2008年01月31日

ボスニア・ヘルツェゴビナ戦評

FIFAランキング45位のチリに対して0-0。
同じくFIFAランキング51位のボスニア・ヘルツェゴビナに対して3-0。

スコアだけ見れば今回は『良くやった』という事になるのかも知れないが、それぞれの試合の内容を相対的に推し量れば、日本にとってはチリ戦の方がはるかに内容のある試合であったと思うし、テストマッチとして意義あるものであったように思う。

著しくコンディションやモチベーションの劣る相手に対して、プレッシャーの無い中でどのようなゲーム支配ができ、どれだけのゴールシーンを演出しようとも、僕はさほど意味あるものとは思わない。ましてやこのやる気の無い相手に、敵失がらみ以外のゴールを奪えなかった…。世の中の評価がどのようなものかは知らないが、相対的にこの2試合を見れば、厳しいプレスに煽られ続けたチリ戦での破綻の無いパフォーマンスの方がより上位であったように思う。

ただし、些か局所に固執しすぎたチリ戦でのボール運びに比べれば、空いたサイドにスムーズにスイッチする展開、前を切られてアウトサイドからボールを追い越して行く流れ、そういう状況に応じた“適切”なボール運びが、蘇生してきた部分もあり、おそらくは“誤解”の中に生じた選手たちの融通の効かない解釈が是正される兆しが見られたことは、タイ戦に向けての一つのポジティブな要素であったと思う。
この一事に“囚われ”やすい日本人選手たちのナイーブな習性は、サッカーにおいては大きな弱点となりかねないものである。いかに個々の自立心を育み、判断力・対応力を磨いてゆくか…。それも強化における重要な要素の一つであると考える。

僕はオシムの時代から、中盤の前にはパッサーではなくゴールへ向かう選手、山瀬功治や大久保嘉人のようなタイプのアタッカーを望んでいたが、アジア予選を戦うに際しては、今回の岡田さんのこのトライが良い結果に結びつくのではないだろうか…と期待している。1ボランチか2ボランチか…の議論もきっと各所でなされているのだろうが、その議論も“囚われ”の中の一つの現象であって、状況に応じてダイヤモンドにもボックスにもフラットにも柔軟に対応し得るのが僕は成熟したシステムの在り方であると考える。そういう意味でも、この試合における中村憲剛の攻守両面での貢献とその存在感は非常に輝いていたように思う。また中澤佑二と阿部勇樹の中央での守備は、見ていて非常に安定感もあり、このDFラインの位置でアジアと対峙するのであれば、失点に関してはオシム時代より明らかに減ることだろう…と考えている。

問題は攻撃…である。アタッキングサードでのある程度“落ち着きある”展開、ラストパスの精度と、フィニッシュへのシンプルな仕掛け。それをどう整理し鍛錬してゆくか…が、当面の課題であるように思う。


杖を突きながらもスタジアムまで足を運び、自らの健在をアピールしたオシム。僕はそこに、

『まだできる』
『もう一度やりたいんだ』

という彼の強い意志が込められていたように感じている。

時計の針を逆回りさせることは不可能だが、僕は“ニッポン人を率いて世界と闘う”彼のサッカーを、もう一度違ったカタチででも見ることはできないだろうか…と願い始めている。
アジアチャンピオンズリーグを、そしてクラブワールドカップを、ニッポン人を率いて闘うオシムのサッカー…。浦和でそれを成すことができるならば、もしかしたらマンUやアーセナルを、レアルやバルセロナを、インテルやローマを驚かせることができるのではないだろうか…?僕は飽くこと無く、未だそんなことを夢想している。


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2008年01月28日

チリ戦、そして福士加代子のゴール

狭い局面からのショートパスによる打開、それに前へのスピードを加える…というトライは非常に難易度が高いものの、尊い試みであると考える。

そしてそれには、必定“もうひとつの道”も同時に踏まえねばならないものと思っている。逆サイド、オープンサイドヘのスイッチ…である。

このチリ戦に関して言えば、彼らのマンマーク対応により手が合わない…という不運もあったが、その“もうひとつの道”への意識が全体に欠落していたように思う。が、このトライはオシムと彼の選んだ選手達がここまで築き上げてきたベースと、決して相反するものではない。むしろそのベースの上に頂くものとしては、至って論理的な試みであると考える。

