2009年07月30日
7月29日 神奈川大会 決勝(横浜スタジアム)
横浜隼人 6-5 桐蔭学園(延長11回)
レポート 鷲崎文彦
横浜隼人の桐蔭投手陣攻略法は初回から明確だった。
1回表にエラーが絡んで先制点を桐蔭に許した隼人。嫌な空気が漂うがその裏、2番の與那覇明が死球で出塁すると、さっそく動きを開始する。
大きなリードを取り、桐蔭先発左腕の能間隆彰に揺さぶりをかける。 能間も牽制球を挟むが、與那覇はクセを見抜いているかのような好スタート。あっさりと2塁を奪う。
すると3番の船木吉裕がカーブをおっつけてライト前に同点タイムリーを放つ。重苦しい雰囲気が消えた。
さらに船木もリードを大きくし、スタートを切る動きを見せてプレッシャーをかける。ここは併殺打で終わるも、隼人はその後も足で182センチの能間を押しつぶそうとするのだ。
初優勝への緊張からか、動きが硬い隼人は2回にもミスが出る。
1死1塁からセカンドとライトのちょうど間に上がったフライを捕れずに1、2塁としてしまう。
ホームからライトへ強い風が吹いていたのだからライトが捕球にいくのが無理がなかったのだが、ライトの山口諒治はセカンドに任せてしまった。
記録はヒットだが、こういうミスを強豪校は見逃してくれない。2本のタイムリー2ベースで3点をリードされた。
それでも3回裏。2死ながら1塁ランナーの森勇二がカウント0-1から抜群のスタートで盗塁に成功する。
これには能間もイラついているように見えた。
次打者に四球を与えてしまうと、船木に今度は2点タイムリー2ベースを打たれる。
さらに4番の大野康太にもタイムリーが飛び出し同点。桐蔭ベンチは早くも能間を諦めて長身の右横手・船本一樹にスイッチする。
ピッチャーが船本に代わっても隼人の”足攻め”は変わらなかった。 5回に再び1点を勝ち越されるも、6回裏に先頭打者がヒットで出塁したときには次打者にバントのサインを出さずに強攻。
フライでランナーを進められなかったが、次の打者のときに2盗を決める。得点にこそならなかったが、船本にもランナーからの攻めを継続する。
試合は8回に山口の起死回生の同点ホームランが生まれて延長戦に突入する。
低めに丁寧に投げるのが持ち味の船本の制球は9回裏あたりから徐々に乱れ、ボールが先行する場面が多くなる。
疲れもあるのだろうが、ランナーからの圧力も無縁ではなかったはずだ。
後攻の隼人は1点を勝ち越せば即、勝利となる10回裏も攻め方は同じ。無死1塁で打席には4番の大野。
状況を考えれば4番でもバントという選択があっても不思議ではなかったが、バントのサインは出ない。結局、センターフライ。
すると続く打者のときに1塁ランナーの船木がまたも走って得点圏にランナーを進めるのだ。
続く山口はライトライナー、途中出場していた細野貴也はライト前へ痛烈なヒットを放つも2塁ランナーは本塁で憤死。
試合を決められなかったが、船本の甘くなったボールを隼人打線がきっちりと打ち返し、いい当たりが続いた。
そして、11回裏。先頭打者の当たりはあわやセンターオーバーかという大飛球も相手の好捕にあって1死。次打者はファーストライナーで2死。しかし、1番の森がヒットで出塁する。
桐蔭バッテリーもわかっている。しかし、森はスタートを切る。隼人6個目の盗塁が決まる。2死2塁。
続く與那覇の叩きつけた打球はセカンドの正面。しかし。合わせるのが難しいバウンドとなってセカンドが後逸。
森が一気にホームに辿り着いた。
この日の隼人の犠打数はゼロ。目を奪われるほど徹底的に足を使って桐蔭を凌駕したわけだが、優勝候補だった横浜、桐光学園などを破った準決勝までの6試合での犠打数は11。
まったく犠打を使わないチームというわけではない。
甲子園ではいったいどんな戦い方をするのか、注目してみたい。
posted by koshien2009 |12:47 |
