2009年07月14日
7月14日 埼玉大会 2回戦 県大宮公園球場
春日部共栄 12-0 小松原 (5回コールド)
レポート 小関順二
関東屈指、というよりドラフト1位候補といったほうがピンとくる。春日部共栄のエース、中村勝(右投右打)のことだ。この日の相手、小松原は昨秋が地区予選1回戦、今春が地区予選2回戦敗退校である。興味は勝敗ではなく、中村がどんなピッチングをするかにあった。
◇1回裏→1、2番がストレートを空振り、3番がストレートを見逃し
◇2回裏→4番がストレートを見逃し、5番がスライダーを見逃し、6番がストレートを空振り
◇3回裏→7番がストレートを空振り、8番がスライダーを空振り、9番がストレートを見逃し
何と9者連続三振に切って取り、4回裏は1番が二飛、2番が中前打で初出塁を許すが、3、4番をストレートで空振りの三振に仕留め、4回投げ11奪三振と上々の滑り出しを見せた。
自己最速は143キロ。この日の最速は4回に4番を空振りの三振に仕留めたときの141キロ。今村猛(清峰)、菊池雄星(花巻東)の152キロにくらべると平凡だが、一度そのピッチングを見た人間には印象が強烈に残る。
球持ちがいい、というピッチングをどういう言葉で表現したらいいのだろう。「腕を振っているのにボールが出てこず、あれ?と訝った直後にボールが飛び出てくる」――自分が打席に立って、中村と対峙している状態を想像してほしい。そんなボールが打てるだろうか。左肩の早い開きを抑え、ボールの出どころを見えにくくしているためこういう芸当ができる。
これに100キロ未満のスローカーブ、120~125キロの横スライダー、さらに超高校級と言っても過言でない真縦に割れるスライダーを交え、これらが自己主張せず渾然一体となって共鳴し合う、つまりアンサンブルを奏でる。今年のビッグ2が今村、菊池の2人であることに異論はないが、ここに中村の名前を加えてもまったく違和感がないのはそういう緩急の妙と、それを可能にした百点満点の投球フォームを見せられてきたためだ。
ちなみに、この日はバッティングでも6打点を挙げる活躍で、勝負強さをたっぷりと見せつけた。ただし、一塁到達時のタイムはいずれも5秒台だから足は速くない、というより遅い。ピッチングでは一塁に走者を置いたときのクイックが1・25~1・35秒と、これも遅い。ストップウオッチが映し出すプレーをどう充実させていくか、本格派右腕に残された数少ない課題である。
posted by koshien2009 |16:52 |
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2009年07月13日
7月11日 埼玉県大会1回戦
鷲宮6-0熊谷商
レポート 小関順二
第1試合に登場する昨年夏の甲子園出場校・本庄一を見ようと、熊谷公園球場には立ち見客も出るほどの観衆が押し寄せた。
多くの観客が注目するのはマスコミに取り上げられることが多いブラジルから来た留学生コンビ、伊藤ディエゴ(投手)と奥田ペドロ(遊撃手)。
しかし、ここで取り上げるのは第2試合に登場した鷲宮の2年生スラッガー、谷澤由浩(三塁手・右投左打)だ。
4月27日に行われた春季埼玉県大会の花咲徳栄戦でも見ている選手だが、観戦ノートには記述が一切ない。
たとえば、鷲宮のエース・野本幸保なら「スライダーのときヒジが下がり、左肩の開きが早くなる。このスライダーを多投。3回はほとんどスライダー。投球フォームがいいので、体作りが進めば化ける可能性がある」という記述がある。
しかし、4番でスタメン出場している谷澤のことは一切触れていない。よさが見えなかったのである。
それがわずか40日余で印象が大きく変わった。
一言で言えば、上半身から力が抜けている。左手の人差し指を立てることで腕力を封じ、引き手を使えるようにしているのが心憎い。好打者の必須条件「ステップをゆっくり出す」も心得ていて、3回に放った満塁ホームランは緩急で攻められたあとの低めストレートを十分すぎるほど呼び込んで捉えた百点満点の一発。
ステップする前足を外に出すことによって体を開くアウトステップ(懐を空けて内角球に対応しようとする打ち方)、あるいはグリップの位置を下げるヒッチ(リストを利かせようとする打ち方)さらにバットを大きく引いたり、忙しく動かしたり――という「やってはいけない」打ち方をまったくと言っていいほどしない。
それでいて180センチ、76キロの体が打席の中で窮屈に見えない。ゆったりと立ち、ゆったりとボールを捉えているのである。こういう選手が背番号「13」をつけて4番に座っている。鷲宮の充実を感じないわけにはいかない。
試合への参加意識が最もよく表れる打者走者の走塁にも目を向けると、鷲宮の選手がこの試合で全力疾走(一塁到達4・29秒未満、二塁到達8・29秒未満、三塁到達12・29秒未満)したと認められるのは、1番野本拓也が3回、2番小森直矢が3回、3番園原裕太が1回、7番鳥海貞治が1回の計4人・8回。
対戦相手の古豪・熊谷商が2人・3回だから、選手個々の試合への参加意識には大きな開きがあると言っていい。ちなみに、谷澤は2度の一塁ゴロで4・68秒、4・60秒という記録が残っている。もちろん、これはすぐにでも改善してもらいたい。
posted by koshien2009 |21:54 |
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2009年07月13日
7月11日 埼玉県大会 1回戦
立教新座9-2所沢(7回コールド)
レポート 鷲崎文彦
早稲田実業(西東京)、慶応(神奈川)と、六大学の付属校が力をつけている中、埼玉の立教新座も夏の大会では一昨年ベスト8、昨年準優勝と成績を伸ばしている。
昨夏の県予選全6試合を1人で投げきるなど、原動力となった大エースの岡部(立教大学)が抜けたものの、5人のレギュラーが残っており、新エース・矢部にかかる期待は大きい。
スリークォーターからクセのある球を投げ込んでいた岡部とは対照的に、矢部はオーソドックスな投法の右腕。細かい特徴を挙げれば常にセットポジションであることと、体が開かないようにとの意識からか、左足をスパイク約1足分1塁側に引いていること。ストレートはMAX140キロとの評判だが、この日の立ち上がりの球速はそこまで出ておらず、目測で130キロ台前半~中盤だった。
ただ、初戦の緊張なのか、スロースターターなのか、3回あたりから球が走り出し、おそらく130キロ後半のボールが行っていた。変化球はスライダーを多めにカーブも投げ、キレはまずまず。身長も180センチ近くあり、左足の踏み込みがしっかりしていて投げ終わってもバランスを崩すようなことはない。
ピンチを抑えたとき以外にも先頭打者を三振に取った際に空に向かって右手を突き上げたりと、時として求められる強気な面もある。しかし、その割りには強豪校ではない相手に圧倒するようなピッチングはできていなかった。
理由を推測すれば球持ちが長いほうではないため、相手打者に球速ほどのスピード感を与えられなかったのではないか。歩幅を少し広げるなり、そのあたりに今後の向上の余地がありそうだ。それからピッチャーの生命線であるコントロール。四球を多く出すとこまではいかないもののボール球が少なくなく、球数が増えていた。7回の1イニングを投げて1失点の八木原を始め、この試合でブルペンで肩を作っていた投手を見る限りは矢部とその他の投手の力の差がありそう。
先輩の岡部のように大黒柱となって暑い夏を乗り切るためには球数を抑え、スタミナの消耗を少しでも避ける必要があるはずだ。

posted by koshien2009 |20:25 |
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