2009年03月04日
2008ドキュメント フクアリの奇跡 その8
2008年の振り返りとして、ドキュメントの連載を開始しました。 今回が8話目となります。 開幕直前はプレビューを書きたいので、ちょっと焦ってます。 「ここまで来たからにはこっちも意地だ!」という方は、続きを読む、からどうぞ。 1話目:2008ドキュメント フクアリの奇跡 その1 2話目:2008ドキュメント フクアリの奇跡 その2 3話目:2008ドキュメント フクアリの奇跡 その3 4話目:2008ドキュメント フクアリの奇跡 その4 5話目:2008ドキュメント フクアリの奇跡 その5 6話目:2008ドキュメント フクアリの奇跡 その6 7話目:2008ドキュメント フクアリの奇跡 その7
■2008年9月23日 激戦を制した札幌戦の余韻に浸る間もなく、ジェフは中3日で5連勝中の名古屋グランパスをフクダ電子アリーナに迎えた。 ストイコビッチの素晴らしいサッカーを体現する名古屋とは08年だけで3戦3敗と非常に相性が悪く、通算でも8勝3分24敗と大きく負け越している相手。 また、ジェフの選手たちの動きは決して良くなかった。 3日前に札幌と激戦を演じ、札幌から千葉へ移動し、コンディションが良いわけがない。 それでも、勝利を呼んだのは、鬼気迫る表情で気持ちの入ったプレーを見せた選手のファイトとサポーターの大声援。 「フクアリ劇場」と呼ぶに相応しいゲームは、BSでテレビ放映されたこともあり、多くのサッカーファンにインパクトを与えた。 選手たちは、堅守速攻という新しいスタイルで躍動を見せている。 サポーターはシンプルな横断幕と「WIN BY ALL!」コールで選手を後押ししている。 11試合勝ち点2のチームが、アレックス・ミラーというリバプールのコーチだった監督の就任から変わった。 白熱した試合は、小川佳純のミドルシュートで先制点こそ献上したものの、ジェフはそれを2分で跳ね返した。 この日の主役はジェフの両翼だった。 まずは後半2分。 相手陣地内でミシェウ、工藤浩平、巻と中央で細かく回すと、巻から右サイドをオーバーラップしてきた早川知伸へボールを繋ぐ。 フリーの早川が右足のクロスボールを谷澤達也にピンポイントで合わせると、谷澤のヘディングシュートが日本代表守護神である楢崎正剛の股の間を通ってそのままゴールの判定。 サポーターは喜びを一旦は爆発させるが、すぐに応援歌を再開し、逆転ゴールのために選手を煽り続ける。 やはりそれに応える選手たち。 名古屋が自陣でボール回しするところを、レイナウドとミシェウの二人が猛然とプレスをかけ、レイナウドのタックルのこぼれ球をミシェウが拾うと、上がって来た下村東美に預け、下村から谷澤へスルーパス。 谷澤のシュートは楢崎に足で弾かれるものの、こぼれ球に深井がつめて逆転。 深井はゴールした勢いそのままにゴール裏へと走り、ミシェウとレイナウドからの祝福を受け、下村はガッツポーズのままベンチへ走り、やはりガッツボーズのミラーに抱きついた。 谷澤達也と深井正樹というジェフのサイドハーフ二人によるゴールで08シーズン初となる逆転勝利。 逆転こそたった2分間の出来事だったが、それ以上にその後の時間帯を守りきった守備力が際立ったゲームでもあった。 セカンドラインから早いプレスで相手を2人以上で囲み、ゴール前には4人のDFと絶好調の岡本昌弘がいる。 そして、それを後押しするサポーターの声は、終了間際にCKのピンチが続いても、「この声があれば絶対に守りきれる」とチーム関係者が語るほどの迫力だった。 かつては人が少ない、声が小さいと呼ばれ、自分たちクラブのキャプテンから「アウェーのようだった」と言われた頃の面影は、この日のサポーターにはない。 「フクアリ劇場」と呼ばれる最高の空間が、そこにはあった。 