2009年07月30日
7月30日 西東京大会 決勝 (神宮球場)
日大三19-2日大二
レポート 小関順二
前日の<帝京24-1都雪谷>戦は、日刊スポーツ紙によると、夏の都道府県大会決勝戦としては戦後最大の大量得点だったという。
「主な大量得点」と表で紹介されているのは1917(大正6)~1936(昭和11)年のものばかりで、最近のものでは91(平成3)年に富山商が22対2で不二越工を下した試合が目につく程度だ。
こんなことを前日に続いて書くのは、この日の西東京大会決勝も大量得点差で勝負がついたからである。
「今日こそは気分がダレたでしょう」
と言われそうだが、大丈夫だった。日大三の選手たちが非常によく見えたからだ。
打者では1番内山翔平(三塁手・右投左打)、2番角鴻太郎(左翼手・右投左打)、3番日下京祐(中堅手・右投左打)、4番吉田裕太(捕手・右投右打)、6番大熊征悟(右翼手・右投左打)の3年生5人が軒並み高い能力を備えていた。
内山は一本足にするときの足上げが急なこと、角は足を上げてから宙を蹴る動きが、日下は金本知憲(阪神)のようなヘッドを前後に小さく揺らす動きが差し込まれる原因になるような気もするが、この日に限っては悪い結果を招き寄せる要因にはならなかった。
吉田と大熊に関しては悪いところさえ見当たらなかった。
140キロ以上のストレートとキレのいい変化球を備えた本格派と対戦したらどうなるのか考えたが、これは意地の悪い想像ではなく、純粋に「見てみたい」という好奇心からだ。
吉田は三塁打が出ればサイクル安打達成という大活躍でひときわ目を引いた。
第1打席のホームランは0-1から投じられた真ん中低めのストレートを十分すぎるほど呼び込んでからとらえた一撃で、左中間スタンドの下段と中段の境にある通路まで飛んで行った。
飛距離を出すには確実性を犠牲にしてポイントを前(投手寄り)に置くのが常識だが、吉田の一撃は捕手寄りのポイントでとらえたもの。押し込む力が並大抵でないことを証明している。
捕手の能力にも目を向けると、イニング間の二塁送球は計測した7本のうち5本が2・0秒台だった。
捕ってから投げるまでの体勢は素早く作るが、スローイングはゆっくりとした山なりの軌道。
それでも2・0秒台のタイムを記録するのだから、なかなかの強い肩と言っていいだろう。
投手の関谷亮太(右投右打)にも触れると、昨年5月に行われた関東大会(市柏戦)で記録したストレートのMAXは132キロ。
同日、甲斐拓哉(東海大三→オリックス)の140キロ台後半のストレートを見たこともあるが、力不足を露呈した関谷の前途は多難だと思った。
それから1年2カ月がたち甲斐に追いついたとはとても言えないが、本格派の投手らしくなってきたなとは思う。
この日のストレートの最速は142キロ。変化球は120キロ程度の縦割れスライダーとチェンジアップ、そしてスローカーブがあり、緩急を交えながら7人いる右打者の内角を執拗に突くピッチングが目立った。
昨年5月も内角攻めに熱心だったが、ヘッドアップと左肩の早い開きがあり、内角球が抜けるのではないかと思いヒヤヒヤしながら見ていた覚えがある。
それからすると随分成長した。
今年の東京勢はやりそうな予感がする。
posted by koshien2009 |21:19 |
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2009年07月26日
7月26日 西東京大会 準々決勝 (神宮球場)
日大三 13-1 東亜学園
レポート 鷲崎文彦
05年に夏3連覇を果たして以来、甲子園から見放されている日大三。昨夏は準決勝で早稲田実業に逆転負けを喫したが、主戦投手を務めてきた関谷と塚田が残り、今春のセンバツも有力視されていた。 だが、秋は1次予選こそ危なげなく勝ちあがるも、本大会では1回戦で日大鶴ヶ丘に5対14で屈辱の8回コールド負け。
関谷と塚田が2回までに11点を失うという予想だにしない展開だった。
それがよほどの薬になったのだろう、冬を越えてからは本来の姿を取り戻してきた。春の都大会を制して第1シードで臨んだこの夏もここまですべて5回コールド勝ち(初戦の2回戦・都日野台戦11対0、3回戦・都調布南戦12対0、4回戦・創価戦11対0)。
