2008年06月24日

「イタリアサッカーの美学」を貫き通した敗戦 EORO2008 イタリアvsスペイン

スコアレスドローの延長戦を経てのPK戦で両国が見せたサッカーは対照的だった。

シャビを中心にしたショートパスとシルバやビジャトーレスのドリブルを中心に攻めるスペインに対し、イタリアはMFとDFのラインを整え攻撃のスペースを無くすことで応戦した。ボールホルダーへのアプローチとカバーを誰一人さぼることなく繰り返してスペインの攻撃を防いでいた。

以前に『明確なプレービジョンがあるから選手は正確な“選択”ができ“勝者のメンタリティー”がうまれる』と書いたことがあるがイタリアにはプラスαがあった。

それは「美学」だ。

イタリアには守りきることに対する「美学」がある。1対1の場面では粘り強く守り、シュートには身を挺して防ぐ。どんな攻撃も跳ね返す守備に対する『ディシプリン』は選手全員に浸透していてその動きは芸術的ですらある。急造のDFラインながら相手の攻撃に対してラインをこまめに上下する事でボールと相手を常に視野の中でプレーさせていた。

そして機を見た鋭いカウンターは相手の攻撃の意思を刈り取る鉈のような切れ味だ。
事実スペインの両サイドバック、カプデビラとセルヒオ・ラモスの深い位置までの攻撃参加がほとんどなかったのは、ザンブロッタとグロッソに自分の裏のスペースを使われるのを怖れたからだ。

しかし、イタリアにも誤算はあった。ピルロの不在と延長後半終了間際のブーイングでディナターレがナーバスになっていたことである。

数少ないセットプレーやカウンターのチャンスを活かすためにもピルロの正確なキックは必要不可欠だった。GKとDFラインの裏へ正確なパスが出せるピルロがいればトニのポストプレーから決定機を生み出せたに違いない。

そしてPKを外してしまったディナターレ。ボールを奪われた後、ピッチにうずくまり試合を止めてくれというアピールがスペインの好機を潰す形となりスペインサポーターのブーイングを浴び続けることとなった。今にも泣きそうなディナターレに不運だったのはPK戦をするゴールがスペインファンの待つゴールだったことだ。

それでもPKを蹴ったディナターレには勇気に拍手を送りたい。舞台は大きく違えど私も緊迫した場面でのPK戦で蹴った事がある。目の前が真っ白になり無意識になるとはこういうことかと思ったのを覚えている。
困難な場面に立ち向かう勇気を持つものを批判できる人間はこの世にはいない。

セスクのPKが決まった瞬間、カメラはスペインの選手がカシージャスに飛びつき喜びを爆発させている場面からうなだれるイタリアの選手達を映していた。
PKを失敗し泣いているディナターレをカッサーノやブッフォン、パヌッチが抱きかかえながら声をかけていた。
「お前が恥ずべき事はなにもない」といったのだろうか。

自分達の戦いをやりきったというプライドと敗戦のショックの中で抱擁を交わすイタリアの選手達に「敗れてもなお美しい」イタリアサッカーの真髄をみた気がした。

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posted by leraditoni |00:15 | ヨーロッパサッカー思案 | コメント(9) | トラックバック(0)
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2008年06月20日

勝者のメンタリティー EURO2008 イタリアvsフランス マッチレビュー

追い込まれた状況で本来のパフォーマンスを出すにはどうすればいいのか?
それは選手一人一人の役割を明確にし、「勝利」という目標に向かってチームとして戦う事だ。


EORO2008 グループC イタリアvsフランス 負けられない一戦を制したのはどこよりも“自分達を知っている”イタリアだった。


レツィグルントスタジアムに入ってきたイタリアの選手は自分達の勝利を信じて疑わない顔をしていた。特に今大会初スタメンのカッサーノは国歌を大声で歌うなどメンタルの充実がうかがえた。

対してフランスの選手はオランダ戦のショックを消化しきれていないように見えた。
1-4の敗戦。まったく歯が立たないわけではないが勝てない試合をした選手の精神状況は何を信じていいのかわからない不安定な状態だ。
「勝つしかない。でもどうやって?」
フランスの選手はチームとして勝つ術を見出せていないように感じた。