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2009年07月29日
7月28日 神奈川大会 準決勝 (横浜スタジアム)
桐蔭学園 9-7 横浜創学館
レポート 小関順二
ここ数日の天気を考えれば、一番忘れてはいけないのが傘だった。しかし、バッグの中にない。忘れたらとんでもないことになる、と外出前に確認したことまで覚えているのに……
ない。第1試合の3回裏、試合が中断されるほど雨がザアザア降ってきても身を守るものが何もない。傘がないとは、これほど不安な気持ちにさせるものかと思い知らされた。
このまま帰ろうかと思ったが、第1試合の横浜隼人対桐光学園、第2試合の横浜創学館対桐蔭学園という好カードを目の前にして帰れるわけがない。
そして、第2試合が終わったあと、心の底から「ああ、面白かった」と思った。
「野球は8対7が面白い」と言ったのはアメリカの32代大統領、フランクリン・ルーズベルトだが、僕は3対2くらいが一番面白いと思っている。
しかし、9対7で勝負が決まったこの桐蔭学園対横浜創学館戦は掛け値なしに面白かった。
5回表が終わった時点では6対2で横浜創学館がリード。
5回裏に桐蔭学園が2点を返して6対4になるが、6回表に横浜創学館が1点入れて7対4と突き放し、試合は完全に横浜創学館のペースで進んでいく。
しかし、6回裏、横浜創学館の2年生左腕、中嶋涼太が突如としてコントロールを乱し、試合の行方はわからなくなる。
中村葵四球、後藤佑一朗死球、船本一樹バントで1死二、三塁のチャンスを作ると、9番坂田海都が右前タイムリーで1点返し、さらに一、三塁に走者を残すと1番田畑秀也が起死回生の逆転3ランを放ち、試合は完全に桐蔭学園のペースになった。
大技だけではない。このホームランのあと得点にこそならなかったが2番影山潤二がバント安打を記録し、このときの一塁到達が3・87秒という速さだった。
まさに大技、小技を駆使して難敵に揺さぶりをかけ、8回には田畑の2打席連続ホームランが飛び出し、食い下がる横浜創学館を振り切って99(平成11)年以来、10年ぶりの決勝進出を果たすのである。
この面白いゲームの立役者は横浜創学館なら7月16日にも紹介した圓垣内(えんがうち)学(一塁手)、谷恭兵(右翼手)と、松尾友樹(左翼手・右投左打)の3人で、勝ち残った桐蔭学園なら田畑(二塁手・右投左打)、石川良平(捕手・右投右打)、石田大祐(左翼手・左投左打)である。
桐蔭の3人のうち最も高度なバッティングをしたのが石田である。ゆっくり出すステップに特徴があり、第1打席が右中間への2点タイムリー二塁打、第2打席があわや長打というレフトへのライナーと左右広角に打ち分け、ミートポイントは高校生では珍しい捕手寄り。
脱力して構え、体に芯が通るのは打ちに行く直前だから、こういう高度なバッティングができるのである。
posted by koshien2009 |00:02 |
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2009年07月26日
川崎北の3番打者・佐相
参考記事:「名将率いる県立の雄・川崎北 課題は投手陣の充実」(7.25update)
撮影:鷲崎文彦
posted by koshien2009 |19:43 |
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2009年07月25日
7月25日 神奈川県大会 5回戦 (横浜スタジアム)
横浜商大9—4川崎北
レポート鷲崎文彦
神奈川県相模原地区で指導した三つの野球部すべてを全国大会に導き、「中学軟式野球の名将」「打撃の伝道師」と呼ばれた佐相真澄監督が就任して5年目を迎えた県立川崎北。
私立の強豪校に負けない打撃を標榜し、07年秋にはベスト4に入るなど、着々とその差を詰めている。
