理解(浸透)度にも問題があったようです。

しかも、その戦術(決まり事)もあくまでも方向性であって、嵌らない事も想定した対応に神経を使っている印象です。。。物事に白黒付けるのではなく『グレーゾーン』でより良い判断を求めるようですね。よって練習も、戦術(イメージ)を体現出来るように実戦を意識したゲーム形式で行なうそうです。
*これは(規律優先で)ドワイトの足りなかった所ですし(当然選手側にも問題はありますが)、菅澤コーチの得意分野ですね(軌道修正が遅かったのかも...中期的には早すぎですが)。

さらに、チャレンジ精神が旺盛で(木山HCが中心に)若手選手の底上げにも注力しました。
*ここはハンスの役割でしたが、結局は芽が出た選手は居ませんでしたね(ドワイトも結果優先だったんでしょうね)。

このように見る(こじつける)と、戦術的な問題(継続性の無さ)はあったと思うが『チームの体制作り』は一貫している印象も...木山次期監督で今季の問題を解決(深化)したいんじゃないかな?(戦術的なものは不明ですが...一番の問題だったりしますね)


まあ、ゴトビのチーム作りの考え方も、(過去に)成功している実績があるからこそ迷わずに(クラブにも要求)出来るわけで...柏・ネルシーニョにしても。

ただ、現代のスポーツは情報分析能力の差が、結果の差にもなっているし...とにかくノウハウは取り入れたいですよね。

ジェフ(古河流)のチャレンジ精神(伝統)だったりするのかな?。。。岡ちゃんなどチャレンジが大好きなOBがいっぱいです。

でも、真似っこ大好きのジェフ。“魂”が入っていない(真意が分かってない)事が多いので心配。


会社組織については。。。(オーナーのバランスを崩すのは大変そうだし)せめて社外取締役(スポンサーやホームタウンの方)を入れて経営陣の見直しも一手ではないかな?


(小林取締役もいるし)水戸化ですか。。。遠藤選手は経験も積んだし帰ってきて欲しいですね。

2011ジェフユナイテッドスタッフ短評 ~ドワイト・ローデヴェーヘスの10か月~

マルコスさん、こんにちは。

ドワイト監督のみ投稿させて頂きます。
実は今年、昇格出来るとは思っていませんでした。
更に数年後を見据えたチーム作りも出来ないとも考えていました。

チームには規律と創造が必要です。
ドワイト監督からは規律が感情られるが、創造が感じられない。選手から自由が感じられなかったのです。
規律(戦術オーロイ)に気をとられ、サッカーの本質である遊び(創造や自由)が感じられなかった。
規律のみ与えられたから選手は規律がなくなったら戸惑いしか残らなかった。

更にサッカーは数学であること。
ジェフの基準点がオーロイしかなかった。
その基準点がなくなったら図形が描けないし、基準点を抑えられたら手も足も出ない。
抑え方は早めに熊本が実践して成功してしまったので・・・。後は熊本の真似をすればいいのだから。

しかし、それ以上に監督の人選と、選手層にかなり問題を感じてたのですが。
皆さんが仰る通りオーロイの代わりがいないこと。オーロイ封じを交い潜る方法が見えないこと。更にオーロイ抜きでの戦術が見えないこと。
以上のことがシーズン前に終わっていなければならないのに全く見られなかった。しかも選手が納得している節がある。
この辺りの改善を実は藤田選手に期待していたのですが。

来年は木山氏で決まり?
藤田選手もそうだけど、とうとう同い年の監督か・・・。

2011ジェフユナイテッドスタッフ短評 ~ドワイト・ローデヴェーヘスの10か月~

マルコスさん、こんにちは。

ドワイト監督のことを個人的には嫌いでは無かったです。

土台作りを期待していたというのが多くのサポのイメージだと思いますが、マルコスさんが触れているようにJ1昇格を第一目標に設定されていたのであるならば、あのような展開になるのでしょう。

すでにそれ自体がサポとチームの見る方向の違いと言う別のテーマになってしまいますけど。

土台作りという観点で見たとき、ミラーサッカーの最終ラインがGKに蓋をしてしまうほど完全に受身になった時や、江尻サッカーで局地戦だけが形作られて全くリスク管理が行われていなかった時を経て、リトリートから入りつつも高いラインでコンパクトに守る意識付けという点では一つの形ができたのではないかなぁと思っています。

10ヶ月掛けてそれしか身につかなかったのも悲しいですが・・・。

解雇に当たって一部のサポの間で特損の話も出ていました。これは決算を待ってみないと分かりませんが、あとを継いだ神戸監督が結果を出せるかどうか分からない(結果は出ませんでしたね)中、あのタイミングで見極めたと言うことは言われていたような2年契約ではなかったのかもしれません。

直接お会いする機会があったのですが、とても柔らかい表情をされる方でした。もしオーロイ選手を獲得できていなくて、もし土台作りを第一目標に設定された契約だったらどのようなサッカーを目指したのでしょうか。ホーム最終戦であの笑顔を見たかった気がします。

2011ジェフユナイテッドスタッフ短評 ~ドワイト・ローデヴェーヘスの10か月~

お世話になります。

オシム監督(お父ちゃんの方)や
アレックスミラー監督が
「与えられた食材で腕をふるう料理人」であったとしたら、
江尻監督やドワイト監督は
「作りたい料理ありきで、食材を集めていく」料理人だったのかもですね。

シーズン前半については、選手の個性を生かしたサッカーが
(まだ)出来ていたと思いますが、
シーズン途中の大島選手の獲得なんかを見ても、
「オーロイ選手の戦術で行くんだなぁ」と思ったりしました。

土台を作るはずが、
先に柱を立てちゃったようなシーズンでしたね。

「育成と昇格」という2匹の兎を追いかけなきゃいけない事情があったにせよ、
尻つぼみなシーズンといういつも通りの展開なのも
ジェフらしいっちゃ、らしいんですけどね。
(来年も同じだったらどうしましょ)

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