勝者のメンタリティーとは漠然と持てるものではない。

ピッチ上のパフォーマンスとメンタル面は密接に関係している。
そしてフランスは一瞬にして多くのものを失った。

リベリーの負傷退場、アビダルのレッドカード。しかしあれは不運だけではなかったように思う。

ザンブロッタをスピードに乗らせまいと遅れて身体をぶつけたリベリーは、あそこで絶対にザンブロッタを潰さなければいけない場面ではなかったのではないか。
ザンブロッタの前方に広大なスペースがあったにしてもリベリーのスピードならばエブラと連携する為にもコースを限定しながら対応することも出来たはずだ。


ピルロの芸術的なスルーパスに反応したトニを倒し退場になったアビダルにしても決定的なシュートを外しまくってしたトニを後ろから無理矢理倒す必要があったのだろうか。強いシュートを打たせない為に身体を寄せつつGKのクペの出る時間を取れなかったのか。

全て結果論だが状況を変える術はあった。何故リベリーとアビダルはあのプレーを選択してしまったのか。


サッカーは限られた時間の中で最良の選択をし続けなければいけないスポーツだ。

最良の選択をし続ける為には、チーム、個人ともに明確なプレービジョンが必要である。どうすれば点が取れるのかどうすれば点を取られないのか、自分達の長所と短所を理解することから始まる。

これはチームの経験値と関係していて準決勝に進むドイツには変わることのない質実剛健さがある。イタリアにあってフランスに足りなかったもの。それは、勝ち続ける事で得た経験値からなる普遍の精神「勝者のメンタリティー」だったのではないか。

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posted by leraditoni |20:57 | ヨーロッパサッカー思案 | コメント(9) | トラックバック(0)
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2008年06月17日

近代五種レポート

阿部@JISS情報研究部から。
各国の国内事前合宿に関連し、近代五種の菊地さんから現状の課題に関する情報
提供をいただきました。


◆国内事前合宿の受け入れに関わる課題=近代五種

北京オリンピックに向けた近代五種における各国の国内事前合宿については、ア
メリカを始めとして数カ国から問い合わせを受けているものの、「銃刀法」にお
いて「競技会以外は銃の持ち込みが出来ない」ことが規定されているため、現状
では受け入れることが出来ない。

その背景として、銃刀法における競技の位置づけが低いことが挙げられる。これ
は銃を使用して競技を行う人数が他の目的や非合法で持っている人数に比して圧
倒的に少なく、「世論」を形成できない状況にあるからである。

近代五種における国際競技力向上戦略を考える上で、今後の一つの大きな課題と
言える。

[情報提供:(社)日本近代五種・バイアスロン連合 菊地孝之]

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posted by leraditoni |14:40 | 北京オリンピック | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年06月12日

攻守にコレクティブなサッカーを見せたU-23代表

 U-23日本代表vsU-23カメルーン代表の試合はトゥーロン国際大会のポジティブなイメージと最終選考試合の緊張感が好ゲームに繋がった。

 日本は4-5-1のポジションにこだわらずファーストディフェンダーがボールホルダーに的確にアプローチする事で相手の攻撃を遅らせ、連携して後方もしくはサイドに追い込み数的優位を作る理想的なディフェンスを試合終盤までやる事ができた。

 身体能力の高いカメルーン相手にコレクティブなディフェンスで流れの中からチャンスを作らせなかったのは本大会に向け収穫だったに違いない。

 コーナーやロングボールに対するディフェンスには課題が残ったが高さや強さに“なれる”ことが大事なので水本と吉田は相手に身体を寄せ最小限の仕事しかさせなかった。それでもあわやというシーンを作られたのは教訓になっただろう。

 攻撃面でもボールを奪った後の切り替えが早く、確実に一本目のパスを繋ぐ事で相手のカウンターを未然に防いでいた。
 中盤でボールをキープ出来るということはサイドバックが上がる時間があるということ。終始、両サイドバックの森重、田中は高い位置をキープしサイドハーフに位置する梅崎、本田圭と縦の関係で攻撃に厚みを加えていた。
 そして谷口をトップ下として使った意図も明確に感じられた。中盤でのパスコースを作る動きやポストプレーなど孤立しがちな森本をサポートしようと運動量豊富に動いていた。事実前半のビッグチャンスだった森本のシュートを演出したのはGK西川のロングボールをDFの裏にヘッドで流した谷口だった。

