2010年02月03日

【キリンCC】対 ベネズエラ 戦評 【キリタニ】

ボールポゼッションはどのくらいの差が開いただろうか?
後半戦の展開を見れば60:40に近い数字が残ったかも知れない。が、僕の評価は、非常に似通ったスタイル、そしてレベルのチームが、非常に似通った問題を抱えながら、互いに一生懸命に力を出し合ったテストマッチ…。そんな印象である。

誰が悪い訳でも、良い訳でもない。
このレベルのチームが、これぐらいのコンディションで、こんな感じで互いにプレスを頑張りあうと、こういうゲームになる。そんな見本のような試合だった。

では、問題は何なのか…と云えば、

まず第一に3人目の動きと、それを促す連携、オートマティズムの不足。そしてチームとしての勝負どころの勘。スピード。それを察知する個々人の皮膚感覚…とでもいうような、鋭敏な反射する神経と、ボールを速く正確にコントロールするスキル。

そう。“それ”は正確には問題とは云えない。
世界に5つ程度の例外と、多くても10程度の特別な個を擁する特別な国々をのぞけば、200を越えるといわれるFIFA加盟国の95%以上。世界中ほとんど全ての国の代表チームが抱える「課題」なのである。

問題があるとすれば、それにどう取り組み、どうやってカタチ造ろうとしているのか?その為のプランニングとその実践が果たして正しいのかどうか?そしてその為にベストを尽くしていると云えるのかどうか?

問われている部分は“そこ”なのだと思う。

で、残念ながら僕は、2007年の11月以来、この代表チームにおいて、“それ”の部分に対する進化や進展はあまり感じられなかった。結局、ピッチ上における個の裁量や、「ゴール前の迫力」という、手ごたえのない表層のお題目にすりかえられてしまったように思う。

そういう意味では、現状“それ”が出来ていない事には、世界のほとんどの国々同様、然したる問題はないが、その取り組みやプランニング、そして実践、ベストを尽くしてきたのかどうか…という、“そこ”の部分については、大いに問題があったと思っている。WCの結果とは別に、大問題であったと考えている。勝とうが負けようが、そのJFAに対する落第・失格の評価だけは、きっと僕の中で変わることはないだろう。

ベネズエラについては、与えられた状況のなかで、良くこれだけ戦って、ファイトしてくれたと思う。守備をさぼらず頑張りはするが、ボール回しに怖さが無く、勝負どころのスピードとスキル、判断力に欠ける。その辺がウルグアイやエクアドル、南米の二流国あたりとの、決して小さくはない“差”であり、“壁”なのだと思うが、南米のこのクラスの国家も、ベストメンバーを揃えて真剣勝負をするならば、やはり日本とほとんど差のないゲームをするだろうことが確認できた。

また、僕がこのゲームのMVPを選ぶとするならば、長友佑都の名をあげたい。
右サイドの徳永悠平の動きと連携が物足りなかった部分もあり、彼の運動量とスピードがさらに光って見えた。

そして本当に久しぶりに存在感を見せてくれた大久保嘉人のパフォーマンスにも、今回に限っては、及第点をあげられるのではないかと思う。バイタルエリアの狭い局面で、現状日本のFW陣の中で、唯一個力で勝負できるタレントであることを証明してみせた。が、もし主審が中国人レフェリーではなく僕、であったならば、前半32分、ゴール前シミュレーション気味に転倒した場面で、この日2枚目のイエローカードを出して退場を宣告していたかも知れない(一枚目は中盤でのバックチャージ)。確かに地力は見せてくれたが、彼の起用にはリスクが伴う…ということを、再認識させられた。面白い。が、一方で非常に難しい選手でもある。

現状、僕の岡田監督に対する一番の疑問。それは、なぜサイドアタッカーを使わないのだろうか?

ということである。
石川直宏、香川真司、そして乾貴士。僕ならば、両サイドは彼らの能力に託して、さあ一対一、勝負しよう、というサッカーを選択するだろう。アタッキングサードでの連動もなく、ごちゃごちゃとボールを回していれば、いつか局面は打開できるのだろうか?違う、と思う。そうやって得点するには、最終局面でさらに大きな展開と連動が求められる。鹿島や広島のサッカーのように。それができないからこそ、その部分を伸ばせなかったからこそ、分は悪くとも、サイドで一対一を仕掛ける選択…というものが今以上に必要なのだ。このレベルの相手でも、パスだけで崩すというのは容易ではない。試合が膠着してしまうのも、面白くないのも、そのへんに原因があるのではないかと僕は考える。

最後に小笠原満男について。
このごちゃついた中盤の中で、自分の役どころを考え、時に長い距離を走り、時にサイドに開いてタメを作りながら、良い仕事ができていたと思う。2本のミドルは、彼独特の間と正確なトラップから計算どおりのコースに放たれたもので、これまでの日本に欠けていた意識の一端を表現して見せてくれたように思う。やはり彼には、他のライバルたちとは少し異質な、強い“存在感”と勝負への“執念”が感じられる。

海外組の居ない、大分九石ドームでの興行における、この小笠原満男⇒金崎夢生という選手枠、選手交代の意図するものは何か……。真相のほどは僕には判らないが、少なくとも小笠原満男は充分に及第点を与えられるデキであったと思う。この日の中盤で、彼は誰よりも輝いていた。

本大会において、このチームに大きな革命を齎すインパクトを与え得る選手がもしいるとするならば、僕はそれを、小笠原満男と石川直宏であると思っている。次の東アジア選手権、僕はこの二人の活躍に期待している。

※本日、石川直宏は東アジア選手権メンバーから外されたとのことです。

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posted by キリタニ |11:00 | 岡田JAPAN | コメント(18) | トラックバック(6)
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