雑感

監督という仕事~ベガルタ仙台監督謝罪に思う

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天皇杯2回戦は各地で「ジャイアントキリング」が起きた。 特にいわきFCがコンサドーレ札幌を敗ったというニュースは、いわきFCの所属カテゴリーがコンサドーレ札幌の6つも下ということで、大きなインパクトを持って受け止められたようだ。 そして今回のテーマであるベガルタ仙台だ。 ベガルタ仙台は筑波大学に敗れた。国内サッカーのトップカテゴリーであるJ1所属チームが、プロを多く排出する名門大学相手とはいえ、学生チーム相手に不覚を取ったというのは褒められた話ではない。ベガルタ仙台を応援していたサポーターにとっては、屈辱的な敗戦であり、何ともいえない気分に襲われたことだろう。 それは容易に想像がつく。なぜなら私が応援しているヴィッセル神戸も、過去、同じ目にあっているからだ。

一昨々年の天皇杯において、関西学院大学相手に完敗した。 その試合には当時エースだったマルキーニョス、現在はヨーロッパでプレーする森岡亮太、韓国代表のチョン・ウヨンなどほぼベストに近いメンバーで臨んだが、呉屋大翔(ガンバ大阪)・小林成豪(ヴィッセル神戸)という両エースを欠く関西学院大学に敗れたのだから、これは言い訳の仕様もない敗戦だった。その試合で私の座席近くには同学のサッカー部員が陣取っていたが、勝利が近づいた辺りからは「ヴィッセルなんて大したことない」とか「ヴィッセルもっと本気でかかってこいや」などの野次が笑い声とともに発せられていたため、殺伐とした気持ちになったものだ。 試合後、ヴィッセルサポーターからは、当時監督を務めていた安達亮氏に向けて辛らつな野次が浴びせられていた。中には罵詈雑言の類もあり、決して気分のいいものではなかったが、それでもその気持ちは理解できた。 クラブを応援するということは、無償で愛を捧げるということでもあるような気がする。 クラブが勝利したとて、サポーターが受け取るものは個人若しくは仲間うちで完結してしまう満足感だ。それでも応援をやめられないというところに、スポーツ観戦の魔力を感じるが、実利的なものを得るわけではないというところに、サポーターが提供しているものは無償の愛としか思えない。 それを提供する以上、仲間うちで好き勝手に選手や監督を批判することには、何の問題も感じない。寧ろストレス発散としての批判は、酒の味を高め、嫌な記憶を苦い思い出に昇華させてくれる行為であるとすら感じる。

しかしだ。 クラブのオフィシャルwebサイトに監督の謝罪動画を掲載するというのは、明らかに間違えている。 監督はその指導力と引き換えにギャラをもらうプロフェッショナルだ。結果が伴わなければ、契約の打ち切りも含めたペナルティが待っている。彼らは身分を保障された会社員ではなく、個人事業主なのだ。 監督が故意に勝利を逃したというのであれば、それは一種の八百長行為であり謝罪も必要かもしれない。しかし勝利を希求した上で結果が伴わなかったのは、対戦相手との彼我の力量差を読み違えた、さらに選手の調子を読み違えたなど、その能力に疑問符がついたとしても、そのこと自体を晒し者のように謝罪させるには値しない。 サポーターの怒りに対する火消しならば、クラブの代表が謝罪すればよい(それですら違和感は残るが)。

今回のベガルタ仙台の行為は、監督というプロフェッショナルを、自分たちの使用人程度にしか思っていないクラブの体質の表れのように思えてならない。それはかつて監督交代を「グループの人事異動だ」と言い切った新聞社の主筆と同根だ。プロフェッショナルを尊重することのできないクラブなど、どんな結果を残そうとも、そこに尊敬の念を抱くことはできない。 どのような意思決定のプロセスを経て、今回の「暴挙」に及んだのかは知る由もないが、それを決断した責任者は自らの不明を恥じるべきだ。 クラブの経営者などいくらでも替わりはいるが、監督や選手といったプロフェッショナルの替わりはそう見つかるものではない。

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