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J1リーグ各クラブの経営状況を考える【2013年度Jクラブ経営情報】

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2013年度Jクラブ経営情報開示
経営の専門家でもなく、触れるのも今更感が強いですが、J1クラブの経営状況について、私なりの意見を述べてみたいと思います。

J1に限定しており、贔屓クラブもないので好き勝手書きますので、訂正すべき点があればコメントいただければと思います。
また、こういうものは単年で見るものでもないですが、あまり難しいことは考えずに進めていきます。

クラブライセンス制度も導入されましたし、せっかくのファンなら「勝てば良い」ではなくて経営にも目を向けていきましょう。



■ベガルタ仙台

女子チームの運営経費に5,600万円。浦和や千葉に次ぐ数字で、この影響で営業利益は赤字だが、心意気は素晴らしい。

企業のキャッシュフローを表す流動比率(350%)はリーグトップ。FC東京や浦和、川崎といった健全経営クラブを上回っている。

問題は入場料収入(リーグ5位)に比べて、広告収入が少ない(リーグ14位)こと。

これは親会社を持たないためで、株式の約半数を宮城県と仙台市が保有している、ホームタウンが支えるクラブである。
■鹿島アントラーズ

ほぼ全ての数字で平均値を上回る健全経営クラブ。純資産15.9億円はリーグトップ。

自己資本比率(74%)もリーグトップ。他人資本に依存しない、借金が少ない。

流動比率もしっかり200%を超えており、「2対1の原則」をクリア。短期的な資金繰りに余裕がある。

震災の影響もあったが、流石の一言。優良新人が続々と鹿島を選ぶのも、経営的な強みがあるからでしょうか。
■浦和レッズ

2位と2倍以上差を付ける、入場料収入(21億円)だけでチーム人件費がまかなえる、ビッグクラブ候補。

営業利益対入場料収入も4割近く、入場料単価も高い(無料券を必要としない)。

選手の給料が高い印象があるが、総支出対人件費率はリーグでもっとも低い35%(人件費自体はリーグ3位の20億円)。

「親会社からの自立」を果たした良き見本として、今後も成長を続けて欲しい。
■大宮アルディージャ

入場料収入(3.4億円)に対して、広告料収入(22.9億円)が高すぎる。

仙台とは逆で、親会社の偉大さが感じられるが、甘やかせているようにも感じられる。

親会社依存を否定する気はないが、この傾向がここ5年くらいずっと続いているのは気がかり。

固定負債(社債・長期借入金など)や他人資本依存を示す固定比率(8290%)がリーグワースト。好ましい状況ではない。
■柏レイソル

人件費が高すぎる。総支出の62%を占めており、リーグ平均を大きく上回っている。

スタジアムを保有した影響からか、固定資産がリーグトップ。一方で流動資産は少なく、モノはあるが、カネはない状況。

流動比率(14%)と固定長期適合比率(204%)がリーグワーストと企業の健全性に問題が生じている。

監督交代、高額外国人放出で体質改善へ。スタジアムの二次利用も検討したい。
■FC東京

健全経営クラブ。柏と違って流動比率が高く、モノは持たずにカネを持ち、負債も少ない。

固定長期適合率も理想的で、支払能力はまったく問題がないと言える。

広告料と入場料の収入バランスも良く、「アカデミー」でも2億近い営業利益。

自クラブをブランド化し、月謝などで「アカデミー」で稼ぐという方法は今後のビジネスモデルになるのでは。
■川崎フロンターレ

9年連続黒字。収益に合わせて、営業費や人件費をしっかり抑えているのも好印象。

富士通や各スポンサーとの関係も良好そうで、収益は広告料収入がメイン。

現在は等々力陸上競技場が改良中ということで、これから他の収益も増えそう。
■横浜F・マリノス

光り輝く特別利益の10億円。恐るべしカルロス・ゴーン。

クラブライセンス制度の財務基準、3期連続の当期純損失計上を回避。

それでもまだ債務超過だが、親会社からさらなる補填が予定されている。

マンチェスター・シティの持株会社であるシティ・フットボール・グループが少数株主となり、チームや経営の強化に乗り出すことに。
■湘南ベルマーレ

独立採算制。広告料収入は名古屋と比べると20億円の差。

大分もそうだが、さすがに人件費5億円代で残留は厳しい。

一方でこの規模のクラブが人件費を使いすぎると会計がショートする、スポーツビジネスのジレンマ。

圧倒的な成績でJ2を走り抜けたチームが、今度こそ予算の壁を打ち破れるか。
■ヴァンフォーレ甲府

