2010年07月30日

最期に……日本サッカー界への7つの要望【キリタニ】

その1 フィジカル勝負から逃げるな

今回の南アフリカWCを見てあらためて思ったことである。いつまでもフィジカル勝負から逃げていてはいけない。身近なところでは韓国が良い例である。彼らはグループリーグでギリシャやナイジェリアと闘ったが、フィジカルの差は歴然ながらも、決して球際で負けていた訳ではない。同じように欧州やアフリカに対して体格差で劣るアルゼンチンはどうだろうか?彼らとて、球際の攻防では決して負けてはいないのだ。強い気迫と確かな技術、そして智慧を持ってブチ当れば、常に勝てぬとも互角の勝負はできるはずなのだ。もっと体幹を鍛えること。ボールを失わない技術を養うこと。そして球際の気迫で負けないこと。またそんな激しさを、Jリーグにおいてレフェリーの笛が促してくれることを心から望む。


その2 厳しい競争環境を

クラブ間競争と共に、外国籍選手をも含めた選手間競争、各クラブのポジション争いをさらに促すべきである。Jリーグの強化のためにも、魅力のためにも、外国籍枠など早々に取り払うべきだ。なぜ先にAFC枠を先行させるべきか……と云えば、良い外国籍選手(主に南米や東欧)を参加させるためにも、まずは経済基盤の拡大のほうが先決であると考えるからだ。今でさえ多くのクラブが、経済的理由から3つの枠を埋めきれずにいる。現状国内TV放映権料の増額が見込めない以上、そのマーケットの拡大に期待する以外にない。Jリーグの3、400番目の選手よりも優れたアジア人選手たちは少なくない。


その3 何よりも大切なのは経験

近年若年層の代表レベルでのアジア予選敗退が続いている。これは代表チーム指導者の能力不足が主因であると考えるが、これらの世代における経験の不足は、今後さまざまな形でA代表の成績に響いてくることだろう。国内の試合においても、もっともっと重圧のかかる修羅場を増やしてゆくべきである。入替戦の採用。ナビスコカップのJ2参加(若い選手が高いレベルを経験できる)。そして代表チームとJクラブチームとの満員の観客のもと行なわれるテストマッチ。協会もリーグもタブーを設けず、いろんなアイディアを持ち寄って議論してみて欲しい。今より良い方法はたくさんある筈である。


その4 それぞれのポジションに特化したスペシャリストの養成

例えばジェラール・ピケのようなCB。そしてまた韓国のイ・ヨンピョのようなSB。これまでの日本サッカー界では、攻撃面においてあまりスポットライトの当らなかったポジションに、高いボールコントロールやパス精度、攻撃の組み立てや戦術眼といった多彩な要素が求められるようになってきている。早期に選手の特性を見抜くことが何よりも大切なのは云うまでもないが、チーム事情よりも選手個々の可能性に根ざした育成が、今後これまで以上に重要になってくる。そしてそんな指導者に対する充分な評価体制も確立されてゆくことを望む。


その5 勝利への執念

準々決勝、ウルグアイ-ガーナ戦。終了間際のスアレスのハンド。国内でもさまざまな議論があった筈だ。ここで誰かとそれぞれの正義感の是非や優劣を闘わせる気はないが、あれを悪と見なすのであれば、カメルーン戦、エトーのユニフォームを掴んだ阿部勇樹のそれも同じく悪なのだろうか?Jにおいて、コロコロ転がり回り主審の顔色を伺う日本人選手達は?時間稼ぎをし、当ってもいない敵の蹴り・ヒジ打ちでのたうちまわる行為は?すべて世界中どこでも見られる日常的な光景である。僕はこう思う。サッカー選手として、勝利への執念は何よりも大切なものだと。そして勝つためにはペナルティを覚悟しても止めなければならない場面がある。悪意あるラフプレーや、下手な演技は要らないが、それ以外の勝敗に直結するやむを得ない選択について、上手くスマートにこなせる成熟した日本人プレーヤーが増えていってくれることを僕は望む。


その6 結果がすべて……ではない

選手や現場のニンゲンが、結果がすべてと退路を断って闘うことには大きな意味があろうと思う。しかしそれ以外の立場のニンゲンが、己自身何かを賭けるでもなく、そんな言葉で彼らを断罪する、或いは糾弾するための根拠とするのは不毛なことである。彼らがこの国の代表であり、僕らがそれを送り出す立場だとすれば、そこで出される“結果”とは、紛れも無く僕たち自身に突きつけられた“結果”である。その“結果”に当事者意識を持てずして、どうして彼らのみを責められるだろうか?ひとつの誤審によって失われる“結果”というものがある。或いは奇跡的な幸運の連鎖により得られる“結果”というものもある。その“結果”の中身を吟味し、未来のために正しく役立てることこそが何よりも重要なことなのだと僕は思う。


その7 サッカーに何が成し得るのか

今後数十年に渡り、日本は苦しい現実をあえぎながら乗り越えてゆかなければならないのだろう。その過程で、第二の敗戦と見紛えるばかりの、阿鼻叫喚の辛苦に突き当たることもあるのかも知れない。常識が非常識によって覆され、正義が恐怖によって、或いは平和が暴力によって退けられる時代が、再び到来するのかも知れない。そんな時、人々のために何かを成し得るサッカーであって欲しいと僕は思う。人々の希望を担える何かであって欲しいと思う。



最期に……

これまで355の本文。
誰かからの批判を恐れて書きあぐねたことは一度もなかったけれど、これを書くことによって誰かの心を傷つけることになるのかも知れない……と、それに怯えて書きあぐねたことは何度かあった。

それは批判対象の人物そのものであったり、そのご家族やご親族の方であったり、関係者の方々であったり、或いはAと云う誰かを褒め称えることで、結果的にBと云う誰かを、貶し、否定することに繋がるという状況であったり……。それでも結局僕は、常に心に思ったままを書く……という選択をしてきた。それについて今更後悔はないけれども、ここを閉じるにあたり、僕がここで書いてきた内容によって、心を痛めたり、傷つかされたりした方々に対して謝罪をしておきたい。

彼らの立場からみれば、不当な批判と云ったものは必ずあった筈だし、その中には僕自身の間違いや、事実誤認といったことも多々あったことだろうと思う。

いろいろと御迷惑をおかけいたしました。


狭い世間の中で生きていると、知らず知らずのうちに、自分の意見と云うものが通ってしまう。自分と云うものが押し通せてしまう。

今回このブログに携わり、少しずつ自分の声と云うものが大きくなってゆく様を目の当たりにしながら、誰の立場にとっても正しいこと……といったものは幻想でしかないということ……現実の多面性を改めて思い知ったし、主張すると云うことそれ自体が、好むと好まざるとに関わらず、多くの敵を作り、それに立ち向かうということなのだと知らされた。

おまえの云うその責任って何のことだ?

と聞かれた。最期にそれについて答えておこうと思う。

責任とは事後に問われるべきものでも、物質的なものばかりでもないのだと、僕自身は考えている。僕にとっての責任とは、ネット上こんな場であったとしても、常に自分自身であり続けると云うこと。それがほとんど全てである。これを誰かの所為にしようとしてみたり、他人のフリを装ってみたりすることなど一度もなかった。

驕りも不遜も、尊大さも無愛想も、無知も不理解も、誤解も曲解も、屁理屈もケンカ腰の態度も、的外れな主張やズルすべりのギャグも、すべて自分自身で吐き出すと同時に、自分自身で受け止めてきた言葉である。ここに僕が晒してきた恥。ここに僕が注いできた想い。一字一句全部、僕が僕自身であり続けた証であると思っている。

責任とは、自由や権利の対価であり、また自分自身の行いそのものである……と僕は思う。

そしてまたこうも云っておきたい。その自由や権利の敵は外ではなく、常に自らの心の内側にあるのだ……と。その自由の為に、ボクらひとりひとりが、自らの心に在る、その内なる敵と戦わなければならないのだ……と。その時ボクたちと、そしてこの世界は、もう少し賢くなれるのだろうと、僕は信じている。

ここでの僕の言説が、誰かに無責任と謗られるのだとすれば、それも甘んじて受け入れようと思う。けれども皆が皆、ネット上自らを何と名乗ろうとも、自分自身であることに責任と誇りを見失わぬのであれば、この場はもっと有意義なものになるのだろうと僕は思う。価値あるものになってゆくのだろうと思う。その時また、ここでみなさんと再会できることを楽しみにしております。

読んでいただいた方々、言葉をかけていただいた方々、ここで出会うことはなくとも、今日もまた雨の中子供たちのためにグランドに足を運んでくださる方々、明日もまた酷暑のなかスタジアムへと足を運んでくださる方々、サッカーが大好きなすべての方々に、いま心から感謝します。

長らくお付き合いいただき、ほんとうにありがとうございました。
またいつか会おうね。

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2010年07月22日

新JFA会長への5つの要望【キリタニ】

その1 透明化された多数決による開かれた会長選を

巷間漏れ伝わってくるような「次期役員候補推薦委員会(川淵三郎委員長)」なるものを経由する、不透明な選定方法はすみやかに廃止すべきである。これでは相撲協会以下。どうしてこれを“良識派”と呼ばれるサッカー批評家やジャーナリストたちは正面から大きな声で批判しないのだろう?ピッチ上の選手達に、敵と命がけで戦え!と迫る彼らには、都合よく自らの敵だけは見えないのだろうか?


その2 JFA会長は日本代表監督の選定に関わるべきではない

代表監督任命権は、現状では強化担当技術委員長に一任すべきである。
そしてその強化担当技術委員長(或いはそれに代わるポスト)は、今後元日本代表選手たち(代表キャップ50以上)の投票により、元日本代表監督経験者(オフト・オシム・トルシエなど外国籍監督)を中心とした有志の中から選出されるシステムを提案したい。ここに海外のサッカー事情に不詳で、折衝担当能力も持たない協会お抱えOBを据えるなどまったくもって不合理である。誰よりもサッカーに詳しく、誰よりも海外に顔の効く人物にこそ、就任してもらうべきである。


その3 代表の強化はJリーグの強化そのものである

無駄な親善試合でJリーグと代表選手の日程を圧迫するぐらいならば、親善試合そのものを削減して、その分支出のカットに努めるべきである。クラブに利のない天皇杯に、ACL出場権を設定したり、ベストメンバー規定を押し付けるのもやめるべきである。JFAとは何のためにある組織なのか、自ずからもう一度、抜本的に問い直すべき時期である。クラブに未熟な日本人監督の登用を促すよりも、むしろ優秀な外国人監督、優秀な外国人選手を招くための、助成金を付与すべきである。


その4 クラブに対して若手の試合出場の為の奨励金を

所属選手がA代表に選ばれ公式戦を戦うことは、クラブにとっても少なくないメリットがあるだろう。しかし、現時点では、それ以下の世代代表に選手を招集されるメリットが希薄である。U-20世代の代表への招集、さらにはU-20選手の、Jリーグ公式試合出場に関しては、JFAの側から何らかのカタチで、各クラブに対して奨励金を付与することを望む。例えば公式戦1試合(90分)につき10万円。3人の10代選手をレギュラーで1シーズン使えばおよそ1000万円の奨励金が協会から貰える……。やがてはA代表を牽引する若手選手の試合経験を促すためにも、また地方クラブの経営を効率的に助成するためにも、そのような発想があっても良いのではないだろうか。


その5 普及のため何よりも重視すべきは女性と学校体育である

僕が幼い頃は、ママさんバレーが流行っていた。母親の練習について体育館へと足を運ぶのだが、もしその時同じ体育館で、バレーボールに触れ合うことができていたならば、僕はサッカーではなく、バレーの選手になっていたかも知れない。幼少期の子供たちに、他のスポーツに先駆けて、どのようにしてサッカーに親しんでもらうか?その為には、女性をどのようにしてサッカーの世界へと引き込むか?そしてドッジボールや30人31脚のように、手軽な、簡素化された室内サッカーを、どのようにして校内スポーツの中に取り込んでもらうか?その部分にこそ、智慧とお金を注入すべきであると僕は思う。



しつこいようだが、再度云わせてもらいたい。

もはやJリーグは、日本代表のためにある訳ではない。そしてまた日本代表の成果のみが、この国のサッカーの真価を示す指標とは云えない。

いずれJリーグが深化・発展・成長し、世界に誇り得るリーグとなった時には、日本代表も必然的に、世界に誇る強い代表チームとなっていることだろう。その為にJFAが為すべき事は、財団法人として己の収益拡大のみに血眼になることではなくて、むしろ己の利益を度外視し、或いは多少の損失に目を瞑ってでも、全力でJリーグや地方協会をサポートし、盛り立ててゆくことではないだろうか。

この国のサッカーにとって一番大切なこととはいったい何なのか?

