2008年01月03日
今年の箱根駅伝が終了しました。
前評判どおりの総合力の高さを見せ付けた駒澤大学の優勝で幕を閉じました。
1万メートル28分台の選手をそろえ、優勝候補の筆頭に挙げられていましたが、そのプレッシャーをはねのけての快勝でした。
大八木コーチの選手配置・登用もぴったりはまっていましたが、指導者の期待にこたえてその力を存分に発揮した選手も見事でした。2、3年生も多く、しばらく常勝軍団になるかもしれません。
早稲田は9区で抜かれ2位でした。
エースを故障で2区に使えなかったものの、今まで鬼門とも言われていた5、6区の山で区間賞をとり、駅伝の流れにきっちり乗った感じがあります。
各選手もそれぞれの持ちタイムどおりの力を出していた感がありました。
来年は6区で区間賞を取った加藤選手、4月に入ってくる気体の新人をあわせ戦力の底上げを図り、名門復活を確固たるものにして欲しいです。
3位にはいった中央学院大学の健闘も光りました。
2区、9区といわれたエース区間で、主力選手がしっかり走ったことが大きかったですね。ただ、4年生が抜けたあとどのように下級生がチームを盛り立てていくか、一年かけてじっくりチームを作って欲しいです。
4位の学連選抜の快走にも拍手です。
「レースの引き立て役」「お情けの残念賞出場」など揶揄する声がありましたが、今回は予選会で涙を飲んだチームの中から実力者をきっちり招集し、各人の調整も上手くいっていたようでしたね。
ゴール後に互いの健闘をたたえあう笑顔を見て、一ファンとしては胸が熱くなりました。互いに何かを感じ、学び取って、母校へ帰っていかれることでしょう。少なくとも、今年の学連選抜の出場については大きな意義があったことは間違いあいません。
学連選抜の健闘で、予選からの出場枠が一つ増えましたが、実力校の東海大、日体大、順天堂大が予選に回ることで、非常に厳しい予選会になりそうです。
さて、三校も途中棄権があった今回の大会でした。
調整ミス、ペース配分のミス・・・様々な要因があろうかと思います。
箱根経験者の弁では、「ガッツが足りない」「最近の選手は甘い」などという根性論が出てましたが、私は違うように思います。
昨日もそうでしたが、二日とも穏やかな陽気の無風状態のレースコンディションでした。風がないため自分のペースで走りやすかった反面、汗が蒸発せず体感温度はかなり上がっていたはずです。
人間は体温を下げるために発汗しますが、汗自体が蒸発して気化熱として体温を奪わなれば体温は下がりません。そのため、一層の発汗が脱水を助長したと思います。駅伝ランナーは、レース前に自らの身体に蓄えた糖分とグリコーゲンをエネルギーに変えて走りますが、脱水が進むとグリコーゲンを貯える肝臓への血流が低下し、血糖が下がりエネルギー不足を起こします。また、発汗に伴い、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質(ミネラル)を失うと、筋肉の運動に支障が出て痙攣をおこします。
そこで、こまめな水分補給や糖質、電解質の補給がレース中も欠かせません。現在15キロの地点での給水が認められましたが、おそらくミネラルウォーターでしょう。軽度の脱水の場合はミネラルウォーターでも十分に体内に吸収されますが、脱水が進むとナトリウム、糖質がないと水分吸収が低下します。
途中棄権やブレーキになった選手の中で、元からの体調不良や故障があったかもしれませんが、10キロ過ぎの時点ですでに脱水に陥り始めていた可能性も考えます。
カツを入れたり、レース指示の意味もあったかもしれませんが、駒澤大学の大八木コーチが、10キロ地点で選手に水分を与えていたのが印象的でした。9区で快走した堺選手も3キロ過ぎですでにかなりの発汗をしていました。8区の深津選手も途中ペースが落ちかけたときに絶妙のタイミングで水を渡していました。
各選手、ぎりぎりの状態でレースをしていたように思います。
選手が自らの限界近くで走る以上、給水は重要と思います。
マラソンでは5キロおきに給水があります。各選手はスペシャルドリンクとして、糖質やミネラルを補給しているはずです。箱根駅伝もマラソンの半分とはいえ20キロあります。最低でも、10キロ地点で各校それぞれのスペシャルドリンクを取らせるようにしても悪くはないと思います。せめて、ミネラルウォーターでも5キロおきに取らせて上げてほしいです。
