2010年03月08日
それぞれの開幕と一番熱かった試合 【キリタニ】
浦和レッズは4-4-2、或いは4-3-1-2、4-3-2-1で戦うべきであると僕は思う。 昨年からの問題だが、4-2-3-1では、どうしても速い攻めのときゴール前の頭数が足りない。2列目からゴール前に割って入るカタチが描けない。そしてどん詰まりの遅攻になったところで、前の3-1の足が止まり、後ろからオーバーラップするタイミングもスペースもないところで、攻撃の流動性を失い、雑なパスミス、無理なドリブル突破から、カウンターを喰らっている。 この試合のように、敵に先取点を奪われてから、速い、小さな選手を前に何人送り込んでもあまり意味はない。そもそも前線は疲弊し動けない選手で大渋滞を起こしているのだ。スペースを自らの活き場としているタレントたちが、持ち味を発揮できる状況にはないのである。 現実のサッカーにおいて、そういう状況になれば、もはや美学や美意識などまるで通用しない。 強く大きく逞しいターゲットこそが必要なのだ。だからこそ闘莉王なき今シーズン、その穴をターゲットに成り得る助っ人外国人FWで埋めておくべきであると僕は思っていた。そしてまただからこそ、ポンテ後の新助っ人にその役割を期待したいのである。 2つの失点は、どちらもつまらない過怠やミスから生じたものである。これは個人の意識や、集中力の問題なので、戦術や監督を責めても仕方の無い部分でもあろうかとは思う。しかし、そんなひとつの小さなミス、失点によって、今後も幾度となく生み出されるであろう、この0-1の状況に対して、有効に対応し得る手段を持たない事は大きな問題である。闘莉王がいた昨年にはあまり自覚されなかったリスクであろう。 高崎寛之に期待する部分もあるのだろうが、この試合のようにベンチにも入れない状況であれば、一刻も早く切り替えて、手当てするべきである。 速攻と遅攻の使い分が何よりも大切なのだ。攻守の切り替え、球際の気迫、そして集中力。すべての手本となるものが、この日の鹿島アントラーズである。 いくつか危ういミスもあったが、突破のカタチと勝負するキモチを持っている 宇賀神友弥は、非常に期待の持てるタレントである。 そしてもう少しメリハリはつけて欲しいが、セルヒオ・エスクデロのドリブル・キープ力は、使いようによっては良い武器にも成り得る。柏木陽介については、彼自身の将来のためにも、今は後ろに下げずに前で勝負させるべきである。 総評としては、昨年の問題は問題としてそのまま残っているし、闘莉王を失ったという攻撃面における不足に対する手当てもできていない。が、契約面や経済的な制約のある中で、若い力が台頭し、旧世代との代替が進みつつあることは事実だし、ゴールというカタチには結び付けられなかったものの、昨年よりもさらにもう一歩進んだ攻撃が見られそうな予感はあった。 6月まで少なくとも5割の星をキープしていかなければならない。そのためにも次のFC東京戦は、負けられない試合となる。 いうまでもなく、この試合で鹿島アントラーズの方が遥かに大人で、高いプロ意識を持った集団であることが証明された。むしろ得点には直接繋がらなかった、マルキーニョスのバーを叩くシュートや、数々のカウンターにおける決定機のほうが、両者の地力の差と格の違いを見せ付けていたように思う。 特に2トップの動きが本当に素晴らしかった。 僕は今年の鹿島の不安要素に2トップの得点力をあげたが、もし彼らがこの好調を維持し得点を量産していくようであれば、昨年ほど苦しむことなく4連覇という偉業を達成することも可能なのかも知れない。モチロン、ACLの戴冠とセットで……でなければ困るが。 実際にはそんなにうまく事が運ばないのが現実であろうが、この1試合で、密かに前エントリーを改ざんさせてもらいたいぐらいのキモチにさせてくれたマルキーニョスと興梠慎三のパフォーマンスには、86分間感動しきりであった。交代後、オリベイラさんと力強く抱擁しあったマルキーニョスの姿を、僕は長く記憶することになるだろう。ぜひこの姿をACL決勝後にもう一度再現して欲しい。彼にとっても、今年が鹿島で最後のシーズンになるのかも知れない。 フェリペ・ガブリエルのパフォーマンスを見る限り、僕はこのポジションにスタートから遠藤康を使ってみるべきじゃないかと思っている。オリベイラ監督はわりと頑固にメンバーを固定してくるタイプで、そのプライドを慮ってのことと思うが、ダニーロの初年度も結果の出ない彼を我慢して使い続けた。もちろんオリベイラ監督なりの緻密な計算と深慮を持って選択してゆくことになるのだろうが、ポスト本山のインパクトを求めるのであれば、僕の目にはフェリペよりもこのレフティの方に魅力を感じる。今こそ大きく開花するべきタイミングなのではないかという予感がする。 他方に目を向ければ、湘南ベルマーレ、清水エスパルス、名古屋グランパスと、僕は4-3-3システムと思しきチームのゲームを立て続けに3つ見た訳だが、この難しいシステムをもっとも良く把握し、スムーズにこなしているのは湘南ベルマーレであった。山形相手に勝利することはできなかったが、ピッチ状況の悪い中で、ボールの良く回る美しいサッカーを展開していたと思う。湘南のサッカーは面白そうである。 逆に云えば、名古屋は強くなりそうな予感はプンプン漂っていたが、サッカー自体は昨年よりつまらなくなるのかも知れない。これもサッカーの皮肉なところで、そこを補完する意味でも、金崎夢生やブルザノビッチには是非とも頑張ってもらいたいと思う。次、豊田で川崎にキッチリ勝利することができれば、大きな自信にもなるだろう。ケネディの怪我が何よりも怖いが、もしそうなった場合、闘莉王をFWで使うこともあるかも知れない。 先日のバーレーン戦のエントリー。 右サイドアタッカー中村俊輔に代わる候補として、僕が一番最初に頭に思い浮かべたのは、この金崎夢生と石川直宏であった。開幕戦におけるこの二人の活躍は、僕にとっても非常に嬉しい出来事だった。 そして最後に大宮。 この試合を見ていて、僕はオシム時代のジェフ市原を思い出した。代表を指揮したことによりオシムといえばポゼッションサッカーというイメージがついてしまっているかも知れないが、当時は遅攻による得点なんてほとんどなくて、前に速い攻めと躊躇のない全員攻撃が特徴だった。今年の大宮は、そのオシム時代のジェフに似ているかも知れない。 もしこの日の相手が鹿島アントラーズであったとしても、きっと彼らならば勝ち得たのではないかと僕は思う。それぐらい勝利への執念を感じた。熱くて、強いサッカーだった。今年は浦和や広島と共に、この大宮のサッカーを追いかけてゆこうと思っている。 ※関連エントリー 2010 J1順位予想 クラブと移籍制度、そしてプロ監督の引き際 ジェフ千葉降格の総括 犬飼会長の激怒と正義について
posted by キリタニ |11:05 |
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