2008年06月30日

カープ!走れ、勝利の国道54号線。


カープには、プロという厳しい世界に、野球少年の輝きと眩しさを持ち込んだ不届き者が存在する。
結果が全て。勝敗こそ全て。
選ばれた者だけが、その技術を競うプロの世界にあって、いつまでも野球少年の心のままにプレイをする、愛すべき不届き者が存在する。
永川と梵。
ただ同郷というだけでなく、幼い頃からの記憶を共有する2人は、見ている側が気恥ずかしくなるほど、永遠に野球少年の関係を保っている。
去年だったか、一昨年だったか、記憶は曖昧なのだけど、ピンチを迎えた永川に歩み寄り、梵が掛けた言葉が、2人の距離を表している。
「ここを抑えたら、ジュースおごってやる」
飲みに連れて行ってやるでもなければ、食事に誘うわけでもない。1本のジュースを買ってやる。
たったそれだけのご褒美。
でも、それ以上の物はないご褒美。
大人になり、プロの世界に入っても、幼い頃から一緒に野球をやってきた2人にとって、1本のジュース代を出させることは、たまらない優越感であり、極上の戦利品。



同点の場面で、永川の起用。
延長に入ったらどうするんだろ?
指揮官を“勝ちに急いだ”と責める気にはなれない。
最近のチームの勢い、勝ちに行く姿勢や攻撃を目の当たりにすれば、最終回に何かやってくれると思っても仕方ない。
思わない方が、おかしい。
賭けに出られるほど、チームは信用できる域まで成長した。
しかも、負けない永川が控えている。
いつでも行くぞ!と肩を作って待っている。
9回の攻撃を凌ぎ、歓喜のサヨナラ劇を思い描いたことをミスと言うなら、それは単なる結果論。


ルーキー小窪の輝きが、梵の領域を浸食し始めた今年。
相棒・東出が何かを掴み、梵の遥か先を行く今年。
出遅れた幼なじみを心配していたら、アッという間に守護神の地位を取り戻し、ヘルメットを投げつけるくらいしか鬱憤晴らしの術がない梵の今年。
意地の悪いカープファンが言う。
「じゃけぇ、カープで新人王は獲らん方がええんよ」
そんな言葉が梵の耳に届いているかどうかは定かではないにしても、復調へ向けてもがき苦しむ梵の姿が痛々しい。
いかに、将来のカープを背負って立つと言われても、今の梵には、小窪は脅威だろう。東出の好調は、尊敬というよりは羨望の対象だろう。
負け知らずの永川の姿は、そんな梵の孤独感を一層強めたに違いない。


ラミレスの打球を目で追わなかった。
チラリとも振り返らなかった。
だけども、うなだれもしなかった。
頭を垂れる余裕すらなく、呆然と立ち尽くしたのかもしれない。
だけども、いかに視線が泳いでいるにしても、真っ直ぐ前を見る永川は、確かに“絵”になっていた。
昨年の交流戦。ソフトバンクの松中にホームランを打たれ、膝に手を落とした黒田が、負けても尚、美しかったのは何故か。
答えは単純明快で、いいピッチャーだからである。
勿論、昨日の永川は、全てを出し切った上での敗北ではない。東出が、黒田と松中の対戦を見て、ゾクゾクしたと語ったそれとは随分かけ離れている。
それでも、敗者が醸し出す刹那の美を永川に感じられたのは、充分ここまで結果を出してきたから。
今日の中国新聞“球炎”の書き出し。
「守護神と呼んではいるが、永川は神ではない。体調や調子の波だってある。失敗することもある。」
と、擁護の弁。
永川の、勝ちなのである。
救援に失敗し続けた昨年、この球炎は何と書いたか。
“信頼出来るリリーフがいなければ、どうするか?答えは簡単、他から持ってくればいいだけのこと。”そう書いたのである。
選手に対して何のリスペクトも配慮もなく、投げ遣りにトレードなり補強を唱えた地元メディアが、掌を返して擁護している。
今年の永川は、紛れもなく勝ち組にいるのだ。


今夜、仕事で三次市へ行く。
永川と梵が生まれ育った町。
カープに、野球少年の輝きと眩しさを持ち込んだ愛すべき不届き者を、生んだ町。
高速道路は使わない。
国道54号線を、走る。
試しに走ってみて、知ったこと。
安佐北区可部での渋滞が、ちょっと面倒なだけで、驚くほどの時間差がないから。
開けた窓から入ってくるのは、気温の変化だったり、自然の匂いだったりする。
それがとても心地いい。
最短距離を全速力で行くのも便利だが、どうせ同じ場所に辿り着くのなら、多少の遠回りも無駄ではない。
その道中に、得るものがあるなら…。
今の、永川と梵が、そうであるように。



追記。
ありがとうございます。
本当に、ありがとうございます。
文字で書けば、たった10文字の平仮名だけど、そこに込めた感謝の気持ちを、どうか解って下さい。
そう…カープファンの皆さんに、一番解りやすくお伝えするなら、2千本安打を達成した時の、前田のヒーローインタビュー。
「ありがとう…ござ…います」
あれ、です。
あの、思いです。
これからも、新しい仕事を頑張り、カープを楽しみ、野球を愛していきたいと思います。
カープには今年こそ、勝率5割、Aクラス入りを果たして欲しい、そして狙えると思っています。
自分の人生も、最終的には、いいこと悪いことの比率が、5割になっていればいいなと思います。
今は、まだ、負け越していますが…。
そのためでしょう…私の今年もどうやら『激』のようです。
ありがとうございます。頑張ります!

posted by koita |11:50 | 広島東洋カープ | コメント(10) | トラックバック(0)
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カープ!走れ、勝利の国道54号線。

初めてコメントします。
いつも楽しく読ませていただいてます。

えー、まず、いつも思うのですが、素晴らしい文章をお書きになりますね。今回も読みながら唸ってしまいました。

この度お仕事を変わられたようで、何かと大変かとは思いますが、頑張ってください!そして是非、ずっとこのブログを続けてください!

