2006年07月16日

「祭り」だからこそ真剣に!

昨日に引き続きオールスターサッカーの話。

15日に開催されたオールスターサッカーだが、内容については大いに不満の残るものとなった。

ここで言う「内容」というのは、真剣さと言い換えてもいいだろう。
敵のいないところでのシザースやら、中盤での無意味なリフティングやら、あれではとてもサッカーの試合を見たと言う感じではなく、悪い意味での「顔見世興行」になってしまう。

もちろん、オールスターという「ハレ」の場においては、選手には「外連味」たっぷりのプレーをして欲しい。
しかし、それは飽くまで真剣勝負というベースへの味付けであって欲しいと思う。

野球の話だが、かつて作家の安部譲二氏が子供の頃、野球場で投球練習中の下手投げの投手に「上から投げらんねーのか!」と野次を飛ばしたそうだ。
するとその投手は、安部少年のほうを向き、にっこり笑い指を一本立て1球だけ上手投げで快速球を投げ込んだという。

こうした外連味のあるプレーは、見ている人間に夢を与える。
しかし、昨日のサッカーオールスターで見せた数々のプレーは、そのようなものではなかった。

ましてやワールドカップ直後のオールスターだ。
一部の「中田(若しくはプラス数名)だけが勝利を渇望していた」などというふざけた意見に対するあてつけとしても、真剣に泥臭くプレーして欲しかった。
その上で各人が得意とする技を披露するのであれば、これぞ夢の祭典、ということになるのだろう。

技術的には今より劣っていても、Jリーグ初期のオールスターの方が面白く見れたのは、案外その勝負にかける真剣さに所以しているのかもしれない。

またまた野球の話だが、MLBのオールスターゲームは、勝利したチームの所属するリーグが、その年のワールドシリーズ(全米チャンピオン決定戦)の開幕開催権を持つ。
そのため(それがなくてもかもしれないが)、選手たちは勝負に執念を見せる。

やはりこうした「道楽事」は真剣にやってこそ道楽足りえるはずだ。
もう、昨日みたいな「ワーク」を見せられるのであれば、いっそのことオールスターなんぞ廃止してしまえ、そう思った。

posted by lovesportslove |17:05 | サッカー全般 |
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2006年07月06日

中田引退

中田英寿選手引退の衝撃はまだ続いているようだ。
ハーバードに行ってMBAを取得するとか世界中を1~2年かけて放浪するとか、報道を見ていると引退しても何だか忙しそうだ。

私は中田氏(元選手かな?)に対しては不満が残っている。
イタリアに渡って以降の報道陣に対する態度は、およそプロの態度ではないと思った。

スポーツ新聞がろくに取材もせずに、適当な推量で記事を書き、本質を見ることなく、取材対象者である選手に不愉快な思いをさせることがあるのは、あれだけ大勢の選手が口を揃えるのだから本当なのだろう。
しかし、彼らの報道(と呼ぶほどのものでもないかもしれないが)が、世間にとって、プロスポーツへの入り口であり窓口となっていることは事実だ。
であればこそ、中田氏には、自らの影響力を考えて、彼らとうまく付き合って欲しかった。
彼の本を読む限り、素晴らしい知性の持ち主だとは思う。
であればこそ、拒絶するのではなく、スポーツ報道を変えていく流れを作って欲しかった。

今回のワールドカップに関して、日本代表の4年間の報道の様子を大雑把にまとめていくと以下のようになる。

ジーコ就任。自由なサッカーで日本の新たな可能性切り開く
↓
ジーコ采配ズバリ、ワールドカップに夢つなぐ
↓
ワールドカップ出場!直前にはドイツとも引き分け。日本予選通過は確実
↓
日本惨敗、ジーコ監督失格、戦っていたのは中田と川口だけ!
↓
世界の知将オシム登場。日本再建へ

こうしてみると、改めてスポーツ新聞の節操の無さに呆れるを通り越して、笑いすらおきる。
常に目の前の事象だけを捉え、そこに対する見識も無く、その事象をいかにセンセーショナルな言葉に置き換えるか、という作業だけを繰り返している。
そこにはジャーナリストとしての矜持など微塵も感じ取ることが出来ない。

これに対して最も報道されやすい中田氏が戦って欲しかった、というのが正直な思いだ。
後輩たちがプレーしていくために、少しでも良い環境を作る努力を続けて欲しかった。
そして日本のスポーツ報道が変わったとき、初めてスポーツがエンターテイメントから産業になりうると私は信じている。

中田氏はこれからも様々なメディアで取り上げられるだろう。
おそらく2年後のワールドカップ予選開始時には、独占手記など依頼が殺到するだろう。
それを引き受けるのかどうかは解らないが、影響力のあるうちにこのメディアのレベルの低さに対しての警鐘を鳴らし続けて欲しい。
それが出来る数少ない人だと思う。