 パスアンドムーブを繰り返しカメルーンDF陣に的を絞らせないポゼッションは反町監督の「動き続けるサッカー」を体現していた。

 
 しかし、どんな試合にも課題はあるものだ。

 やはり点をとれなかったのは大きな課題だ。確実に森本の決定機も決めなければならない場面だったが正直どうすれば確実にゴールを奪えるのか明確な答えはない。先日、EUROでイタリア相手に3点も入れたオランダでさえ予選では得点力不足を叫ばれていたほどだ。それでもこの試合でゴールへの道筋は見えたのだから森本、李、エスクデロの奮起に期待するしかない。

 もうひとつ気になったのは1トップのポストプレーだ。ことごとく潰され攻撃を縦にスピードアップ出来なかったのは改善の必要がある。
 体格の差はあってもやはりペナルティーエリア付近で身体を張ってファールを誘うようなプレーとミドルゾーンでの確実に味方に繋ぐプレーをすることで攻撃に“深み”が出来る。そうすることで試合のテンポをコントロールできるしポゼッションも高まりディフェンス面での負担を減らす事が出来る。


「いい試合だったと思う」


 試合後、質問に答える反町監督は笑顔をださないようにすることに必死だったに違いない。

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posted by leraditoni |23:24 | 国内サッカー | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年06月10日

“したたかに”そして“劇的に”期待して・・・EURO2008 イタリアvsオランダ マッチレビュー

EURO2008 グループC イタリアvsオランダ

                   0 - 3
得点者

26、ファンニステルローイ
31、スナイデル
79、ファンブロンクホルスト

「まさか」 私は、画面の中で起きている出来事に言葉をなくした。

イタリアの0-3の敗戦。EURO2000の準決勝のようなイタリアが耐えに耐えて引き分けるというような消耗戦を期待していたのだが・・・(ある意味消耗戦だったが)

前半からオランダはスナイデル、ファンデルファールトのキープからファンニステルローイへのくさびボールやスルーパスで攻撃の形を作っていた。

どちらのペースになるのか。試合の主導権を握ったのはオランダだった。FKからこぼれたボールをスナイデルの弾丸シュート。ゴール前に詰めていたファンニステルローイが押し込んでゴール。
ファンニステルローイがオフサイドポジションにいたのではないかというイタリアのもう抗議も実らずゴールは認められた。

あの場合、審判は副審に確認しにいくのがベターだが、オランダのFKをGKのブッフォンとオランダ選手、パヌッチが競り合った際にパヌッチがゴールラインを超えて倒れていたのだ。
審判団はラインを超えて倒れているパヌッチを含めてオフサイドではないと判断したと思われる。

ともあれイタリアの選手は、執拗に主審や副審に食い下がりもせず、トニのイエローカードだけですぐに試合は始まった。

すぐに試合を再開させずしっかりと状況を把握して気持ちを切り替える必要があるにもかかわらずだ。カンナバーロが居ればチームを鼓舞しながらリセットできた場面だった。主将の不在はこういうメンタル部分に特に影響がある。

時折、鋭い攻撃を見せるものの前半のイタリアは攻めるにも守るにも淡白なプレーが多かった。
画面からイタリア選手が目の前の状況を消化できずに戦っているように感じた。

オランダの追加点はそんなイタリアのお株を奪う見事なカウンターから生まれた。
カイトの積極的な前線へのランニングからファンブロンクフォルストの正確なロングフィードそしてスナイデルの針の穴を通すようなシュート。

あっという間にオランダがリードして終わった前半だった。

後半、状況を整理したイタリアの逆襲が始まった。前線から積極的なディフェンスで中盤のルーズボールをガットゥーゾとアンブロジーニが拾いトニの驚異的なキープ力を生かしたポストプレーでオランダゴールに徐々に近づいていた。交代出場のグロッソは左サイドから攻撃に厚みを加え、デルピエーロは得意のゾーンでDFを引きつけるプレーを、カッサーノはそのあふれるセンスから決定的なシーンを演出。