かつて債務超過を経験。経営危機問題を乗り越え、なんとかチーム存続を決めると、ここ9年連続黒字決算。

経営の大切さを地元もサポーターも理解している。最悪の事態を糧にしたプロヴィンチアの雄。

運営法人の筆頭株主はマスコミ系の山日YBSグループだが、赤字補填などは行わないそうです。
■アルビレックス新潟

総合型地域スポーツクラブ。資本は新潟県内を中心とした171の企業・団体から出資を受ける。

広告料収入や人件費は柏の半分以下だが、入場料収入は上回る。

営業利益は赤字だが、後援会によるリーグトップの営業外収益(約1.5億円)で黒字化。
■清水エスパルス

Jリーグ開幕時は母体なし、親会社なしの市民クラブ。地域密着の良き見本だったが、現在は鈴与グループ。

ただ、広告料収入は下から数えた方が早い。過去に経営危機を経験。

ユングベリらスター放出もあって、入場料収入が前年から1億円減で赤字に。

入場料収入に比べて「販売費および一般管理費」がやたら高いけれど、これなぁに。
■ジュビロ磐田

主なスポンサーはヤマハ発動機。人件費はリーグ10位だが、この年に降格。

入場料収入とJリーグ配分金を足した額よりも、「その他収入」が多い。

これはグッズや自販機、賞金よりも移籍金で利益をあげていると思われる。

ジュビロがそうだとは言わないが、育てて売るという経営モデルは一般的。
■名古屋グランパス

3期連続赤字。広告料収入は最下位の湘南と20億円もの差を付けてリーグトップ。

しかし、広告料収入のほとんどがリーグトップのチーム人件費(23.4億円)に消えている。

そのわりに入場料収入が増えておらず、良くない状況。クラブライセンスの問題もあり、2014年の数字が非常に気になる。
■セレッソ大阪

これが「セレ女」効果か、入場料収入がほぼ倍増。

トップチーム運営経費が今年もリーグトップ。施設改修や移転の影響か。

セレッソは多額の移籍金が発生した際、つまり「その他収入」が多い時に黒字という印象だったが、最近は良い経営状況。
■サンフレッチェ広島

健全経営。人件費を抑えながら勝てている。流動比率も高く、経営が安定している。良いサイクルにいる。

唯一気になるのはアカデミーの赤字運営が続いていること。優秀な選手を輩出するためといえばそうなのだが。

13億円もの純利益を出すなど、自己資本利益率も高く、効率的に利益を獲得出来ている状態。
■サガン鳥栖

債務超過。2012年は黒字も、再び赤字化。

営業収益は2.5億円増も営業費用が7億円近く増えており、リーグワーストとなる3億円もの赤字(2期ぶり)に繋がっている。

3億円近い選手の給料増加が原因と考えられるが、勝つほどに費用が増えるスポーツビジネスの難しさを感じる。

しかしながら、J1優勝・定着を目指す上で人件費増は避けられず、後はどれだけ収益を伸ばしていくか。
■大分トリニータ

債務超過。昨年は3億円、今年も2.2億円の黒字を計上。

凄まじい利益率で経営は回復の兆し。

ただ、湘南(5.3億円)もそうだが、やはりこの人件費(5.5億円)では残留は難しい。

この経営規模、利益で勝つことが出来れば理想的ではあるのだが。


本日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。

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J1リーグ各クラブの経営状況を考える【2013年度Jクラブ経営情報】

コメントありがとうございます。

1、指標について
>財務分析はある指標に着目してもあまり意味がありません。
>結局、全体のバランスをみるということになってしまいます。

同感です。そのため、全球団に対して資本利益率や総資本事業利益率も計算した上で書いております。

その場合、大分が飛びぬけて良い数字になりますし、広島についてもその点の評価を記入しております。


2、複数年契約について

おっしゃる内容について、理解しているつもりです。理解出来ていないように取られる文言があれば、取り下げます。

他方で、例えばメジャーリーグでは長期契約が「アホウドリ化」している例もあるので、全面的に長期契約を肯定は出来ません。

例えば、ジェフは監督に対する長期契約で何度も痛い目を見ています。


3、自治体の関与について

自治体の関与についてはおそらく持論になるかと思いますので、それを肯定も否定もできません。

私の持論として一つ言えることは、「自治体から強い援助を受けていないクラブ」はスポンサーする価値も薄いということです。

親会社があることが立派かはわかりませんが、母体を持たないクラブであっても、自治体からの援助により、地元スポンサーが集まる、というケースは今後地方クラブに求められる姿かと。

