2009年07月27日

神港学園・プロ注目の「背番号10」に足りないもの

7月26日 兵庫県大会 5回戦 明石球場

神港学園8-0伊丹西(7回コールド)

レポート 小関順二

 昨日(7/25)は散々だった。倉敷マスカットスタジアムで見る予定だった岡山大会準々決勝の雨天中止を倉敷のホテルで8時半頃確認すると、すかさずまだ雨勢が緩いと天気予報が伝える京都を目指して新幹線に乗り、10時20分頃阪急・西京極駅に着くが、ぞろぞろ帰り支度らしい一団が球場方向から押し寄せ、「中止ですか」と聞くと、「はい」という答え。それではと阪急電車に乗って大阪を目指して梅田に着くと、HEP FIVEの大観覧車の鉄骨を叩くザアアという雨音。これはもうダメだと、この段になってやっと断念した。氏原英明さんに電話すると「奈良と和歌山は大丈夫みたいですよ」と言うが、今更行けるわけがない。「小関さんは雨男ですね、ははははは」という勝ち誇った声を聞いたときは、その場にへたり込みたくなった。


 そんな前日を過ごしたから、今日は欲が出た。朝8時前に南港中央球場に着き、少し待って入場券と名簿を買い求めようとすると、名簿は売り切れたという。大会の取材をしているので絶対に必要だと訴えると、親切な高野連の方が「僕のでよかったらお譲りしますよ」と言ってくれゲット。数年前、藤井寺球場でも同じようなやり取りをして助けられたが、大阪はもっと多く選手名簿を準備してほしいと思った。


 第1試合の太成学院対履正社戦は兵庫大会を見るため5回で切り上げ、電車を乗り継いで明石球場までやって来ると、とたんに雨脚が強くなる。こりゃあ本当に雨男だと不運を呪ったが、試合を見なければ原稿を書けない。「やめ、やめ」と心の中で念力をかけると雨脚が心なしか緩くなる。座席を確保して傘をさすと、ホッとため息が出た。


 第2試合の赤穂対育英戦はその前に行われた科学技術対加古川南戦が延長13回の熱戦になったため頭から見ることができた。そして、第3試合、伊丹西対神港学園戦では待ち望んだドラフト候補がようやく登場した。ポツリポツリとしか見かけなかったスカウトがいつの間にかバックネット裏に勢揃いしていたのには驚いた。


 神港学園の左腕、橋本渉(左投左打)は昨年秋に見たときは左ヒジ故障もあり満足に腕が振れない状態だったが、ボールを正確にコントロールしようという意欲があった。右肩の早い開きを抑え、ストレートを低めに集めようとする姿には訴える力があり、雑誌『アマチュア野球』では評価を「BA」と高くした。しかし、今日の橋本には1年前の切実さがなかった。


 まず、ピッチングを無造作に始める姿に違和感を覚えた。打者とフェアな勝負をするためには投げる前にひと呼吸置くのが常識ではないのか。走者がいてセットポジションで今のように投げれば、「アンフェア」という理由で、間違いなくボークを宣告されるだろう。


 技術的には右肩の早い開きが非常に気になった。ストレートはほぼ全球高めに浮き、時々シュート回転するのは始動時の上体のねじれと、左腕を大きく背中のほうまで入れる投球フォームのためだが、本人はそういう部分にはまったく無頓着。投げるたびに帽子が横向きになっても、それが「よくない投げ方」が原因になっているとは考えず、帽子が横向きになった姿がやんちゃっぽくて格好いいと考える。


「違うよ」と何度も心の中で叫んでいた。打者とフェアに勝負するのも、頭にぴったり合った帽子を着用するのも、投手としての美しさ・格好よさを追求しようとすれば当たり前のことばかりである。投手にはそういう「自尊心」や「うぬぼれ」は絶対に必要である。


 最初は背番号「10」にびっくりしたが、投げ始めて監督の意図がわかった。この素質豊かな若者に慢心してほしくない、だからマスコミの高い評価にもかかわらず「1」をはく奪した、そういうことだろう。スポーツマスコミにも一言言えば、よくない状態の選手を「いい」と書くことは「褒め殺し」になる。取材がしづらくなっても、よくなければよくないと書くべきである。そんなことを橋本のピッチングを見ながらずっと考えていた。

posted by koshien2009 |01:38 | 兵庫県大会 | コメント(1) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2009年07月17日

