2009年08月01日
高校野球の醍醐味満載の”最後の一戦”
レポート 氏原英明
実はというと、最近の僕は高校野球の熱戦ではなく、「近畿まほろば総体」の取材に行っている。知っている人はいるだろうか?
今、高校スポーツの祭典、インターハイは奈良を中心に近畿で開催されているのだ。
僕は自宅から15分程度のところに会場がある女子ソフトボールの取材に行って、夜に録画した地区大会の様子をみるという日を過ごしている。
他競技の全国大会を見るのは非常に勉強になる。
いかに、高校野球が恵まれているかわかるし、逆に、注目されている競技だからこそ、例えば試合進行にしても、高校野球は先を行っているなと感じたり、たくさんの経験を得られる。
さて、高校野球だが、近畿の出場校は大阪を残すのみとなった。
大阪以外の顔ぶれをみると、滋賀代表・滋賀学園、奈良・天理、京都・龍谷大平安、兵庫・関西学院、和歌山・智弁和歌山となった。
「黄金時代」到来を破った龍谷大平安と滋賀学園は見事だし、70年ぶりの快挙を果たした関西学院、2度目の5連覇を果たした智弁和歌山には期待度も大きい(前回の5連覇目は全国優勝だった)。
38年の3強体制を守った天理は、その後、集団インフルエンザに掛かり、調整が懸念されるが、多士済々な顔ぶれである。
大阪は明日がいよいよ決勝なのだが、ここのところのカードを見ていると、大阪は実に面白い地区だな、と感じる。
カードはPL学園と関大北陽。見どころ満載なのである。
いつも思うのは、大阪は優勝候補に厳しい組み合わせが、いつも用意されているということだ。もちろん、作為的ではないという意味である。
何を持って厳しいというかは私見になってしまうが、一昨年、センバツでベスト8進出を果たし、優勝候補だった中田翔率いる大阪桐蔭は、激戦を戦った。
序盤戦でドラフト候補・石田隆司(楽天)率いる東海大仰星、強豪・履正社との対戦があったし、ベスト4でその年のセンバツに出場した北陽と対戦し、結局、決勝で金光大阪に敗れた。
ことしでいえば、優勝候補の筆頭はPL学園。
準々決勝で大阪桐蔭と当たり、準決勝で履正社とぶつかった。
世間的には昨夏全国制覇の大阪桐蔭が上位とみられるが、現チームの実績でいえば、PL学園が大阪桐蔭の挑戦を受けた形だ。
その挑戦を退けたと思えば、今度は、近年、大阪桐蔭としのぎを削ってきた履正社が立ちはだかった。
延長12回まで及ぶ大激戦で、PL学園にとっては、大きな試練だった。
さすがは、激戦区・大阪である。ことしは、例年に比べて「逸材不足」であるとはいえ、エース中野を欠き、センバツで4番を打った勧野甲輝がいない状況の中、よく乗り越えてきたものだ。
1番を打つ吉川は肩・足・長打力に優れる怖い核弾頭。センバツをけがのために欠場した4番・村田の気迫はチームに活力を与える。
ここへきて調子を上げてきた3番・藤本、5番・大槻、6番・中井は3年生らしく、最後の輝きを見せている。
どこからでも本塁打が飛び出る強力打線に成長している。力強さをことしのチームは持っている。
それに対する関大北陽。これがまた侮れない。
僕がこのブログでも第2勢力のうちのひとつとして挙げたこともあるが、何より今年の関大北陽には様々な要素が詰まっている。
実は、2年前の4月から「関大北陽」と校名変更した同校は、ことしの3年生が「北陽最後の戦士」なのである。
関大北陽になって、学校全体の生徒数も減り、その昔は全国一とも言われた部員数も、最近では2連覇中の東邦(愛知)に遠く及ばない。 いわば、この「北陽最後の戦士」を中心としたチームが何を残すか、非常に重要なのだ。幸い、ことしは選手がそろっている。
試練を乗り越えてきたPL学園にはもうひと山を超えそうな予感が漂っているが、事情を持った関大北陽がその最後の砦に立っているというのは、なんとも、アマチュアスポーツの面白いところではないだろうか。
それぞれの想いがあって、決勝戦まで来たのだ。
果たして、決勝の行方はどう転ぶのだろうか。
