2006年09月06日

素晴らしき哉J2~ヴィッセル神戸対横浜FC

今日は少し前の話になるが、去る2日に行われた横浜FC対ヴィッセル神戸の試合についての話だ。
結果は1対0でヴィッセル神戸が勝利したのだが、正直言って、今シーズンテレビ観戦を含めて自分が見た全てのJリーグの中で断トツに面白い試合だった。

両チームともJ1昇格へ向けてのラストスパートに入ったこともあり、非常に高いモチベーションを維持した90分間だった。
しかし、神戸の側にはバクスター監督一時帰国前最後の試合ということも重なり、少しだけモチベーションが相手を上回ったのがこの1-0というスコアだったのだろう。

高い位置でのプレスから、細かくボールをつなぎながら相手陣内に入っていく神戸としっかりとしたライン構成から、ボールを奪取、すばやくチーム全体が攻撃に切り替わる横浜の駆け引きは、それぞれ相手の良い部分を引き出しつつ、自分達の良い部分をも最大限アピールする試合になっていた。

シーズン前、横浜FCは決して高い評価を得ていたとはいえない。
シーズン当初、上位に位置していたときも「いずれは落ちてくる」と多くの人が思っていた。
しかし、4分の3近くを消化した時点で首位から勝ち点5差の3位に位置している。

横浜のサッカーはDFラインの前に位置するMF山口が心臓部。
その山口がラインを統率しながら、相手の攻撃にはしっかりとマークにつく。
そしてボールを奪った際は、起点となって攻撃の組み立てを行っていた。
前線に位置するFW城は、相変わらずポストプレーの技術は一級品だった。
確実に次のボールの動かす位置をイメージしながらのポストプレーは、神戸陣内では、非常に危険な位置にボールを動かしていくことになり、2度決定的場面を作り出していた。

この強さは「シンプルなサッカー」がもたらしたものだと思った。
全てのポジションにシンプルにプレーが指示されていて、それだけを確実にこなすこと、そして最後までボールの動きから目を切らないこと、恐らく徹底されているのはこの3つくらいだと思う。

サッカーにおける「戦術」はシステム論とイコールではない。
システム論は「戦術」の一部に過ぎない。
しかし、ここをイコールと捉えている人間は「神戸のサイド攻撃対横浜のアレモン」といった、表象すら捉えていない視点しか提示できなくなる。
この試合のポイントは「discipline(規律)」にあった筈だ。

横浜の高木監督はサンフレッチェ広島での現役時代、バクスター監督指揮の下、Jリーグステージ優勝を成し遂げている。
あの当時バクスター監督がよく話していたことは「規律こそがサッカーを形作る」ということだ。

例えばFCバルセロナでも、そのサッカーは非常にシンプルに成り立っている。
常に選手達はツータッチ以内にパスを送り、相手のボールに対しては複数人数でプレスをかけ、高い位置からの連続したプレスで決してペナルティエリアへの侵入を許さない。
まずはこうした基本ともいえる規律があり、これを90分間高いレベルで選手が遵守しているからこそ、そこにスパイスで加わる各選手の個人技が光るわけだ。

神戸対横浜戦でも、途中三浦淳宏と山口素弘のマッチアップは実に見応えがあった。
かつてのフリューゲルスのチームメイトで、どちらも日本代表経験者。
そしてどちらもサッカーを良く理解している好選手。
スピードこそ全盛期には及ばないだろうが、流れの中で必要な1対1の場面を作り出し、どちらもファールぎりぎりの高い技術のタックルを仕掛け、これぞ一流選手同士というマッチアップを繰り広げていた。
そしてこのマッチアップを引き立たせたのが、周囲の選手の動き。
その場面を見守るのではなく、かといって割り込むのでもなく、きちんとしたフォローの動きができていた。

非常に高いレベルのサッカーであったにも係わらず、観客はわずかに6,660名。
これはもったいない。
こうした試合こそ、メディアはしっかりと取り上げて、サッカーの面白さを伝えて欲しい。
そしてその面白さを伝えることのできる解説者、表面的な部分だけを話す人間や感情むき出しで隙間を埋めようとするタレント解説者を淘汰して、本当にサッカーの面白さを話せる人を同時に育てて欲しい。

posted by lovesportslove |17:36 | JリーグDivision2 |
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