ホームで2試合連続となるヒーローインタビューを受けた深井は、他の選手たちから遅れて場内一周する際に、名古屋サポーターに挨拶をし、名古屋サポーターはそれに拍手で応えていた。 そのままジェフ側のスタンドへ走る深井に、今度はジェフサポーターからの万雷の拍手が巻き起こった。 18節終了時点で、17位札幌と勝ち点6差、16位横浜FMと8差、残留圏内の大宮、清水に12差あったジェフだが、ついにこの勝利で自動降格圏を脱出し、残留圏内のマリノス、神戸、ヴェルディとの勝ち点差も4と縮まっていた。 アレックス・ミラー 「うちとしてはまだJ2降格の危機にあると思う。ここで、今のところ数試合は勝点をしっかり取れているが、残り試合はひとけたになっている。ここでもううちは隠れる場所がないし、しっかりと戦っていかないといけない。選手は非常に一生懸命やってくれているし、クラブとしても残留したいという気持ちは非常に強いものだと思う」 「就任した時に選手に言ったが、まずはJ1に残留するということは小さい成功だと自分では思っているし、自分としてはタイトルにチャレンジできるようになることがしっかりできるようになることが成功だと思う。やはり重要なことはチームのことだし、選手はいいレベルまできてくれていると思う」 青木良太 「ケガは大丈夫だと思います。最初はやれると思ったけれど、監督からも“無理なら言え”といわれていたし、ベストな状態ではないので交代した。早川さんがうまくやってくれて、まさにWIN BY ALL だと思う。この勝ち点3は大きい。次もしっかりと戦えるよう準備します」 ストイコビッチ 「(深井は)スタメンとしてしっかりとプレーしてジェフさんを降格から救うために助けている。彼のプレーは良かったですし、クオリティの高い選手です」
■2008年9月27日 次は中4日で京都へ移動。 ターンオーバーで、前節のヒーローである谷澤達也と深井正樹を温存。 下村東美をアンカーに置き、戸田和幸と工藤浩平のボランチ、ミシェウをトップ下に配置し、新居辰基と巻誠一郎のツートップで京都サンガ挑んだ。 共に守備的な戦いを進める中、67分。 下村からパスを受けた工藤がドリブルで中央を進み、ハーフェーラインを越えたところで坂本に預ける。 坂本はすぐに前線の巻に当てようとするが、水本裕貴に読まれる。 しかし、水本の中途半端なクリアをコースを読んだ工藤がカットすると、ボールは大きく浮いて巻の頭上に。 巻は競らない水本を尻目にバックヘッドで工藤に繋ぎ、ワントラップした工藤が角度のないところから右足で決めた。 堅くゲームを進めた加藤監督にとっては、事故のようなゴールだったが、その一点をさらに堅く守りぬいたジェフが4連勝を達成。 西京極にも「WIN BY ALL!」コールが鳴り響いた。 アレックス・ミラー 「試合の内容に関しては最近できていたウチのレベルには達していなかったと思います。やはり、前にも申しましたが六日間で3試合続いたということで選手が少し疲れていた点があったと思います。しかしながら選手の気迫、やる気というのは非常にあって、非常にそれを全て出し切ってくれたと思います」
■2008年10月5日 17位から14位まで勝ち点1刻みの順位表。 16位のジェフは、この試合に勝てば残留が見えてくる。 2週間の中断前最後の試合はここまで9試合負けなしの昨年のアジア王者、浦和レッズとの一戦。 試合前に柵を移動し、自分たちの応援エリアを拡大する浦和サポーターにジェフサポーターからブーイングが飛んだが、選手入場の頃にはサポーターの気持ちも切り替わっていた。 初めて真っ向から浦和サポーターと応援合戦が出来るまでに成長したサポーターの期待に選手はこの日もすぐに応えた。 開始わずか20秒。 ハーフェーライン付近の左サイドで相手選手を3人で囲み、ボールを奪うと、谷澤、ミシェウ、谷澤とスピーディーなカウンターで攻め込み、谷澤のグラウンダーのボールにニアへ走り込んだ深井が流し込んで先制点。 