情熱的氷滑芸術

白井健三 の舞台度胸に驚嘆

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 内村航平 選手を10年間追い続けている私にとって,棄権のニュースは大きなショックでした。団体と個人総合の2冠に輝いたリオデジャネイロ五輪後の燃え尽き症候群を乗り越え,王者を守り抜けるかに注目が集まった大会を,戦わずして棄権というのは 内村 選手本人も日本チーム関係者も本当に落胆したことでしょう。

 ただ,内村 選手なき体操世界選手権男子個人総合で,いったい誰が新王者になるのかという点では,実に興味深く観ることができる大会になりました。白井健三 選手は決勝1組に入った時点でもう大健闘と言える状況でしたし,リオデジャネイロ五輪で 内村 選手と超僅差の銀メダルを獲った,本命であるべき ベルニャエフ 選手(ウクライナ)が予選で振るわなかったことから,誰が新王者になるか全く読めない決勝になりました。

 その ベルニャエフ 選手や,最後の鉄棒を残してトップだったにもかかわらずメダルを逃してしまった ベルヤフスキー 選手(ロシア)などは,内村 選手の離脱によって,チャレンジャーの立場から一転,優勝できるかも…という邪念が出てしまったのかな,と感じてしまうような演技でした。この2人や ラルデュエト 選手(キューバ)が優勝なら良かったのになぁ,と個人的には思いましたね。

 そんな中,白井健三 という人は,どれだけの強心臓を持っているのでしょう。内村 選手と一緒に初めての世界選手権の個人総合を戦って経験値を上げる,という思いだったはずですが,内村 選手の棄権によって突然,独りでの戦いを余儀なくされました。にもかかわらず「航平 さんの想いも背負って」と,内村 選手の無念をも自らのエネルギーに取り込み,それが演技の中で見事に表現されていました。最初の床の演技は,もう神がかっている雰囲気がありましたね。初めての世界選手権の個人総合の試合ですから,会場の雰囲気や 内村 選手の分までという気負いに押しつぶされてもおかしくない状況なのに,白井 選手はとても躍動しているように見えました。特に,得意とは言えない最後の鉄棒で,メダル争い佳境の中ほぼ14点を出せたのは,内村 選手の想いを真正面から受け止めたことで,内村 選手がちょっと乗り移ったのかもしれない,そんなふうに思える素晴らしい演技でした。

 優勝から5位までが1点差の中にいましたので,欲を言えば,例えば平行棒でぐらつきがなければ,あるいは鉄棒で着地が決まっていれば,優勝にも手が届きました。獲れるときに獲っておくべき,という意見はあるでしょうが,優勝はできなくとも表彰台に乗れたのですから,戦前の予想から考えれば素晴らしい結果だったと思います。内村 選手が出場し,他の選手も普通の状態なら,表彰台には届かなかったわけで,白井 選手もその点を誰よりも痛感し,今後の課題を見据えていることでしょう。

 とはいえ,個人総合初出場& 内村 選手不在という状況下で 白井 選手が魅せてくれた演技は,底知れぬポテンシャルを秘めていると強く感じさせてくれるものだったと思います。銅メダルという結果はもちろん,全ての演技をほぼ13.5点以上というレベルで揃えたことが素晴らしかったですね。この 白井 選手の健闘を目の当たりにした 内村 選手が,今後,白井 選手に負けじと頑張るのか,それとも個人総合の跡継ぎができたことで気持ちを楽にするのか,そのあたりの動向にも注目していきたいと思います。



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