Jリーグの理念を是とするかにもよるかと思いますが。

J1リーグ各クラブの経営状況を考える【2013年度Jクラブ経営情報】

拝読致しました。
興味深く、思わずIDを取得し、コメントさせて頂きます。

1、指標について
財務分析はある指標に着目してもあまり意味がありません。
結局、全体のバランスをみるということになってしまいます。
なお、執筆者様がみておられるのは主にBSで、安全性(倒産しないかどうか)ですので、収益性分析はBSとPLから資本利益率とか総資本事業利益率になりますが、それではロマンがないなあと思っています。

2、複数年契約について
複数年契約を結ぶと、BSに流動負債に未払い費用または固定負債に長期未払い費用が計上すると思われ、財務的にはマイナスです。
しかし、長期契約は選手の長期的な育成や移籍金の発生など、クラブの中長期的な発展に重要です。

3、自治体の関与について
各自治体から資本や補助金を受けていたら、マイナスしなければおかしいです。
また、割安で自治体のスタジアムなどを使用していた場合の、当該自治体の機会損失も同様です。

これは、補助金もらっている農業と同じで、本来は恥ずべきことです。
独立採算が最も望ましいのはいうまでも無いことですが、親会社があるクラブと、自治体から援助してもらっているクラブでは、前者の方が遥かに立派です。

以上ですが、ご不快でしたら申し訳ありません。
ただし、執筆者様の心意気に、思わずお答えしたくなった次第です。

J1リーグ各クラブの経営状況を考える【2013年度Jクラブ経営情報】

コメントありがとうございます。

1.流動比率を多用している

全球団のを比較する簡易の経営分析として、流動比率は全球団に対して、計算しております。

なぜそれを使ったかと言うと、クラブごとに資本金に大きな差があって、資本対比率での比較が難しかったためです(一応計算はしましたが)。

流動比率は非常に使い勝手が良く、支払能力について単純に比較する際には有効でした。

ただし、指標としては必ずしも万能でないことは理解しております。

他にも複数の比率を算出していますが、どれも単一での経営判断は難しいです。

逆に「経営が優良かどうかを判断する」ための指標があればご教授ください。


2.人件費と販管費(販売費および一般管理費)を分けている

リンク先をご確認いただければわかるかと思いますが、これはJリーグの資料の方で分けられています。私の判断ではありません。


3.FC東京のアカデミー収益モデルについて

ごめんなさい、この部分おっしゃる意味がよくわかっておりません。

各クラブが「サッカー教室」という形で月謝を取って収益をあげるという意味であれば同意見です。

ユース(U-18)レベルで月謝による収益は求めません。

例えばJ3の盛岡は県内6箇所で幼稚園、小学生向けのスクールを開催しています。

そこで月謝を貰って収益を上げながら、トップはもちろんユース世代を強化することでスクールとしての価値を上げる。

それにより、スクールにさらに人が集まる、ひいてはアカデミーに良い人材が集まるというサイクルになるのではないでしょうか。

J1リーグ各クラブの経営状況を考える【2013年度Jクラブ経営情報】

拝見させていただきました。
気になった点がいくつかあります。
一つ目は流動比率を多用している点です。
確かに経営状況の指標としてあげられるものではありますが、経営が優良かどうかを判断する上ではほとんど判断材料にはなりえません。
二つ目は人件費と販管費(販売費および一般管理費)を分けておられるようですが、人件費も販管費の一部ではなかったでしょうか。

三つ目は、FC東京がスクールの月謝で稼ぐモデルを確立し、それが今後にとって期待できる要因であるとのことですが、それが外部に対するいわゆる「サッカー教室」であればいいと思います。
ですが、ユースのような内部の育成組織となると弊害が大きくなりますし、賛成できかねます。
日本のクラブ運営は海外ほど文化的に根付いていないことや法律の規制面から課題・障壁も多いですが、一番大事なのは各クラブ単独で運営できるようにすることであるように思います。

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