堅守速攻。スピードのあるセカンドラインのカウンターが狙い通りに決まった新しいジェフの得点パターンだった。 しかし、個の力で勝る浦和が、闘莉王が前線に加わるとジェフはラインを下げ、相手の攻撃に受身となり、前回の対戦と同様に闘莉王にゴールを許す。 それでも「相手を恐れるな」というミラーの指示のもと、粘り強い守りと鋭いカウンターで、ポストにはじかれた巻のヘディングなど、ジェフは組織で浦和に対抗する。 ハーフタイム。 アレックス・ミラーは「ゲームの入りは素晴らしかった。だが、守りに入るな。今日は私たちの日だ。相手より強いメンタルをみせろ。一人ひとりが前半よりいいプレーをみせろ」と選手を送り出す。 11試合勝利なしの選手たちは、これまで見ることが出来なかった自信を持ったプレーを見せ、11試合勝利なしの頃も4連勝中の浦和戦も変わらぬサポーターが彼らを後押しすることで、「フクアリ劇場」が完成する。 後半12分。 ゴールキックの跳ね返りをミシェウがうまく体を入れて、後ろ向きでボールをキープ。 チェイシングをかけるポンテを右足でのボール移動でかわし、工藤に預け、すぐにリターンを受ける。 猛然と左サイドから、センターへカットインする深井にボールを入れると、深井は右足でボールを受け、左足の裏でターンをし、阿部勇樹をかわし、坪井慶介のタックルを受けながらも、投げ出された両足の間を抜いて左足でゴール右隅へ蹴り込んだ。 勝ち越しゴールを決めた深井は、ゴールネットから跳ね返ったボールをもう一度ゴールへ投げ入れながら、やはりゴール裏へ駆ける。 看板を飛び越え、左胸のエンブレムを叩き、何度もサポーターを鼓舞する。 さらに後半21分。 自陣でボールを持つ坪井からボールを巻が自慢のプレスでボールを奪取すると、二度のフェイクで時間を稼ぎ、ミシェウにボールを預ける。 ボールを持ったミシェウは横移動でGKの位置を半歩ずらし、寄せてくる闘莉王の股の間を通すグラウンダーのシュートでゴール右隅に流し込んだ。 Jリーグ初ゴールの後は、やはりお祭り騒ぎのゴール裏へ走り、投げキッスのミシェウ。 フクアリ劇場のボルテージは最高潮だった。 試合は後半41分にエジミウソンのゴールがあったものの、選手もサポーターも集中して守りきって、ついに5連勝を達成。 アレックス・ミラーはこれで就任から9勝4分4敗。 順位を1、2節を除けば最高となる14位に上げたこともあり、いよいよ残留争いを一足飛びで中位争いへと突入することを、多くの人間が予想した。 試合後、下村、谷澤、青木良太、ミシェウと主役たちが観客に勝利のパフォーマンス。 喜びに浸るサポーターだが、まだ何も成し得ていないことを、心の隅で彼らは理解していた。 アレックス・ミラー 「今日勝ったといってもまだ、しっかりと自分たちを見つめなければいけないと思いますし、マラソンでいうと自分たちはまだ混戦の集団に入ってきたところだと思っています。しっかりと集団の中で勝って、このマラソンでメダルをとれるようにしたいと思います」 下村東美 「今日はレッズサポーターも多かったが、それに負けない数のジェフサポーターの人数と大声援で、それに支えられた」 坂本將貴 「上位チームのレッズに勝って5連勝できたことはよかったが、まだまだ。ここで気を抜いたらダメなので、ここからが大事」