今年は春季大会でベスト16に入り、夏のシード権を獲得。2回戦から順調に勝ち上がり、4回戦では光明相模原の大型左腕三橋を攻略して、この日の試合に駒を進めてきた。
相手は春準優勝の横浜商大だったが、2回に1点、5回に2点を奪い3対0とリード。そこまでのヒット数はすでに10。みなスイングが鋭く打球が速い。少しくらい詰まっても外野の前まで飛んでいく。その打力はハイレベルの神奈川にあっても上位といえる。
特に1番の塩田のミート力と、3番を打つ佐相監督の息子・健斗の基本に忠実なボールをしっかり上から叩くバッティングは目を引くものがあった。
その一方で投手陣は強豪私学にはまだ及ばない印象を受けた。この試合ではエース番号をつけた原健が先発。
失点こそなかったが、3回2死1、2塁のピンチで2番手の濱田にマウンドを譲っている。その濱田も得点は許さなかった5回2死1、2塁の危機を招いて降板。春まで1番を背負っていた滝口を投入。継投は予定通りだったろうが佐相監督もできればそれぞれもう少し頑張って欲しかったはずだ。
滝口は5回こそ0点で切り抜けたものの6回に捕まる。2死1塁からひとつの死球を挟む5連打で5失点。
エース級ということで信頼したのかもしれないが、途中で代えどきは何度もあった。しかし、残りの投手の力とイニング数を考えたら滝口が抑えることに賭けざるを得なかったのではないか。
7回には1点差に迫るも、8回と9回に計4失点。51年の希望ヶ丘以来、神奈川の県立校の甲子園出場は今年も実現しなかったが、強豪私学の横浜商大から記録した14本のヒットは今後の可能性を感じさせるものだった。
posted by koshien2009 |20:28 |
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2009年07月22日
7月21日 神奈川県大会4回戦(相模原球場)
横浜 9-3 相模原総合
レポート 小関順二
横浜の主砲で、今年のドラフト1位候補・筒香嘉智(三塁手・右投左打)が存分に凄みを発揮した試合である。
4回を終わって相模原総合が3-1でリードする予想外の展開。横浜打線は散発3安打に抑えられ、というよりフライアウト10個という粗っぽい攻めで相手投手を助けていた。
3回の攻撃では1死一塁の場面で、一塁走者の松元航大が二盗を試みるが二塁憤死。甲子園大会で頻繁に目にする負け試合の典型的なパターンである。
この重苦しい空気をひと振りで払ったのが筒香である。
反動を抑え、打席の中で余計な動きを封じ込める合理的なバッティングこそ真骨頂のはずだが、今日の筒香はヘッドを中に入れ、バットを大きく引いて、反動を使っていた。
もちろん、反動は使わないに越したことはないが、それが悪く見えない。合理性を追い求め、ともすれば打席の中で窮屈に見えた筒香のバッティングが、ヘッドを中に入れ、バットを引いて反動を使うことによって生き生きとしはじめたのだ。
1年生の近藤健介(1年生遊撃手・右投左打)が右越え本塁打を放ち2点差に迫った5回、横浜は1死から松元が中前打、無江が死球で無死一、二塁のチャンスを作り、打席に筒香を迎えていた。
筒香のミートポイントは長距離砲らしく捕手寄りにあるが、この場面では投手寄りに置き換えて、確実性より飛距離を出すことに専念していたように見える。
筒香以下の選手がそれまでに放ったヒットは近藤のホームラン1本だけ。連打が期待できなければホームラン狙いで一挙に試合をひっくり返し、重苦しい空気を撥ねのけたいというのが4番打者らしい考え方ではないか。
いわば筒香はこのとき、チームバッティングとしてホームランを狙っていたふしがある。そして、初球の真ん中高めをフルスイングすると、打球は95メートルと表示されたフェンスを楽々と越え、ライト芝生席に飛び込む逆転3ランとなった。
ため息が出た。