もう一度原点に返って考えてみて欲しい。一番大切なのはサッカーそれ自体である。金よりも、スポンサーよりも、ビジネスパートナーよりも、誰か個人の意地や名誉よりも、サッカーそれ自体と、それを楽しみ、プレーする何百万人もの人々の喜びや愛情のほうが、ずっと大切で価値あるもの、何よりも尊いサッカー界の財産なのだと僕は思う。

目先の数字や結果ばかりに囚われ、この循環を支えてくれているものの正体を見誤らないで欲しい。彼や彼女らの想いが、当たり前に届くサッカー協会に生まれ変わることを、僕は願っている。


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2010年07月21日

新チェアマン・大東和美氏への7つの要望【キリタニ】

その1 ベストメンバー規定の廃止

もちろんtoto等との絡みもあり簡単な話ではないだろう。が、今現在のJクラブにとって何の利もないこの仕組みの是正に、正面から取り組んで欲しい。ファンへの真摯な事情説明も必要。


その2 闇雲なプロ化の抑制

現行システムでの脆弱なプロクラブの量産はこのへんで再考すべし。むしろ今後は、プロとアマとが無理なく共存する下部リーグの在り方を模索・検討するべきである。さらに云えば、プロとアマのその区分けとハードルが、現況に則したものかどうかの議論も必要。Jリーグはクラブ数を増やすことで、確かにリーグ自体の収入を水増しさせることには成功したのかも知れない。が、その一方で、既存クラブの利益と収益基盤を萎縮させ、制限する方向で進んできたのも事実である。この状況のまま拡大政策で突き進めば、トップリーグの魅力はどんどん薄まってゆくだろう。


その3 配分金のありかたを再検討

政治と同じである。収益の再配分こそ一番智慧を注がねばならない部分。そこに込められたメッセージがJリーグの未来をカタチ創ってゆくのだ。上を見て更にそれを引き上げるのか、下を見て更にそれに手を差し伸べようとするのか。Jリーグが今取り組むべきは、魅力的で強いトップリーグを構築すること。そしてその中で、ACL・CWCにトライしてゆくクラブの成長力を阻害しない仕組みにモデルチェンジしてゆくことだろうと僕は考える。


その4 AFC選手枠の自由化と外国資本の受け入れ

Jリーグはアジアのプレミアリーグを目指すべきである。その為にもAFC内外国籍選手枠の自由化と外国資本の受け入れを同時に、そして速やかに、検討すべきである。当該国へ向けたTV放映権を当面無償供与する代わりに、リスクヘッジのために供託金や安定開催基金のカタチで負担増を求めるのも一案である。アジア各国の主力クラスが集うリーグになれば、マーケットはグンと拡がるはずである。勿論リスクもあるが、そろそろ挑戦すべき試みなのではないだろうか。


その5 昇降格制度と入替戦

現在のJ1とJ2の枠組みを維持するのならば、自動昇降格はJ2優勝とJ1最下位のみ。残りの2枠については入替戦を実施すべきである。大事なのは、常に日本の最強クラブでこの国のトップリーグの覇を競うこと。現状を見る限りでは、J1の16位が、常にJ2の3位より力が劣るとは思えない。やはり可能な限り力ある強いクラブが、J1に参加することが望ましいと僕は考える。また入替戦ほど刺激的なゲームも他にない。多くのサッカーファンのためにも、この仕組みは絶やすべきではない。


その6 拠り所にすべき絶対の基準は公平性である

昨年から続く複数のクラブの経営危機問題。表彰式等のいざこざに対する懲罰。スタジアムでの不祥事に対する裁定。そして審判の誤審など……。Jリーグが下した多くの裁定は、残念ながら公平性に欠けるものであったと僕は思う。人の上に立つものは何よりも公平で無くてはならない。公平な競争の維持と管理こそ、リーグが為さねばならない最初の仕事である。


その7 日本代表のためにJリーグがあるのではない。Jリーグのために日本代表がなければいけない。

僕はそう思っている。この国のサッカーの構造、権力の構造を、逆転させなければならない。そのためにも、一部報道の通り、新チェアマンが大東和美氏(現鹿島社長)になるのだとすれば、これはJリーグにとって大きなチャンスであろうと思う。



おそらくJリーグは、今後TV放映権の大幅な減額やスポンサー企業の撤退、そして幾つかのクラブの消滅という困難な時期を迎えることになるのだろうと思う。いまやるべきことは、クラブの自助努力を妨げる余計な規制を思い切って廃し、多少厳しくともそれぞれ自主自立のクラブ運営を促し、リーグの合理化・効率化によって、僅かでもその利益をクラブへ還元してゆくことなのではないかと思う。

JFAによるJリーグからの、人的・金銭的収奪にここらで歯止めをかけさせること。天皇杯への参加を取りやめ、ナビスコカップ(J2参加)の日程や収益を充実させること。そして、この際提携代理店との契約手法など抜本的に見直してみることも、今後の戦略のために必要なのかも知れない。新チェアマンにはタブーなく切り込んでいって欲しい。

ここ数年のJリーグは、間違いなく停滞していたと思うし、組織としても怠慢であったと思う。

リーグが打ち出す『11ミリオン』なんてスローガンへの執着は、個別のクラブを肥えさせるものではない。そろそろクラブ本位のJリーグへと、抜本的に組織改革されるべきである。

これからは、誰がやっても厳しい時代を迎える……と云うことを、僕らもよく認識しなければならない。新チェアマンには思い切った改革を期待したい。いつも云うことだが、ピンチこそが最大のチャンスである。大東チェアマン、頑張ってください。


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2010年07月20日

2010WCの裏ベストイレブン 【キリタニ】

もしブラジルが準々決勝で度重なる不運を撥ね返すことができていれば……またもしグループH第二戦のチリ対スイス戦の結果が異なったものになっていたならば、今大会スペインが優勝することはなかったかも知れない。

いつの大会にも云える事なのだが、結果とは、偶然と必然が、ニンゲンの予測を超えて、複雑怪奇に入り混じって突き当たるひとつの現象であり、真実の断片に過ぎないと僕は思う。さらに云えば、結果とは、事故や誤審をも含めた、偶然という幾つもの分岐の中で辿り着く、1つの着地点に過ぎない。もう一度やり直せば、当たり前のように、まったく違う結果が齎されることだろう。

ただ単に楽しむと云う立場であれば、その結果に一喜一憂するだけで結構。

しかし、これを今後の未来や強化と云ったものに建設的に活かそうと考えるならば、結果そのものを評価するよりも、そこに抜け落ちた幾つモノ真実の断片を拾い集めることのほうが、はるかに重要である。

次の代表監督を誰にするのか?

もちろん大切なことである。しかし、それと同じぐらい、今大会の4つの試合から、日本の現状の力量を正しく推し量ること、またそれによって、4年後の理想的な姿、ビジョンを思い描くこと。要するにここまでの総括とここからのプランニングを誤らぬことのほうが、何よりも大切であろうと思う。

大幅にタイミングを逸した感もあるが、以下に今大会僕が独断で選ぶベスト11を書き記しておこうと思う。

全試合の90%近くをTV観戦した。よって、まともに選ぼうとするならば、やはりほとんど各メディアなどで取り上げるそれと大差の無い選出になってしまう。それでは結局選ぶ意味がないので、このたびは僕の心に残った選手たちで、他にはない自分オリジナルの2010WC“裏”ベストイレブンを選出してみようと思う。

ちなみに今大会の最優秀監督はヨアヒム レーブ(ドイツ)。ベストマッチは3位決定戦ドイツ-ウルグアイ。そしてMVPには、やはりウルグアイのディエゴ・フォルランを選出したいと思う。


GK ビンセント・エニェアマ (ナイジェリア/ハポエル・テル・アビブ)
DF ホルヘ・フシーレ (ウルグアイ/FCポルト)
DF ディエゴ・ルガーノ (ウルグアイ/フェネルバフチェ)
DF パウロ・ダ・シルバ (パラグアイ/サンダーランド)
DF ファビオ・コエントロン (ポルトガル/ベンフィカ)
MF アンソニー・アナン (ガーナ/ローゼンボリ)
MF アレクシス・サンチェス (チリ/ウディネーゼ)
MF ランドン・ドノバン (アメリカ/ロサンゼルス・ギャラクシー)
FW スアレス (ウルグアイ/アヤックス)
FW ギャン (ガーナ/レンヌ)
FW バルデス (パラグアイ/ボルシア・ドルトムント)

以上、2010WCキリタニの裏ベストイレブンでした。


~皆さんへ~

『全ての主張に同意したり、共感できたわけではありませんが、少なくても85%以上の確率で、私の拙い経験から導き出された結論や哲学とあなたの主張は一致していました』

と云うosim1995さんのコメントに見られるように、ここに真摯に集ってくださった方々の、その15%~20%の貴重な異論について、僕が僕自身の至らなさや不徳の致すところによって、この場で光を当て、掬い上げることができなかった事は、自分自身自覚しております。

或る種の空しい論争に引きずり込まれ消耗せぬ為に振り上げて見せた自らの刃が、結果的に、そうではない正当な議論の可能性の芽を刈り取り、自重・萎縮させた部分もあっただろうと思います。そういう点では、たいへん息苦しい、気詰まりな立場を皆さんに強いてしまいました。

僕自身にもう少し智慧があり、覚悟があり、心のゆとりとおおらかで成熟した人間性があれば、これをクリアし、もっともっと有意義なブログ、コメント欄にすることもできたかも知れません。力及ばず申し訳ありませんでした。今ここで心からお詫びします。

あとは……やっぱり幾つかお名前の記入漏れがありましたネ^^重ね重ね失礼致しました。

残り3編。

この後、『キリタニの遺言』シリーズをササっと続けざまに書き上げた後で終了とさせていただきます。皆さんと共に過ごしたこの時間を、僕は充分に楽しませていただきました。たくさんの温かいコメント、ほんとうにありがとうございました。



~一言コラム~


準決勝/オランダ3-2ウルグアイ【短評】
少しやるせない結末であった。主審のイルマトフ氏はヘタなレフェリーではないと思うが、1試合にある幾つかのやむを得ないミスジャッジが、ほとんどすべてウルグアイの側にとって不利に働いてしまった。ウルグアイと云えばダーティーなイメージを持たれがちだが、この試合に関してはオランダの汚いプレーに耐えていたのはむしろウルグアイの方であった。僕が主審であれば、ファン・ボメルを最後までピッチに立たせることはなかっただろう。それにしても最後の最後までウルグアイは素晴らしいチームだった。まもなくベスト11を選出するつもりだが、フォルランとスアレスは今大会最高の2トップであったと僕は思う。(2010.07.07)

準決勝/スペイン1-0ドイツ【短評】
この試合のドイツの不甲斐なさを嘆く方もいることだろうが、サッカーのゲームとはあくまでも相手があって成り立つもの。逆に僕は、このスペイン相手にセットプレーからの1点だけに押さえたドイツのDF陣を讃えたいと思う。メルテザッカー、フリードリッヒ、この日の彼らのパフォーマンスは素晴らしかったと思う。一方のスペインは苦しみながらも前回EUROのパフォーマンスに近いところまで辿り着いたのではないだろうか。今もってF・トーレスは不調であり、ビジャにも疲れは見えるが、中盤のコンビネーションが更に向上し、攻守共に磐石なものと成りつつある。決勝戦、敵はオランダよりもむしろ、ピッチコンディションと疲れか。(2010.07.08)

