2009年06月21日

オシムのインタビューから考える。 [3]

うるぐすという番組で、
オシムのインタビューを放送していましたので、
そのことについて私見を述べてみたいと思います。

 組織力については?
 組織力はもっと高められるはずです。個々のエゴイズムを少なくすべきですが、すぐに出来るでしょう。日本人の性質は、何と言うか、周囲が何を必要としているか、すぐに気付いて、とても責任感がある。それが日本人ですね。

このエゴイズムという部分に関しても、なかなか難しい所があって、多くの日本人選手の場合には、もっとエゴイズムを多くするべきだと思う反面、ヒデのように暴走気味にエゴイズムを出してしまっていた場合には、オシムの言うように、エゴイズムを少なくすべきだ、と言えるので、本当に難しいところですね。「日本人の性質は、何と言うか、周囲が何を必要としているか、すぐに気付いて、とても責任感がある」、これも、どうでしょうかね~?(苦笑) エゴイズムと責任感というのは、寛容と尊大、勇気と向こう見ず、みたいに、紙一重みたいなところもあるので、一概に日本人選手に対して、個々のエゴイズムを少なくすべき、個々のエゴイズムを多くすべき、そのように言えないところもありますよね。ミスを恐れることが多い日本人選手にとっては、もっと責任感を持ってプレーして欲しい、パスと同時に責任もパスしないで欲しい、と私は思う訳で、どちらかと言えば、もっとエゴイストであって良いと、特にFWには思う訳ですが、要するに結局は、自信と信頼、ということなのかなと思います。自信があればエゴイストになれるし、信頼があればエゴイスティックなプレーも許容されてきますよね。そして、その自信と信頼を個々が持った上で、今度は少しエゴイズムを少なくする、その順序というものが、現状の日本人選手には必要なのかなと思います。


 国際経験については?
 日本の審判をドイツやイングランドに送れば良いと思います。審判も「本物のサッカー」から危険性とプレッシャーを学べるでしょう。日本にはプレッシャーが無い。ジャッジミスをしても正しいとされますし。

選手や指導者ではなく、審判というところが面白いですよね。日本の審判に対する風当たりというのは、日本でも結構厳しいようには感じますが・・・(苦笑) 特にブログの世界では、毎日のように審判に対する激しい批判が見られますしね(苦笑) 前にも言いましたが、私が感じる限りでは、欧州のトップリーグの審判が、そんなに優秀であるとは感じませんし、誤審や贔屓も多々ありますし、要するにオシムが言いたいのは、欧州では、そんなフィジカルコンタクトではファールは取らないよ、そこを世界基準にしないと、日本は強くならないよ、と言うことなのだと思いますが、しかし、一方では、FIFAなんかもファールに対して厳しくするような傾向がありますし、プレミアなどでも、ベンゲルが、このままでは死人が出る、と発言したりして、プレミアの激し過ぎるフィジカルコンタクトのサッカーに警鐘を鳴らしたりしていますから、私としては、そこは何とも言えないところですね。


 日本代表へのメッセージは?
 「信じることができますか?」。自分を信じて、他の選手からも信頼される。そして他の選手も信じる。「サッカーをプレーするということは、人生を難しく生きる」ということです。誰からも教わることはできません。ピッチを走ることは誰でも出来ます。それだけなら誰でもね。しかし、サッカー選手とは、ピッチ上でアイデアを探し続け、リスクを冒すタイミングを追い求め続ける、そういう存在です。
多くの日本人選手が、C・ロナウド、ロナウジーニョ、ルーニー、などの一流選手になることを夢見ています。しかし、一流選手がその裏で、どのくらいの練習をしているか、自分のプライベートを犠牲にしている日本の選手が何人いるでしょうか? 一流選手は家族との時間も全て犠牲にしています。サッカーで成功を収めトップに立つために。しかし、上り詰めたと思ったら、どん底まで落とされて、一文無しになったりします。サッカーは人格も変えてしまいます。サッカーは二面性を持っています。人生の学校なのです。
私が最初に選んだ日本代表は、サッカーを知っている選手たちでした。彼らは試合運びが上手かったですね。自分だけの武器を持ち、様々な役割を演じることができる、そんな選手になることが大事なんです。「サヨナラ」という1つの歌だけを歌っている選手に何の意味があるでしょうか? 必要ありません。「多文化」のようでならなければならないのです。

