2010年03月04日
【AC予選】vsバーレーン 戦評【キリタニ】
試合を見ていて少々残念に思ったのは、バーレーンが日本に対して良いサッカーをしようとしてきたことであり、そして実際に、なかなか良いサッカーをしてしまっていたことである。 これでは本大会で当る3つの国との、3つの試合の、あらゆる状況の、シミュレーションになどなりはしない。ガチンコのバーレーンであれば、少なくとも日本にとっての0-1の状況、引いた相手に対して、なんとしてでもゴールをこじ開けなければならない状況における、ある程度の予行演習にはなったはずだ。 が、しかしこれも、東アジア選手権以来、ここ一月ほど代表や岡田監督に対する不信感やフラストレーションを溜め込んできたファン・サポーターのストレス解消、毒抜きの用は為したのかも知れない。寒い中、この消化試合の為に豊田スタジアムまで駆けつけてくれた4万人近いサポーターの皆さんも、概ね満足されているのではないかと思う。 良い試合だった。純粋に面白いサッカーだったし、面白い試合だった。 しかし、ひとつ釘を指しておきたいことは、ベネズエラ戦で出来なかったこと、中国戦で出来なかったこと、韓国戦で出来なかったこと、それらのことがこの試合でできていたからと云って、日本代表はそれを克服した訳でも、あの時点から成長した訳でも、やはり海外組みの方が力が勝る…という訳でもないのだと僕は思う。 異なる相手に、異なる状況で、異なる目的で、異なる戦い方を挑まれる、或いは挑む。 そんなてんでばらばらの各々のゲームを同一の視点で語り、 『何ができた、何ができなかった』 なんて同じ基準で、同じ要素を抽出しようとすることは無意味である。 死海の水はしょっぱいだろうし、それに比べれば摩周湖の水はさぞ清らかでクセもないことだろう。必要なのはその水が異なるという自覚であって、おいしく呑めたか呑めなかったか…ではない。 死海の水がしょっぱいのも、日本人にとってのキムチが少々辛すぎるのも、きっと大阪生まれの岡ちゃんの所為ではないと思う。岡ちゃんの生まれるずっとずっと前から、死海の水はしょっぱいし、韓国のキムチは辛い。 そういう前提を踏まえずして、どこまでも自身の欲求を基準にモノを云うのであれば、ヒディンクであれ、オシムであれ、オリベイラであれ、その時がくれば後ろ足で砂をかけ、ツバを吐き捨てるような非礼を、僕らはまた繰り返すのだろう。 中村俊輔には、エスパニョールにおける不遇の状況の中で、よくこれだけのコンディションを維持し、ゲーム勘を養ってきたものだと素直に感心させられた。相変わらずポジションは低く、右ウイング、或いは右SHとしては、ゴールへの意識が希薄に映る部分もあるが、少し引いた位置での30M、40Mの裏を突くパス精度は、他の日本人には真似の出来ないレベルにある。 しかし一方で、逆サイドの松井大輔、長友佑都の連携や、高い位置での絡みを見れば判るように、松井大輔があの位置に張って、あの位置で仕掛けてこそ、SBの自由を引き出す多彩で厚いサイドアタックが展開できる……という側面もあるのだ。 南アフリカで中村俊輔を使うならば、我慢をする状況ではなく得点を取りに行く状況。 しかも、一列下げて、右ではなく左。 僕が岡田監督の立場であれば、そういう選択になると思う。 また本田圭佑は、やはりこのチームの攻撃の核になるべきタレントなのだと再認識させられた。 厳しいプレッシャーの中に身を晒しながら、前を向いてゴールへ向う、そのゴールへ向うスピードの中で、1テンポ2テンポのタメを作り、敵を引き付けスペースを拵えた上で、限りなく100点に近いパスを事も無げに通す。呼応した松井大輔も見事だったが、日本が南アフリカで得点するとすれば、あの攻撃こそが最も可能性の高いカタチなのではないかと僕は思う。 願わくば右サイドにも、この日の松井大輔のように、本田圭祐のパスに呼応し得るタレントの起用を乞いたい。また森本貴幸には守備的な負担のないところで、自由にゴールを狙わせるべきなのだろうと僕は思う。TV画面にも何度か映った、敵DFラインとの駆け引きは、例えボールが出てくる事はなくとも、それ自体がひとつのエンターテイメントの体を為していたように思う。この試合、僕が一番興味深く見入ったのは、この森本貴幸のDFライン裏へ仕掛ける際の動き出しのスピード・俊敏性と、その駆け引きであった。 この試合で何かが変わった訳ではないし、東アジア選手権によって何かが変わった訳でもない。さらに云えばこの15年、日本のサッカーの世界における立ち居地に、何か大きな変化があった訳ではないし、何かが大きく変わった訳でもないと思っている。 僕の中での岡田武史監督に対する評価は70点である。 そして南アフリカにおけるGL突破の確率は20%~30%。 日本はアジアで3~4番目の国。 岡田監督解任…反対。 その時々の1試合、2試合の出来不出来によって、この評価が大きく変わることはきっとこれからも無いだろう。まあ、だいたい、そんなところである。 ※関連エントリー 素晴らしい試合とサッカーの真実 幸運なグループEとニッポンのGL突破確率 岡田ジャパンの可能性 番外編
posted by キリタニ |11:12 |
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