3位決定戦/ドイツ3-2ウルグアイ【短評】
ボールを持つたび、その背中に激しいブーイングを浴びるスアレス。スター軍団相手に球際でギリギリの粘りを見せる名も無き戦士たち。今大会もっとも美しいと思えるフォルランの勝ち越しゴール。そして最後の最後、直径10cmのバーが分かつ天国と地獄……。サッカーの持つエクスタシーが凝縮されたようなゲームだった。フシレ、ルガーノ、M・ペレイラ、そしてアレバロ。フォルラン&スアレスの眩い才能はもちろんだが、彼ら脇役達の献身とその魂には胸を打たれた。このウルグアイは、僕の中の2010南アフリカWCのNo.1である。(2010.07.11)

小野剛「大会前、岡田監督の更迭を訴える記事を掲載した、ある雑誌がありました。これは相当な決意のもとで行われたことだろうし、日本が決勝トーナメントに進出した時には、それこそ休刊するぐらいの覚悟があると私も思っていました。しかし実際はそうはせず、流れに乗り遅れまいと、増刊号まで発行している。そんな姿を我々は見ているし、一方で、風向きに左右されず、自らの目でしっかりと分析しているジャーナリストが多くいることにも気づかされました。」~以上サッカーダイジェスト2010年7月20日号より~(2010.07.09)

決勝戦/スペイン1-0オランダ【短評】
スペインの疲弊は眼を覆うばかりで、いつもの人もボールも動く、流動的なポゼッションサッカーができていたとは云えなかった。一方のオランダは、すでに僕の好きだった頃のオランダとはまったく別物であり、クライフはこの姿を見て何を思うだろうか?と、一抹の寂しさも感じた。まあ、一言で云えばこれこそがサッカーの現実なのだろう。容赦なく削るオランダと、それをシミュレーションでいなすスペイン。最後の最後までゲームを殺さなかった主審の老獪さが、何よりも一番印象に残ったゲームだった。この試合のMOMはカシージャス。近々今大会の総評をまとめてみたいと思っている。(2010.07.12)



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2010年07月16日

自分なりのケジメについて 【キリタニ】

ID投稿、認証制度によって、その数はだいぶ減ってきましたが、このブログのコメント欄には、平均すれば1つのエントリーにつき20~30程度のコメントが届きます。多いときは100を超え、200近い数にのぼった時もあります。

一人一人のコメントに対して、それぞれ感謝を込めて誠実に対応しようとすれば、日々の生活の中でかなりの時間と労力が必要になる。これを為し遂げるには、相当のモチベーションとやりがいのようなものが必要になります。楽しいやりとりでなければやってられない。

だからこそ、こちらを不快にさせるために書き込まれるコメント。土足で踏み荒らすような表現。この場に何らの敬意も礼節も払おうとしない態度。例えそれが偽りの無い評価であろうと、こちらを侮辱する意の汲み取れる文言。

日々のせわしない生活の中で、このコメント欄に対して、自分自身誠実に対応しようとすればするほど、僕にはそれらのコメントが許せませんでした。

表現の自由は判る。
ネットの自由は必要だと思う。

が、それに対する義務はないのか?
責任はないのか?
その向こう側に、人のココロはないのか?

そしてここは掲示板ではない。こちらだけ一方的に、何十人何百人ものさまざまなニンゲンの不平や不満に対して誠実にお付き合いし、穏便、穏当にやりとりせねばならない義務だけがあるのか?果たしてそれが公平なのだろうか?

そのような疑問とやりがいを天秤にかければ、このコメント欄を存続してゆくということ、そのひとつひとつに誠実に対応してゆくと云うことは、とても割に合わない作業だと思いました。結局ID投稿制にしたところで、認証制にしたところで、どこまでも他者の悪意と云ったものは、手を変え、しなを変え、付き纏ってくる。モチロンそれも誰かに云わせれば、身から出たサビなのだろうと思う。

一人の発信者として、あらゆる評価があるのは、モチロン覚悟している。これまでも他所で語られるそれらに対して、いっさい抗議、反論したことはない。が、その一方で、ありとあらゆるニンゲンたちの、そのあらゆる次元や人間性から浴びせられるひとつひとつの反論や批判に対して、この場で際限なく誠実に『対応』することまでは不可能だ。そんな時間もモチベーションもない。

結局ここまで迷いながらこのコメント欄を存続させてきたのは、そんな煩わしさに付き合わされながらも、その他の多くの皆さんにとってこの場が有用に活用されている、楽しんでいただいているのではないか……と云う期待があったからです。

そして僕はそんな状況の中で、今回致命的なミスをしてしまいました。悪意のないところにまで悪意を探し、それに自分自身のモラルに反するやり方で反撃を加えてしまった。僕が今回この場から身を引くことにしたのは、この場で他者に対して求めてきた“自分なりの正義”を、自ずから踏み外してしまったことに対するケジメと責任です。

今回はいつもどおり認証制のまま公開しておきますが、様子を見て次回から廃止させていただくかも知れません。

すべて開放し、表現の自由の名の下に、好き放題させることも考えましたが、この場にさらなる悪意や身勝手を蔓延らせるようであれば、むしろ閉じてキレイサッパリ無くしてしまったほうが良いだろうと考えております。

この表現もこれで最後にしますが、僕にとってこのコメント欄は、これまでおそらく1000時間もの時間と手間ひまを掛けて育ててきた『庭』のようなものです。そして面倒くせぇと思いながらも、これを続けてこれたのは、この場に対する多くの皆さんの敬意と礼節、そして御協力があったからこそだと思っています。

僕はもう少しだけ本文の方を書き綴ってから、一旦ブログを休止させていただくことにします。


まずは読裏さん。karimanさん、天点さん、my-10さん、tadahideさん、UJさん、そしてreckress。mimi-gaさん、enterpriseさん、ironmouseさん、longさん、皆さんの今後のスポナビでの奮闘に注目しています^^それぞれ楽しみながら頑張ってください。

プーアールさん。ペン太郎さん。kakaraさんやラッシュさん。CHUEさん。しろうとさん。takatakaさん。チャアヤさん。alpha。コディーノ。すっぴんさん、じじいさん、モンドのオヤジさん、moneru01さん、星人さん、OMA同盟参上さん、リベリーさん、もとぼうさん、やっさん、モモンガさん、夕焼けさん、ゑまのんさん、ロベルトさん、Junoさん、攻撃的GKさん、くまおさん、豪蹴人さん、akaさん、がががさん、psycoroさん、ケロッグさん、21tomさん、osim1995さん、blue09さん、馬慈尾さん、ぽぽんでる。さん、スナフキンさん、アニーさん、大地と森のはははさん、おおたあさん、ahiさん、えぬえぬさん、なしあさん、フアン・ゲレーロさん、みづはさん、サッカー素人さん、サッカー小僧さん、yk16さん、還暦の蹴球爺さん、NTTMEさん、バンビーナさん、OMA同盟参上さん、 robi-さん、示威さん、Sound And Visionさん、50のおじんさん、年寄りJUNさん、RED_part2さん、S.Nさん、いまめさん、なしあさん、 きょうとしちーさん、だいだいさん、キトさん、ぶーちゃんさん、ももさん、鳥脳さん、よーかいさん、怪獣アントラ、稲本マニアさん、パンさん、ねこ、三本の矢さん、なつさん、五位堂さん、あきら@さん、Mr.daydreamさん、そしてアネモネさん、最後に蹴球爺さん……。

きっとたくさん書き漏れがあると思いますが、皆さんとここで出会えたこと、楽しい時間を過ごさせてもらったこと。心から感謝します。ほんとうにありがとうございました。レスは要らないよっ。もうこっちからレスできないんだから。

ひとまずこの場でお別れとします。みんな、元気でっ!


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2010年07月13日

日本化の方程式と次の代表監督について 【キリタニ】

少し古い話になるが、皆さんはUEFA/CL準決勝2ndレグ、バルセロナvsインテルのゲームを見ただろうか?

僕はこの試合に、改めてサッカーの不変の条理を見せ付けられた気がした。

そしてオシムジャパンの一時期を除き、或る意味これこそが、日本代表サッカーの哲学に欠けている要素であり、WC本大会を闘うにあたっては、最も適切な方策であると考えてきた。日本代表が岡田ジャパンに代わり、2010WCの出場権を得てからと云うもの、僕はそれを一貫してこの場で訴え続けてきたつもりである。

当然のことながら、そんな僕の願いとはまったく無関係に、岡田ジャパンはあのような過程を経て、最終的にあのような構えで闘ってみせた。

それによって日本は守備的なスタイルで行くべきか、攻撃的なスタイルで行くべきか、なんて昨今よく判らない論点で議論が進められている気配もあるが、僕に云わせればそんなもの白か黒かじゃない。車にアクセルとブレーキがあるように、どちらかひとつで事足りる訳ではない。

強く速く走るためには、良いエンジン、すなわち動力装置が必要なのであり、速く走る車ならば速く走る車ほど、高いレベルの減速、停止のための制動装置を必要とする。

ゲームにおいて一番大切なのは、そのアクセル(動力装置)とブレーキ(制動装置)を“適切”に使い分けることなのだ。そして強化において最も肝要なこととは、そのアクセル(動力装置)とブレーキ(制動装置)のための素材自体を進化、レベルアップさせること。

アクセルしか踏まない走り方も、惰性とブレーキだけで乗り切ってしまおうとする走り方も、どちらの論理も成立しない。そのふたつを高いレベルで共存させることで、永遠にも連なる無限の階段を、ゆっくりとひとつずつ登ってゆくしかないのだ。


もし僕が今現在JFA会長であったとしたならば、

次期日本代表監督にオズワルド・オリベイラ氏を(当面は鹿島と兼任)。
そして強化担当技術委員長にイビチャ・オシム氏を招聘するだろう。

日本代表のサッカーには、オリベイラ的な要素とオシム的な要素、そのどちらか1つ……ではなく、2つの共存こそが必要なのだと思うからである。

いつまでも性懲りなく、サッカーを青臭い理想論だけで語る牧歌的な時代は既に過ぎ去った。さりとて、ただ目の前の勝ち負けのみに拘泥する、理想も理念も無い結果至上主義だけでは、明るい未来は展望できない。

日本人の適性に合ったオリジナルな部分を強調し得る、若年層の一貫したオフェンシブな個人戦術・グループ戦術の強化。そしてそこから産み出されるタレントを駆使して、それぞれ目的のゲームにキッチリと勝利を収める為の適切なチーム戦術とオーガナイズ。

これをU-20以下の若年層(オシム担当)、そしてU-23からA代表(オリベイラ担当)の間で、キッチリと区分けし、分業制にして、それぞれに戦略的な育成と戦術的な強化体制を、並行して構築してゆくことができれば、一番望ましいのではないだろうか。

これまでにも腐るほど云ってきたことだが、サッカーの現実とは、守備的か攻撃的か?
或いはポゼッションかカウンターか?