WC本選で当たるような“本気”の欧州や南米の強豪に対して、これまで構築してきたポゼッション志向の遅攻スタイルではまず攻めにならないだろうし、持たせてもらえないだろう…とずっと思ってきた。
オシムが監督を続けた場合であっても、ある時点で“速さ”への、“スピードある攻撃”へのシフトに、踏み切らねばならぬタイミングは必ずあったものと僕は思っている。

が、同時にその“速さ”へのシフトのタイミングが“今この状況”でなければならない…とは、僕はまったく考えていない。
今はこのチームに沁み込んだホゼッションからのサイドアタックをベースに、いかにシンプルにフィニッシュに結びつけるか…を鍛錬する時期であり、また目前に迫ったWCアジア予選を踏まえれば、AC同様幾度となく出くわすであろう“勝ちきれない”“点を取りきれない”状況…に、その現実を知る岡田さんだからこそ、躊躇わず、恐れず、“残り5分のリアリズム”に指導者として正面から取り組むべきタイミングであると考えていた。

ベースとなるスタイル、立ち返るべき場所、それは必ず必要であるし、今在るもの、オシムとの1年で築き上げてきたきたそれは、とても理にかなった、今後10年通用するニッポンのベースであると思う。
が、相手も、そのタスクも、得点経過も、環境も異なるゲームの無限のシチュエーションの中で、それ一辺倒で事足りることはあり得ない。
オシム時代の日本のスタイルに非常によく似ていたこの日のチリのスタイルが、現実の試合経過の中で、そのポジショニングや戦術を2ひねり、3ひねりして変化させてきたように、日本のそれも状況に応じた幅と柔軟性、そして自立的な対応力を持ち得ねばならない。

ベタ引きで守らねばならぬシチュエーションも、バックラインからひたすらゴール前に放り込まねばならないシチュエーションもある。攻める意識を捨ててボールキープに、時計をすすめる事に全力で取り組まねばならぬシチュエーションもあれば、逆に危険なボールキープを捨てて安全な位置で相手にボールを預けなければならないシチュエーションすらある。

グー一辺倒の戦術…などといったものは成立せず、チョキもあり、パーもある。その状況に対する適正な対応の策やプランを持ち得て、はじめてそこに戦術や戦略と呼べる駆け引きが生まれ、サッカーのおもしろさが生じるのだと、僕は思っている。

このチリ戦の結果や内容については、僕はまったく悲観すべきものとは思ってはいない。なるほどFIFAランキングを見れば、日本の34位に対してチリは45位でしかないし、到底このメンバーがWC予選・本選を戦う主力メンバーでないだろう事も明らかだろう。が、現実のゲームに目を向ければ、日本の個々の選手は1対1で勝っていただろうか?キープ力や技術で勝っていただろうか?ストレングスやスタミナはどうだっただろうか?そして組織力は?コンディションは?

そのディテールを見れば、ほとんどの要素で日本はチリに劣っていた。その上で、この結果やゲーム内容について不平や不満を言ってみても何も始まらない。それら全てが、岡田武史さんや大木武さんの所為であると思い込めれば話は非常にラクなのだが、それを誰かの所為にしていては、ほんとうのサッカーには永遠に辿り着けないもの…と僕自身は思っている。


福士加代子さんのゴールを見ただろうか?
30kmを過ぎてからの、その戦い…を見ただろうか?
35kmを過ぎてからの、あの戦い…に、4度もの転倒に、血の滲んだ膝小僧に、その命を削った19位でのゴールに、一体どんな“実利”があったのだろうか?
そしてこれほどまでに心を打たれるのは、一体なぜなのだろうか?