そしてもう一つ大事なことは、中田氏自身、望む望まざるとに係わらず、メディアがあったからこそ、今の位置にいるということだ。
メディアが取り上げてくれればこそ、中田氏には様々な価値が生まれ、広告塔としての価値なども持つようになる。
ただサッカーが巧いだけであれば、今のポジションにはいなかっただろう。
だからこそ、中田氏はメディアに対して責任がある。
そういう風にも思う。

posted by lovesportslove |17:20 | サッカー全般 |
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2006年07月05日

気合(ガッツ)とは技術也

ずいぶん更新をサボってしまった。
まぁ、私は元来が3日坊主なので、ちゃんとここに帰ってきて更新しようとしていることで良しとしよう。

中田英寿引退はニュース速報にまでなったらしい。
彼自身の評価とは無関係な部分で、ワールドカップ前に大騒ぎ(バカ騒ぎ?)したテレビ・スポーツ新聞にとっては絶好のタイミングでの引退なのではないだろうか。
「不甲斐ない戦いをした日本チームにあって、唯一人気合を前面に戦い続けたSAMURAIがスパイクを脱ぐ。我々は彼の戦う意思を受け継いでいかねばならない」っていうストーリーに置き換えて、自らのワールドカップ報道最終章とするんだろうと思う。

そこで今日考えて見たいのは、中田が最後まで独りで見せ続けていたといわれる「気合」という代物。

日本のスポーツも、ここ10年位の間に大きく様変わりした。
中でも「精神第一主義」から「現実直視型合理主義」への転換は、大きな変化といえるだろう。
私もかつては体育会的世界に身を置いていたことがあり、その上で思うことだが、一部の人間のストレス発散のための言い訳として「気合」という言葉が使われてしまったために、本来スポーツにおける大きなウエイトを占めるべきテクニック「気合」が、ともすると戦前の精神主義の遺物のようにとらえられてしまっていることは悲しい限りだ。

気合と聞くと、多くの日本人は「夕日の中重いタイヤを腰に縛り、汗でフラフラになりながらも走る」こんな光景を思い出すだろう。

しかし、気合というのはそんなものではない。

毎度のことで恐縮だが、私の応援するヴィッセル神戸には栗原圭介という33歳になるベテラン選手が在籍している。
彼は相手ライン裏へのポジショニングや、前線での早いチェックなど随所にベテランの味を見せてくれている(ゴール前での精度はちと低いが・・・)。
しかし、栗原の最高に素晴らしいのは「気合」だ。
彼は途中交代ではいることも少なくないが、ピッチに降りた最初の段階から、ものすごい気合を発揮している。そして途中交代にもかかわらず、ゲームの流れにきっちりと入り込んでいるのだ。

逆に若い選手で、栗原よりは技術では勝っているであろう選手も、交代でピッチに出ても、ゲーム自体がキックオフから数十分かけて、両チームの選手を使いながら作り上げてきたテンションに乗り切れずに、どこかチグハグナプレーに終始してしまうことも珍しくはない。

また、もう一人ヴィッセル神戸の選手を紹介しよう。
エメルソン・トーメ選手。
彼はチェルシーやボルトンといったプレミアリーグで長くプレーしていたセンターバックで、プレミアではその高さを評して「WALL(壁)」と呼ばれていたらしい。
普段、練習場やピッチ外で見かける彼は、非常に気さくで我々ファンの声援にも気軽に応えてくれるナイスガイだ。
しかし、ピッチに入るとものすごい気迫で、相手FWの侵入を潰していく。
文字通り潰していくのだ。
そのハードなプレーには、警告も出され、相手FWとガチでにらみ合いになっている(ように見える)ことも少なくない。
しかし、いつしかその周囲の選手を巻き込んで、スタンドをも巻き込んでいくテクニックはベテランならではのものだ。

このようにガッツを巧く使いこなすベテランは、ここ一番で期待通りの仕事をしてくれることが多い。
ガッツあふれるプレーというのは、歯をむき出しにして走り続けることではないだろう。
陸上の故フローレンス・ジョイナー選手などは、笑顔で100mを世界記録で走り抜けたが、スタート寸前の彼女の周囲は、その気合で空気が薄くなったような錯覚に襲われたという話を聞いたことがある。

ガッツを出してプレー、というと周囲は楽だが、怒鳴っていればガッツがある。下を向いていたらガッツがないなんていう単純な二元論で見るのは止めたほうが良い。
ガッツとは誰にでも仕えるものではなく、それを身につける努力をした人だけが使いこなせるテクニックなのだから。

posted by lovesportslove |16:17 | サッカー全般 |
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