狙ってホームランが打てる選手など、天才集団のプロ野球でもそうはいないだろう。
ホームランだけに焦点を当てると筒香のよさが十分に伝わらない恐れがあるので走守にもスポットを当てると、ディフェンス面では相模原総合の各打者が放った三塁へのゴロをことごとく処理して強肩でアウトにし、三塁手の適性を存分に見せつけた。
さらに打者走者としての三塁到達に要した時間は11・97秒という速さである。
菊池雄星(花巻東)、今村猛(清峰)に人気が集まる今ドラフト戦線だが、筒香の存在も無視できないくらい大きくなっている。
入札1位に動く球団が出てきても少しも不思議ではない。
posted by koshien2009 |02:48 |
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2009年07月21日
惜しくも敗れ去った慶應・白村
参考記事「白村を攻め続けた桐蔭学園」(7.21update)
撮影:鷲崎文彦
posted by koshien2009 |13:27 |
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2009年07月21日
7月20日 神奈川県大会 3回戦
桐蔭学園 3-1 慶應義塾
レポート 鷲崎文彦
神奈川県大会の抽選前、多くのシード校が”ある高校”がどこのブロックに入るのかを気にしていた。
夏の大会では99年の出場以来、甲子園から遠ざかっているものの(春は03年に出場)シード校と遜色のない力を持った桐蔭学園のことだ。
春夏合わせて10度甲子園に導いた土屋恵三郎監督が春季県大会後、約2年ぶりに復帰したこともあり、周囲は警戒心を強めていた。
それは昨秋の明治神宮大会を制して今春のセンバツに出場した慶應とて例外ではなかった。
プロのスカウトが注目する慶應の白村明弘の登板、そして何より好ゲームの予感に保土ヶ谷球場のスタンドは試合開始前から満席状
態。開放された外野芝生席もすぐに多くの観客で満たされた。
試合は終盤まで1点を争う展開となった。まず流れを掴んだのは桐蔭。1回裏、コントロールの定まらない白村から先頭の田畑秀也が四球で出塁し、犠打、四球で1死1、2塁のチャンスを得る。
続く打者のファーストへのファールフライで2塁ランナーの田畑が3
塁へ果敢にタッチアップ。さらに盗塁、四球で2死満塁とする。
結局、この回は得点が入らなかったが、桐蔭の積極的なプレーが目を引いた。
白村はストレートの球速は目測で140キロを超えるボールを投じていたが、キャッチャーの構えとは逆のコースに行く球が多く、不安な立ち上がりとなった。
2回、先頭打者が2ベースヒットを放った桐蔭は2死となった後、1番の田畑が詰まりながらもストレートをライト前に運んで1点を先制。
続く打者も低めのストレートを弾き返してセンター前へのヒットで1、2塁。次の打者のときに田畑が白村のモーションを盗んで3塁へスタート。ダブルスチールを成功させる。
追加点は奪えなかったとはいえ、この回も足で白村にプレッシャーをかけた。
3回あたりから白村も徐々に制球が安定し、ランナーがいないときはかなり短い投球間隔でどんどん投げ込むようになる。
相手打者に打席で考えるゆとりを与えないだけでなく、守りから良いリズムを作ることが味方の攻撃に繋がることを当然わかっている。
4回表に慶応は植田忠尚のソロアーチで同点に追いつくと、白村はその裏の桐蔭の攻撃をこの試合で初めて三者凡退に抑える。
試合のペースが慶應に傾きかけていた。
5回表の先頭打者が死球で塁に出る。だが、まさかの牽制死。流れを引き寄せるチャンスを逃してしまう。
桐蔭は白村を揺さぶり続けた。5回裏に四球で無死のランナーを出すと4番にバントのサイン。それが失敗に終わると今度は5番の
打席でエンドランをしかける。フライアウトでランナーを進められないと6番の初球にもエンドラン。結果は凡打に終わるが、バッテリーに気を抜かせない。