僕は、またソフトボールの取材に行かないといけないが、違う世界の決勝戦に何かを感じながら、舞洲球場の結果を待ちたいと思う。
試合開始は13時。これで、甲子園出場校全てが出そろう。
posted by koshien2009 |03:22 |
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2009年07月28日
7月28日 大阪府大会 5回戦
関大北陽 6-4 浪速
レポート 氏原英明
大会を通してみる楽しみとしてあるのが、大会の中に成長していく選手を発見できるところである。
序盤戦は活躍できず、そのことで、印象を薄くしていたのが、戦いを経ていくにつれて、成長に気づいたりする。
指揮官の中には
「練習より、練習試合。練習試合より公式戦。場が大きくなればなるほど選手は成長していくんです」
と話す人もいるくらいだ。
きょうは、以前にも書いた関大北陽の2年生右腕・畑瀬の成長ぶりについて触れたいと思う。
2回戦の大阪戦で畑瀬を見たとき、個人的には好きな選手という印象を持ったが、そう活躍したわけではなかった。その時のブログで、僕はこう書いている。
「135キロ台中盤ほどのストレートとカーブ、スライダーが特徴の本格派。
球速はさほどないが、肘がしなっているからスピード以上のキレを感じる。投球フォームも見た目に、バランスがとれていて、見栄えは抜群だ。」(7.22update『関大北陽 「2強」の壁を破るか』)
その印象は今も変わらない。しかし、その時は、新納監督の方針もあり、登板中に何度も怒鳴られ、輝きを失っていた。
マウンド上でも、ベンチ裏でも自信なさげにしていたのを覚えている。
実はあのあと、こんなことがあった。
試合後の新納監督をつかまえて、挨拶にいった。そして、「畑瀬くんを見にきた」と伝えると、新納監督は、畑瀬を呼びよせて、こういったのだ。
「畑瀬!こうやってな、お前を見に来てくれている人がおるんや。わかるか。だから、もっと自信をもってやれよ!」
新納監督の期待がうかがえたし、彼の何よりの成長の課題は自信の芽生えだということが、このときのやり取りで見てとれた。
そして、きょう、5回戦・対浪速戦。畑瀬は先発マウンドに立った。
1回表に2点のアドバンテージをもらった畑瀬は、1回裏を2三振の見事な立ち上がり。3回までを無失点で抑え、試合を作った。
2回裏のピンチで三振を取った際には、マウンド上で吠えていた。2回戦の試合後、あれだけ自信なさげにしていた畑瀬が、である。
3-0の4回裏、浪速の猛反撃を受けてしまう。二塁打と犠打、犠飛で1点を失い、2さらに2連打を食らったところで、新納監督は左腕の山口にスイッチした。
しかし、前回と違ったのはここから。新納監督は2回戦で畑瀬を替えた時、ベンチに下げてしまったが、きょうは左翼に残したのだ。
試合はその後、山口―笛吹とつなぎ、失点を計3点で食い止め、攻撃面では計6得点を奪い、9回を迎えていた。勝利目前までこぎつけていた。
ところが、9回裏、最後の攻撃に浪速ナインの気持ちが一つになる。先頭の1番・井上、2番・松岡と連続安打で出塁、マウンド上の笛吹を攻め立てた。スタンドの応援も重なりあって、関大北陽は受けに立ってしまった。
すると、ここで、新納監督は畑瀬の再登板を指示したのである。若き2年生右腕にこの試合を託したのだ。
「心の準備はできていた」
という畑瀬はこの窮地にも、冷静だった。
3番・近藤を三振に切って取ると、序盤に見せたようにマウンド上でほえた。続く打者を右翼フライ。5番・辻野に右翼前適時打を打たれるも、6番・磯谷四球のあと、7番・西尾の代打納家を遊撃ゴロに打ち取り、試合を締めた。
もうそこに、以前の表情をする畑瀬の姿はなかった。自信を手にした2年生右腕の表情があった。
大会の中で成長を見せている、高校野球観戦はだから、やめられない。今後もさらなる成長を見せてほしいものだ。
