2009年08月06日

ヒディンクのインタビューを読んで考える [2]

今回は名将ヒディンクのインタビューを読んで、
個人的に思うこと、
考えることを書いてみたいと思います。

発想豊かで直感的なプレーヤーの典型はロマーリオだろう。PSVでの教え子だが、非常にクリエーティブでわたしは彼についてあまり心配しなかった。ほかにはレアル・マドリー時代のミヤトビッチもクリエーティブな選手だった。それからオランダ代表ではベルカンプがその筆頭だろう。スキルが豊富で見ていて非常に楽しい選手だ。アジアでも02年前後の韓国、日本にはクリエーティブな選手がいたと思う。クリエーティブな選手というのは自分のやり方を持っていて、ある意味、頑固な選手でもある。彼らには時に自由を与えることも必要だ。もちろん通常の規則には従ってもらわなければならないし、特権を許すことはない。でもクリエーティブな選手には少し行動の自由を与えた方がいい。多くのコーチがそうであるように、わたしもかつては過ちを犯したが、よかれと思って選手に押し付けてはならない。才能をそのまま伸ばす、生かしてやることが大切だ。

創造性豊かな人というのは固定概念に縛られない。そして時にはその発想が、他人にとっては頑なな態度に感じられる、と言う事であると思う。彼ら(もしくは彼女ら)には、独自の視点と論理構築方法があり、一見すると他人には理解出来ないものであっても、決してそれは無から生み出されたものではなく、彼ら(もしくは彼女ら)の有から生み出されたものであり、そこがただ単に支離滅裂な思考の持ち主とは異なるところであります。従ってそのような創造性豊かな人間には、ある程度、時には自由を与えることが必要である訳ですが、しかし、何もかも全てにおいて自由を与える、つまり、特権を与えることとはまた異なる、と言うことであります。どんなに創造性豊かで才能溢れる人間であっても、それは社会やチームの中で活かされ活かされるべき能力であり、またそうでなければ、そのような人間の才能もより良い結果を出すことが出来ない、そのように私は思います。少しの行動の自由、この「少し」という部分の裁量が難しい訳ではありますが、そのさじ加減の上手さこそが、指揮官や指導者の優秀さの優劣になってくる、そのように私は思います。要するに、その創造性豊かな人間が、最低限必要な社会的ルールを犯さない以上、そして、それによって良き結果が導き出されている以上、そのことに対して指揮官や指導者というのは、それが良かれと思ったことであっても、自分の基準をその人間なり選手に押し付けないこと、そのオリジナリティを最大限に尊重して、その才能をそのまま伸ばし活かしてやるということ、それが大切である、そのように私も思うところであります。


韓国代表を指揮した当初、1つ問題だったのは、選手の練習を見ていてイニシアチブが欠けているように思ったことだ。スキルはあるのに、なぜイニシアチブが欠けていたのか。これは文化的なことかもしれないし、あるいはほかの理由かもしれないが、選手はミスを恐れていた。聞いたところによると、ミスを犯すと罰則を受けるという恐怖感が無意識のうちに働いていたようだ。こうなると選手はイニシアチブを取らないようになってしまう。失敗すれば罰を受けると思うからだ。こうした否定的な考えがパフォーマンスに悪影響を及ぼしていた。それを変えようと思った。時にはわたしがミスを称賛しているかのように映ったようで、周囲からの批判もあった。だが、わたしとしてはコミットメント(責任)が完ぺきであれば、ミスを犯すこともあるということを示したかったのだ。とはいえ、この問題が改善するのにそれほど長くはかからなかった。ミスをしても罰を受けないと分かって選手は安心したのだろう。自分の能力通りにやっていいんだと。こうして監督と選手の間に信頼関係が生まれれば恐いものはない。監督がもっと要求すれば、選手はそれに応えようと努力する。

大概の人間と言うのは、大きな恐怖や不安を感じた時には、その能力を充分に発揮出来ないものでありますよね。主体性というのはどこから生まれてくるのか、それはやはり成功体験からであると私は思う訳です。しかし、ほとんどの物事について、ほとんどの人は最初から上手く出来ない訳ですから、そこでミスや失敗を厳しく咎めてしまえば、主体性というものは育まれない、そのように私は思う訳であります。プロの選手の場合は、特に代表選手ともなれば、そこに至るまでには多くの成功経験があるはずですから、指揮官がミスや失敗を選手に怖れさせなければ、すぐにでも主体性というものは取り戻すことが出来ると思います。但し、このミスや失敗を怖れさせないという部分で難しいのは、ヒディンクも述べていますが、そこには責任を果たすならば、自分に与えられた役割を果たすならば、という絶対的な条件が付随してくることであり、そこで良い結果が生まれるならば、その為に発生するプロセスの中で行われるチャレンジ、それによるミスや失敗は咎められるべきものではない、ということでありますよね。そして、そのような責任を伴う主体性を尊重してくれる指揮官の下であれば、成功体験の増加と共有に伴って、そこに信頼関係というものが生まれ、そうなれば、選手と言うのは主体性の増加と正比例して、結果を出すことにより努力してくれることになる、ということであると思います。


まずは要求を高くすること。もう1つは自分のチームを分析すること。分析は時間がかかるが、とても重要だ。個々のポテンシャルを分析すれば、どんな選手でもパフォーマンスは10~15%以上アップする。選手は試合よりも練習の方が実力を発揮できるケースがあるように、一般的に10~15%は改善の余地がある。監督はその問題点を見つけ出さなければならない。それは時に戦略、戦術的であり、例えば選手のポジションを変えることで解決することもある。どんな選手にも長所、短所はあるが、監督としては、ある選手の弱みを、別の選手の強みで埋め合わせないといけない。そのためにもチームをよく分析する必要がある。

その組織をレベルアップさせようとする時、まずは個々のポテンシャルを引き出し、そのパフォーマンスを向上させる、それが第一であると私は思います。その個々の選手はなぜそのポテンシャルを充分に発揮できていないのか、そのパフォーマンスが向上しないのか、まずはその分析と対策を丁寧に実行すること、それが重要であり、練習方法に問題があるのか、ポジションに問題があるのか、与えられた役割に問題があるのか、その選手の思考方法に問題があるのか、それを正確に分析し、まずは現状よりも更にポテンシャルを発揮出来るよう、個の力のパフォーマンスの向上を図る、それが第一であるということですよね。そして、それが終ったら、次の段階として、適材適所を実行し、その戦力に適した布陣を構築し、その成熟度を高めていく、これが組織作りの鉄則でもあると私は思う訳です。そしてその組織作りとは、そのポテンシャルを引き出した後に、それでも必ず存在する個々の選手の長所と短所を考慮して、それが巧みに相互補完関係になること、その構築を目指すものであると私は思います。そしてその為には、卓越した分析力、時間をかけた丁寧な分析作業、それが必要であり、それが欠けてしまえば、その組織をレベルアップさせることは永遠に不可能、そのように私は思います。


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posted by kodahima |11:45 | コラム | コメント(1) | トラックバック(0)
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ヒディンクのインタビューを読んで考える [2]

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さすがヒディングは深遠なコメントを残してますね。ヒディングやモウリーニョの言葉には唸らせられることが多いです。

サッカーに限らず自分が組織やチームをマネージメントする際にも、活用できる示唆に富んでますね。

posted by mc | 2009-08-06 13:00

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