2007年09月12日
【三大陸】スイス戦 戦評
“速さ、強さ、そして厳しさ” サッカーを構成する多くの要素で上回るチームに、アウェーの環境で勝利する事ができた。4-3はサッカーにおいて紛れの生じるスコアではないし、今日の試合に関しては日本の方が良い内容を示せた。これは誤解しようの無い事実であると思う。 ただし、前半20分過ぎには彼らは明らかにスローダウンしている。 それがその前の20分間のオーバーペースから生じたものか、或いは開始早々の2点リードによる気の緩みから生まれたものか、さらにたかが親善試合…という集中力の欠如からのものなのか…きっとその全てが影響しているのだとは思うが、やはりそこには“真剣勝負”とは微妙に異なる空気…が流れていたことを僕達はしっかりと認識するべきだろう。 彼らから見れば日本という国はまだまだ“格下”であり、取るに足りない相手…という認識だろう。このような“恥辱・屈辱”をその鼻先に突きつけることによって、強化・親善試合における彼らの日本に対する“リスペクト”の観念も少しずつ変化してゆくことになるだろうし、日本も自らの実力でその道を切り拓いて行かなければならない。 前でのボール奪取を意図する厳しいプレスとボールへのアタック。 そしてそれと綿密な連携が計られたDFラインの小刻みな上げ下げと繊細なオフサイドトラップ。 攻撃時のダイレクトで無駄の無い展開と、常にトップスピードでスペースへ駆け込み、瞬時にしてマーカーを置き去りにするサイドアタック。 スイスのこのスピード感あふれるコレクティブなサッカーは、現代サッカーの最良の手本である。そして彼らも日本と同じように“前線で打開する個”の存在に欠けている。もしここにフレイと共に往年のシャプイザやスフォルツァクラスのタレントが加われば、彼らはいつユーロを制しても不思議ではないレベルに達する…僕はそう思っている。 スタジアムには欧州のスカウトもたくさん訪れていたと聞くが、このゲームにおいて彼らの目を一番引き付けたタレントは、日本で言えば遠藤保仁なのではないだろうか。“日本にはもう一人のピルロがいる”と彼らは思ったかもしれない。チーム事情からこのタレントをイレブンに組み込める欧州のチームはかなり限定される筈であるし、年齢的な条件にも制約を受けるだろうが、興味を持ったチームは少なくないだろう。 そしてもう一人は松井大輔。 最後は疲弊してしまったが、欧州レベルの“闘争”する魂を一番感じられたのが、僕にとってはこの松井大輔のプレーだった。PKは彼の“技術”によってもぎ取ったものである。それも含めて、このゲームにおいて彼は自分自身のクラスを見せ付けてくれたと考える。 前回のオーストリア戦、そしてACなどにおいて、日本の得点力不足を嘆き、悲しみ、悲嘆にくれていた人たち、そしてこのゲームの大量得点でその悲嘆を忘れかけている人たちに一言だけ忠告しておきたい。 点を取れたのは“スペース”があったから…だと。 2-0になって尚、彼らはゴール前を固めずに、ただ単に勝利という“結果”よりも“内容”を求めてきたからだ…と。 あなた達の嘆き悲しんだ問題は、この試合とはまったく没交渉に、今後もアジアにおいては日本の行く手を遮る根深い問題として在り続けるでしょう。そしてそれは日本ばかりではなく、サッカーの普遍の問題である…と。 サッカーは常に相対的な要素によって成り立ち、物語を形作るものだ。 ある試合での問題は、ある試合ではまったく問われない。その時々の状況と条件の中で、求められるものもまったく違ってくるものである。そしてそれは一試合のゲームの中でも、1分後には180度異なる解が要求され得るものなのだ。 0-2からの攻めるしかない状況での問題。3-2と逆転してからのたった2分間に凝縮されたサッカーの宿命的問題。すべての状況にあらゆるミスと問題が潜んでいる。それを一つずつ整理して解釈し、現実に対応していかなければならない。そこに求められるのは感情ではなく、あくまでも理知なのであると僕は考える。 今週末にはすぐにJリーグがある。さらに浦和や川崎の選手はその3~4日後にはACL決勝トーナメントが控えている。厳しい日程の中で負けられない試合が続くなか、どうかサポーターの方々には彼らの奮闘を、スタジアムで、自宅TV前で、精一杯の声援を送り、この厳しい時期を支えてあげて欲しいと思う。 サッカーを構成する多くの要素で劣勢でありながら、彼らがこの試合を勝つことができたのは、走り負けることの無かった運動量と、最後まで諦めない勝利への執念、この2つでスイスを圧倒し得たからだと僕は思う。これが1年半前に見失っていた日本サッカーの土台であり足場である。先祖代々受け継いだ土地であり、未来にわたって決して手放してはならない拠り所であると僕は信じている。 ★サッカーブログランキングに参加しています…応援のクリック心から感謝いたします★ ⇒⇒⇒人気blogランキングへ
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posted by 桐谷 |10:00 |
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