また、前回のブログでは「第2勢力」について書いたが、きょう、南港球場で行われた3試合は第2勢力たちの熾烈な争いが繰り広げられていた。
先述したように、第1試合では関大北陽が浪速に勝ち、第2試合では履正社が大産大附を破った。第3試合では上宮太子が、完全試合男・田中大輔率いる近大付を圧倒して勝ち、ベスト8へコマを進めた。
舞洲球場では金光大阪が、4番・陽川の活躍でサイクル男の西田哲朗はいる関大一を破り、NO1野手対決を制した。第2勢力たちはさらに絞られ、次なる舞台へと向かう。
準々決勝の組み合わせでは、明日、PL学園が5回戦を突破すれば、大阪桐蔭との二強対決が実現することになっている。
そして、履正社は上宮太子と、関大北陽は金光大阪と対戦。大会もいよいよ大詰め。どこが覇権をとるのだろうか。
posted by koshien2009 |22:24 |
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2009年07月28日
課題も残る大阪No.1野手・西田哲朗
参考記事:「関大一・西田の課題」(7.28update)
撮影:氏原英明
posted by koshien2009 |20:44 |
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2009年07月28日
いよいよ佳境大阪府大会のみどころ
レポート 氏原英明
ここ数日の雨模様の天気は、少なからず選手のコンディション調整を難しいものにしている。
試合が始まるのが遅れることもあれば、始まったかと思えばノーゲーム。大差勝ちが消されたゲームだって、少なくはない。何事も上手くいくことなどあり得ないけれど、天候を恨むことのないよう、大会が進んでほしいものである。
日程調整という部分では、僕ら、観戦者も四苦八苦している。天気が良い時でさえ、頭を悩ませながらどこに行くかを決めているのに、いざ当日になると雨天中止などで、変更を余儀なくされるのだ。
先日の小関順二さんも、同じようなことを書かれていたが、僕たちにとって、ここ数時間の日程調整は難しかった。
きょう、実はその小関順二さんと、観戦試合が一緒だった。
目当ては関大一の遊撃手・西田哲朗。
ただ、僕の元々の予定はそうではなかった。というのも、本来は万博球場で、関大北陽と汎愛の試合を5イニング程度みたあと、舞洲球場で行われる関大一VS堺工科に間に合うように行こうとしていた。
しかし、未明から降り続いた雨のせいで、第1試合の開始時間が遅れるという事態が起こった。
万博球場で「1~2時間の遅れ」と言われたので、僕は考えなおした。 グラウンド状態を見ると、かなりの不安がよぎった。
「無駄に時間が過ぎてしまったら、どうしよう?」
と。だから、僕は万博会場を後にして、舞洲に向かい、結果、小関順二さんと出会うことになったのだ。
小関さんと被ったことを書いても、意味はない。だから、きょうは試合のことや関大一・西田哲朗選手については触れず、ちょっと違う話題を書こう思う。
この大阪大会の特徴として、今、面白いのが第2勢力の存在だ。
PL学園、大阪桐蔭の二強に加え、センバツ出場校の金光大阪が今大会の注目校だが、それらのチームが苦しい戦いを強いられている。
逆に第2勢力は意気がよく、この3校を脅かすのではないかと、期待がもてる戦いを見せてくれているのだ。
関大一は、1回戦でその西田がサイクルヒットを達成。近大付はエース田中大輔が1回戦で完全試合を記録した。大産大附は序盤からの強豪対決を退けて勢いがあり、公立の雄・桜宮の夢を打ち砕いた履正社、大型チーム関大北陽。
このほか、大商大堺、上宮太子、浪速などが虎視眈々と上位進出を狙っているのだ。
ひょっとしたら、ひと波乱があり得そうな、ことしの大阪大会なのだ。
明日からはきょうノーゲームになった4回戦1試合と5回戦が始まり、戦いは熾烈を極める。第2勢力たちがぶつかりあい、3校への挑戦権を獲得する。どこが生き残るのか、そして、どこが二強を倒すのか、実に楽しみである。
参考までに、好カードを紹介しておく。
「浪速VS関大北陽」
「大産大附VS履正社」
「上宮太子VS近大付」
「関大一VS金光大阪」
上記3試合は同会場での開催。明日の南港球場は熱そうである
posted by koshien2009 |20:37 |
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2009年07月28日
7月27日 大阪府大会 4回戦 舞洲ベースボールスタジアム
関大一 9-2 堺工
レポート 小関順二
「振り子打法」と書かれることが多い関大一の4番打者、西田哲朗(右投右打)だが、その形容はちょっと違うと思う。
半円を描くように足を上げるのが若い頃イチローがやった振り子打法。それにくらべ西田は半円の描き方が小さい。
さらに上げた足で蹴る動きが入るのが西田式なので、「トゥキック打法」と名づけたほうがいいかもしれない。
このトゥキック打法、上半身だけでなく下半身の使い方もかなりクセがある。
ヘッドを後方45°くらいに傾けて構え、このバットを打つ前に横向きにして上下動させるのが西田式。ヘッドを利かせたい気持ちはわかるのだが、この動きは差し込まれる原因にもなる。
第1打席は右方向への二塁打、第2打席は中前打、第3打席はセンターフライ、第4打席はカーブを空振りの三振と、レフト方向の打球が1つもない。
それほど速くない堺工の投手陣相手なら、1本くらいはレフト方向への打球があってもよかった。
これを、右方向を意識した大人の打ち方と取るか、レフトに引っ張れない幼児性の強い打ち方と取るかは人によって違うが、第4打席の三振を見る限りは後者だと思う。
つまり、内角に入ってくるカーブを右に打とうとするあまり、ボールの軌道を追いすぎて腹斬りスイングを余儀なくされてしまったのである。
長所は精神的な部分に見て取れる。
第2打席、ボールカウントは0-3。2死一、二塁の場面ならもっとじっくり見てもよかったが、集中力が高い西田にはファーストストライク打ちの意識が徹底している。コースは真ん中だが、縦変化のカーブが低めに決まったと思った瞬間、西田のバットが最短距離でこのボールをとらえると、打球は強いゴロでセンター前に達していた。
走守にも触れると、第1打席の三塁打のときの三塁到達タイムは十分俊足と認められる12・08秒。
さらに素晴らしいのが遊撃守備だ。フィールディングが軽快で肩の強さは超高校級と言ってもいいレベル。4-6―3の併殺が2つあったが、ともに二塁手からの送球を受け取ると、小さいテークバックから正確で強いボールを一塁に送って併殺を完成させた。
けっして、これみよがしのジャンピングスローなどしない。丁寧にボールを捕って投げる意識が徹底しているのだ。
課題は何度も言うようにクセの強いバッティング。即プロ入りより、大学か社会人を挟んだほうがいい選手だと思う。
posted by koshien2009 |02:35 |
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2009年07月23日
7月23日 大阪府大会 3回戦 (万博球場)
関大一 5-0 摂津
レポート 氏原英明
PL学園の試合が終わった後は、万博球場に場所を移して、関大一-摂津戦をみた。
関大一の遊撃手・西田を見に行くためだ。
ことしの大阪大会には逸材が少ないと噂されている。ドラフト候補と呼ばれる選手は数えるほどで、各球団のスカウトは四苦八苦しているという。
そのスカウトの悩みを解消してくれるのが、この西田である。
西田は1回戦の第1打席でいきなり3点本塁打を放ったかと思えば、サイクル安打を達成。
相手が格下だったとはいえ、この夏、初スイングでホームランを打つ華々しさといい、大記録達成といい、「何か持っている選手」であることは間違いない。
この春まで、大阪を代表する野手といえば金光大阪の陽川であったが、完全に逆転した形だ。