PHOTO 育英・井村捕手【検証甲子園NEWS】

スカウトも注目した育英の2年生捕手・井村

参考記事:「強い育英」を牽引する2年生バッテリー(7.16update)

撮影:氏原英明

育英・井村


posted by koshien2009 |13:48 | 兵庫県大会 | コメント(1) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2009年07月16日

「強い育英」を牽引する2年生バッテリー

7月16日 兵庫県大会 2回戦
育英 7-0 加古川東

レポート 氏原英明

 きょうは、兵庫県春季大会を制した育英の初戦。育英といえば、93年夏の全国制覇を果たした伝統校。
 実は、ことし5月、その時のストーリーを振り返るという企画で、当時の選手たちに取材した。
 その取材時にも、「今年の育英は強い」という話になった。

 「どっかに誰かいるもんやねんなぁ」

 そういったのは某球団のスカウトである。球場には誰も来ないと思っていたのが、僕の姿を見て、そう思ったそうだ。
 ただ、僕の場合は、育英の強さを「知っていて」のことではなく、「知りたくて」きたのだ。

 ひとまず、目を引いたのがバッテリー。
 エース左腕の堀田は身長こそ170㌢そこそこだろうが、切れのあるストレートを内外へ投げ分ける。捕手・井村の構えた所にボールはコントロールされ、球威もある。そう速くもないのに、ぐいぐいと押してくる。切れとコントロールで勝負できる投手という印象だ。

 そして、さらに魅力的なプレーを見せたのが、堀田をリードする井村。
 試合開始直後の先頭打者に、内野安打を許したが、その時、二塁手が一塁へと悪送球。井村はしっかりとカバーリングしていた。このキメの細やかさには、先のスカウトも絶賛していた。

 リードも絶妙。ボール球を生かしながら、四隅を巧くつく。12奪三振は、ボールの質だけではなく、打者を翻弄した井村のリードによるものだ。二人のコンビネーションで奪った7イニング12三振。彼らのプレーの質が高い証拠である。
 イニング間の二塁送球は、きっちり投げたのが少なく、一度、少し横にそれたので、1.96秒だった。
 本人はスローイングには意識はなく、
「ワンバウンドは絶対に、後にやりたくない」
 というから、ここにスローイングの意識が高まればさらなる成長が見られそうだ。

 スカウトはいう。
「来年が楽しみだよなぁ」

 そう、彼らはまだ2年生なのだ。寸分の狂いもない堀田の制球力も、相手を見透かしたような井村のリードも、最上級生っぽいが、まだ将来性豊かな2年生。それだけ完成されているということか。

 監督がこう話してくれた。
「彼らは1年生の秋からバッテリーを組んできて、ようやくリズムが合ってきたのかなと思います。堀田はコントロールがよく、ヒットは打たれますけど、防御率は悪くない。制球がいいんで、崩れることはない。
 井村は目配りのできる捕手。感性がしっかりしているので、ピックオフプレーなんかも、ベンチが指示するんではなく、本人に任せています」

べた褒めである。

 というのも、この試合は途中まで苦戦。育英打線は3回までノーヒット。春季大会王者にしては、物足りない戦いだったのだ。
「重たいものがありましたね。春季大会優勝というより、やはり、初戦というものでしょうか」(監督)
 そういう展開だったからこそ、このバッテリーがしっかり試合を締めてくれたことが、指揮官の口を滑らかにさせた。
 
 堀田は5回までを内野安打3本、四球0で試合を作った。5回から育英打線が爆発。7得点した時には、堀田の球はもう手がつけられなくなっていた。
 終わってみれば、7回を4安打無四球、12奪三振の完封勝利。

 もっとも、打線にも破壊力がなかったわけではない。1番を打つ橘田は俊足。2番・鳥羽はつなぎもできるが、自らも出塁する。3番・井村は少々、荒さが目立つバッティングフォームだが、風格があって四球を取れる。4番・石井、5番・木下は力強い打球を飛ばす強打者だ。

 これなら、春季大会優勝も納得。そして、何より、今日の発見は堀田―井村の2年生バッテリー。この夏、さらにはこれから1年を楽しましてくれそうな予感のする二人である。

posted by koshien2009 |22:56 | 兵庫県大会 | コメント(1) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加