そんな二者択一の単純な話では無い……と僕は思っている。

ピッチ上の90分の時間中で、この互いに相反する2つの要素を、その状況や必要に応じて、適時適切に使い分けられることこそが“強さ”であり“成熟”の証なのだ。

“自分達のサッカー”なるものが、そのいずれか……でなければならない、などと云うナイーブな誤解や解釈は、そろそろ捨て去ったほうが良い。賢いサッカー、考えるサッカーとは、その時々の必要に応じた戦術のバリエーションによって、はじめて成立する。

A代表の試合を見る事で、若年層のゲームに対する知性が磨かれる。またユース時代に蓄積された果敢で質の高い個人戦術・グループ戦術が、A代表の厳しい真剣勝負の中で、この国のサッカーのアイデンティティとして滲み出てくる。どちらかの要素がどちらかの要素を阻害するものではなく、互いに補完しあうことで懐の深いサッカーのスタイルを定着させてゆく。

そんな方向性こそが、サッカーの理想と現実に対する、正しい向き合い方なのではないかと僕は信じている。

そして僕ならばそれを、迷わずオリベイラとオシムに託したい。特に強化担当技術委員長オシムには、2期8年間を継続してお願いしたい。そうすることで、設定される親善試合の質も大きく変わってくることだろう。

有名なアルベルト・アインシュタインの特殊相対性理論の関係式である『E=mc²』(イー・イコール・エム・シー・スクエアド)を文字って、僕はこれを日本化の方程式『J=oo²』とでも表記させてもらおうか……。

今ならばオシムさんの愛弟子ポポビッチ(元大分トリニータ)さんに、U-20以下の監督としてお世話になることも可能だろう。

これまでの技術委員会とその強化体制では、夢を見る事もできなければ、現実を掴むことも運任せでしかない。しっかりとした理念も無ければ、一貫した計画性も見られない。今のままでは、エンコによる、エンコのための、エンコ塗れの同好会に過ぎない。これがプロの仕事だとは到底思えない。

育成という或る意味絶対的な視点。
そしてゲームにおける勝ち負けと云う、避けることのできない相対的な視点。

このふたつを正しく備えて、はじめて一人前の成熟したサッカー国足り得るのだと僕は思う。僕はこの国のサッカーの象徴……日本代表に、イビチャ・オシムとオズワルド・オリベイラの適切な融合を求める。そして彼らこそ同時に、その2つの要素をひとつの知性の中に正しく併せ持つ、Jの歴史上傑出した指導者であり、サッカーの真の理解者であると僕は思っている。


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2010年07月09日

岡田ジャパンの総括 【キリタニ】

巷ではこのサッカーを“堅守速攻”と云うらしいが、僕に云わせれば確かに“堅守”ではあったが、残念ながら“速攻”ではなかった。しかし、現状の日本がただひたすら“結果”を求めにゆくのであれば、この戦い方以外になかった。

惜しむらくは、せめて“速攻”のカタチを設え、その為の適切な人選をした上で、大会へ臨んで欲しかった。が、あのドタバタの状況であれ、最後の最後にこの方向に踏み切ったのは、正しい判断であったと思う。


「1+1を3にも4にもする」

この2年半の間、岡田武史監督が幾度となく語った言葉である。しかし残念ながら、現実のサッカーがそのようなトライであったとは僕は思わない。

「2010×岡田武史が1998になった」

内容的に見れば、2年半の歳月を費やして、1998年のニッポン……12年前のニッポンに立ち返っただけなのではないか……と僕は思う。

結果が大きく異なったのは、対戦相手の質と状況、あらゆる展開において、大きな幸運に恵まれたことと、コンディショニングが非常にうまくいったこと。そして、選手たちがその幸運と好機をモノにし得る“質と経験と強い気持ち”を備えていた……と云うことがあげられるのだろう。

要するに、僅かながらでも日本の選手達は、あれから12年を経て成長した。しかし、一方でそれ以外の何かが進歩してきたのかどうかは疑わしい。岡田武史監督も、協会も、日本のサッカーの質も、メディアも、そしてそれを見守るファンやサポーターたちも。

日本のGL突破確率は20%~30%

今回この20%~30%の確率を引き当てた当事者は確かに岡田武史監督なのだろう。が、以前からしつこく云ってきた様に、僕はこの確率を、日本が本来持っている潜在的可能性の下限値に近いもので、岡田武史監督がこの2年半の歩みの中で掘り起こしてくれたものだとは思わない。

大会前の大転換で、彼は確かにこの妥当な確率の範囲内にチームを導いてくれはした。が、やはり僕は結果オーライで岡田武史監督の2年半を肯定する気にはなれないし、これを選択してきた川淵三郎名誉会長や小野剛元技術委員長、そして犬飼基昭会長の決断を賞賛する気には到底なれない。

「1次リーグを突破した場合は、日本協会として岡田監督に続投要請する考えがある」

との原博実技術委員長の岡田監督続投要請に至っては、開いた口がふさがらなかった。技術委員長としての彼のサッカーに対する哲学や理念といったものは、その程度のものなのだろうか。であれば、このポストの存在意義とは、いったい何なのだろう?


突破確率と共に、僕は今大会32カ国中、日本は28番目か29番目の国なのではないか……ということもここでさんざん語ってきた。

そして今ベスト16という結果を受けても、驚いたことにその思いにほとんど変化はない。逆に、結果GL敗退したとはいえ、ニュージーランドや北朝鮮、アルジェリアなどの思いも懸けぬ健闘を、それぞれ180分ずつ見てしまった後では、本当にかの国々よりも日本は強かった……と云えるのだろうか?質の高いサッカーをしてきたのだろうか?と首をひねるばかりである。

もし日本が彼らのグループに組み込まれていたとしたならば、彼らの示した以上の“内容”を、ピッチ上表現することはできただろうか……と。

自国開催以外のWCにおいて、GLを突破したこと。

これは確かに快挙であろうとは思う。しかしそれによって、『結果がすべて』の大号令に倣い、この4年間の歩みを肯定的に捉えてしまおうとする安直な思想がまかり通るとするならば、それは驕った権力者たちの増長を招き、むしろ退歩に繋がる禍根とも成り得るだろう。

僕は今回のWCのテーマを、事前に『真実のスタートライン』に辿り着くこと……であると述べた。実を云えば2002年から、ずっとそう思い続けてきた。しかし、その『真実のスタートライン』に辿り着くには、あまりに難解な地図、道標を、サッカーの神様に提示されてしまった気もするのだ。

この『GL突破』と云うひとつの結果により、愚かなJFA執行部は信認を受け、強化に繋がらぬ無意味な興行は、当面盛況の下に自省なく繰り返されることになるだろう。そして4年後の本田圭佑は、もしかしたら今回の中村俊輔のように、疲弊し消耗して、理不尽な悲哀を味わう羽目になるのかも知れない。その中で、秋春制などのJFAの利権に根ざした改革が、Jリーグの発展と事情を省みずに強行されることも考えられるだろう。

必然的にJFAとJリーグのパワーバランスは、改善するどころか、むしろ悪い方へ傾いたと云えるのかも知れない。勿論、選手達の功績を讃えることとは別次元の話ではあるが、本質を踏み外した解釈が為されるならば、この勝利は無駄な回り道、或いは退歩に繋がる可能性をも充分に秘めたものでもあることを、いま僕たちは自覚しなければならないのではないだろうか。


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2010年07月05日

WC歴代ベストゴール~準々決勝全4試合短評~【キリタニ】

皆さんにとって美しさの基準とはなんだろうか?

きっとこれは感覚的なものであって、定義を教えろ……と云われても困ってしまうものなのかも知れない。僕にとっての美しさも、やはり言葉で表現するのは非常に難しい。が、感覚的にそれを現してみるならば、

偶然より必然のほうが美しい……

が、おおよその原則となるようだ。モチロン、何が偶然で何が必然なのか……と問われれば、そこにもひとつの難解な議論があろうかと思う。ヘンな例えになるかも知れないが、

僕は、大自然の奇岩群なんかよりも、丘陵に設えられた山里の棚田のほうが美しいと感じる。夜空に散らばった、まばらな星々の光の点よりも、時と共にそれが描く光の線のほうが美しいと感じる。生まれたての赤ちゃんの、夢を見るその無邪気な微笑よりも、死に行く年老いた老人の、誰かの為に遺す皺くちゃの微笑のほうが、より美しいんじゃないかって思うこともある……。

こうして例えをあげてみても、やっぱり他人と言葉にして共感し得るものではないのだろう。美しさ……とは、感じたものがすべてであり、それを何に見出すかは、理屈では無いのだろうと考える。

サッカーのゴールもそういうものではないだろうか?
一言で美しいゴール、ベストゴールと云っても、人それぞれ多様な捉え方や印象があるものだろう。

僕にとって美しいゴール、ベストゴールとは、見栄えの良い綺麗なロングシュートやバイシクルのような、いわゆる偶然性や芸術性をおびた類のものではなくて、ギリギリの土壇場で勝負をひっくり返すようなエモーショナルなもののことを指す。

これまでのWCにおいて、今でも忘れられないのが1998年フランスWCのオランダ-アルゼンチン戦におけるデニス・ベルカンプの終了間近の一撃である。

89分間、ほぼゲームを支配し続けたヒディンク率いるオランダが、それまでの繋いで崩すオランダサッカーの意地と誇りをかなぐり捨てて、フランク・デ・ブールが40Mのロングボールをはじめて前線に放り込んだ瞬間の出来事である。

僕は今でもこの5秒間の鮮烈な情景が忘れられない。そこにはオランダの持つ美意識と勝利への渇望という、或る意味対極の価値観の相克と対峙があり、僅か5秒で、一瞬にして、世界が変転してしまったのだ。

この1998年のオランダは、1986年あのプラティニのフランスと共に、僕にとってはワールドカップ史上最高のチームである。結局この死闘の後に、彼らは準決勝でブラジルに延長PK戦にて敗れるのだが、僕は今でもあのフランス大会で一番強く、そして美しかったのは、このオランダであったと思っている。

1998WC準々決勝オランダ2-1アルゼンチン
デニス・ベルカンプの決勝ゴール

そして今大会で云えばグループリーグCの2回戦、アメリカ2-2スロベニア戦におけるランドン・ドノバンのゴールマウス天井に突き刺したゴール。さまざまな不利なジャッジに苛まれ続け、心が折れそうになったチームに、魂を吹き込んだ、怒りの一撃である。

2010WCグループC2回戦アメリカ2-2スロベニア
ランドン・ドノバンの追撃のゴール


今大会も残すところあと4試合。
ここからさらに素晴らしいゲーム、そして美しい感動的なゴールが見られることを期待したい。



~準々決勝全4試合【短評】~

準々決勝/オランダ2-1ブラジル【短評】
世界最高のスキルを持った選手達が、世界最高の高い意識と知性を備え、この大会に臨んだ。この試合も、前半を見ればブラジルとオランダの間には大きな、埋めようのない“格差”が横たわっているように見えた。が、たったひとつのミスからピッチ上の形勢は一気に逆転し、最後には世界最強のはずであった戦士たちが、世界最高のプレッシャーに飲まれてしまった。強者と勝者は、必ずしも一致しない。一言で云えば、これがサッカーなのだろう。この試合のMOMはGKステケレンブルフ。敗れたとは云えこのブラジルは今大会最強のチームであったと僕は思う。(2010.07.02)


準々決勝/ウルグアイ1-1ガーナ(PK4-2)【短評】
凄い試合だった。WCはこれまで百数十試合も見てきていると思うが、これほど心抉り取られるような物語に出会ったのは初めてかも知れない。あの時スアレスは、計算の上で手を出した訳ではないと思う。誰と話すでもなく、誰と確認し合うでもなく、23歳の若者が脳で考えるまでもなく魂の領域で“反射”した。日本の選手達にあれができるだろうか?これこそ手が届きそうで届かない、歴史と伝統を兼ね備えた強国たちとの“差”ではないかと僕は思う。4年後のギャンに期待したい。そしてこのウルグアイは、もう一度スアレスをピッチに立たせなければならない。(2010.07.03)


準々決勝/ドイツ4-0アルゼンチン【短評】
予想はしていたがやはりチーム戦術の完成度、機能性の部分に大きな隔たりがあった。隙のないドイツの守備とカウンター。そして隙だらけのアルゼンチンの守備とボール回し。どれだけのタレントを擁していても、やはりこの差を埋めることはできなかった。コンディショニングや集中力、そして勝利に対する執念と云った部分でも、この試合の両者には大きな格差があったように思う。願わくば、このドイツとブラジルの決勝戦を見たかった。ミュラー、エジル、ポドルスキ、そしてシュバインスタイガー、少し華やかさには欠けるが、今大会最高の中盤である。(2010.07.04)


準々決勝/スペイン1-0パラグアイ【短評】
さまざまな物語が90分間これでもかとぎっしり詰まった、とても感動的なドラマであった。今回パラグアイが見せてくれた全身全霊の奮闘には、600万人のパラグアイ国民もさぞ満足してくれていることだろうと思う。0-1は確かに妥当なスコア、結末ではあったが、彼らはその我慢のサッカーで、現状考え得る最大限の勝利の確率を引き出した上で敗れた。負けて尚、納得させられる試合。これこそがもっとも価値ある試合なのだと僕は思う。18番バルデスは足を引きずりながらも、この試合も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。彼の今後の活躍に期待したい。(2010.07.04)