まず、目を引いたのが試合前のノックでの併殺プレー。二遊間のゴロを自らベースを踏んで、一塁へ送球するという一連の動きで、西田のプレーは一切止まらない。
ボールを捕ってから、ベースを見ずに踏んでいる印象で、その身のこなしにほれぼれした。プレー一つひとつを頭でやるのではなく、体で覚え、実践している。グラブさばきも同じで、グラブを他方に上手く扱う。まるで曲芸師のようである。
中学時代のチーム関係者に聞くと、
「いろんなことを、何でも野球につなげる選手」
だそうだ。
例えば、ボール拾いをするときでも、グラブを使っていたという。ボールをグラブで拾い上げ、持ち替える、カゴにスナップで入れる、トスで入れるなど、常にフィールドでのプレーのことを考えていたという。
どんな些細なことも野球につなげて、技術向上に取り組む姿勢は、それこそ、一流選手の証だ。シートノックでの身のこなし方や、プレーの感覚が優れているのは、そうした日ごろの心掛けがつながっているのだろう。
また、均整のとれた体格は、まさに「大型遊撃手」という言葉が似合う。かといって、さっきまで書いたような器用さを併せ持つのだから、フィールド上で輝いて見えるのも無理のないことだ。
一方、1回戦で爆発したバッティング面。きょうは4打数1安打と本塁打はなし。
1回戦でのド派手な活躍を念頭に置きすぎると、物足りない印象はするが、1打席目は相手投手の超スロボールをためて、中堅ライナー。第2打席はまた同じ球を強振し、今度は左翼前へ運んだ。
普通、ああいう遅い球の遊び球は無視するケースがほとんどだが、「それをやったら相手の思うつぼ」と、ゲーム感覚にも優れた要素を見せる。
ミートポイントはどちらかというとキャッチャー寄りで、鞭のようにしなるバットスイングの速さで、ポイントの近さを補っている印象である。
これからは厳しい戦いが待っている。きょうなどはテレビの取材も受けていたし、サイクル安打を達成して以降、メディアの露出も多くなってきている。
注目度は日増しに上がっていくだろうし、そうなれば、当然、他校からのマークもきつくなる。その中で、どう結果を残すことができるのかが、注目ポイントだ。
大阪NO1野手のこれからに、まだまだ目が離せそうもない。
posted by koshien2009 |23:16 |
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2009年07月23日
7月23日 大阪府大会3回戦 (南港中央球場)
PL学園 6-1 泉尾工
レポート 氏原英明
きょうは大阪大会を2会場にまたがって観戦してきた。
南港中央球場の第1試合はPL学園と泉尾工が対戦。
PL学園は、今年のセンバツの出場校で春季大阪府大会の覇者にして、優勝候補の筆頭格である。
対戦相手である泉尾工は、僕が現役だった15年ほど前は、公立にしてはそれなりに力のある学校だったのを覚えている。
当時の泉尾工までの力はなかったが、エース右腕・富田は魅力的な球を投げ込んでいた。
ストレートは130キロ前後くらいだろうか。そこに、緩急の利いた二つのスライダーを投げ込む。
PL学園がこういう投手をどう打ち崩すか、非常に興味のある試合だった。
王者・PL学園はセンバツ出場時から、すこしメンバーのテコ入れをしている。
「清原2世」といわれた勧野がベンチを外れ、エース左腕・中野がけがで登板のメドが立っていない。
逆に、昨秋のレギュラーで、このセンバツをけがで欠場した三塁手の村田が復帰して4番に座る。
また、間合いの取れる捕手に武井を入れて、正捕手の藤本との2人捕手制を敷き、藤本がマスクをかぶらない場合はバッティングを生かすために外野を兼務。
投手陣では2年生の難波が台頭した。
試合はPL学園が1回表に先制する。 失策と四死球で満塁とすると、6番・中井が右翼線にポトリと落ちるラッキーヒットで2点を先制した。
泉尾工側からすれば、即座に反撃して1点を返しただけに、悔やまれる序盤のミスである。