スポーツには、勝敗を越えた感動…というものが確かにある筈である。それはもしかしたら、日本のサッカー界に、サッカーを取り巻く“気配”の中に、少しずつ失われつつあるものなのかも知れない。僕はもう一度、自分の内にそれを見出したいと思っている。きっとそれは互いが外に求め合うものではない。観客が選手に、選手が観客に、ただ一方的に要求し合うものではなく、それぞれがそれぞれに“持ち合う”“育みあう”べきものなのだと思う。戦う選手の、それを支える協会やクラブの、そしてそれを見守ってゆくサッカーに集う僕達すべての、内なる熱い思いが共鳴した時に、はじめてあんな感動に、僕たちは再び辿り着けるのかも知れない。

たとえ勝てなくても、敗れ去ったとしても、僕はもう一度日本代表のサッカーに、自分の内なる純粋な感動を呼び起こされたい…と願っている。そしてその為に、もう一度僕自身が、サッカーに熱く、今よりもさらに熱く、触れてゆかなければならないのだと思っている。


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2008年01月26日

オールスター 日韓戦プランへの疑義

『オールスターは何かを変えなければと考えている。Jリーグ対Kリーグという案が挙がっている』

これが今回報道された鬼武チェアマンの発言であるが、オールスター改革の必然性に言及された事は個人的にはポジティブに受け取っているが、そのカタチがJリーグ対Kリーグ…というものになるとすれば、そこには大きな疑問を感じざるを得ない。

それが衰退著しいKリーグへの利敵行為となる…等の議論に与する気はないのだが、そこにJリーグ…いや、厳しいスケジュールの中、選手を供給するJクラブ側の、現状より“better”である…という要素が何も見当たらないのである。

鬼武氏はまた一方でこうも言っているという。

『日本で開催できない年があることは困る。その辺の問題について、Kリーグ側、JOMOさんと話し合っています…』

例えKリーグが開催権を持ち得ないとしても、韓国内放映権料や国内冠スポンサーの獲得などで充分にペイする案件であるかも知れないが、Jリーグオールスターを存続する意義とメリット、そして“何のための、誰のための”Jリーグオールスターなのか…?という本質的な筋道を、ここでもう一度、Jリーグ、チェアマンには根本から再考して欲しいと個人的には思っている。


これは単純にJリーグ収益のための催しなのか?
それともファン・サポーターへの感謝祭としてのイベントなのか?
或いは今後のJリーグアジア展開への一つの布石として活用することを企図しているのか?
それとも、ただ惰性のみで既定の契約期間を全うすべく立ち振る舞っているだけなのか?

それぞれコンセプトによって、その改革への方向性は自ずと定まってくるのではないだろうか?逆に言えばそのコンセプト、プライオリティが明確に定まらない限り、その開催意義やイベント成果といったものは、どこまでもいっても、どう趣向を凝らそうとも見えてこないものではないか…と考える。

JFA批判はありとあらゆる場所で論議され、提唱されてもいるが、このJリーグの運営や在り方…というものに対しての疑問を僕はあまり聞いた事が無い。僕自身はJFAとともに、このJリーグの在り方についても、多くの改善の余地があるものと考える。代表戦があれだけ効率的に収益を上げる一方で、Jリーグがそうならないのは、何よりも運営戦略・広告戦略(広告会社)の力不足であると思っているし、JFAとの均衡を欠いた馴れ合いや、J各チームとのこれも違った意味の均衡を欠いた主従の構図がその弊害となっているものと考える。

いずれアジア人枠も含めて、再度J改革私案を2、3まとめてみたいが、その前に、まずは本日の岡田JAPANの船出についての見解をこの週末にアップできればと思っている。


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2008年01月23日

ジェフ千葉の混沌(カオス)

いまや毎年の恒例行事と化したこの時期のジェフ千葉の主力選手達の流出を見るにつけ、クラブ運営のビジョン・計画性というものの大切さや、フロント首脳の人心掌握能力のチームに与える影響力の多大さ…といったものに、ただただ唖然とさせられるばかりである。

小さなクラブが大きなクラブに有望な選手を供給する事でクラブの経済を立て直したり、新たな若手発掘やソフト・ハード両面にわたる補強の原資とする事に何ら問題はない。しかし、このジェフ千葉の昨今の状況は全くその類ではない。これは端的に言えば『内部崩壊』である。

