2009年08月09日
ヒディンクのインタビューを読んで考える [3]
今回も名将ヒディンクのインタビューを読んで、 個人的に思うこと、 考えることを書いてみたいと思います。
初めて会ったとき、彼はシャイだった。パフォーマンスは悪くないけど恥ずかしがり屋なのではないかと思った。その後、韓国代表では分析、対話などを重ね、彼の力を徐々に引き出すことができた。そしてW杯の後、彼をPSVに連れて行ったが、最初の3カ月はつらかったと思う。サポーターからのブーイングもあったし、厳しいサッカー文化に直面していた。すると、すっかり昔の彼に戻ってしまった。自信をなくし、パフォーマンスも低下していた。 そのとき、わたしは彼にこう言ったんだ。「チャンピオンズリーグ(CL)のレベルで成功したいんだろう。3、4週間の休暇を取ってひざのけがを治してこい。チームに戻ったらまた戦い始めろ。そして自分の力を出しきれ」と。さらに、「W杯のときのようにやればCLでもできる。お前ならできる」とも話した。その後、彼は成長してPSVでも愛される選手になり、そして現在は世界有数のビッグクラブでプレーするまでになった。わたしは彼にきっかけを与えただけ。それを生かすも殺すも彼次第だったが、彼には強い意志があった。そうでなければ欧州で成功はできなかったはずだ。彼は良いプレーをするだけでなく、責任感がある。あとはちょっとプッシュしてやればいい。わたしはパクのことを非常に誇りに思っている。 これはパク・チソンについて述べている訳ですが、パク・チソンと言えば、若き頃にJリーグでプレーしていたこともあって、日本のサッカーファンには馴染みのある韓国人選手であると思います。そして現在はマンチェスター・Uでプレーし、今季のCL決勝でもスタメン出場していましたよね。実際のところ、京都時代のパク・チソンのプレーも何度か観たことがありますが、特別ズバ抜けた才能を感じる選手ではありませんでした。しかし、日韓W杯でのプレーは凄かったという印象はあります。そして、PSV時代は全く知りませんが、マンチェスター・Uに移籍してから、特に最近はその運動量の凄さに驚かされるところです。このブログでも以前に「日本にもきっといるはずパク・チソン的選手」というショート・コラムを書きましたが、やはり日本が運動量を武器にして世界と戦っていくのであれば、せめてパク・チソンぐらいの運動量を誇る選手が1人は必要ですよね。パク・チソンという選手は、世界の一流選手と比べれば、MFとしてその得点力というのはあまり高くありませんが、しかし、やはりその運動量と縦へのスピードと言うのは、世界の一流選手と比肩できるものがあると感じます。そして、日本の場合には、パク・チソンのようなタイプの選手が人材的に不足しており、もし彼のような選手が日本にも存在して、日本に豊富なパサータイプの選手と組み合わされば、そう強く思うところであります。 モチベーションは非常に興味深い問題だと思う。試合に勝ったらご褒美がもらえるという外部的モチベーションもある。しかし、真に重要なのは外からではなく、内から湧き上がるモチベーションだ。若い選手にとっては最も必要な要素といえるだろう。ただ、ここで注意したいのは、モチベーションを与えようとして逆にプレッシャーをかけてしまうことだ。この点については、指導者だけでなく、育成年代の選手を持つ親にも言いたい。親はユースの育成から距離を置くべきである。一般的に見て、親の影響は選手の育成に悲惨な結果をもたらすという。誤ったプレッシャーを子供にかけてしまう親がいるからだ。もちろん、子供たちの向上したいという気持ちは大事にしてやらなければいけない。助ける、励ますことは大切だ。しかし、間違った方向性を示す、あるいはプレッシャーをかけることは育成の道を外れてしまう。 私は1つ常日頃考えていることがありまして、それは、それが可能な状況であれば、全ての子供は15歳になったら親から離れて生活した方が良いのではないか、と言う事であります。但しそれは一人暮らしという事ではなく、むしろ一人暮らしは孤独に陥る傾向があるし、見守る大人が存在しなくなるということは危険なことなのでダメで、つまり簡単に言ってしまえば、寮生活をさせた方が良いのではないか、と言うことであります。同年代、年上、年下、様々な人との中で共同生活を送り、そして、親ではない大人の下で生活する、そのことによって社会性や自立性、コミュニケーション能力、そういったものがより育まれていくのではないか、そのように考えています。「親はユースの育成から距離を置くべきである。一般的に見て、親の影響は選手の育成に悲惨な結果をもたらすという。誤ったプレッシャーを子供にかけてしまう親がいるからだ」とヒディンクは述べていますが、要するに、親というのは子を客観的には見られない訳で、過保護になったり、過剰に厳しくなったり、過剰に期待したり、全く関心を示さなかったり、とにかくある面では子供の健全な成長を阻害していることもある、そのように私は感じます。やはり教育というのは何をどう教えるのかということも重要ですが、その前に環境作りというのが大切だと思う訳でありまして、そのことをもっと真剣に考えることが現在は求められているのではないか、そのように私は強く思うところであります。 