ここからは泉尾工・富田とPL学園・難波の投げ合い。
力で勝るPL学園だったが、富田のアウトローへの投げ分けが素晴らしく、打ち崩せなかった。
難波は安定したピッチングを見せ、5回まで0行進で緊張の展開が続いた。
試合が動いたのは6回裏、5回を終えて100球を超え、疲れの見える富田にPL打線が畳みかける。
2つの四球と9番・石崎の安打で二死満塁とすると、2番・安田が走者一掃の3点適時打。1-3からストライクを取りに来たストレートを逃さずにはじき返した。
これで、試合は決まった。
反撃する力がない泉尾工に対し、PL学園はさらに1点を加えて、とどめを刺したのだった。
この試合、途中までが拮抗したのは泉尾工の先発・富田の好投があったからだ。
しかし、それでもPL学園には目算があった。富田の球数が多いことを見抜き、疲れが見えた所に畳みかけたのだ。
ここに王者・PL学園の試合巧者としての戦い方が見える。
もっとも、先発の難波が1失点してから粘り強く投げ抜き、チャンスらしいチャンスを与えなかったのも大きな勝因だろう。
ただ、全国の頂点を目指すと考えた時、PLに対して強いというイメージを持つファンは、序盤から得点を取れなかったところに物足りなさを感じたであろう。実際、重たい空気があったのは否めない。
だが、夏は勝てばいい。
こういう戦いで勝ちを拾っていき、調子を上げていけばいい。
エースの中野の復帰が実現するかは分からないが、PL学園には全国制覇をするだけのタレントがそろっている。
重たい雰囲気を打破して、最後の夏への想いを爆発させられるか。
追随する、履正社、大産大附、関大北陽ら第二集団の調子が良いだけに、エンジンの回転数を上げたい。
posted by koshien2009 |21:37 |
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2009年07月23日
関大北陽のエースナンバーを背負う笛吹投手
参考記事 「関大北陽 「2強」の壁を破るか」
撮影 氏原英明
posted by koshien2009 |11:17 |
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2009年07月23日
PL・大阪桐蔭の2強に立ち向かう関大北陽の加納捕手
参考記事「関大北陽 「2強」の壁を破るか」(7.23update)
撮影 氏原英明
posted by koshien2009 |11:10 |
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2009年07月22日
7月22日 大阪府大会 3回戦 (舞洲球場)
関大北陽 3-1 大阪
レポート 氏原英明
きょうは、奈良大会・準々決勝第1試合を5回まで観戦したのち、大阪大会へ移動。ことし、「大型チーム」として評判の高い関大北陽を見にいった。
奈良大会の会場がある橿原球場から目当ての関大北陽が登場する舞洲球場まではおよそ、1時間半。
その車中では緊張の時が続いた。
というのも、きょうは大阪大会の別会場で大阪桐蔭が登場。苦戦を強いられていたのだ。8回表の時点で、大阪桐蔭は8-10のビハインド。番狂わせの匂いがした。
また、遠く長崎大会では、センバツ覇者・清峰が長崎日大の前に、1-3でリードされているという情報も入った。昨夏と今春のチャンピオンが同時に敗退するのか、やきもきしたものだ。
清峰は敗れたものの、大阪桐蔭は勝ち、同時の敗退は免れたが、夏の戦いの怖さを改めて痛感した。
長崎日大と戦った清峰はともかく、大阪桐蔭の対戦相手は公立校の春日丘だった。
そんな思いを巡らせながら、舞洲球場についてみると、センバツ出場校の金光大阪が苦戦していた。
6回終了時点で0-2の2点ビハインド。大阪学院の変則派右腕・佐藤に手こずっていた。
9回裏に追いつき、延長15回でも決着がつかず再試合となったが、この試合もまた、夏の怖さを感じた。