チームの主力選手たちが、クラブそのものの在り方に疑いを抱いている。そこに自分自身の将来のビジョンを描けなくなり、またクラブそのものへの愛着さえ失いかけているのではないだろうか?これはクラブの経済の問題ではまったく無い。信義の問題である…と僕自身は感じている。

アマルがどう言ったのかは知らないが、自ずから放り出した坂本将貴を一説には2億円以上とも言われる移籍金で1年で買い戻す。そこにクラブとしての未来へのビジョンや、選手、現場、サポーター、相手チームへの“信義”というものがまったく感じられない。監督交代にしても、アマル更迭の対案としての次期監督の選定や折衝がぬかりなく施されていての、このドタバタだったのだろうか?そこに本当に一貫した未来へのビジョンは在ったのだろうか。そしてチーム・選手、サポーター達との、結果に対する了解やコンセンサスが得られるもの…との判断に基づいたアクションだったのだろうか?

人件費を抑えクラブの経済運営をうまくやっていることは認めるが、その人件費にもキチンとしたメリハリがつけられていただろうか?だとすれば決して手放してはならない水本裕貴を、各チームの争奪戦の下にあんなにも安価に手放さなければならない道理などあっただろうか?水野晃樹の未来を、その可能性を、もっと早い段階から適正に評価し得ていたのだろうか?
疑問をあげればキリがないが、かといってもう後戻りできる訳でもない…。

クラブフロントは、馬場憂太、谷澤達也、苔口卓也、そして青木良太の加入をいち早く決めた。その誰もが可能性を秘めた良質なタレント達である事は認めるが、僕はこの補強費すべてはチーム戦力のボリュームの為に費やされるべきものではなく、ゲームの中で明確な“違い”を見せつけられる外国人助っ人に、さらに言えば3人の“スペシャル”な攻撃の担い手…達に投資すべき資金であったような気がする。その中に一人のマグノ・アウベスが居れば、一人のバレー、ジュニーニョが居さえすれば、ジェフは生き残れるかも知れない…今年一年を復活への足がかりの年にできるかも知れない…ずっと僕はそう思ってきた。

僕がジェフのGMであれば、死に物狂いでGK菅野孝憲(横浜FC→柏)の獲得に動いただろう。そしてまだまだ未完成ながら、エメルソンと同質の大器の可能性を感じさせるリチェーリ(FC東京→山形)をある程度の出費を覚悟してでも、完全移籍で加入させたいと目論んだだろう。その上で、Jの中でも特別なストライカー“候補”たり得る二人のFW選手を、世界中から血眼になって探しただろう。
戦力のボリュームに頓着してスカウティングや折衝に骨を折り原資を割くぐらいならば、青木孝太や米倉恒貴、伊藤淳嗣など今在るタレント達を使う、使い切る覚悟…を持ってこの厳しい一年に立ち向かう事の方が、後に得るものは大きいものと考える。たとえ降格したとしても…である。

新しいスタートをジェフも今ここで切らなければならない。
選手達は知っているし、賢明なサポーターたちも当然気づいている。
クラブを良くしていく、成長させてゆく為には、サッカーの現場…だけではなく、その経済や運営面にまでサポーターは絶えず厳しい視線とプレッシャーを与え続けてゆかなければならない。その点でジェフのサポーター達は、この厳しい現実に鍛えられた優れた卓見を有している。もしジェフがここで本当に変わり得るのだとすれば、その鍵を有しているのは悲惨な戦いの果ての“無残な焼け野原”か、そんな“サポーター達の知性”なのではないだろうか…と僕は思っている。

彼らの奮起と可能性に期待して、今年のジェフの厳しい戦いを見守ってゆきたい。


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posted by 桐谷 |10:09 | ジェフ千葉 | トラックバック(1)
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2008年01月17日

坂本将貴の移籍とアルビレックス新潟

桐谷 様

いつもブログ拝見させて頂いてます。
前に坂本將貴のブログについてメールしたアルビサポです。

今回のジェフ、そして坂本選手の件は大変残念でなりません。
当然、決めたのは彼本人であって、それについてサポがどうこういう事はできないかもしれません。しかしやはり今回の件については、様々な人が悲しみ、そしてその裏返しの言葉を沢山言っています。