■2008年10月18日 2週間という期間は、名古屋や浦和を相手にしての5連勝したチームを研究する充分な時間だった。 早いプレスからの素早いカウンターは、新潟の鈴木淳によって攻略された。 山形をポゼッション重視のサッカーでチームを上位に引き上げた国内でもトップクラスの監督は、ジェフにスペースを与えず、相手が得意とするカウンターを狙うことで、ジェフのサッカーを封じた。 浦和戦とまったく同じメンバーで挑んだジェフは、得意の素早いアタックが出来ず、カットインする谷澤と深井も引かれた相手に通用せず、逆に新潟のカウンターに苦しめられた。 新居辰基、レイナウドを投入しても決定機は作れず、岡本の好セーブなどもあり、なんとか引き分けに持ち込んだものの、多くのサポーターがそれが敗戦に等しいものだと理解していた。 チームタイ記録となる6連勝を逃しただけでなく、ホームでの連勝記録もストップし、勝てば順位で逆転出来た新潟との差は変わらず、さらに順位を一つ落として15位。 次節を大宮との残留争いの直接対決というプレッシャーのかかるものにしてしまった。 開幕当初や札幌に敗れた頃を振り返れば、残留争いが出来ていること自体が、奇跡かも知れない。 だが、ジェフが体験する本当の残留争い。クローズアップされた横断幕、「奇跡的な残留」を目指す日々がここから始まった。 巻誠一郎 「連勝は5でストップしてしまったが、下を向かず、次に向けてしっかりと戦っていきたい」 池田昇平 「残り6試合のうちの1試合。最終節が終わったときに残留していることが大事。次に向けてまた頑張ります」
■2008年10月26日 10月限りで終了予定だった「今こそWIN BY ALL!」キャンペーンの継続が発表され、アウェーのNACK5スタジアム大宮には、アウェーゴール裏を埋めるほどの多くのサポーターが駆けつけた。 勝ち点32の大宮と勝ち点34のジェフ。 勝利すれば、有利な立場で残留争いを戦えるものの、敗れるようなことがあれば残留自体が一気に苦しくなる。 試合はゴール前を固めるジェフに対して、大宮が攻め込む形が多かったが、谷澤の個人技などでジェフも応戦。 前半19分。 高い位置でボールを奪った深井が、鋭い切り返しで相手をかわし、グラウンダーでマイナスのボールを中央に送ると、谷澤が狙い澄ましたシュートでゴール右隅へ流し込んだ。 先制ゴールで、あとはいつものアウェーのように守り切るだけだった。 しかし、前半35分。 右へ左へと何度も揺さぶられてずれたマークの隙を付いてニアに走り込んだセンターハーフの小林大悟が内田智也のクロスに左足ボレーで合わせられ、失点。 そして、後半2分。 離れた位置にいたボスナーがファウルを犯したという不可解な判定でPKを与え、藤本主税に逆転ゴールを許す。 ジェフはレイナウド、根本、巻と攻撃的なカードを切って、同点ゴールを狙うも、例年終盤5試合に強さを発揮する大宮の守備陣に最後まで守り切られ、大切な一戦を落とすこととなった。 ジェフは大宮と入れ替わりで順位をさらに一つ落とし、16位。 再び降格圏内へ。 それでも、どんな時でも選手の先頭に立って誘導する坂本將貴が、選手たちに前を向かせる。 これで終わりじゃない。 サポーターは何度も繰り返した敗戦後の千葉コールを試合中と変わらぬ声で行い、坂本將貴はゴール裏、バックスタンドのサポーターたちに対して深々と頭を下げた。 下村東美 「残り4試合、多く勝ったチームが残留できる。まだ終わったわけではない。しっかりと勝ちたい」
■2008年11月5日 天皇杯4回戦。 清水エスパルスに、ジェフはロスタイムの失点で破れた。 3年連続での初戦敗退となり、さらにサッカー協会の犬飼会長から名指しでベストメンバー違反だと批判されたジェフであったが、収穫もあった。 それが、ジェフでは2年ぶりの出場となった櫛野亮だった。 名古屋戦では、「(控えの)自分が出るということは、チーム状況が良くないということになる。今季はこのまま控えでもいいから、とにかく残留への力になりたい。ケガでチームにも迷惑かけたんで」と語っていた櫛野であったが、ミラー政権初の試合出場で、ジェフサポーターの多くが理解している高い能力の片鱗を見せ、ミラーを満足させるに至った。 アレックス・ミラー 「(櫛野は)非常にいいパフォーマンスを出してくれたと思う。ケガで今シーズンは長い間戦列を離れていたが、ここ2カ月間で試合に必要なレベルに達しようと必死にやっていた。