2008年07月02日

ロシアの敗因と原因を考える

90分で枠内シュート「1」これでは点は入らない。初戦で大敗したスペインに対しロシアは、自分達の持ち味を出せずに準決勝で姿を消した。

 準決勝のスペイン戦では本来の積極的なプレスは陰を潜め「受け」にまわってしまった。
その要因としてゲストで来ていた日本代表の岡田監督は「準決勝まで来たという達成感」と「ここまで来たのに負けてしまう怖さ」からディフェンスラインが下がり、受けにまわってしまったのではないかと言っていた。ロシアがスペインに勝つには前半からプレスをかけ続けリスクを負う戦い方がベストだったが序盤で後手を踏んだことで点差以上の敗北感を味わう結果となった。失うものは何もないはずのロシアだったがグループリーグ初戦でディフェンスラインの裏を取られ、大敗した嫌なイメージがロシアの選手にあり「勝ちたい」ことよりも「負けたくない」という気持ちが強かったからと考えられる。

 サッカー選手がディフェンスをする時に一番嫌なのは「自分の背後をつかれる」ことだ。自分の背後をカバーする為にアプローチの出足が遅くなりプレスをかけれずボールを回されるというパターンは往々にしてあることだ。そしてディフェンスラインが下がるという事はトップとの間が空くという事なのでロシアの特徴でもある「ボールホルダーを追い越す動き」が出来ず攻撃の形を作れなかった。
 だがマイナス面だけではないのがサッカーの面白いところだ。ロシアが引いた事でスペインはFWのフェルナンド・トーレスとビジャに勝負させるボールをなかなか入れることが出来ず、ショートパスを繋ぎながら隙を突く攻撃がなかなか形にならなかった。

 試合を変えたポイントは「ビジャの負傷退場」と「後半早々からのロシアのプレッシング」だ。前半34分にビジャにかわりセスクが入ったことでより縦にはやく仕掛ける意識がスペインに見られ始めた。ロシアにディフェンスを整える時間を与えないことで徐々に本来のパスワークが戻ってきたこと。そして後半開始からのロシアの積極的なプレッシングが裏目にでる形となった。シャビ、イニエスタ、セスク、シルバの「クアトロ・フゴーネス(4人の創造者)」によるパスワークでプレスをかわされ攻撃のスペースを与えてしまったことが結果的に敗因となった。

 もともと期待のされてないロシアが準々決勝で今大会最強と言われたオランダを延長戦の末に倒した試合はまさに「ミラクル」だった。
 スポーツニュースなどでは終始積極的に攻撃姿勢を貫いたロシアの完勝のような報道が多かった(時間や放送権の都合もあるだろうが)が実際は負けてもおかしくなかった。
 
 オランダのセットプレーでロシアの選手はラインを気にするあまり飛び出す選手に対してマークを再三外していた。前半からファンデルファールトのボールにファンニステルローイが飛び込み、ゴールを脅かしていた。予選のようなサッカーが出来ない中でどうすれば勝てるかという所をオランダの選手がわかっていれば試合は自力で勝るオランダが有利だったと思う。
 ロシアの勝利は、前線からの積極的なプレスとバイタルエリアでパブリチェンコとアルシャビンがボールを呼び込む事でチームに連動性のあるプレーが出来たのが鍵だった。それにより左のジルコフや中央のトルビンスキーらが積極的な攻撃参加で空いたスペースを有効に使えたのだ。

 勝ち続けることで得られる名誉や達成感は一種の麻薬だ。表しようのない快楽と同時に負けることへの恐怖を生む。
 それでもオランダを倒し準決勝まで残ったロシアへの賛辞は送られるべきだ。アルシャビン、パブリチェンコ、ジルコフなどタレントはいる。ただ彼らは勝つことに慣れていなかっただけなのだ。
 
 2年後のW杯でEURO2008からどれだけ成長した姿を見せてくれるのか。厳しいヨーロッパ予選で幻の決勝戦「ロシアvsドイツ」が最終節にあるのも今から楽しみである。

posted by leraditoni |23:58 | ヨーロッパサッカー思案 | コメント(3) | トラックバック(0)
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