なぜ私が、組織成功理論の探求や人生の探求ということにおいて、数多くあるスポーツの中からサッカーを題材に選び、毎日のように研究し分析し、書き続けているのかと言えば、オシムが言うように、サッカーは人生の学校であり、そのエキスの凝縮したものであると思うからですね。人生というのは生きるのが難しいですし、特に今は世界的に不況ですから、ますます生きるのが難しい傾向にありますし、人生というのは、人生というピッチにおいて、ピッチ上でアイデアを探し続け、リスクを冒すタイミングを追い求め続ける、そしてそれは普遍的なものも多くあれば、毎日変わり続けていることも多くある、更にそれを知るためには、終わり無く研究し分析し続けなければならない、と言うことですよね。人生にも二面性があって、ピンチとチャンスは常に背中合わせに存在し、決して切り離すことができない、そして、チャンスの時にはピンチが見え難く、ピンチの時にはチャンスが見え難い、と言うことですよね。そして、ピンチを切り抜け、チャンスをものにするには、自分だけの武器を持ち、しかし、それを軸とした多様性や順応性も持ち合わせていなければならない、これは考えようによっては、相反するものでありますから、その二面性というものが、人生を難しいものにしている、そのように私は思う訳です。ダブルスタンダード、2つの基準、二面性、表と裏、縦軸と横軸、それを全て包括したものが人生で、サッカーにおいても、当然、その二面性を理解していなければ、そこで成功を収めることはできない、そのように思いますし、オシムもそのように言っているのではないかと、私は思います。


○ 後記

以上、と言うことで、オシムのインタビューから色々考えてみましたが、今回のインタビューを観た総合的な印象としては、オシムは本当にサッカーが好きなんだなぁ、と言うことと、常に考えは更新されているんだなぁ、と言うことですね。ある程度その分野で極めた人間、もしくは、極めたと思っている人間というのは、もはやその時点から、何年経っても何十年経っても、考え方というのが更新されず、いつしかその考え方がカビの生えたものになってしまいますが、オシムの話というのは、常に新しいものがあったり、付け加えられたものがあったりして、ついつい聞き入ってしまうところがありますね。150チャンネル以上あり、毎日3試合はテレビでサッカーを観戦していると言っていましたから、オシムの頭の中は新しいサッカーが毎日更新されているのでしょうね。そして、そういうオシムのような人と、サッカーの話が出来たら、実に楽しいだろうなぁと思います。また、巻がオシムの家のテレビ画面に映し出された時、「マキ、マキ」、と小さな、優しい声で呟いたオシムの姿を見て、選手に対して、父親のような深い愛情を持っている人だなぁと感じました。
常に答えを探し続けるオシム、なぜ? なぜ? と自問自答し、普遍的な答えと、トレンドの答えと、その両方を語るオシムの言葉というのは、例えサッカー以外の話をしたとしても、きっと興味深く楽しいものなのではないかと思います。果たして、今の日本人に、オシムのような、ついつい聞き入ってしまうような興味深い話をする人がいるでしょうか? どこかの金持ちの社長の話も、政治家の話も、学者や有識者と呼ばれる人たちの話も、どうも私には薄っぺらで軽薄な話のように聞こえてしまいます。今の若い人たちの話は、どこか安易で独善的で偽善的で、根拠も無く結論(持論)だけを主張し、それを認めない相手を敵とみなし、自分が理解できないことは間違っていると認識する、また、権威のある人の話は鵜呑みにし、権威の無い人の話は小馬鹿にする、という傾向が強く、なかなか話し辛いところがあります。また、年配者の話も、いつまでも古い考え方に捕らわれて、時代は変わり、世の中は変わり、その変わるスピードは加速しているのに、もうそれは答えではなくなっているのに、考え方を更新することができない、それが昔は世の中を発展させていたものが、今は逆にそれが世の中の発展を阻害している、ということに気が付けないでいる、そのように感じます。私は、オシムの考え方の全てに賛同できる訳ではありませんが、その部分はその部分で色々考えさせられることがありますし、なぜそう考えているのかという所には納得できるところがありますので、勉強になります。本当に価値のある言葉、文章、話、と言うのは、答えやノウハウだけが書かれているものではなく、知識をひけらかすようなうんちく的な話しではなく、自分の頭で考えて考えて考え抜かれたもの、そして、他人にそのことについて考える為のきっかけを与えるものなのではないか、そのように私は思います。


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posted by kodahima |12:09 | コラム | コメント(0) | トラックバック(0)
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