彼は自分がいいゴールキーパーだということを証明してくれた」 櫛野亮 「楽しかったです。うまくリズムに乗れるか心配だったが、うまいこと試合に入ることができた。自分のプレーは見せることができたと思う。自分もいるというのは監督、コーチ、みんな、サポーターの人たちにアピールできたとは思うが、いま、僕に代わるタイミングでもないと思っている。とにかく、しっかりとチームをサポートしていきたい」 プロであれば、当然試合に出場したい。 自分の年収にも、サッカー人生にも関わることだけに、それは当然のこと。 それでも、櫛野は、個よりもチームの和に重きを置いた。 サポーターや選手、スタッフだけではない。 控えの選手たちもまた、一つになって戦っていた。
■2009年11月9日 それでも、サッカーは相手がいるスポーツ。 九石ドームに乗り込んだジェフであったが、リーグ最少失点を誇る大分の守備を崩すことは出来なかった。 堅守と速攻。二つの同じ武器を隠し持つシャムスカとアレックス・ミラーの名将対決は、互いにセーフティな展開で納得のスコアレスドロー。 ジェフは深井正樹を鈴木慎吾に封じられたことにより、攻め手を失った。 フクアリのパブリック・ビューイングに多くのサポーターが集まったことを知り、最大限のサポートをした大分に集まった過去最多のジェフサポーターの中には、試合終了後に涙する者もいた。 選手に不満があるわけではない。彼らは最大限の力でナビスコカップ王者をアウェーで無失点に抑えた。 結果に不満があるわけではない。シュート数はジェフの5本に対して大分は14本。内容よりも良い結果と言える。 それよりも、ジェフサポーターには不安があった。 他会場では神戸、京都、大宮、柏、磐田が勝利し、新潟も鹿島と引き分けていた。 混戦のJリーグ。 毎節のように下位チームが上位チームを下し、日々残留ラインが高くなる。 残留争いは数年前に味わったが、「J2」という未知の環境に陥ることが怖かった。 サポーターの気持ちが伝わったのかどうか、選手たちもまたプレッシャーを感じ、以後の試合では動きが重くなっていく。 巻誠一郎は後に語った。 「眠れない日々が続いた」と。
■2008年11月23日 2週間の中断期間は、サポーターも選手も苦悩する日々だった。 クラブは「今こそWIN BY ALL!」決起集会を開くなど、ネガティブな雰囲気を吹き飛ばす努力こそしたが、5連勝中、「フクアリ劇場」となった舞台で繰り広げられたのは、まるでクゼ時代のマリノス戦のリプレイだった。 0-3の完敗。 前半こそ激しいプレスでマリノスの攻撃を封じたものの、後半に入ると堅守と呼ばれた守備はたった8分間の間に3失点を許した。 速く鋭いカウンターは動きの硬い選手たちのイージーなパスミスで自ら封じてしまった。 一部のサポーターからはアマルの新居起用法と同じように、ミラーのミシェウ起用法への不満が上がった。 西部謙司は自身の連載で、「負けたくない、リスクを冒したくないという気持ちが強く、縦に早く、走って競り合ってという展開が続いていた。アイデアがなかった。“ファイトボール”としては感動的だったが、フットボールとしては技術とアイデアを欠いていた。それを欠いたらサッカーの良いプレーではない」と現状を指摘した。 それでも、収穫もあった。 選手たちは皆必死の表情でプレーをしており、これまで活かし切れていなかったレイナウドのサイドハーフ起用の目処が立った。 一昨年の最終節、シーズン終了セレモニーが始まっても歓喜の音頭を続け、後に騒動となったマリノスサポーターがこの日もユニフォームプレゼントイベントまで歓喜の音頭を続けていることを気に止めず、選手たちに対して胸のエンブレムを叩き、残留への気持ちを伝えていた。 彼らは、試合中も3点差のロスタイムまで全力で選手を応援していた。 他会場では、東京V、新潟、大宮、磐田、柏がそろって引き分けて勝ち点1を上積み。 残り2節。