前評判など、何の力もくれない、ということだ。
さて、お目当ての関大北陽である。
このチームが大型といわれるのは、4人の安定した投手陣と大型捕手・加納、切れ目のない打線の存在がそう言われるゆえんだ。
特に僕が注目したのはバッテリーで、その能力の高さには驚かされた。
先発に立った2年生右腕・畑瀬は135キロ台中盤ほどのストレートとカーブ、スライダーが特徴の本格派。
球速はさほどないが、肘がしなっているからスピード以上のキレを感じる。 投球フォームも見た目に、バランスがとれていて、見栄えは抜群だ。
しかし、きょうは、制球が定まっていなかった。前の試合が長引いた影響があってもおかしくはない。彼らは高校生だから。
そこに、拍車をかけるように新納監督の怒声が響く。指揮官の思惑は「待たされた分の切れた緊張の糸を戻すため」だったそうだが、2年生右腕は余計に力んでしまっていた。
2回途中で降板。まだ失点していたわけではなかったので、この時点での降板は少し残念。彼の評価はまた次の機会においておこうと思う。
代わりに登板した3年生右腕・中村は後続をきっちりと抑え、流れを作った。タイプとしては畑瀬とそう変わらないが、畑瀬ほどのストレートのキレはないながらに、内・外の使い分けが上手い。
こういう投手が背番号「12」をつけているんだから、ことしの関大北陽投手陣は相当分厚い。
中村は7回までを1失点で抑え役割を果たした。
最後に登板したのがエースナンバーをつけた笛吹。
畑瀬が怪腕なら、笛吹は剛腕。重みのあるストレートとスライダー、チェンジアップで勝負する。ストッパータイプに合いそうだ。
3年生だし、最後の意地に掛けて、締めてくれそうなタイプだ。昨年冬に手術をしたと聞くが、あれだけ腕を振れたら問題ないだろう。実に豪華な陣容といえる。
次に注目したのが捕手・加納。183㌢83㌔の体型は、立ち姿を見ただけでも大型選手の印象。雰囲気もある。
だが、なにより目を引いたのが捕手として声を掛けまくる姿勢が良い。しかも、その掛け方は優しくない。厳しい言葉でチームを引き締める司令塔である。そうでないと、4人いる投手のリーダーシップを取れないのだろう。
昨今のキャッチャーを見ていると、二塁へのスローイングばかりに目を奪われ、こうした「仕切り」ができないキャッチャーが多い。
そういう点では加納の捕手としての声掛けには目を引くものがあった。
もちろん、スローイングも大切。きょうの加納はタイムを測られるのを避けたいのか、ボールを捕ってからは素早くしながらも、投げに行く時には手を抜いていた。
一方、試合展開はというと苦戦だった。
練習試合で大勝していたという大阪高に対し、油断もあっただろうし、新納監督の叱咤激励が空回りした部分もあっただろう。観客席に元阪神監督で同校OBの岡田彰布氏が観戦に来ていたことも作用しただろうか。得点を奪えず、いいリズムで試合ができていなかった。
8回表の時点で1-1。試合の行方は分からない展開であった。
これを打破したのが5番・中山。8回裏、先頭の川西が左翼前安打で出塁、犠打で二進、3番・山崎中堅飛球、4番・西村四球で回ってきた。 中山は初球を打って、右中間を破る適時三塁打。重たい空気を吹き払った。こうした終盤の精神戦で力を発揮できる選手は強い。
新納監督も
「もっとやれる、能力のある選手なのに、結果が出ていなかった。これで、今後が楽しみ」
と、目を細めていた。
「大型チーム」という評判を聞いてその強さを確かめたかった関大北陽。
畑瀬の途中降板など、まだ推し量れない部分はあったが、確かに力はあるなと感じるチームだった。
PL学園、大阪桐蔭の2強の評判ばかりが先行することしの大阪。関大北陽はどこまで迫ることができるだろうか。
posted by koshien2009 |20:44 |
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