中村俊輔にとって、きっとこれが最後のワールドカップとなるだろう。プロの現実、勝負の現実、と云ってしまえばそれまでなのだが、協会も監督も、彼をこのチームの柱と考えていたとするならば、なぜ状態の悪い時期、無意味な興行のために、あれほど酷使・疲弊させねばならなかったのか……僕はその部分だけは絶対に納得がゆかない。今回の中村俊輔の顛末が、今現在のJFAのあり方と、過密な代表親善試合の問題を見直すキッカケとなることを強く望む。僕はここで彼の“不要論”をずっと書きたててきた。僕のような奴らを見返す為にも、彼にはマリノスで、本当の中村俊輔を再び取り戻して欲しい。(2010.07.01)


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2010年07月01日

【2010WC】アジア枠とFIFAの思惑~全22試合・短評~【キリタニ】

ベスト8に勝ち残った国を見れば半分の4カ国が南米のチーム。南米枠が5である現状を鑑みれば、これは特筆すべき傾向である。もしベスト16でチリがブラジルと当らなければ、またさらにここへコロンビアやエクアドルが加わっていれば、準々決勝からのトーナメントは、コパ・アメリカと見紛うばかりのものとなっていたかも知れない。

そして今後この傾向は、ますます強まってゆくのではないかと僕は思っている。

その要因は、選手たちの愛国心や国家と云うものに対する帰属意識からくる、WCに対するモチベーションにあるのではないだろうか。チャンピオンズリーグを戦う欧州強豪国たちのテイタラクを眺めながら、この兆候は回を重ねるごとに、さらに色濃く鮮明になってゆくのではないかと危惧している。

やはり欧州のコアなサッカーファンから見れば、世界一のサッカーとは名実共にチャンピオンズリーグを指すのであって、既に……か、遠からず……かは知らないが、国家単位のそれはいずれ“もうひとつの世界”と云う位置づけがさらに定着してゆくことになるだろう。

世界のサッカーファンから見れば少し残念なことであるが、今後のWCは戦績的に見れば、欧州の劣勢に対して、南米の優勢という、或る意味昔のトヨタカップのような構図となってゆくのではないかと予想する。

今後大会のクオリティを維持する為には、何か抜本的な新しいアイディアが必要になってくることだろう。

では、アジア枠はどうなるのか?

僕は戦績に関係なく、おそらく減ることはないだろうと思っている。
なぜならば、FIFAはこの大会への中国の参加を熱望していると考えるからだ。いずれはインドにも同じ期待を抱くことだろう。今後もFIFA会長選前には、票固めのためにいろいろなブラフをかますことだろうが、政治と経済の要素を天秤にかけながらも、アジア枠減の方向性は当面考えられないだろう……と云うのが僕の予想である。



~各試合・短評~

33 grope A/ウルグアイ1-0メキシコ【短評】
ボールポゼッションはメキシコの57%なのだそうだ。しかし、試合の主導権は常にウルグアイが握っていたように思う。支配率40%で磐石な勝利を演出してみせるウルグアイ、そしてパラグアイ。僕はこんな知性と戦略のサッカーが大好きである。丁度、最終戦の同時刻開催に対する議論をしていたところで、この試合は引き分ければ互いに決勝Tという条件。まさに打ってつけの『八百長』が打てる試合にも関わらず、まったくそうはならなかった。互いに勝ちに行く試合を仕掛けていた。僕はこの世界も少しずつ賢くなってきているし、また更に賢くなってゆけるのだと思う。(2010.06.23)


34 grope A/南アフリカ2-1フランス【短評】

同時刻開催のため観戦できず。


35 grope B/韓国2-2ナイジェリア【短評】
GL突破と云う韓国の功績にケチをつけるつもりはないが、ギリシャはともかく、今回のナイジェリアにはかなり期待を裏切られた。これはアフリカ諸国全体にも云えることなのだが、ほとんどの主力選手達がクラブレベルで日々世界と対峙している中、この先国家レベルで総力を上げてこの大会に臨むことは難しくなってゆくのかも知れない。これは欧州にも云えることだ。今後のパク・チュヨンのさらなる成長に期待したい。そしてイ・ジョンスが、鹿島に留まってくれるかどうか少し心配でもある。チャ・ドゥリ……勝てて本当に良かったな^^;(2010.06.23)


36 grope B/アルゼンチン2-0ギリシャ【短評】

同時刻開催のため観戦できず。


37 grope C/イングランド1-0スロベニア【短評】
内容的には3-0のゲーム。GL3戦目にして、やっとイングランドらしさが僅かに垣間見られた。あまりにも多くの決定機を逸した為に、最後にはヒヤリとさせられる場面もあったが、後半開始すぐのキビキビとした速いパス回しには、まだまだ不完全ながらもプレミアっぽさも感じられた。特に右SHミルナーとFWデフォーのパフォーマンスは高く評価されることだろう。あとはランパードとルーニーの復調を待つのみである。一方、敗れたスロベニアも老獪な良いチームであった。グループが違えば決勝T進出の可能性も充分にあっただろう。そして何よりもアメリカ!!!試合は見れなかったが、この2チームが残ってくれて本当に良かった。(2010.06.24)


38 grope C/アメリカ1-0アルジェリア【短評】

同時刻開催のため観戦できず。


39 grope D/ドイツ1-0ガーナ【短評】
初戦オーストラリア相手にあれほどの強さを見せ付けたドイツが、試合毎にその活力を徐々に失っていっているようにも見える。良くも悪くもこのチームはポドルスキのチームなのかも……。CLの疲弊が解消されていないだろうバイエルンの選手たちも総じて低調。次戦、同じく不調のイングランドとはいえ、あちらは少しずつ上り調子。楽しみな一戦となる。一方のガーナは、守備は堅いが攻めが一本調子でアイディアがない。そしてサイドも使えない。またそれだからこその堅守なのかも知れないが、今後もこの我慢のサッカーの中で、ギャン、アサモアの一発のカウンターに賭けるしかないのだろう。(2010.06.24)


40 grope D/オーストラリア2-0セルビア【短評】

同時刻開催のため観戦できず。


41 grope F/スロバキア3-2イタリア【短評】
走れず、競れず、闘えない選手たち。自陣で性懲りなく同じようなミスを繰り返し、限られた数人の選手が、辛うじて小さな意地を見せ付けただけで、この大会を終えてしまった。確かにニュージーランドの頑張りには胸を打たれるものがあったが、決してレベルが高かったとは云えないこのグループで、まるで覇気の感じられない凡ミスを繰り返し、敵に自ら勝ち点をプレゼントするような試合を続けた。一方のスロバキアは、中盤で機転の効いた動きをする17番ハムシク中心のチーム。巧みな技術と東欧らしいキレ味鋭いカウンターを駆使するが、我慢のサッカーでオランダ相手にどこまで通用するか見ものである。(2010.06.25)


42 grope F/オランダ2-1デンマーク【短評】

同時刻開催のため観戦できず。


43 grope G/ブラジル0-0ポルトガル【短評】
残念ながら前半のみで試合は死んだ。負ければ同時刻進行のコートジボワールとの得失点差を意識せざるを得ないポルトガルと、このままで1位通過のブラジルの事情が合致した結果である。同時刻進行ゆえに死ぬ試合もある。仮に別時刻で北朝鮮-コートジボワールが先に終えていれば、この試合は90分間、純粋に勝つか負けるかという誇りを賭けた試合になった可能性もある。ブラジルは爪の先までドゥンガの哲学が息づいた、おそらく今大会最強のチームだろう。そしてポルトガルの左SB23番ファビオ・コエントランは、紆余曲折あったようだが、やはり素晴らしいセンスを持つタレント。今後のステップアップに注目したい。(2010.06.26)


44 grope G/コートジボワール3-0北朝鮮【短評】

同時刻開催のため観戦できず。


45 grope H/スペイン2-1チリ【短評】
主演は審判だったが、助演は同時刻進行(執念^^)。後半は10人という状況と、絶えずスイス-ホンジュラス戦の進行に脅かされながら、結局は得失点差1のアドバンテージに甘んじたチリ。これも別時刻であれば、多少選手入れ替はあれど、ブラジルとの対戦を避けるため90分間の真剣勝負が繰り広げられていたことだろう。結果として、スペインに勝つ二流国ならば幾つもあるだろうと僕は思う。けれども内容的にスペインを押し込む国など、この世界にブラジルかアルゼンチン以外に存在しない。しかし、この日前半のチリは、確かにその可能性を見せてくれた。僕はこの大会におけるチリとアメリカをずっと忘れないだろう。(2010.06.26)


46 grope H/スイス0-0ホンジュラス【短評】

同時刻開催のため観戦できず。


決勝Tラウンド16/ウルグアイ2-1韓国【短評】
競馬で云えば先行したウルグアイが、最後の直線で並びかけてきた韓国を、残り100Mで差し帰した……と云う展開。韓国のスタミナと運動量は賞賛に値するが、スキルとインテリジェンスと経験と云った部分で、このウルグアイとは、まだまだ小さくない差があったように思う。韓国は良い準備をして、実力どおりの力を発揮し、この大会を去った。ほんとうの強さと云うものは、このような積み重ねによって補強されてゆくものなのだと僕は思う。フォルランに疲れが見える。中盤での軽率なミスも目立ち始めている。次のガーナ戦は死闘となるだろう。(2010.06.27)


決勝Tラウンド16/ガーナ2-1アメリカ【短評】
僕の中で、この2010WCの主役はある意味アメリカであり、オーストラリアであり、そしてニュージーランドとなるのかも知れない。いずれこの大会を振り返るときに、彼らの誇りある敗北は、僕の脳裏に深く刻み込まれていることだろう。もしアメリカがGLあそこまで審判の誤審に苦しめられなければ、この結果もまた少し違うものになっていたかも知れない。一方のガーナは、初戦セルビア戦での勢いが蘇ってきたようだ。今後はアフリカの期待も背負って大仕事をやりのけて欲しいものである。ギャン、アナン、アイェウ、ジョナサン・メンサー……今後このチームから多くの選手が、欧州トップクラブへと羽ばたいてゆくことだろう。(2010.06.27)


決勝Tラウンド16/ドイツ4-1イングランド【短評】
実際に強かったのはどちらか……と云えば、間違いなくドイツであった。ビルドアップ、ラスト1/3の崩し、そしてフィニッシュの精度。現状のイングランドとならば、ほぼ1階級異なるレベルと云っても、過言ではない。しかし、あのランパードの“幻のゴール”が認められていたならば、勝っていたのはどちらか判らない。それが勝負の“流れ”であり、サッカーの難しいところである。イングランドは次のEUROまでカペッロと契約している筈だが、これを受けて契約の破棄も考えるべきなのかも知れない。今のサッカーには殆ど何の魅力もない。勝てないカペッロサッカーなど馬の○ほどの値打ちも無い。(2010.06.28)


決勝Tラウンド16/アルゼンチン3-1メキシコ【短評】
敗れたとは云え、今大会のメキシコの頑張りもまた賞賛に値するものだった。この試合もミスジャッジが介在する不幸な内容となってしまったが、メキシコサッカーの素晴らしさだけは、充分に表現し得ていたように思う。次のドイツvsアルゼンチンは、早くも今大会のクライマックスと呼んでも過言ではないかも知れない。ここまでほとんどすべてのゲームを見てきた中で、今大会優勝すべきは、このアルゼンチン、ドイツ、そしてブラジルのなかのいずれかであるべきだと僕は思う。好調のメッシとテベスが共存するこの前線は、或る意味理不尽ですらある。(2010.06.28)


決勝Tラウンド16/オランダ2-1スロバキア【短評】
僕はこれだけつまらないオランダのサッカーを見たことはない。まるでこの10年で、ドイツとオランダとでサッカーの内容や質が、逆転してしまったかのような印象さえ受ける。ロッベンは戻ってはきたが、このファン・マルワイク体制下のオランダは、このままつまらないけれどもぬかりの無いサッカーで、ブラジルへ挑んでゆくのだろう。一方のスロバキアは僕が見る限り日本と並びこの16強の中で一番力が見劣るチームだった。が、それでも3度の決定機を作り、1つの得点をあげた。充分な健闘と云えるだろう。15番ストフの活躍は、若き日のアイルランドのダフを見るようで心躍る。(2010.06.29)