強い三高を見せつける。小倉監督の頭の中には勝ち抜くことは当然で、相手を寄せつけずに圧勝して甲子園まで繋げたい、そんな思いがあるのではないだろうか。
試合前、選手がアップする中、東亜学園の監督と少し話をするシーンがあったのだが、小倉監督は笑顔を見せるなど余裕たっぷりといった様子だった。
試合は日大三が初回から主導権を握る。四球と相手のエラーでチャンスをもらうと、3番の日下が先制の2点タイムリー。さらにヒットを連ねて5得点。バッターはみな、トップの位置を肩口に残してボールを捕えに行くことが徹底されていた。
2回は1点を追加した後の2死1塁から盗塁を決め、次打者がタイムリーヒットを放つ効率の良い攻撃。
4回に2点を奪って1死1、2塁の場面では9-0でもきっちりと送りバントを決める。内野安打で10点目を取ると、続く左打者の角(ヤクルト角富士夫2軍守備走塁コーチの長男)が高めの真っ直ぐを押し込むように打ってライトスタンドへの3ラン。2番打者とは思えない豪快な1発で13-0。
東亜は4回戦でセンバツに出場した早実を10-0で6回コールド勝ち(前日は5回表を終わって3対8で劣勢も雨のため再試合になる運が味方したとはいえ)したチームである。
初回と5回には満塁のピンチもあったが結局、得点を許したのは4回の1点のみだった。
まさに圧勝だったのだが、小倉監督はこの1点を失ったシーンを納得していない様子だった。
セカンドの悪送球が絡んでのものだったのだが、1塁ランナーが送球を妨害したとセカンドが審判にアピール。にも関わらず審判団からしっかりとした説明が得られなかったからだ。
点差を考えれば大勢に影響はないが、常に1点にこだわる指揮官の姿勢がチームに浸透していることをうかがわせた。
各地で本命と目される高校の敗退が相次いでいるが、西東京の大本命は崩れそうにない。
posted by koshien2009 |21:44 |
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2009年07月24日
3ラン本塁打を放った八王子・小川裕生
参考記事:八王子を勝利に導いた「4番のひと振り
」(7.23update)
撮影:鷲崎文彦
posted by koshien2009 |10:43 |
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2009年07月23日
7月23日 西東京大会 4回戦
八王子 8-7 日大鶴ヶ丘
レポート 鷲崎文彦
遠投104メートル、50メートル6秒0と身体能力が高く、「走・攻・守」三拍子揃った左の中距離ヒッターとして注目されている八王子の4番・小川裕生。
本来は1番タイプの選手だが、この日は4番として、しっかりと仕事をした。
初回1死1、2塁で打席に立った1打席目はサードゴロ。2打席目は3回の2死3塁。前を打つ3番の南嶋の好判断で生まれたチャンスだった。南嶋はショートへの内野安打性の当たりを放ち、1塁への送球が逸れたのを見て2塁へ。ボールが2塁へ送られてくるが南嶋はスタンディング・スライディングでいち早くベースへ到達。
2死2塁、と誰もが思った瞬間、南嶋は立ち上がった勢いを一切緩めずに3塁へと疾走する。サードベースに誰も入っていないことを瞬時に確認していたのだ。
日ごろから意識していないとできない質の高いプレーだ。
1、2回とも両軍、得点圏に走者を進めながら無得点だっただけに、相手のミスに乗じて4番に1本が出れば八王子に流れが傾く場面。だが、小川の打球はライナーでショートのグラブに吸い込まれた。
3打席目は南嶋の3ランで1点差に迫った直後。初球にセーフティバントを試みファーストゴロ。動揺する相手の意表を突いたのだろうが、ピッチャーとしてはここはじっくり構えられた方が嫌だったはず。以前は1番を打っており、セーフティバントの選択は1番打者の感覚。もっとも適性があるのは1番打者だと思うが、この日は4番。見ている方と
しては少し物足りなく映ってしまった。
しかし、3対5と2点をリードされて迎えた7回の4打席目。1死1、3塁。1番打者ならヒットで繋ごうとするケースだが、4番打者に求められるものは長打だ。小川はカウント1-2からの甘いコースに入った投手の失投を見逃さずに強振。ライナーでライトスタンドへ運んだ。