ジェフの敗戦と東京Vと磐田の引き分け以上で、例え1勝1分であっても、東京Vと磐田が1勝さえすれば、ジェフのJ2自動降格が決定することとなった。 96-97シーズンに就任時19試合勝ち点10のコベントリーシティフットボールクラブで、残り19試合で32ポイントを獲得したミラーは、ジェフ就任後19試合で既に32ポイントを獲得していた。 選手たちは、341分間ノーゴールで、守備陣はサイドからの攻撃に対する脆さを見せていた。 何よりも、選手たちは一様に動きが硬かった。 ミラーも、選手も、サポーターも未知の領域への足を踏み出そうとしていた。 それは、文字通り「がけっぷち」だった。 それでも、自分たちを、選手たちを、ジェフをサポーターは信じていた。 清水への後援会バスは10台以上、電車や車を含めて、多くのサポーターが日本平入りを決行する。 もちろん、目撃したいのは「史上初のJ2降格」ではない。 ジェフサポーターは、ジェフサポーターだけは「奇跡」の存在を最後まで信じていた。 残留に必要な最後のピースは、サポーターの信じる気持ちだった。 だが、残留に必要な全てのピースが揃ったことに、当時は誰も気付いてはいなかった。 下村東美 「細かい状況というより、戦う気持ちを出し切っているかどうか。残り2戦はそこに尽きる。気持ちを切り替えて、残り2試合に臨みたい」 再びの小休止を迎えた「フクアリ劇場」は、最大のフィナーレを迎えるべく、静かにその時を待っていた。
続きます。 明日、最終回を迎える予定です。 本日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。 このドキュメントをここまで全部読んでいる方、レアキャラですよ! 株式会社正電社様、アクセスケーブル株式会社様、株式会社成和技研様と同じくらい、いえ、それ以上に感謝を。 サッカー ブログランキング にほんブログ村 ジェフユナイテッド千葉
posted by marcos2008 |13:36 |
ドキュメント(2008) |
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2008ドキュメント フクアリの奇跡 その8
コメント投稿者ID :
浦和戦後の中断が相手クラブに研究させる余裕を生んでしまいそこから苦しかった期間でした。
大分での1ポイントが最後にプラスだったんですよね。
最終話楽しみにしてます。
もちろん全部見させてもらってます。
(ってレアな人かw
posted by エルフシュリット | 2009-03-04 19:09
2008ドキュメント フクアリの奇跡 その8
コメント投稿者ID :
一応レアキャラの一人です(笑)
昨年は色々と忙しくて結局スタジアムには行けずじまいで、テレビで応援していました。
レッズ戦は強烈でしたね。
深井の開始直後のゴールとCM入った後すぐのゴールは強烈でした。
5連勝した時は大丈夫だと思っていたんですが、あそこからこんなに勝てない試合が続くとは思いませんでした・・・
次回で最終回ですか。
がんばって完成させてください。
posted by carpjefboy | 2009-03-04 19:11
2008ドキュメント フクアリの奇跡 その8
コメント投稿者ID :
私もレアキャラです。
北京で読ませていただいております。
普通に面白いと思いますよ。頑張って下さい。
でも、西部さんの今年の展望コラム出ちゃいましたね。
posted by 通りすがり | 2009-03-04 19:59
2008ドキュメント フクアリの奇跡 その8
コメント投稿者ID :
もちろん、全部拝見させていただいてますとも
余談ですが、さっきユニフォームが届きました
これだけでも、何だか幸せです
posted by 市原姉崎 | 2009-03-04 20:27
2008ドキュメント フクアリの奇跡 その8