決勝Tラウンド16/ブラジル3-0チリ【短評】
或る意味これがサッカーの無残な現実なのだろう。『攻撃的サッカー』とは、標語のように誰しもが云うものだが、サッカーとは常に相手があって成立するものである。最終的に『攻撃的』か『守備的』かを決めるものは、一言で云ってしまえば『強さ』そのものである。圧倒的な『強さ』の前に、『攻撃的姿勢』など屁の突っ張りにしかならない。しかし、そこに価値を見出すのか?見出せないのか?そんなファンの目線こそが、現実のサッカーをカタチ作ってゆくものなのだろうと僕は思う。今回のチリのサッカーは、僕にとっては最高のギフトであった。このビエルサと選手達の健闘を心から讃えたい。(2010.06.30)


決勝Tラウンド16/パラグアイ0-0日本(PK5-3×)【短評】

詳細は⇒ 【2010WC】 vsパラグアイ 戦評


決勝Tラウンド16/スペイン1-0ポルトガル【短評】
結果は1-0だったが、それ以上にポルトガルにとってはショックな内容であっただろう。やはり所詮は寄せ集めの急造チームでしかないポルトガルと、バルセロナと云う世界一のクラブチームがベースとなるスペインでは、ビルドアップと攻撃のオートマティズムにおいて、歴然とした格差がある。この点は欧州強豪国においてはスペインだけが持つ、特筆すべきアドバンテージなのだろうと思う。いよいよEUROを制した強いスペインが戻ってきた。心情的にはパラグアイを応援したいが、準決勝はこのスペインとアルゼンチンの対戦を予想する。そしてそれに勝利したチームがブラジルへの挑戦権を手に……そんな展開が実現するのを、楽しみにしている。(2010.06.30)


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posted by キリタニ |11:12 | 2010南アフリカWC | コメント(12) | トラックバック(1)
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2010年06月30日

【2010WC】 vsパラグアイ 戦評 【キリタニ】

すごいな……。戦ってる。戦えてる……。なんか感動だな。
~後半終了時 twitter kiritani_blogより~

……思わず、そう呟いた。

今ある全力を出し切ること。

どんな時でも、それこそが選手にとって、ニンゲンにとって、もっとも尊いことなのだと僕は思っている。価値あることなのだ、と考える。相手があるサッカーであれば尚更のことである。勝った負けたよりも大切なことがある。それは常に自らの全力を出し切ること。そしてそこにもまた敗者は生まれることだろう。しかしそれを僕は、恥よりもむしろ名誉であるとさえ思っている。一番大切なのは、最後まであがき、闘うことだと思うからだ。

事前に僕は『【2010WC】 vsパラグアイ 展望』の中で、このパラグアイはセントラルで10戦すれば、日本の2勝4分4敗ぐらいの相手ではないかと考える……と書いた。

今もってパラグアイとの力量差は、確かにそのぐらいあるのだと思う。けれども目の前で繰り広げられているその試合内容は、120分間ほぼまったくの互角。例え結果がどちらの側に転ぼうとも、僕はこれほど価値ある試合はないと思った。

前半から走れていたのは日本。

しっかりと守備ブロックを築きながら、チャンスとなれば思い切って人数をかけてトライもする。中途半端な位置での、中途半端なポゼッションに拘泥しなかったことこそが、この善戦の何よりの要因であったと思う。そしてここまでの4試合トータルで云えることなのだが、本当にミスの少ない試合をしてくれた。隙のないゲーム運びを見せてくれた。それがここまでの好結果を呼び込んだ一番の要素であったのだろうと、僕自身は思っている。

そしてさらに注文をつけるとするならば、残り20分。パラグアイの足が完全に止まったところで、日本は有効な攻め手を持ち得ていなかった。流れの中から、勝ちきる得点をもぎ取ること……。その課題は今回もまた持ち越された。これはGL突破と云う光の部分に対する、影の部分でもある。この結果と内容の相克については、しっかりと検証・解釈が為されなければならない。

ここから先の一歩は、容易いように見えてとても困難なものであろうと思う。サッカー界の総力を上げて取り組むべき、終わりなき課題である。

延長前半、途中交代で入った18番バルデスのゴール前のターンを、ギリギリのところで喰い止めた闘莉王と川島のディフェンスは、この試合最も印象に残るシーンであった。今大会を通して、4試合390分間を、たった2失点で切り抜けたこのチームの守備力は、ほんとうに素晴らしかったの一言である。

まただからこそ駒野友一には胸を張って帰国して欲しい。

この日の試合内容を見れば、一番キケンな選手は、間違いなくあのバルデスだった。一対一の劣勢の中、なんとかギリギリのところでバルデスの突破を喰い止めていた駒野の頑張りがなければ、この試合はPKどころか、延長にさえ辿り着いていなかっただろう。PKは運だ。それは闘う姿勢でも実力でもない。誰かが引き受けなければならなかったその過酷な役割を、今回は駒野が引き受けてくれたのだと思う。一番の拍手で迎えられるべきは、きっと彼なのだろうと僕は思う。


理想のニッポンはまだまだ遠い。

日本のGL突破確率は20%~30%

この2週間で、その20~30%の出目を確かに引き当てることはできた。しかし、日本のサッカー界が本質的に追い求めるべきところは、その確率に賭けることのみならず、その確率のベースを40%、50%へと押し上げてゆくことである。その部分にこそ心血を注いで取り組むべきなのだ。結果オーライでは、その本質に近づくよりもむしろ遠ざかってゆくことだろう。

今あるこの現実をしっかりと認識して、短期ではなく長期的視点に立って抜本的な強化策を練り上げてゆくべきだ。JFAはこの結果を、むしろ成果ではなく戒めとしてとらえるべきである。

もしかしたらこの代表は守備的だ……と云う謗りを受けることになるのかも知れない。よくやった!……そんなことを云っているからいつまでたっても日本は……と云う論もあることだろう。

しかし、僕はこんなふうに想う。

よくぞこの糞面白くも無い試合を最後まで切れずに戦い抜いてくれた……と。そしてこれだけの財産をほんとうにありがとう……と。選手達が今大会で見せてくれた、強さ、ひたむきさ、頑張り、我慢、勇気、冷静さ、細心さ、献身、団結、覚悟、希望、そしてなによりも諦めない気持ち……それらをこの国の未来が、サッカー界の未来が、しっかりとその足に受け継いでくれることを望む。その魂に留めてくれることを願っている。

そして最後に、岡田武史監督に深々と頭を下げて、心からその労をねぎらいたい。

この2年半逆風に晒されながら、どれだけ過酷な日々を過ごしてきたことだろうか。最後の最後に、彼は自分自身の意地と理想を捨て去り、チームを今あるありのままの現実の姿へと引き戻してくれた。そのギリギリの決断が無ければ、この結果も、内容も、きっと無残なものに終わっていたことだろう。孤独な闘いの果てに辿り着いたこの場所に、僕はフランスWCの時と同様、心からの拍手を贈りたいと思う。


一時の休息の後に、またJリーグが始まる。

子供達は今日からまた新たな思いと共にボールを蹴り始めるのだろう。そしてそんな姿を見守る“志”を持ったすべての人々の想いが、この循環を支えている。

この丸いボールの転がって行く先を、僕もまた見守ってゆければ……と思っている。もう二度と、この循環の輪から振り落とされぬようにともがきながら。


※関連エントリー
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2010年06月29日

【2010WC】 vsパラグアイ 展望 【キリタニ】

ウルグアイとパラグアイ。

今現在のこの2つの国のサッカースタイルを作り出してのは、南米大陸サッカー界の“構造”なのであろうと思う。それはこの地域に、世界一を競う2つのサッカー超大国があることと無縁ではない。そしてさらに云えば、南米特有の地域特性からくる寒暖と高低差による圧倒的なホームアドバンテージも、その要因のひとつとして上げられるのかも知れない。

彼らは常に、その厳しい南米予選において、4つ目ないし、5つ目のポジションに潜り込まなければ、このワールドカップの舞台に辿り着くことはできない。またコパ・アメリカにおいては、その2強を倒さぬ限り、まず栄冠に手が届くことはない。

彼らのサッカーはそんな“構造”の中で、無駄を削ぎ落とし、自然に鍛えられ、歴史と経験を積み重ねてきた隙のないサッカーである。ブラジルやアルゼンチンのように、個人技とポゼッションでそれを圧倒、凌駕するのでない限り、中途半端な前掛りの姿勢、人数をかけた攻撃的スタイルは、むしろ自らで墓穴を掘るカタチとなるだろう。

パラグアイが0-0の状況で慎重に構えている限り、日本が流れの中からこれを崩すことは、僕にはほとんど想像すらつかない。0-0の状況から日本が得点するとすれば、それは事故(相手の致命的なミス絡み)かセットプレー。或いは後半も残り15分、10分となったところからの、PKを避けたいパラグアイの捨て身の攻撃の時間帯なのではないかと思う。

この試合も格から見る限り、引き分け、要するにPKを避けたい……と先に考えねばならないのは、パラグアイの方であろう。0-0の状況が続けば、焦れて前へ出て来ざるを得ない。GL最終戦のデンマークのように、或る意味で彼らは自らのスタイルを捨てて戦う必要に迫られる。日本にはGL1、2戦と同様の我慢のサッカーが求められることだろうし、一番勝利に近いのはあのカタチであると僕は思う。

幸いにもパラグアイにはフォルランもスアレスもいない。サンタクルスのポストプレーは確かに厄介だが、個で仕掛けてくるようなタイプではないだけに、彼自身にフォルランやスアレスほどの怖さはない。

ただそこに二列目から前を向いたベラが絡んでくると、少々厄介である。

とにかく球際に強くて、果敢にドリブルで縦にも切り込めるし、ゴールへの意識も高いベラは、今回のパラグアイの選手たちの中で最も危険な選手である。鹿島のマルキーニョスのように、守備時においても、そのボール奪取能力でたびたびカウンターの基点となる。特に遠藤保仁や阿部勇樹のゾーンは要注意である。ヘタな奪われ方をすれば、パラグアイと云うチームは、そこから4秒でフィニッシュにまで持ち込んでくるチームである。

セントラルで10戦すれば、日本の2勝4分4敗ぐらいの相手ではないかと考える。
シュート数は日本の6~8本位に対して、パラグアイ7~10本位か。基本的に互いに攻め手を欠く、膠着した時間が長く続くゲームになるだろう。そしてボール支配率は日本の50%~56%程度。しかし、この数値が伸びたところで日本のペースと云える訳ではない。

この試合も当然のことながら、先に失点してはいけないゲームである。どれだけつまらないゲームを堂々とやりきるか……そんな覚悟と忍耐力が試される試合になるのではないかと思っている。中盤でボールを回している時こそ日本のピンチである。特に中央での危険な横パス、ボールキープには充分な注意が必要である。


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2010年06月28日

おまえも岡ちゃんに謝れっ! 【キリタニ】

おまえも岡ちゃんに謝れっ!

そんなコメントが届くんじゃないかと思って、正直楽しみにしていた。
僕の知る限り、今のところひとつもないようだが(自動的に削除されるものもある)、云われる前に先に云っておこうと思う。

俺は謝らないっ!……と。

批判のない世の中なんて正常じゃない。
批判はとても大切なものだと思っている。

けれどもそれには条件がある。

それが正しい批判であり、責任を伴った批判である……と云うことである。

こんなブログであったとしても同じことである。僕は本文で何かを批判するときは、常にそんな覚悟で書いているつもりである。そしてだからこそ、このブログのコメント参加者にも同じだけの『正しさ』と『責任』を求めている。モチロン、ここで云う『正しさ』とは、僕から見たある意味歪んだ『正しさ』のことである。なぜならここは、僕の設えた僕の場所……だからである。

名無しや通りすがりに、無責任で身勝手な『批判』を吐き捨てさせる為に用意した場所ではない。土足でこの場を踏み荒らし、好き放題他者をこばかにして消えて行くような、そんな卑劣で無責任な批判に付き合うつもりはないし、今後もそれを許すつもりはない。それほど重要な『批判』であるならば、それぞれ自身が拵えた場所で、責任を持って、その『正しい批判』をブチ上げれば良い。

いつも云うことだが、このネット上には、腐るほどの自由があるのだから。


いまネット上で一部の“岡田批判者”を非難・中傷している人々は、これまで岡田武史監督を批判してこなかったのだろうか?岡田武史氏の支持率が10%やそこらの時にも、信じて支持し続けてきたと云うのだろうか?