当然そういう自分も色々な思いがあり、悲しみや悔しさで一杯です。
なぜこの様な結果になったのか?
自分達の思いは届かなかったのか?
ジェフへの思いが断ち切れなかったのか?
思えばきりがありません。

ただ言える事は、心にポッカリ穴があくって事がこういう事かってわかりました。サポと選手とは永遠の片思いだって事がわかりました。…これは自分と一緒に彼を応援してきた仲間と話をした結論(思い)です。

なぜこのメールを書こうと思ったかというと、桐谷さんが彼を愛しているという事、そしてブログ上でひょっとしたら考えや思いを語られるかもと思ったからです。今日現在でまだこの件については触れられていなかったので、思い切ってメールをだしてみました。

この件については情報も限られます。当事者でもありません。思いは沢山ありますが、それを今言葉にしても虚しいだけです。
ジェフに対しても、坂本に対しても、そして我々サポや当然アルビフロントに対しても…。

これから始まるシーズン…。これまで以上にアルビを愛し声を出し続けます。
適切な言葉ではないかもしれませんが、ニイガタを出て行った事を後悔させる程にサポートし、そして結果がでればと思います。

最後に結論はどうあれ新潟を出て行く際に、文字では無く本人の言葉が聞きたかった!!
仮にアルビフロントにその場を断られたとしても…。方法はいくらでもあると思います。それがホントに寂しくそして悲しいです。

長文そして勝手な思いを書き綴ってしましい大変失礼しました。
これからもブログを見させて頂きます。

                        石山チャリ団より


以上が、アルビレックス新潟と坂本将貴をこよなく愛した、ある新潟サポーターの方からのメールである。

以前『坂本将貴のゴール』というエントリーについて感想をいただき、坂本がオシムジャパンに選出された時、そして新潟がJを制した時には、一緒に喜び合おうね…と約束させていただいた方である。

選手の“移籍”とは、恋愛の関係とよく似ている…と僕も思っていて、誰かが誰かを好きな理由…など、傍からは完全に理解する事も、共感し得ることも不可能なように、僕自身それに傍から正誤の評価を差し挟めるような性質のものだとは思わない。当人のキャリアアップやステップアップ、他のプロスポーツ選手と比べても短く、限られた労働対価の獲得機会の中で、無駄なく最大限のメリットを享受しようという試みも、なんら否定されるべきものではないと思う。

そして今回のケースにしても、その内側で何があったのかは僕にも知る術はない。シーズンオフになって突然降って湧いた話なのか…或いはシーズン中にジェフ側の“アマル更迭”の規定路線に沿って密かに進められていたものなのか…も分からない。または終盤戦にたて続いた、ゲームにおける“途中交代”が、彼と鈴木淳監督の間に、何らかの行き違いや負の作用を及ぼしてしまっていたのかも知れない。きっと理由はひとつではないだろう。そして彼なりのやむを得ない事情があった事も、きっと確かなのだろう…と思う。

ただ、それら一切合財を部外者として“無知”と認めたうえで言わせてもらうならば、僕が彼の立場であれば、何があってもこの選択だけはできなかったように思う。それは、たとえオシムが速やかに“全快”したとしても、岡田武史さんを押しやって、今、日本代表の監督に就任してもらうべきだ…と思わないのと同じ理由である。そしてオシムとは違い、彼は自分自身で新潟にお世話になる…という決断を、たった一年前にしたばかりであるのだから…。

ただ一言だけ彼の立場をフォローさせてもらえば、この移籍は彼にとっても決して“有利”なものでも“得”なものでもなかっただろう…という事である。だからこそまたアルビサポーターには受け入れがたいものなのかも知れないが、だからこそまた僕は一坂本将貴ファンとして、これからもピッチ上の彼を、どのチームに在籍しようと追い続けてゆこうと思っている。

今、アルビサポーターの皆さんにお願いしたい事は、今年必ず優勝争いに加わって欲しい…という事である。そしてビッグスワンにおいて、ジェフと坂本将貴のその鼓膜をぶち破るほどのブーイングで彼らを迎え、必ず打ち破って欲しい…という事である。