6回の1死3塁の好機は点にできなかったが、7回についに均衡
を破る。ヒットと犠打で得点圏にランナーを送り、打席は5番の石田大祐。
カウント1-0から2球目を投げるとき、ショートは牽制で2塁ベースに入っているにもかかわらず白村はキャッチャーへ投球。三遊間は大きく空いてしまっている。外角高めに外れてボールとなるも、この局面でどちらかがサインを間違えるミス。ショートは戸惑いの素振りを隠
せないでいた。
慶應に嫌な空気が漂った気がした。
そして続く3球目。石田の決勝タイムリーが生まれた。
白村は8イニングを投げきったが、そのうち7イニングでランナーを背負い、テンポの良いピッチングを封じられた。桐蔭は白村を攻め続け、最後まで慶應に主導権を渡さなかった。
posted by koshien2009 |10:17 |
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2009年07月21日
7月20日 神奈川県大会 3回戦 (大和引地台球場)
平塚学園 6-1 逗子
レポート 小関順二
神奈川大会の名簿には毎年、地区別に分かれて学校が紹介されている。主な甲子園出場経験校とともに、その地区を紹介していこう(*印は甲子園大会優勝経験校)。
◇川崎地区
*法政二、桐光学園
◇横浜地区
*横浜、*桐蔭学園、慶応、武相、横浜商大高、横浜商
◇湘南地区
*湘南、日大藤沢、藤嶺藤沢
◇北相地区
*東海大相模
◇西湘地区
平塚学園
これ以外にも横須賀地区(逗子、三浦市を含む)があるが、甲子園出場の経験がないのであえて紹介しなかった。
5年前、この横須賀にある湘南学院という学校にMAX147キロを記録する本格派、三田智仁が出現し、彼を雑誌「アマチュア野球」(日刊スポーツ出版)に紹介したとき、こんなことを書いた。
「過去50年間、横須賀地区の高校が夏の神奈川県大会でベスト4に進出したのは、86年の津久井浜高だけ。ベスト4どころかベスト8でさえほとんど記憶にない。1勝すればよくやった、2勝したら大騒ぎ。野球王国・神奈川にあって、それくらい脇においやられた地域が横須賀である」
しかし、今は湘南学院が他の15校を引っ張ってくれたおかげで、昨年の南神奈川大会では横須賀総合、横須賀、横須賀工が4回戦に進出し、横須賀総合はベスト8まで勝ち進んでいる。
1県1校選出の'07年も紹介すると、4回戦に三浦学苑、追浜、久里浜の3校が進出している。横須賀出身の僕の常識では、こんなことはあり得ない。
しかし、確かに横須賀の学校は近年、頑張っていて、その充実ぶりはこの日見た平塚学園対逗子戦を見ても感じることができた。
6回が終わった時点で平塚学園が2対0でリードしていたが、勢いはむしろ逗子のほうにあった。5回と6回の守りではこんなシーンもあった。
1死一塁で茂垣翔也は投手前にバントをするが、これを逗子の高橋和弘(投手)がダッシュして捕ると、躊躇なく二塁に投げて一塁走者を封殺。さらに一塁に残った茂垣を高橋がけん制で殺し、結局打者3人でこの回を乗り切ってしまった。
6回には1死三塁で、打者は3番の青木建斗というピンチ。
青木は高々とライト定位置の辺りにフライを打ち上げ1点は仕方ないと誰もが思った瞬間、2年生の井上健五はレーザービームとはいかないが、正確にホーム返球して間一髪のタイミングで補殺を記録。
'98年の西神奈川代表、平塚学園を窮地に追い込んだ。
昔の横須賀・逗子・三浦地区を知る人間にはこういうプレーの1つ1つが信じられない。相手が何にもしないのに勝手に崩れて、いつの間にかコールド負けしているというのが昔の横須賀・逗子・三浦地区の野球だった。
時代は確実に流れている。
ひょっとしたら数年後、横須賀・逗子・三浦地区から甲子園出場校が出ているかもしれない。