「水を欲しがるなんて甘い」という意見が陸連幹部から聞こえてきそうですが、高度の脱水で循環不全をおこせば多臓器不全や脳障害も起こします。夏は毎年何人もの若者がスポーツ中の脱水で命を落としています。気温の低い冬でも、脱水が怖いことには変わりありません。
前途ある若い学生ランナーを守って育ててあげるのは、年長者の責務ではないでしょうか。
近年、区間記録の更新が相次ぐということはレース自体が高速化し、選手のペースが昔より速いのです。年毎にレースの注目度が高くなり選手の緊張感も強くなる一方ですし、選手の能力が均衡化すれば、当然オーバーペースになります。
精神鍛錬という言葉も分からなくはないですが、もっとスポーツ生理学に基づいた陸上競技というものを考えて欲しいです。
ちなみに、2007年夏の世界陸上大阪大会で日本選手が陥ったのも、同じ症状だと私は考えています。プロのアスリートでも2年に1回の大会ではあのようになるのですから、自分の青春や人生の全てをかけてまで走ろうとする学生選手が陥っても、なんら不思議ではありません。
posted by kusunoki |16:33 |
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2008年01月02日
2008年の箱根駅伝、往路は早稲田大学が十二年ぶりに芦ノ湖のゴールへトップへ飛び込みました。
アンカー駒野選手が誇らしげに自らのユニフォームの「W」の文字を指し示して、胸を張ってゴールしたのが印象的でした。
前回も書きましたが、私も身内にも早稲田関係者はいないのですが、なぜか「早稲田」を応援しています。
瀬古利彦選手、荒木大輔選手、ラグビーの堀越・今泉選手、駅伝では三羽烏といわれた武井・花田・櫛部選手、そして渡辺康幸選手・・・
近年駅伝では低迷していたので、今年の優勝はとてもうれしかったです。
さて、私なりにレースを振り返ると・・・
1区は尾崎貴宏選手でした。
昨年の東海大佐藤選手のように飛び出す選手がおらず、横長に列を組みながらスローペースで互いを牽制しあう、「我慢比べ」のような展開でした。
常に集団の中位に位置し、小刻みな上がり下がりにも冷静に対応していたように見えました。ラストは、城西大の佐藤選手に離されましたが、4秒差の3位で2区につなぎました。
2区は高原聖典選手でした。
序盤やや速いペースで入り、走りが落ち着かないうちに山梨学院大モグス選手、中央学院大木原選手に抜かされ、序盤で自分の走りのリズムを作りにくかったのではないでしょうか。粘りましたが、トップ山梨学院大と3分43秒差で3区につなぎました。
ただ、実力者といわれた東海大伊達選手、日体大北村選手たちのタイムが思ったほど伸びず、これが結果的に3、4区の混戦に拍車をかけたようでした。
3区は竹澤健介選手。
言わずと知れた、現在の大学陸上界、いや、今は日本陸上界を代表する選手に成長した、早稲田のエースです。しかし、持病の坐骨神経通、膝痛に悩まされ出場も危ぶまれていましたが、3区に登場しました。
怪我の影響で、本来の切れのある走りには程遠い感じで、本来の竹澤選手の力からすると1分くらい悪いタイムではないでしょうか。ただ、12位から5位までチームの順位を引き上げ、レースから遅れそうになった悪い流れを一気に断ち切ったのは見事でした。
身体に負担があり、本来は渡辺監督は竹澤選手を4区で使いたかったのではないでしょうか。ただ、1、2区に計算が立つわけではなく、3区までに流れをつかみ4区をつないで、5区のキャプテン駒野選手につなぐ・・・そういう考え方だったのかもしれません。
期待にこたえて竹澤選手は体調不良ながらも、自分のペースや順位を見極めた冷静な走りをされていたようでした。
4区は、中島賢士選手。
一年生ではありますが、全日本大学駅伝でも落ち着いた走りをされていました。区間8位、順位を一つ下げたもののトップとの差を58秒縮めてのたすきリレーでした。流れの中でしっかり自分の走りをされていたのではないでしょうか。
5区はキャプテン駒野亮太選手。
三度目の山登りで、昨年は区間8位ながらも納得のいく走りが出来、かなり手ごたえをつかんでいたようでした。今回、満を持しての山登りです。
昨年の順大今井選手のペースをも上回る走りで、次々を前を追いかけ抜き去りました。駒野選手自体のコンディションがよかったことと、気温や風といったレースコンディションがよかったことの双方が、快走につながったようでした。終わってみれば、昨年の今井選手の記録に8秒に迫る好記録でした。
