2007年09月08日
【3大陸】オーストリア戦 戦評
今のオシムジャパンの実力であれば、アウェーと言えども欧州のこのクラス(階級)と引き分けることはさほど難しい事ではない。 ただし、これに勝ちきるという事、1点をもぎ取るという事はとても困難な事であり、またこれがユーロ予選のようなガチンコの試合であれば、彼らは最後にもう一絞りのエネルギーと闘志で挑んできたはずである。それを成す為には、技術とはもうひとつ別次元の“闘争”する気迫であり、“勝利”へ対する逃げ場の無い飢餓感と共に“敗れ去ること”への勇気が同時に求められる。オール・オア・ナッシング(全てか無か)の状況判断と決断…ここに世界と日本の大きな断絶が横たえている。最終的にそれを得る為には、やはりこのような貴重な機会の中からそのマネージメント能力を学んでゆくしかない。 ヒディンクに率いられた2002の韓国代表が、同じくヒディンクに率いられた2006のオーストラリア代表が、アジア・オセアニアの枠を飛び越えて世界へ触れられたのは、僕はひとえにこの躊躇いのない状況判断と勇気ある決断の賜物であったような気がする。 世界の強国の、攻守…を分ける10段変則のギアシフトが、今の日本には3段の持ち合わせしかない。さらに正確にいえばそれは1速と5速と10速がある訳ではなく、3速と5速と6速がちんまりと並んであるだけなのだ。 日本のゲームを試合状況のキャプションやテロップの説明なく、その選手の動きやプレー選択のみを見ていれば、今がどういう状況であるのかが僕には分からない。1点負けていて残り5分なのか、3点勝っていて残り30分なのか、或いは引き分けでは全てが潰えてしまう状況での残り3分なのか…。 今後日本がその“全てか無か”の状況判断を迫られるとき、この部分の切り替えの甘さ、決断の曖昧さとその共通認識の希薄さが、大きな弱点として禍根を残しかねない。スキルの向上と共に、この部分の鍛錬も育成年代からの課題として、一刻も早く本腰を入れて取り組むべきものであると考える。 試合は予想通りの展開であり、ポゼッション能力に勝る日本が、欧州の強固なディフェンスを前に攻め倦む90分だった。スタメンもほぼ予想通りで、依然として2列目のゴールへ迫る動きが欠けているし、サイドでの思い切った仕掛けも不足である。ただし、ミドルシュートの意識は大分改善されたようで、つまらない横パスで危険な位置からの不要なカウンターを受ける機会は大分減ったように思う。徐々に課題が絞り込まれ、その中でこの相手に自らの戦い方を貫徹し、その試合内容で圧倒できた事は、オシムジャパンの確かな実力の証であったように思う。 中盤で見せた稲本の厳しい守備は、日本の選手達に対する何よりのお手本であると思うし、あの姿勢を誰よりも阿部勇樹に学んで欲しい。今回の彼の不在をつくづく残念に思う。そして松井大輔の“勝負”する気迫。それはゲーム中、見栄えのする華やかな輝きを放つ事はなかったかも知れないが、今の日本代表の攻撃に一番欠けている要素であったように思う。パスにしろシュートにしろ、有機的な攻撃はあの姿勢から湧き出てゆくものだと僕は思う。 前半終了後、そして後半終了後の、オーストリアの観客の耳をつんざくようなブーイングを耳にしただろうか。勿論それは、彼らの日本代表の実力に対する認識不足も多分に含まれていたかも知れないが、それよりもやはり彼らはこの試合における“内容”をしっかりと認識、把握しているのだと僕は考える。 一方、日本に目を向ければ“弱いオーストリア”に勝ちきれない、進化の無いオシムジャパン…との評価がまかり通る。僕はこれこそが、この国のもっとも危惧すべき潜在的な“弱点”であり“リスク”であると認識している。 次のスイス戦では、さらに現在のオシムジャパンの実力が顕在化するだろうし、またその弱点も暴かれる事になるだろう。この攻撃面での膠着を打ち破る“救世主”として、オシムには山瀬功治を今一度試してみて欲しい。最終局面において、ゴール前の人数とパスコースが足りていない事はオシムの目にも明白な筈である。 ★サッカーブログランキングに参加しています…応援のクリック心から感謝いたします★ ⇒⇒⇒人気blogランキングへ
- 共通ジャンル:
posted by 桐谷 |10:25 |
オシムJAPAN |
コメント(55) |
トラックバック(2)