今日の逗子戦はそう思えるくらいインパクトがあった。
さて、この試合で目立ったのは平塚学園の国本将希(二塁手・右投左打)だ。
ヘッドがトップで投手のほうを向くが、それ以外の悪癖はほとんど見当たらない。さすが1年夏の大会で4番を打った経験の持ち主だ。
1、2球のうちに打って出る積極打法が持ち味で、1回は捕手寄りでボールを捉えて左中間にタイムリー二塁打、8回は初球ストレートを引っ張って一塁ベース右を難しいバウンドで抜くタイムリー二塁打と、チームに貴重な得点をもたらしている。
7回には先頭打者で中前打を放っているが、これが半端な当たりではなく、“火の出るような当たり”と形容しても大げさではない打球だった。
他の選手とは違う次元にいる選手だと思った。
posted by koshien2009 |01:07 |
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2009年07月17日
7月16日 神奈川大会 2回戦 横浜スタジアム
横浜創学館15-5光陵
レポート 小関順二
真夏の日中、横浜スタジアムで行われる高校野球は、日本で一番暑いと思う。
「プレーが熱い」の熱いではなく、強烈な日射に肉体が疲弊する「暑さ」である。人工芝の照り返しが暑い、観客が多くて暑い、座席が暑い、そして屋根が1カ所もなくて暑い。
この日は観客こそ多くなかったが、暑かった。この球場に来ると、「ああ、これから夏が始まるんだな」と否応なく思わされる。
さて、この試合で注目したのは横浜創学館の野手2人、2年生で3番を打つ谷恭兵(右翼手・右投左打)と4番・圓垣内(えんがいち)学(一塁手・右投左打)だ。
谷はグリップを肩のあたりに置き、バットは最後まで立て、目線を下向きにした形が前田智徳(広島)によく似ている。
2カ月前の横浜戦では、打つ直前にヘッドが倒れる形が小笠原道大(巨人)に似ているとノートに書いた。いずれにしても、技術力の高い一流のプロ野球選手に「形だけでも似ている」と言われるのは、悪いことではない。
5月の横浜戦はヒットがなく犠牲フライ2つで2打点という記録が残っているが、この日は6打数3安打4打点と勝利の牽引車になった。
相手が違うと言われればそれまでだが、いい形で打って結果がよければ、相手がどうであろうと評価しないわけにはいかない。
5回裏には1死二塁で仙波真太郎が打った右前打を捕るやいなや、三進を狙う一塁走者を低い球筋のワンバウンド送球で補殺を記録、強肩ぶりを遺憾なく発揮している。
来年は石川賢太郎(桐光学園・三塁手)、新井健吾(横浜・一塁手)などとともにドラフト戦線を牽引する選手になっているだろう。
圓垣内は5月の横浜戦でライトに3ランホームランを打ち、強打の印象を強く残している。そしてこの日は2回に2ランホームランを左中間スタンドにぶち込み、広角に打てる懐の深さを証明した。
ちなみに、この日のホームランは高校通算54本目である。
谷を「前田」にたとえたが、圓垣内をプロの選手にたとえると掛布雅之(元阪神)の名前が出てくる。両脇を絞めて体から少し離してバットを構える形や柔らかいリスト、さらに176センチの上背でホームランを量産する姿がよく似ている。
7回にはライトからレフトに吹く風に乗せてレフト越えの二塁打を放ち、決定的な追加点を奪っている。
2人に共通する不満は脚力である。今日の試合で谷は7、8回に右前打を放っているが、このときの一塁到達タイムが5・25、5・48秒という遅さだった。
圓垣内は左二塁打を最初ファールだと思ったのか、二塁到達は13・50秒という記録的な遅さだった。大きくリードしても油断しない、そういうプレースタイルをこれからは身につけてもらいたい。
posted by koshien2009 |02:04 |
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