ここまで書けばイタリアの猛攻は伝わるだろう。しかしオランダにはファンデルサールという大きな壁が存在した。

GKと1対1となったトニのループはクロスバーを大きく越え、グロッソの至近距離からのシュートとピルロの左隅に綺麗な放物線を描き飛んでいったFKもファンデルサールの驚異的なファインセーブで阻まれた。

そしてオランダのカウンター一閃。3点目はイタリアの敗戦さらにはグループリーグ敗退を意味しかねないゴールとなった。

多くのチームがイタリアと戦い、シュート数もボール支配率も高いのに結果は敗戦。「やっぱりイタリアはしたたかだ」と気持ちを切り替えることが出来るかもしれない。

しかし、イタリアがイタリアらしさを出せずに負けてしまった場合、彼らは残り2戦のグループリーグを勝ち抜くことが出来るのか??

勝ち点や得失点が関係するグループリーグが苦手なイタリア。

希望はある。

ピルロは正確なパスで攻撃をオーガナイズしているし、ディナターレも鋭い動きからシュートをはなっている。トニのキープ力はボールを確実に“おさめる”ことができるし、カッサーノはピッチ上で“違い”をうみだせる存在であることを示してくれた。

のこり2戦。

イタリアらしく“したたかに”そして“劇的に” このままでは終われない。





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posted by leraditoni |05:41 | ヨーロッパサッカー思案 | コメント(12) | トラックバック(1)
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2008年06月05日

2年後の世界の流れを決めるサッカーを━EURO2008━

グループA

スイス
チェコ
ポルトガル
トルコ

グループB

オーストリア
クロアチア
ドイツ
ポーランド

グループC

オランダ
イタリア
ルーマニア
フランス

グループD

ギリシャ
スウェーデン
スペイン
ロシア

チャンピオンズリーグ決勝が終わりヨーロッパサッカーシーズンが終わったと思
いきや、今年はまだ終わらない。
W杯よりもレベルが高いといわれる欧州サッカー選手権「EURO2008」が始ま
る。


私の予想はイタリアの優勝だ。

代表レベルではかなりの完成度を誇る攻守のチーム戦術と「初心に立ち返れる」
ナショナリティを持つイタリアの強さは、06W杯からより強個になったと感じて
いる。

とりわけ予選終盤とテストマッチで見せたボールポゼッションしながらの攻撃は
伝統的なカウンターと使い分ける事で力を存分に発揮出来るのではないか。


不安要素があるとすればDF面でカンナバーロのケガでの離脱をどうするか。攻
撃面では招集されなかったインザーギの代わりとなる行き詰まった戦況を変える
切り札は?

DF面はマテラッツィとバルザーリで務まるだろう、本職ではないが
パヌッチも対応出来る。しかし「死のグループ」で攻撃力のあるオランダなどの
攻撃を封じる事が出来るかは未知の世界だ。

攻撃面では土壇場のサプライズ招集された「セリエA得点王」デル・ピエーロ、
「才能の塊」カッサーノがいる。
私はデル・ピエーロの国際大会での活躍を観た記憶がない。
エースとして臨んだ大会でプレッシャーからか力を発揮しきれずに終わるシーン
を何度も観てきた。
しかし、06W杯のような献身的なプレーを期待するのであれば計算は出来る。
一方カッサーノは「ノッている」時は手がつけられない。今シーズン、審判を侮
辱し出場停止というお決まりの事件はあったもののピッチ上でのプレーは極上の
エンターテイナーだった。
限られた時間でも「違い」をうみだせる切り札になりうる存在だ。

問題はどのポジションで両者を使うかという事だ。
ドナドーニの基本は「4-1-4-1」でトップ下はないし2トップはではない。

共にサイドは可能だが点を取りに行く場面で中盤の人数を減らし、2トップの一角
もしくは「トップ脇」のポジションに入る事も考えられる。

短期決戦のEUROではラッキーボーイの存在も重要になってくる。
その点、イタリアは事欠かない。

06W杯のグロッソ、EURO2000のトッティ、フィオーレなど好成績の大会事に
出てくる。

前回大会の雪辱も含め、カッサーノの爆発を期待したい。

勝ちたい気持ちを試合だけにぶつけられたら、2010年のW杯も・・・



はやとちりしてしまうのは私だけだろうか。

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posted by leraditoni |23:42 | ヨーロッパサッカー思案 | コメント(0) | トラックバック(0)
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