フィギュアスケートをみる

高橋大輔ライラックワイン SOIからCaOIまで 

このエントリーをはてなブックマークに追加

 現役の選手は、ワンシーズンを通して基本的にSP,FPともに同じプログラムを演じ続ける。 同じプログラムを滑り続ければ、演技には深みが増し、たいていのプログラムは洗練されていく。 一方で、より高い点数をとるために構成を変え、それによりプログラム全体の雰囲気にも変化が現れることもよくある。見る側にとっては、要素が詰め込まれたシーズン終盤の演技よりも、前の演技の方が好きだったと感じることも少なくない。けれども、実際に点数が上がればそれは競技において正しい選択だ。

4月のスターズオンアイスから10月のカーニバルオンアイスまでの高橋大輔のライラックワインを可能な限りみて、その選択をする必要のないプロスケーターによるプログラムの奥の深さに今更ながら気付かされた。 ほんの少しの間合いの違い、動作の違いで、音と動作の連動がよりなめらかに、流れるように、柔らかく変容する。いったん体内に吸収された音楽が、小さな差異でさらに大きな広がりを見せていく。 CaOIでのライラックワインは、自分にとって一番見応えのあるもの変化していた。惜しむらくはジャンプでのミスということになるのだろうが、初見の時からこのプログラムにはいっそジャンプがなくてもよいのではなどと思っていたので、レコードの針が軽く飛んだ印象を受けるに留まった。

 ジャンプは技術の一番わかりやすい指標であり、プログラムを盛り上げるための起爆剤的な要素でもある。 近年のアイスダンスのリフトでもよく感じることだが、プログラム全体を通して観た時、その技だけが妙に浮いて見える時がある。競技では必須のその要素も、プロの演目ではこだわる必要性がない。 ジャンプという技自体の魅力に重点をおいた演目を作成したい場合や、飛び上がり、回転することによって得られる表現としての効果があるのなら取り入れればよいし、なければ入れないという選択もできるのである。 わかりやすさを排除した演目を魅せきるのはとても難しいことではあると思うが、その可能性の奥深さは底がしれない。

高難度の技術を取り入れつつプログラムのバランスも考えなくてはならない競技の面白さとは別に、勝負から解放されたがゆえに難しさを増すプロの演目をみる楽しみをあらためて知った気分だ。 そして、その可能性の大きさに挑む高橋大輔の姿を見られることに、ファンとして喜びを噛みしめずにはいられないのである。



1ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
タグ:
カーニバルオンアイス
ライラックワイン
高橋大輔

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

この記事にはまだコメントがありません

こんな記事も読みたい

【JO&CaOI】町田樹の飽くなきチャレンジング精神【面白き 事もなき世を 面白く】

スケート部・関東大学アイスホッケーリーグ戦対東洋大1回戦【「中大スポーツ」新聞部ブログ  ~劇闘中大!中大から大学スポーツを熱くする~】

紀平梨花選手の魅力は本当にトリプルアクセルだけ?プログラム構成を検証【いろいろな試算を少し本格的にやってみる。】

ブロガープロフィール

profile-iconkurokawa

  • 昨日のページビュー:393
  • 累計のページビュー:285947

(05月24日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. ソチオリンピック 高橋大輔選手について
  2. 競技会とアイスショー
  3. ファンタジーオンアイス2014をみて
  4. フィギュアスケートをみる
  5. フィギュアスケートをみる3
  6. アートオンアイス2015 チューリッヒ公演 感想
  7. フィギュアスケートをみる2
  8. 2015年2月開催 アートオンアイスについて
  9. 高橋大輔ライラックワイン SOIからCaOIまで 
  10. スターズオンアイス2016 TV放映鑑賞

月別アーカイブ

2017
05
02
2016
10
04
02
2015
02
2014
12
11
08
06
05
04
02
カテゴリー

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年05月24日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss