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ATPランキングポイント(男子プロテニスのランキングポイント)と勝率の関係

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対戦前の男子プロテニスランキングポイントを使って,大雑把に勝率を予測する方法についてです.

結論(ここだけ覚えていただいても使えます)

対戦する選手A,BのランキングポイントがrA, rBのとき,それぞれの予測勝率は

pA=rA/(rA+rB),

pB=rB/(rA+rB).

例:ランキングポイント4200と800の選手A, Bが対戦したときの予測勝率は,

4200/(4200+800)=0.84,

800/(4200+800)=0.16.

ATPランキングポイントの仕組み概観

理由をご覧になりたい方は続きに進んでください.

男子プロテニスの世界ランキングはATPランキングポイントに基づいています.ATPランキングポイントは直近1年間の出場大会での獲得ポイントの合計です.

ATPランキングポイントは,1勝ごとに獲得ポイントが(ほぼ)等しい比で増加する,というように設計されています.たとえばグランドスラムの優勝ポイントは2000で,以下1200(=2000x0.6), 720(=1200x0.6), 360(=720x0.5), 180(=360x0.5), 90(=180x0.5), 45(=90x0.5)… です(これより下は予選通過ポイントの扱いなどで若干規則から外れます).マスターズ1000では優勝が1000ポイントになりますが,それ以下の比は保持されて,以下600, 360, 180, 90, 45…です.ATP500シリーズ,ATP250シリーズも同じ規則で設計されています.

上位選手はグランドスラム,マスターズはほぼ全大会出場義務があり,かつシードにより一定以上勝ち上がらない限り他の上位選手とは対戦しません.この条件下で1年間のポイントを足すと,ランキングポイントの対数がどの程度の大会で,どこまで勝ち抜いてきたかに対応します.

本題

1勝に対してランキングポイントが等比で増加する,ということは,選手の実力差を評価するにはランキングポイントの差ではなく,ランキングポイントの比が本質的である,ということになります.

実際,対戦前の2名の選手A, BのランキングポイントをrA, rBとすると,Aの勝率はrA/(rA+rB)=π/(1+π) (π=rA/rB.ランキングポイント比)で近似できることが示せます.下図は2010年1月から2016年1月までの約18000試合について,大会前のランキングポイント比と実際の勝率の統計を取ったものです.

データはhttps://github.com/JeffSackmannで公開されているものを利用しています.約18000試合はATP250以上の本戦,デビスカップ,ツアーファイナルが含まれます.一方でもランキングポイントが0となっている対戦は除外しています.

上図は横軸にランキングポイント比π,縦軸にそのランキングポイント比付近での実際の勝率(赤丸),およびπ/(1+π)を示したものです.横軸は対数スケールです.

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この記事へのコメントコメント一覧

ATPランキングポイント(男子プロテニスのランキングポイント)と勝率の関係

ご回答ありがとうございます.データセットについての追記ありがとうございます.

勝手に考えたのですが,ランキングポイントと勝率の関係を計算しているので,母集団がなるべく同じ環境内で試合を行っていたほうがモデル的にも望ましいと思ったので,下部カテゴリーの試合を除いて分析したことは良いことなのかもしれませんね.全く別カテゴリーの大会についてランキングポイント比で比べることは難しいと思うので.その意味ではある程度プレイヤー帯が重なるatp250以上の分析から行っているのはある程度合理的なのではないでしょうか...

プレイヤーのunderratedの問題ですが,長期の欠場明けなどでは,直近1年間の出場試合/大会数でコントロールすることも手法のひとつでしょうか.ただこれはそもそもの試合数が少ないという課題を解決するものではないですが.またテニスの試合には一定程度の偶然性が関わっていて,事前に予測することに限界があるのかもとも考えました.神はサイコロを振るのでしょうか.

以上,個人的な雑感になりますが... 何れにせよ,事前のランキングポイントでここまでの高い精度の分析ができることについてははっきり驚きました.大変興味深く読ませていただきました.ありがとうございました.

ATPランキングポイント(男子プロテニスのランキングポイント)と勝率の関係

コメントいただきありがとうございました.1点ずつご回答いたします.

・データの出典を明記していませんでしたので,明記いたしました.元データは下位カテゴリまで網羅されていますが,今回はひとまずツアーレベルのATP250以上とデビスカップなどが対象です(フューチャーズはツアーレベルの4倍くらい試合があって膨大です).

・「大会前」のランキングポイントを使用しています.

・一方でもランキングポイントが0である対戦は除外しています.

・比が10倍~については興味深いと思いますので,検討の対象としてみるかもしれません.比が一定以上になると試合数そのものが少ないので,大きな影響は無いかもしれません.また,対戦できているということはそれなりの実力があるわけで,何らかの要因で実力に見合ったランキングポイントが付与されていない(長期の負傷欠場明けなど)事などが原因として予想されます.

以上,簡単ですがご回答まで.

ATPランキングポイント(男子プロテニスのランキングポイント)と勝率の関係

素晴らしい記事だと思います.試合時点でのランキングポイントでここまで高い精度の予測ができるとは思っていませんでした.

このサンプルについて質問させていだきます.

この2010年1月から2016年1月までの試合ですが,ツアーレベル(atp250以上)の試合を対象にしたのでしょうか? 又はチャレンジャー/フューチャーズの試合も含まれているのでしょうか.またその際にqualifyingの試合は対象になっているのでしょうか.

試合前のランキングポイントとは,大会前のランキングポイントで良いのでしょうか? 試合時点におけるランキングで言うと,大会の勝ち上がりに応じて暫定的なポイントを加える操作も行っていますか?

ランキングポイントが0の選手の試合はどのように扱っているのでしょうか.おそらく分析の対象から外したのだと思いますが.

ランキングポイントの比が10倍を超えたあたりから説明力が落ちているようですが,ランキングポイントが1桁(又は2桁)の選手の対戦を対象から除いて再度検討してみていただけないでしょうか.

以上,ご回答いただけますと幸いです.

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