僕は鯉太さんよりずっと若いハナタレ小僧ですが、その事だけどうしてもお伝えしたくてコメントさせていただきました。

昨日の試合は残念でしたが、永川も、そして梵も、カープにとって絶対に絶対に必要な戦力です。これからも応援し続けますよ!
ちなみに、僕は昨日はライトにいました。どこかに鯉太さんがいるんじゃないかと、内野をチラチラ見ながら応援してました(笑)

これからも頑張ってください!

posted by 熱狂的鯉党 | 2008-06-30 12:23

カープ!走れ、勝利の国道54号線。

横浜戦で連勝して5割や!

posted by 東方不敗 | 2008-06-30 13:33

カープ!走れ、勝利の国道54号線。

こんにちは、いつも楽しく読ませて頂いています。
仕事の事で大変な中での更新ありがとうございます。

自分もリストラの経験があるので、鯉太さんの気持ちがちょっとだけですが分かります。
今まで培ったスキルや、築き上げた人望などは必ずどこかで役に立つはずですので、「気持ちを切り替えて」です(笑)

ちなみに、三次方面から広島方面へ一般道で行き来するなら、54号線よりも白木街道を通ったほうが便利ですよ!

posted by SERAFINE | 2008-06-30 13:33

カープ!走れ、勝利の国道54号線。

鯉太さん、頑張りんさいよ!

安心しました。転職決まって良かった。ほんまに良かった。読んどって、自分のことのように嬉しく思いました。ちょい目頭が熱くなりました。今年転職した自分と重ね合わせとったからなんかなと思います。

高校卒業後、進学の為に上京し早いもので10年が経ちました。たまに帰る広島がたまらなく最高です。このブログはその広島の雰囲気を持ってて、いつもほっとします。
鯉太さんの読みやすく楽しませる文章に出会えて、ほんまに良かったです。

これからも楽しみにしとりますんで、頑張ってください!

PS
年下のくせに冒頭のなれなれしいタメ口、すみません。
じゃあの(笑)

posted by 733-0852 | 2008-06-30 19:04

カープ!走れ、勝利の国道54号線。

三次市ですか。

もう20年近く前に行ったことがある。
「ピオーネの里」というキャッチフレーズだった。
あれからどう変わっただろうか。
懐かしい。

是非頑張ってください、広島カープとともに。

posted by パリーグファンですが | 2008-06-30 20:59

カープ!走れ、勝利の国道54号線。

鯉太さん、こんにちは。

ブログ楽しみに読ませてもらってます。

カープファンで、プライベートで色々な事を
経験して頑張っている鯉太さん。

今年は絶対5割ですよ!

ボクも今、東京で家族と別れて単身赴任。
カープのことが気になり、(あっ、家族のこともね)
転職も考えてますが、しばらく頑張ります。


お忙しい中だと思いますが、
更新を楽しみにしております。


追伸)
三次に電車で行ったことがありますが、
帰りの電車を相当待って大変な思いを
したことがありました。

やっぱ車で行くもんですよね~。

posted by ファン | 2008-06-30 21:01

カープ!走れ、勝利の国道54号線。

初めまして。
カープネタと、タイトルに惹かれてちょっとおじゃましました。

私は現在、広島市最北端の54号線沿いに住んでいます。
昔は高田郡に住み、三次市内の幼稚園へ通っていたので、54号線とは切っても切れない縁です。

ちなみに永川+梵とは1コ違いです。

何かと身近に感じる人たちなので、これからも頑張ってほしいものです。

posted by みほ | 2008-06-30 22:14

カープ!走れ、勝利の国道54号線。

鯉太さん、お仕事頑張ってくださいね。

急ですが、私も今年は激な年になりそうです。
先ほど決まったのですが、10月に6年間の出向生活から
本体へ復帰することになりました。
住み慣れた広島、何よりもカープの本拠地を離れるのがとても寂しいです。だから、時間が許せば全試合を見に行くつもりです。市民球場も最後の年なので・・・。
カープには秋まで熱い場面で試合をして欲しいです。

お互い頑張りましょう!

posted by 鯉人 | 2008-07-01 13:15

カープ!走れ、勝利の国道54号線。

涙が出ました。
「ジュースおごってやる」って実話ですか?でもあの二人ならありそうだなぁ。
私は「ショート梵」を見たくて仕方ないので(あのポジションの華やかさと彼がとても似合っていると思うのです)、何とかトンネルを抜け出してくれる日を待っています。
昨日の試合後も、胸を張って戻ってくるナインをベンチで迎える梵選手を見たら、胸がチクッと痛みました。
壁にぶつかるのは当たり前のこと。私たちファンを勇気づけるためにも、乗り越えて逞しくなった姿を見せてもらいたいと応援しています。

追伸;大竹投手の3勝目、よかったですね。よれよれの立ち上がりには心臓バクバクでしたが、粘ってくれました。嬉しかったです。

posted by ビバくろだ | 2008-07-02 14:23

カープ!走れ、勝利の国道54号線。

梵かぁ・・・。ホント、輝きが無くなっちゃいましたよねぇ。
守備面では十分、成長してるんですけど・・・。どこで歯車が狂っちゃったんですかね。淋しいし、正直、スタメンで出ても攻撃面では期待していません。

・・・けど・・明後日、また「32」の背番号のレプリカを着て市民球場に行ってきますよ。

posted by りょー | 2008-07-02 22:24

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