コメント投稿者ID :
>皆様
レアキャラが4人も登場し、「これをやっつければ経験値がいっぱい入る・・・」と震えています。冗談です。
>エルフシュリットさん
お世話になっております。
浦和戦後、本当に辛かったですね。
個人的には「絶対に途中じゃ泣かないぞ」という目標を持って過ごしていました。
最終節の谷澤選手のゴールで達成出来ませんでしたが。
明日、最終話です。実はもう書いてあるのですが、質はともかく最初に自分が描いていた形には出来ました。
>carpjefboyさん
お世話になっております。
関係ない話なんですが、今年の広島カープは面白そうですね。
私は前田さん個人のファンなのですが、前田健太投手、横山竜士投手、永川勝浩投手と先発・中継ぎ・抑えに良い投手が揃っていて新戦力も昨年から所属する外国人選手も期待出来そうです。
すいません、それだけ言いたかったです。
レッズ戦は強烈でした。私は現地観戦した翌日くらいに録画していたTBSを見たのですが、深井選手がゴールを決めたいた時間に高田純次さんが映っていて笑いました。
励ましのお言葉、ありがとうございました。
posted by マルコス | 2009-03-05 00:39
2008ドキュメント フクアリの奇跡 その8
コメント投稿者ID :
私もある意味レッズ戦は強烈です。
3点目のミシェウのシュートの前。
パスを出し左サイドに開いた巻を田中がガン無視し、そのままミシェウに阿部と2人がかりで壁をつくったものの、見事に股間を抜かれて決められた事です。
瞬間、色々考えさせられました。
posted by ウィマン | 2009-03-05 00:53
2008ドキュメント フクアリの奇跡 その8
コメント投稿者ID :
遅ればせながら
レアキャラ5匹目があらわれました。
いよいよ最終話ですね。楽しみにしています。
最終節は味スタにいたのですが、PKゲットの瞬間に家族から「千葉ありえねー」の電話が届いたのは強烈でした。
それでは狩られる前に逃げ出します。
posted by モトヒロ | 2009-03-05 12:05
2008ドキュメント フクアリの奇跡 その8
コメント投稿者ID :
>通りすがりさん
コメントありがとうございます。
おお、北京からアクセスがあるなんて驚きです。
普通に面白いというお言葉、本当に嬉しいです。
西部さんの今年の展望コラム出ちゃいましたね(笑)
>市原姉崎さん
お世話になっております。
ユニフォーム、私も先日届きました。
おっしゃる通り、なんだか幸せな気持ちになりますね。
私は生え抜きの10番を背負うことにしたので、ますます心を引き締めたいところです。
ドキュメント書くソースにしたかったDVDはまだ届きません・・・。
>ウィマンさん
コメントありがとうございます。
ミシェウ選手のシーン、私はそこまで見ていませんでした。
ウィマンさんのコメントを拝見させて頂いてから、改めて見てみると、確かにその通りでした。
ワンプレーワンプレーにも色々な要素が詰まっていることに驚きました。
>モトヒロさん
お世話になっております。
5匹もレアキャラがいれば、この「どくばり」で・・・。
いつの間にやら2か月もの長期連載になりましたが、最後まで書けたことが嬉しいです。
家族からの「千葉ありえねー」の電話、面白いですね。
確かにありえないことが起こってました。
posted by マルコス | 2009-03-05 23:40

2008年の振り返りとして、ドキュメントの連載を開始しました。
今回が8話目となります。
開幕直前はプレビューを書きたいので、ちょっと焦ってます。
「ここまで来たからにはこっちも意地だ!」という方は、続きを読む、からどうぞ。
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