同じようにハイペースで走っていた順大の小野裕幸選手が、残り500メートルあまりで危険になってしまいました。選手は常に限界と紙一重での走りをしているのだなあと痛感しました。箱根の山はやはり怖いですね。小野選手そして順大の選手は、この経験をばねにまた来年箱根の舞台に帰ってきてもらいたいです。
果たして早稲田は、12年ぶりの往路優勝を成し遂げました。奇しくも、現監督である渡辺康幸さんが1年生ながら2区を快走した年でしたね。
インタビューで「選手としての優勝よりうれしい」とおっしゃっていたのが印象的でした。
ただ、以前は「花の2区」といわれましたが、5区の距離が伸びた今では「山登りで容易に3分くらいの差がつく」ため、5区の重要性が増してきましたね。
総合力のあるチームは、「山をどうまとめるか」、選手層の薄いチームでもスペシャリストがいれば「山で勝負ができる」ようになってきました。このあたりの選手の適性を見極めるのが、各大学の指導者の力量にかかっているのでしょうね。
さて、明日は復路です。
早稲田大は6区の加藤選手を初めとした選手の踏ん張り次第ですが、どこまで上位に食い込めるか楽しみです。
駒沢大は、選手の走力・総合力を考えると、トップと1分あまりの差は、想定内でしょう。ただ、復路に有力選手を残した東海大と3分あまりの差というのは、考え方では微妙です。
優勝争い、シード権争いも、6区でどのようなリズムを作るかで決まるかもしれません。駒沢大が59分台くらいで逃げてしまうと、東海大が追いつくのは厳しいかもしれません。
「戦国駅伝」といわれ、各チームの戦力が拮抗している現代では、一人の選手の好不調が、チームの上昇や思わぬ下降につながってしまいます。明日も、テレビから目が離せませんね。
往路4位に食い込んだ関東学連選抜にも注目です。選抜枠について賛否両論があるようですが、今回のような快走を見せてくれるとそういう雑音も少し小さくなってくれるかもしれません。今回、上武大の福山真魚選手の力強い走りと満足そうな笑顔でゴールするシーンが印象的でした。箱根路を走るのにはまだ選手層が薄いようですが、福山選手がその経験や感動を母校に持ち帰ることでまた新たな力が芽生えてくるのかもしれません。
明日も、選手のみなさんが、日ごろの練習の成果をいかんなく発揮して、力を出し切れるよう一人の駅伝ファンとして応援したいと思います。
posted by kusunoki |16:01 |
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2007年12月20日
冷たい風が吹き付ける季節になりましたが、本格的な駅伝シーズンが到来しました。
12月23日 全国高校駅伝(男子、女子)
1月1日 ニューイヤー駅伝(実業団:男子)
1月2、3日 箱根駅伝
1月13日 全国都道府県駅伝(女子)
1月20日 全国都道府県駅伝(男子)
という感じで続いていきます。
私はここ10年近く、男子の駅伝は全て見続けていますので、高校→大学→実業団と成長していく選手の姿を見るのがとても楽しみです。
また、それらの選手が一堂に会する都道府県駅伝が楽しみです。普段は所属が違ってライバルの位置関係にいる選手が同じチームになったり、逆に同じ大学や実業団に所属する選手が出身県に戻って競り合って走ったりするのも、面白いですね。箱根やニューイヤー、都大路で力を出せなかった選手がリベンジする姿も、見ていてワクワクします。
ただ最近気になるのが、高校や大学で活躍した選手が、社会人になって故障したり結果を出せていないことです。
特に関東の大学では、箱根駅伝に偏重するあまりオーバーワークになったりしているような気がしてなりません。
我々のようなファンがいて、そして大学名をアピールするために駅伝が絶好の機会になっている以上、避けられないのでしょうか?
そう考えると複雑な心境です。
個人的には、日本の選手は練習しすぎのように感じています。野球選手と一緒で、陸上選手の筋肉も消耗品で限界がある以上、もっと科学的かつ生理学に基づいたトレーニングをして欲しいです。
一人のファンとして、選手の皆さんが日ごろの練習の成果を本番で発揮できるよう、沿道やブラウン管越しに見守るばかりです。
posted by kusunoki |17:22 |
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