彼らが何をどう語ってきたのか……そのすべてを把握している訳ではないし、この“結果”に対してケチをつけるつもりもサラサラないが、僕は戦前の岡田武史批判のすべてが間違いであったとは思わない。

なかには行き過ぎた非難・中傷の類もあったのかも知れない。が、あの時適切な批判がなければ……、厳しい批判がなければ、あの残り2週間のドタバタに繋がったのかどうか……。あの岡田武史監督の手のひら返しの“変節”に繋がったのかどうか……。いまかつての批判者を、鬼の首でも取ったかのように、嬉々として非難している者たちは、よくよく考えてみるが良い。


僕はつい3日ほど前、Number7月15日号に書かれた『負けたほうがいい』という金子達仁氏の緊急提言を拝読した。なぜそこで“秋春制”が持ち出されるのか……僕自身ピンとこない部分も正直ある。が、如何に彼の主張がややピントのボケたものであったとしても、あそこに書かれていたジャーナリストとしての気概だけは、評価させてもらいたいと僕は思う。いずれにせよ彼は、協会やJリーグに背き、今後その発言の責任を背負う覚悟で、あれを認めたのであろう。

少なくとも常に権力者の顔色を伺いながら、当たり障りの無い提灯記事を量産することで、自省なくサッカー界の禄を食み、いま都合の良い正義を振りかざしているジャーナリストたちのそれに比べれば、まだ読む価値のある記事であったと僕は思う。

大体、あの時岡田武史監督を信じていた……と云う方々は、このようなメンツでこのような戦い方をすることを予言していたし、信じていた……と云うことなのだろうか?或いはあのままのメンツで、あのままの戦い方をしていれば、これと同じ結果がもたらされると信じていた……と云うことなのだろうか?

これは杉山茂樹氏にも云えることなのだろうが、当てずっぽうにサイコロの出目を予想することがジャーナリストの使命だとは僕は思わないし、それを的中させることがジャーナリストの価値であるともまったく思わない。

勝つか負けるか……それはサッカーの現実として、コインの裏表のように、どちらも有り得る話であり、またそれだけが正義の基準であるとも、僕には到底思えないからである。

如何様にも転がりえたひとつの結果を受けて、いま手のひらを返したように自らの立ち居地を変え、暗闇から彼らを批判、或いは非難・中傷している『正義の番人』たちの言動は、その軽蔑の対象と、いったいどれほどの距離があると云うのだろうか?

現実だけが常に正解である訳でも、論理的である訳でもない。
現実によって覆される正義もあれば、正義によって覆される現実もあるのだ。

ジャーナリストの使命とはいったいなんなのか?
この機会にサッカーに関わるすべての者が、深く真剣に考えてみるべきなのではないだろうか?

最後にもう一度云う。

批判とは正しく、公平で、責任を伴ったものでなくてはならない。
でなければそれは、この社会にとっても、サッカーにとっても、害悪でしかない。

自分自身への自戒も込めて、今この言葉をここに書き遺しておこうと思う。


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2010年06月25日

【2010WC】デンマーク戦とあたらしい夜明け 【キリタニ】

何よりもまず最初に云っておきたいことは、この戦いは270分の戦いであったということ。

この試合だけを取って日本を評価することも、或いはどこか1試合だけをとってそれを貶すこともフェアではない。日本は270分のトータルの勝負に勝利した。2勝1敗勝ち点6(得点4失点2)これは事前に予想し得るほぼ上限の戦績である。或いはそれ以上の快挙である。

予想どうりデンマークは序盤から圧力をかけ、前ががりに攻めにきていた。しかし、僕の予想と少し違っていたのは、これまでの2戦とは異なり、日本も引かずに序盤から勝負を決める覚悟で、正面から立ち向かっていったこと。

勝敗を決したのは、確かに本田圭佑の素晴らしいFKとGKセーレンセンの小さなミスであったと思うが、しかしこのゲームの内容と趨勢を決したのは、この勝ちに行く姿勢と勇気だったのだと僕は考える。

カメルーン戦の或る意味転がり込んだ勝利。そこから生じて、時と共に大きく膨らんでいった幸運とGL突破の可能性。しかし、最後の最後にGL突破のチケットをその手に手繰り寄せたものは、僕はこの自らで勝ちに行く覚悟であり、勇気だったのだと思う。

逃げずにひとつになってそこへ向った選手達と、またそこへ向かわせた岡田武史監督を心から讃えたい。素晴らしい挑戦であり、結果であった。この試合があって、1、2戦までの我慢がはじめて報われるのであり、あの1,2戦の我慢とこの日の歓喜は、サッカーの現実において一対のものである。

サッカーはポゼッションかカウンターかの二者択一ではない。

ほんとうに強くなるためには、ポゼッション+カウンターでなければならない。その道程は果てしなく遠い。いまの日本はまだ、そのどちらをも獲得した訳ではないのだ。しかし、そんな状況でも、真摯に現実に向き合う覚悟と、少しの好運さえあれば、ここまではこられるのだ。今回彼らは、そんな真実を教えてくれた。

大事なことは、このすべての事実を正しく解釈することである。
選手達も、そしてそれを見守る僕たち自身も。

本田圭佑はこの試合により、中田英寿を継ぐ日本サッカー界の新たなシンボルとなった。遠藤保仁と岡崎慎司には申し訳ないが、この日の3点のうち、2.5点までは彼の得点であったと僕は思う。また二人のCB。闘莉王と中澤佑二の、3試合通してのほぼパーフェクトなパフォーマンスにも、心から拍手を送りたい。

そしてまた、何度でも云わせてもらおう、皆がヒーローであった。

この日のメンバーも、ベンチのメンバーやスタッフたちも、最後に弾かれた“選ばれなかった”メンバーたちも、暑さの中ナビスコやJ2を闘っている選手たちも、今日もまたどこかの町でボールを蹴る子供たちも、そしてまた今日も、飽くことなくサッカーを語り続ける人々も……。

とにかく、あたらしい夜明けはやってきた。
このあたらしい夜明けがあらたなる失望ではなく、挫折でもなく、輝かしい希望へと続く夜明けであることを、僕は祈っている。

みんな、おめでとう!


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2010年06月23日

【2010WC】 vsデンマーク戦 展望 【キリタニ】

試合は日本の0.5点リードから始まる。
つまり90分何事も起こらなければそのまま日本の勝利である。

しかし、そうはならないだろうと僕は思っている。

手負いのデンマークは無得点すなわち『死』なのだ。最後の局面になれば、リスクマネージメントも糞もなく、全員でゴール前へと雪崩れ込んでくる。僕はそれを無失点に抑える事は難しいだろうと考える。

要するに日本がこのGLに突破する為には、少なくともこの0.5点に、さらに1得点、ないしは2得点を、加算する必要があるだろう。※ 参考『岡田ジャパンの可能性 3つ目のゴール』

そしてもし日本にそれができるとしたら、デンマークに先制を許す前……のことだろう。一度先行されてしまえば、引いたデンマークのゴールをこじ開けるのは3倍は難しくなる。

0-0の時間をどれだけ長くできるか?

そしてそのなかでどうやって先にゴールするか?

さらに先制点を奪えたとして、どのようにトドメを刺すか?

この試合に関しては、ただこれまでの亀の如くに、自陣で敵の攻撃を撥ね返しているだけでは目的を達することはできない。

しっかりと守る強い覚悟。それに加え、絶対に得点するのだ……という勇気。しなければ勝ちきれない……という計算も必要になる。これまでとは、ゲームとしての難易度がまったく異なる。日本とデンマーク両者の、本当の実力と知性、そして何よりも勇気が試される試合となる。

僕が岡田武史監督であれば、4-1-4-1は崩さず、1トップには森本貴幸を起用する。前掛りにくる相手の攻撃をしっかり受け止めた上で、できれば人数を掛けずに多くて4人参加までのカウンターで得点したい。その時一番必要になるのはスピードである。トップには守備以上に、常に相手の背後を脅かして、そのまま一人でゴールまで持っていけるようなタレントが必要である。この23名のなかで選ぶならば森本が適任である。

そして悩ましいのは遠藤保仁である。ここ2試合を見る限り、むしろ調子を崩しているのは長谷部誠なのだと思うが、この試合に関しては、遠藤の積極性に欠ける攻撃参加の姿勢が、少ない得点チャンスをモノにする上で仇となるかも知れない。僕ならば中村憲剛を使う。そして長谷部がこれまで通りのコンディションであれば、その時の状況により稲本潤一か本田圭佑を途中投入する。

残念ながら、どれもこれまで試したことのないフォーメーションである。が、この23名の制約の中で選択するならば、それがベストなのではないかと僕は考える。

デンマークに関して云えば、ボールはアンカーのC・ポウルセン、両サイドバックのS・ポウルセン、ヤコブセンのトライアングルを基点に、基本的にショートパスやポゼッションに余り固執せず、大きな展開をみせる。中央のC・ポウルセンに喰らいつくことは必要だが、この試合もドタバタとボールを奪いにゆくよりも、適正なポジショニングで広いゾーンをカバーし、しっかりとしたブロックを築くことが重要。そして1トップは、大久保嘉人、松井大輔と連動して、敵両SBのCBへ対するバックパスを奪うことに集中すべきだ。

僕がオルセン監督ならば、前半の15分で猛攻をかけ、その後の20分を日本にボールを預け少し前掛りに攻めさせてみて、それで得点できなければ、前半最後の10分から放り込みを始め、後半へ向けての情報を探るだろう。そしてやはりロングボールが有効である……となれば、後半から躊躇無く放り込む。最後はGKソーレンセンまで上げ捨て身の攻撃を仕掛ける。

デンマークの出方とは、大体こんなところだろう。が、以前にも書いたように、前掛りに来るデンマークであれば、隙も粗もたくさんある。だからこそ、この得失点の優位は非常に大きかったのだ。

問題はこの試合でそれを活かせるかどうか……である。云い換えるならば、それに押し潰されないかどうか……である。

いよいよ、決戦のときだ。


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2010年06月22日

【2010WC】GL最終戦ともうひとつの物語~全16試合・短評~【キリタニ】

今夜からグループリーグ最終戦がはじまる。

各グループそれぞれ、同時刻に2つの試合が開始されることとなる。要するに、すべてのサッカーファンは、基本的に2試合のうちのどちらか一方のLIVE試合観戦を諦めざるを得ない。先に結果を知らされる羽目になる……と云うことである。

事前に結果を知ったサッカーを見るほど味気ないことはないので、ここまで録画を含め32試合中30試合を楽しんできた僕も、GL最終戦については計16試合のうち8試合を観戦しないことになるだろう。

常々僕は、これを非常に残念なことだと思っている。例えばこの原則を打ち破って、別時刻進行に切り替えてみることは不可能だろうか?