逆転3ラン。
第1、2打席ではセンターからレフト方向へ逆らわずにミートしようとしていた小川が、この打席では長打を狙ったかのようなひと振りで試合をひっくり返した。
小川が4番を打つのはこの夏が最後だろうが、どこまで4番打者の働きができるかで八王子の今後が左右されそうだ。
posted by koshien2009 |22:31 |
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2009年07月17日
7月17日 西東京大会 一回戦 府中市民球場
早稲田実10-3実践学園(7回コールド)
レポート 小関順二
さて今日は、首都圏の神奈川、埼玉の試合がなく、千葉は1試合だけだったので、足は自然と西東京大会が行われている府中球場に向かった。目当ては第2試合の実践学園対早稲田実戦。中でも早稲田実の2年生投手、小野田俊介(右投右打)のピッチングが見たかった。しかし、先発は同じ2年生の鈴木健介で、小野田は5番・右翼手でスタメン出場していた。
試合は淡々と進行していく。4回まで実践学園が2対1とリードし、「もしかしたらもしかするな」とひとりごちるが、その言葉にどれほどの重みも感じていない。何となく、決まり文句のような言葉を吐いて、単調な試合に刺激を与えようとしていたのだ。
そういえば、この試合も空振りが少ないとぼんやり思った。このことは数日来頭の中を占めていたことで、高校野球の試合で「ストライク」はほとんど見逃しとファールである。2ストライクに追い込まれてからの空振り、つまり空振りの三振は珍しくないのだが、カウントを作る段階での空振りは、よほどの快速球投手や物凄い変化球投手を相手にしたとき以外は少ない。
たとえば、7月15日の千葉大会、流山おおたかの森対拓大紅陵戦のストライクの内訳は次の通りである。
◇流山おおたかの森……見逃し22(49%)、ファール19(42%)、空振り4(9%)
◇拓大紅陵……見逃し30(59%)、ファール21(41%)
その2日前の13日に行われた佐野対宇都宮東戦も見てみよう(4回裏から調査)。
◇宇都宮東……見逃し7(32%)、ファール10(45%)、空振り5(23%)
◇佐野……見逃し17(63%)、ファール10(37%)
おわかりのように、拓大紅陵と佐野は2ストライク以前の空振りは1つもない。4校の投手はごく平均的な投手ばかりである。どうして、2ストライク以前の空振りが少ないのかというと、小学校、中学校、高校の指導者から「空振りは悪」と教え込まれてきたからだろう。このことは「右投左打」の激増ともリンクした問題で、合理性を追い求めるあまり、日本の野球がいびつになりつつあることを示している。いつかまとめて書こうと思っているが、スタメンのうち3~6番打者くらいは空振りをいとわないフルスイングをしてもいいのではないかと思っている。
さて早稲田実の小野田だが、10対3になった6回裏からリリーフのマウンドに立った。右翼を守っていたこともあり本格的なピッチング練習はしていない。5回表の攻撃のときブルペンに入っただけだ。当然、肩はできていないから先頭打者にストレートの四球を与え、7回には2人の打者に四球を与えピンチを招いている。
左肩上がりと軽いヘッドアップがあるので、リリースで押さえ込まないとボールは高く上ずってしまうが、押さえ込もうとしすぎると低めへの伸びを欠いたストレートが打ちごろの球になってしまう。言ってしまえば、小野田は試合前の投げ込みを必要とする投手である。つまり、投げないときは野手としてクリーンアップを打つ、という起用法には向かない投手だと思う。
リリースで押さえ込めたときのストレートは一級品だ。縦割れのスライダーも腕が振れ全国レベル。代わりっ端、先頭打者に0-3になるとノーワインドアップをセットポジションに変えるという修正に取り組む姿勢もいい。この次は用意万端整った先発投手としての勇姿を見てみたい。
posted by koshien2009 |23:33 |
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