熱いJリーグを、そして2008年アルビレックス新潟の熱い戦いを、僕は心から期待し見守ってゆきたいと思っている。


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2008年01月09日

水野晃樹のミライ

水野晃樹のセルティック入りが正式決定間近だという。

当地のワークパーミットの問題は非常に複雑であるし、それ如何によってはどちらへ転ぶか、まだ判然としない部分もあるが、情報発信の多元性から見て、セルティックが本腰を入れて水野晃樹獲得に向けて動いていることは間違いないだろう。

スピードとドリブル。そしてアジリティと足腰の強さを活かした、敵を抜ききらずとも通す確度の高い高速のクロス…。FKやそのスタミナにも非凡なものがあり、ここ1.2年で身体の線も大分逞しくなった。
この年代では本田圭佑と並び、現在もっとも完成された攻撃的タレントであると思うし、本来彼の持つそれは本田圭佑と比較しても、さらに現代的な汎用性に優れた資質であると確信している。

ところが、この一年の彼のパフォーマンスに僕はある種の危惧を感じ始めていた。その『光』の部分での華やかな躍動は、反町氏率いる五輪アジア予選を引っ張り、ジェフにおいて間違いなく攻撃の主役となり数々のゴールシーンを演出したが、その『影』の部分で、勝負どころでの手痛い失点に繋がる軽率なパスミスやディフェンスにおける“軽さ”を露呈していたことも確かだ。“ひたむき”なジェフのサッカーの中で、それは少しずつ目に余る粗となって、僕の中で看過できないものとなりつつあった。

アマルはよく水野晃樹を途中交代で引っ込めていたが、僕はそれをケガやスタミナ面だけの問題とは感じなかった。むしろ11人の総体としての、戦術的な面での“正と負”を彼なりに的確に判断しての決断であったと思っている。そしてそれは、アマルの意図するところかどうか、部外者の僕には見当もつかないが、水野晃樹にとっての“最良”のチャンス…であったと。

これは人生においてもきっと同じ事なのだろうが、サッカーの1プレー1プレーには、必ず失うものと得るものがある。得るものだけ…という100点満点のプレーなど、まず現実には起こり得ない。厳しいプロの世界であれば、なおさらのことである。
そしてその失うものと得るもの…その選択、そのトライを誤らないのが強国のサッカー、フットボーラーの強者であり、その逆が弱者のそれであると僕は思っている。

そしてその的確な“選択とトライ”と共に、11人の役割の中で曖昧さの許されない“責任”というものがある。これはUKのサッカーであれば、日本のそれとは比較にならないほど、選手もサポーターも明確に認知している“基準”がある。
その判断力と基準さえ身につけるならば、そしてどんな時にも1プレー1プレーにひたむきに打ち込む“情熱”さえ失わなければ、彼は充分に欧州で開花し得るタレントであると思う。
報道通り、現時点でセルティックに加入するのであれば、きっと厳しい我慢の時を強いられる事もあるだろう。そしてそんな困難な時こそが、自分自身の将来にとっての“最良”のチャンス…である事を忘れずに、必ず成功へと結び付けて欲しい。


2004年Jリーグ最終節、対ジュビロ磐田戦。
僕は臨海のバックスタンド最前列で、ただ水野晃樹の動きだけをその目で追っていた。
生まれたてのヒヨコのようなかわいい顔をした彼は、スムーズに中へ絞る事も、パス回しに顔を出す事もうまく出来ずに、ただピッチ上を縦に行き来するだけのまだ初々しい少年だった…。それは逆サイドの、全盛期の村井慎二のパフォーマンスとはまったく比較にならないものではあったが、なぜか僕の目は、この名前も知らない若者の、前へ出て行く際のそのスピードと、ボールを持った時の気品と佇まい、そして勝負する“気持ち”に釘付けにされた…。