勿論、公平性の問題が障害になることは自明である。この件に関して云えば、明らかに後から試合をするチームの方が有利である。

しかし、考えてみればグループ分けをみても、対戦順をみても、試合開始時刻をみても、日程をみても、あらゆるトーナメント形式のサッカー大会が、完全に公平であることは有り得ない。

事前に定めた抽選により、そこにある程度の有利不利が生じてしまうのは、目を瞑れる範囲の不公平なのではないだろうか。最終戦は第3シードと第4シード、そして第1シードと第2シードの対戦と定め、前者を先、後者を後に試合をする。

結果的に強豪国、シード国有利のシステムにはなるが、そうなることはFIFAの経済にとっても、決勝トーナメントを楽しみにしている世界中の多くのサッカーファンにとっても、少なからずメリットのある許容範囲の不公平性となるのではないだろうか。

さらに初戦を考慮すれば、勝ち点3がマスト……である対戦順とは、決して楽なものではないし、相対的弱者の側も初戦は勝ち点1狙いで……などと悠長なことを云ってはいられない。最初から勝ちに行かざるを得ないのだ。有利とはいえ、それほど大それた有利……でもない気がするのだ。

そしてそこにはさらに、もうひとつの物語が生じるのではないか……とも予想する。

他会場の結果関係なく、最終戦互いに引き分ければ決勝トーナメント進出……ありふれたサッカーの現実である。そのような状況は必ず生じる。が、その時彼らがくだすその選択と決断は、もうひとつの熱い物語と議論を、育んでゆくのではないだろうか。そしてそれは必ずしも負の面だけを強調する結果とはならないはず。むしろそこで僕らは、サッカーの新たな感動に出会えるのかも知れない。

GL最終戦と云うのは、最も熱い戦いが繰り広げられる舞台である。毎回白熱したシーソーゲームが行われるのは、いつもこのGL最終戦である。

この試合をさらに8試合16時間、TVに釘付けになり、じっくりと観戦することができるならば、WCの楽しみはさらに2割増し、3割増しにまで拡がる。これは丁度、リーグの入替戦を見る緊迫感とほぼ同質のものだからである。

今後のワールドカップ、GL最終戦の同時刻進行の廃止を、僕は密かに期待している。


~各試合【短評】~

17 grope A/ウルグアイ3-0南アフリカ【短評】
初戦の勢いが続かなかった南アフリカと、フランスとの息の詰まるような死闘の末勝ち点1を奪い、ここへ来て自慢の速攻にさらに厚みを加えてきたウルグアイ。これが新興国と古豪との底力の差、なのだろう。ここで実質的には、南アフリカのGL突破の夢は破れたのかも知れないが、この試合も内容的には決してワンサイドゲームではなかった。2点目のPK&レッドは気の毒な判定であった。ウルグアイは予想通りこのGLを通過してきそうである。ただ堅守だけのチームではない。フォルラン&スアレスは今大会でも屈指の2トップである。もしこのGLを1位抜けできるならば、思わぬ大躍進も期待できる。(2010.06.17)

18 grope B/アルゼンチン4-1韓国【短評】
価値ある内容ではあったと思う。が、厳しいようだが、ゲームプランニングには疑問。前半1-2で終えた幸運を活かすことができなかった。1-2の状況をキープすべく、攻めに人数を掛けずに慎重にゲームを進めるべきであったと思う。これでナイジェリアがギリシャから勝ち点3を収めれば、韓国は最終戦勝利する以外にGL突破の可能性はなくなった。この辺のナイーブさが、或る意味アジアの甘さ……なのかも知れない。アルゼンチンも勝つには勝ったが、不安定な戦いぶり。イグアインのハットとアグエロの好調振りが今後への数少ない光明か。(2010.06.17)

19 grope B/ギリシャ2-1ナイジェリア【短評】
14番サニ・カイタの軽率なリアクションによる余りに大きすぎた代償……。下らぬ挑発にまんまと乗ったその浅はかさが、GL随一の強豪アルゼンチン戦で勝ち取った、得失点差-1という大きなアドバンテージを、結果的に無きものにしてしまった。確率的には韓国40%、ナイジェリア45%、そしてギリシャ15%といったところだろうか?ナイジェリアの思わぬ躓きにより大混戦のグループとなった。韓国vsナイジェリアの死闘が、今から楽しみである。(2010.06.18)

20 grope A/メキシコ2-0フランス【短評】
或る意味では、このフランスやカメルーンが、今後のワールドカップという大会の未来を暗示しているのかも知れない。やがて訪れるだろうそんな時代への、FIFAの対応が見ものである。他の強豪国に比べれば、個で切り裂くタレントに欠けるフランスが、この程度の組織サッカーしかできないのであれば、この結果も妥当なところなのだろう。ピッチ上にもすでに魂の抜け殻状態の選手たちがいる。今更ながらあの予選の結果が悔やまれるところである。トーナメント初戦を考えればメキシコもウルグアイもガチンコの最終戦を戦うことになるだろう。ジオバニ ・ドス・サントスの大会後の去就が楽しみだ。(2010.06.18)

21 grope A/セルビア1-0ドイツ【短評】
ゲームを構成する要素は様々ある訳だが、この試合に関しては、レフェリーのジャッジがその勝敗に過剰に影響を与えてしまった。11人と11人のまともな攻防、凌ぎ合いが、90分間見たかった。問題はこの次の試合である。標高0メートルの日中の試合。10人でこれだけ走らされたドイツ。コンディションは、初戦で既にピークを迎えていた感もあり、この消耗戦の果ての、次の決勝トーナメント進出を賭けたガーナとの死闘は、さぞ過酷なものとなることだろう。一方のセルビアは、特別強い感じもしないが、最終ラインが非常に固い。最終戦を勝ちきる為に、17番ミロシュ・クラシッチの突破力をうまく活かせるかどうかが鍵。(2010.06.18)

22 grope C/アメリカ2-2スロベニア【短評】
2試合続けてレフェリーに壊された試合。悉く不利を被る羽目になったアメリカ。しかし開始直後の、デンプシーの一発レッドでもおかしくないヒジ打ちを考慮すれば、これでバランスしたと云えるのだろうか?このアメリカのサッカーを日本は真似できるだろうか?チリ同様、やはりタレント不足で、同じレベルには絶対に達しないだろう……と云うのが僕の感想である。日本にドノバンは誕生するかも知れないが、アスプリージャ(アルティドール)は出てこない。スロベニアも非常に老獪なチーム。この地域の選手達の“サッカーインテリジェンス”は驚くほど高い。(2010.06.19)

23 grope C/イングランド0-0アルジェリア【短評】
この32カ国の中で、もし日本より弱い国があるとすれば、北朝鮮、NZと共に、このアルジェリア辺りだろうと考えていたが、まったくの見込み違いだったようだ。後半はさすがにバテたが、イングランド相手に真っ向勝負で、ゲームの過半を支配してみせた。それも攻撃的守備を基盤とした素晴らしいサッカーで。一方、イングランドの苦悩は続く。走れない、絡めない、さらには闘争心すら感じられない。最終ラインには目を覆いたくなるような凡ミスが続発し、動きのない前線は決定力もなければ、スペースを創る献身にも欠ける。構造的にはアメリカが一歩リード。スロベニアとイングランドの生き残りを賭けたデスマッチか。(2010.06.19)

24 grope E/オランダ1-0日本【短評】

詳しい戦評はこちら ⇒ vsオランダ 戦評

25 grope D/ガーナ1-1オーストラリア【短評】
前半24分のハリー・キューウェルの退場が本当に気の毒。PKは仕方ないにしても、一発レッドの判定は余りに厳しい。PK+レッドに関しては、余程悪質なものに限定すべきである。あの条件反射のようなハンドが、そこまでの責めを負うべきプレーであったとは僕は思わない。ガーナも引かれた守備に対する崩しにアイディアが足りなかった。構造的にはセルビア有利の最終戦。残念ながら、このガーナかドイツのどちらかが敗退するのではないだろうか。終盤10人になって、それでも前へ前へと駆け上がってゆくオーストラリアの選手達。彼らやアメリカの持つ、怯まぬ真っ直ぐな根性を見せ付けられると、胸が熱くなる。(2010.06.19)

26 grope E/デンマーク2-1カメルーン【短評】
この日のカメルーンは違うチームだった。今回の日本はこれ以上ない幸運に恵まれている。もし対戦順が逆であれば、この結果もまったく違うものになっていただろう。前掛りに出れば意外にモロいデンマークと、A・ソングを得てピッチをワイドに使い、嵩にかかって攻めたてるカメルーン。互いに数え切れない決定機を得、そして逸した。後半2-1となったところで守備を固めたデンマーク。引き分けでも、1点差勝ちでも、最終戦のハードルは変わらないにも関わらず、彼らは攻めなかった。きっと自力で叩ける日本より、ここで生きながらえるカメルーンを恐れたのだろう。日本のオランダ戦最小失点差の意義は、やはり非常に大きかった。(2010.06.20)

27 grope F/パラグアイ2-0スロバキア【短評】
ボール支配率を見ればほぼ五分の印象であるが、試合内容を見れば、この両者は一階級違うチームであることは明白であった。決勝トーナメントでこのパラグアイを倒すのはどのチームなのか?僕はこのパラクグアイが、決勝トーナメントにおいて1つ2つのビッグネームを喰ったとしても、まったく驚かない。攻撃における個の力はさほど感じないが、守備隊形を崩さず、3人で攻めきるオートマティズムがある。僕がファン・マルバイクであれば、むしろイタリアの方が組し易いと考えるかも知れない。(2010.06.20)

28 grope F/イタリア1-1ニュージーランド【短評】
後半、イタリアはダイレクトの速いパスで打開しようと試みるも、そのボールの動きについていけなかったのは、敵の前に味方のほうだった。今回のこの欧州強豪国たちの不振は、もしかしたら一時的なもの、地理的な要因などではなく、今後のWCに常に付き纏う構造的な傾向となってゆくのかも知れない。選手達も不死身のロボットではない。WCという大会の有り方そのものを一度考えてみるタイミングなのかも知れない。NZの泥臭い頑張りにはつい肩入れしたくなるひたむきさがある。18歳のFWクリス・ウッド(WBA)、彼はNZのビドゥカに成り得る素材。NZのAFC参入を見込んで、浦和にでも獲得してもらえないだろうか。(2010.06.21)

29 grope G/ブラジル3-1コートジボワール【短評】
今大会もやはりブラジルはブラジルだった。特に前半1点リードしてからの20分間。ボールをポゼッションし、攻めるでも守るでもなく時計を進めながら、相手の守備網に綻びを見つけるボール回し、横の揺さぶりは惚れ惚れするほど美しかった。一方のコートジボワールはこれにより敗退はほぼ決まりか。ドログバの大会直前の負傷が本当に大きかった。ブラジルはH組のスペインが何位で抜けてくるかわからない状況で、最終戦のメンバーが悩ましいところだろう。僕ならばほぼ全選手入れ替えて最終戦に臨むが、果たしてドゥンガはどうするだろうか?(2010.06.21)

30 grope G/ポルトガル7-0北朝鮮【短評】
今大会、日本を含め、アジア・オセアニア勢の健闘が目立つが、その大きな要因は、欧州勢のコンディション不足と、いわゆる弱小国、発展途上の国々の、身の程をわきまえた、徹底した守備的な戦いぶりにあると思う。初戦ドイツと戦ったオーストラリア、そしてアルゼンチンと戦った韓国に、この日の北朝鮮。まともに組み合った試合は、悉く強国の分厚い壁に弾き返されている。この過酷な結果も、或る意味その範疇で理解し得る事柄なのであろう。これが強者と弱者のありのままの現実である。今日でグループGは終わった。(2010.06.21)

31 grope F/チリ1-0スイス【短評】
レフェリーの神経質すぎるジャッジに最高の試合が壊されてしまった。カザフスタンのレフェリーは非常に上手かったが、このサウジのレフェリーの笛はヘタに過保護なJリーグ基準。次戦に向けていったい何人の出場停止者が出てしまったのか?まったく気の毒な話である。攻めるチリと守るスイス。改めて両者の強さと、そのサッカーのクオリティの高さを感じた。11対10の状況で再三の決定機を逃してしまったチリ。現在首位ではあるが、むしろこの試合で追い詰められてしまったのはチリの方なのかも知れない。それにしてもチリの7番アレクシス・サンチェスは素晴らしい。今大会一番の発見かも知れない。(2010.06.22)

32 grope F/スペイン2-0ホンジュラス【短評】
初戦のスイス戦こそ“負けて尚強し”の印象のあったスペインであったが、この試合を見る限り、現時点であまり良い状態でないことは明らかなようだ。エース、フェルナンド・トーレスの不振は目を覆いたくなるばかりだし、攻撃のカタチもビジャやヘスス・ナバスのゴリ押しの個人技に頼るばかりで、シャビやシャビ・アロンソの華麗なボール回しで崩している……という感はない。DFラインの対応にも危うげなシーンが目立った。最終戦のチリとの試合は死闘となるだろう。チーム戦術の質と完成度自体はチリの方が遥かに高い。この試合が今大会のベストマッチになるのではないだろうか。(2010.06.22)


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