そして、モチベーションということについて言えば、やはり最もそのモチベーションを向上させる源としてベストなのは、内から湧き上がる向上心であると私は思う訳です。他人から必要とされる存在になりたい、誰よりも上手くなりたい、多くの収入が得られる職業に就きたい、そのモチベーションの種類は個々によって様々であり、そうであって然るべきだと思いますが、とにかく向上心というものを失ってしまえば、その人間が成長することはない、そのように思います。そして、そのようなモチベーションを失っている人間に対しては、いくら物事を熱心に教えようとしても難しい、そのように私は思う訳でありまして、従って育成を成功させるためには、まずはその人間のモチベーションを高めなければならない、そしてそれは恒常的に継続されるものでなければなりませんから、一次的な外部的な報酬によるものではなく、内部的な向上心というモチベーションであることが望ましい、そのように私は思う訳であります。では、その向上心という内なるモチベーションをどうやって生み出させるのか、と言うことでありますが、それはやはり実際に体験する中での成功体験、それが源になると思いますから、それをいかになるべく早く多く体験させるのか、それがポイントになるのではないかと私は思うところであります。 まず、すでにその傾向として見られるのは、選手のボールコントロールは完ぺきでなくてはならないということ。ボールと友達になる、左右両足でボールを扱えるといった100パーセントの技術が求められる。ただ、この点に関して日本はまったく問題ないだろう。多くの選手が右足でも左足でもうまく使えるのだから。 問題はフィジカルだ。これからのサッカーでは高い運動能力が必要となる。最近はサッカー選手でもアスリート的な要素も求められている。なかでも、スタミナは非常に重要だ。現代サッカーでは90分間、最後まで走り切らなければならない。その中で高いレベルのパフォーマンスを発揮しなければ意味がない。そこで必要とされるのが選手のリカバリー能力を高めることだ。これは韓国代表がW杯で好成績を残した理由の1つでもある。ロシア代表も同様に、ユーロ(欧州選手権)2008で上位に進出できたのはフィジカルが優れていたからだ。 フィジカルの強化は長期にわたってスケジューリングされるが、そこではリカバリータイムという概念に注目したい。例えば、韓国の選手は1つのトレーニングを終えても15~20秒で回復し、心拍数もすぐに戻る。つまり、リカバリータイムは短くてすむ。そうすると、試合でもペースをつかめるようになる。相手は疲れているのに、自分たちは元気でコンディションも良い。技術的な差は別として、少なくとも体力面では自分たちの方がアドバンテージがある。リカバリータイムを短くすれば、試合ではこうした状況が生まれやすい。このことからも、今後はアスリートとしての能力を高めていくことも必要になってくるだろう。 やはり自分の実体験の中でも、運動神経、身体能力、これが低い選手というのは、残念ながらレベルが上がるほど厳しくなっていく、それは感じられるところでした。「最近はサッカー選手でもアスリート的な要素も求められている」そうヒディンクは述べていますが、それは私も同じ思いで、強く賛同するところで、やはりこれからのサッカー選手と言うのは、科学的な根拠に基づいた身体能力の強化、筋力であったり、心肺能力であったり、それから、回復能力であったり、そういうことが必要とされてくる時代に入ったと思う訳です。そして、その中でリカバリー能力ということで言うと、やはりサッカーというのは持久力という部分で言えば、マラソンに求められてくるような持久力とは性質を異にしていて、サッカーにおける持久力とは、瞬発性を伴う運動を何回できるのか、そこにあると思いますから、従ってそうであるならば、リカバリー能力が高い選手の方が当然サッカー的な運動量は多くなる、と言うことでありますよね。心技体、これはどれが重要ということではなく、どれも重要である訳ですから、これからのサッカーというのは、その全てを総合的にバランス良く育成し、そのように育成された選手が多い国のサッカーが強くなる、そのように思いますので、やはり日本サッカーがこの先に強くなろうとするならば、そういうプログラムをどこよりも先に完成させていくこと、それが必要不可欠なのではないだろうかと私は強く思うところであります。 日本代表・Jリーグ関連記事は「FCKSA55」へどうぞ。 【2009/08/09】 JOMOCUP2009 オールスター戦 Jリーグ選抜対Kリーグ選抜 「オールスター戦とは思えないぐらい興味深かった試合」 【2009/08/08】 京都サンガ 個人的に考えるチーム力アップの為の3つのポイント。 【2009/08/07】 横浜Fマリノス 勝負弱さを生んでいる3つの原因。 【2009/08/06】 ガンバ大阪 不調の原因とは? 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posted by kodahima |11:48 |
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