『ターン!』
『リターン!』
『前へっ!』
『中に絞れっ!』

心の中で必死にそう叫んでいた。そして今も、心の中でずっと叫び続けている。

悔いのない選択を、そして彼の輝かしい未来を、心から祈っている。


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2008年01月07日

天皇杯とコメント欄の廃止について

今年の天皇杯は準決勝2試合と決勝の3試合のみのTV観戦となった。

3試合の内容を通して印象に残ったのは鹿島の強さと広島の奮闘、そして来期のJ1優勝争いを展望する上での川崎フロンターレの充実ぶり…で、ここでは天皇杯そのものよりも、来期のこの3チームについての私見をまとめてみたい。

2007シーズン後半の鹿島の快進撃を、僕は完全に見逃してしまっていたクチなのだと思うのだが、それでも最終盤に積み重ねた連勝の2、3のゲームを通して、セリエAを見るような彼らのコレクティブな守備と、速攻と遅攻を見事に使い分けた“メリハリある”攻撃…の在り様を垣間見、その時点で一番強いチームである事はハッキリと自覚していた。
また華やかなゴールラッシュこそなかったものの、シーズン後半の田代有三の安定感は確かなもので、その心身の充実ぶりから、遅かれ早かれ代表のターゲットマンの地位を前田遼一と競う存在として、そのプレーには個人的に注目してきた。
少し前のヴェルディの例もあり、この時期のチーム状態で来期のそれを計れるものとは決して思わないが、マルキーニョスとダニーロの残留も決まり、前線とディフェンス面に多少の補強が可能ならば、この鹿島であれば来期も大崩れ無く、ACLとJ1の優勝争いに充実したチーム状態で臨めるのではないかと考える。
J1後半戦、そして天皇杯、途中出場で地味にボールキープに貢献したダニーロの献身とプロとしての姿勢を心から賞賛したいと思う。そのプレーの端々に彼の持つ“クラス”はしっかりと息づいていたし、順化さえすれば彼のスキルと経験は、このチームにさらに磐石な“安定”を齎す強力な武器になるものと考える。


また広島のこの天皇杯における健闘も心から讃えたい。そしてJ2降格という事態にも、ペトロビッチ留任を決定した広島フロントの勇気にも、その優れた見識とスピリットを感じる。
このベースを失わない事…それが今後10年20年の広島にとって、非常に大きな財産になるものと僕は思う。ただし、J2に行けばJ1以上に攻めあぐねる局面は幾度もあるだろう。J1とはまた一味違う“リアル”がそこには在る。そこでACにおけるオシムジャパンのように、最終局面で行き詰まらない為には何が必要だろうか?どんな道具とアイディアがその局面に役立つのだろうか?僕であれば、ワシントンは無理でも甲府で出番の無かったラドンチッチのような武器を、或いは駒野友一を失うのであればそこで一人で勝負できる横浜FCカタタウのような武器を備えたいと思うが、果たして広島はどうするのだろうか?
来期は甲府と共に彼らのJ2における挑戦を追ってみたいと思っている。


そして川崎フロンターレ。
この天皇杯準決勝、鹿島アントラーズと繰り広げた死闘は、今年の日本のサッカー界で最もハイレベルな一戦であったように思う。この一年、非常に良い補強をし、またバックアップの養成に努めて、厳しいスケジュールの中、確かな自力を磨いてきた成果が、今やっと現われ始めてきている。
来期はフッキの加入により、関塚隆のこれまでとは少し異なるマネージメント能力、監督としてさらにステップアップしてゆく為の“度量”のようなものが試される事になると思うが、彼だからこそ、ここを難なく乗り越えて欲しい。川崎フロンターレを本当のビッククラブにまで導いて欲しいし、またその“先”を期待せずにはいられない…。

来期のJ1、どのチームのサッカーが一番楽しみか…と問われれば、僕ならば迷い無く『川崎フロンターレ』と答えるが、果たして世の中の評価はどうなのだろう?

いずれ、J1の2008展望やストーブリーグにおける評価などもまとめてみたいと思っているが、その前にまずは新しい動きのあった『アジア枠』について再度私見をまとめてみたいと思っている。

今年一年が日本のサッカー界にとって、そして皆様にとって、良い一年になることをお祈りしております。


*追記
コメント欄廃止の事情については『追記』にて触れさせていただきます。(右下の続きを読む…をクリック)


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【キリタニ100法】ニッポンの未来を築く100の立法

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