2008年04月21日

浦和レッズ その在りのままの実力

浦和レッズ0-0大宮アルディージャ

これが今現在の浦和レッズの在りのままの“実力”なのだと思う。

エンゲルス体制に変わり、ここまで“気持ち”で戦い勝ち点を積み上げてきたが、この連戦の中で、やはりどこまでも“それだけ”でやり通せる訳ではない。大宮のボールに対する厳しいプレスと、徹底したデニス・マルケスへの配球、その個力からの推進力・展開力に苛まれたゲームだったように思う。

今現在のJ1で、しっかりとしたポゼッションを構築し、組織でクリエイティブな攻撃を組み立てられているのは、鹿島アントラーズと名古屋グランパス、それにガンバ大阪と不完全ながらFC東京、ジュビロ磐田が在るぐらいで、その他健闘といえる成績を残しているチームの殆どは、日本人でしっかりと中盤から後ろの守備を固め、ブラジル人アタッカーにボールを預けるスタイルで、得点と勝ち点を拾っている。

こう言っては語弊があるかもしれないが、浦和レッズは従来そのスタイルを、2人のJ最高レベルの助っ人アタッカーを駆使して、最も成功させてきたチームであり、ポンテを欠きエジミウソンが不完全なまま燻っているこの現状では、むしろここ最近の連勝と王者鹿島からの勝利は大健闘と評価しなければならないものである…と僕は考えている。

この試合を見た方には、大宮デニス・マルケスの迫力ある仕掛けとそのキープ力ばかりが、目についたものと思うが、本来エジミウソンも決してこのデニス・マルケスに引けを取るタレントではない。が、にも関わらず、未だこのチームに馴染めず自らの実力を発揮できないのは、やはり浦和というビッククラブ、スター軍団ゆえの難しさがあるのだろうし、1トップ、3トップといった制約の中で、これまで新潟で与えられていたフリーロールの役割を基盤とする、自由なイマジネーションとそのプレーする喜びが失われつつあることもその原因のひとつなのではないだろうか…と僕は思っている。

この現状であれば、エジミウソンと競わせるべきは高原直泰であるべきで、田中達也が使えるのであれば2トップの一角は彼と永井雄一郎に任せて、むしろ両サイドのスペースを広く使われたほうが相手チームとしては的が絞りづらいのではないだろうか…と僕は考える。もちろん、それだけでチームがうまく回るなどと言うつもりは無いが、全体にスペースでボールを受ける意識が欠けている現状、動けるFWと内外の使い分けは、攻撃のダイナミズムを取り戻す良いキッカケとなるかも知れない。エジミウソン覚醒のためにも、一度トライしてみて欲しい試みである。

また大宮のボールサイドに厳しいディフェンスは、ヴィッセル神戸同様今のJ1で最もアクティブな守備体系であり、非常にシンプルでありながら、見るものの情感に訴えかけてくる“熱い”ものを感じる。三浦俊也監督時代に一度大きく躓いて方向性を見失いつつあったこのチームが、今また力強い基盤を構築し、未来に向けて新しい一歩を踏み出そうとしているその姿に改めて感銘を受けた。片岡洋介のような優れたタレントが厳しい競争にさらされている現状を見る限り、チーム内にも正当な競争原理が働いているのだろう。樋口靖洋監督のこれからの仕事も注視していきたい。

土曜日に行われた鹿島アントラーズVSガンバ大阪は0-0ながら、今年度のJ最高のクオリティを感じさせる好ゲームであったし、今後の優勝争いを展望した場合、現時点ではやはりこの2つのチームの質の高さが少し抜けているようにも感じる。この2チームに絡んでいくのは、横浜マリノスなのか、あるいは名古屋グランパスなのか…それともFC東京なのか、あるいは浦和レッズの復活はあるのか…。これからが選手層の厚さ、そして本当のチーム力が試される局面である。

この5月の厳しい連戦を乗り越えた先に、果たして何チームが優勝戦線に生き残れるだろうか?
長友佑都をはじめとした新しいタレントたちのさらなる成長と共に、今年のJ1最初の正念場、その生き残りをかけた熱い戦いを、これからの一ヶ月興味深く見守ってゆきたい。

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2008年04月17日

4.13 浦和レッズVS鹿島アントラーズ 戦評

浦和レッズVS鹿島アントラーズ

現時点でこれをH&Aで10戦闘えば、鹿島アントラーズの5勝3分け2敗ぐらいが妥当な結果なのではないだろうか…と僕は思っている。実際に0-2で敗れたこの4月13日のゲームを見ても、90分間の大半を“支配”していたのは鹿島アントラーズであったし、特に1点リードされてからの後半残り40分間の磐石なポゼッションと、そのぶ厚い攻撃は、現在の鹿島アントラーズというチームの戦術完成度の高さとその“凄み”をまざまざと見せ付けた。
そして浦和レッズにとっては、“だからこそ”価値ある勝利であったと思うし、ギリギリの攻防の中で必死に繋いだその“希望”を、絶やすことなく今後の厳しい戦いの中で大切に守り通していって欲しいと願う。

これはスキルでも、戦術でもなく、ただ“気迫”と“執念”でもぎ取った勝利であったと思う。これまで氷結していた選手達の“戦う気持ち”が、ピッチに溶けて流れ出て、そして熱くたぎって沸点に達し、瞬間瞬間の攻防に決死の気迫となって迸っていた。

大事なのは、勝つこと、負けることよりも、まず“闘う”ことである。
勝負とは、そしてサッカーとは、そういうものなのだ…と僕は思っているし、この日の浦和レッズの選手たちは、それを如実に証明してくれたように思う。

ベンチからの指示もあったのかも知れないが、前線近くでゲームに入った闘莉王が、後半押し込まれた時間にはバイタルや最終ラインで、必死に敵のアタックを弾き返していた。彼の存在はまさに“リベロ”の呼称に相応しいもので、欧州においても今現在これだけ“リベロ”的な個性と躍動感を有したタレントを僕は知らない。Jにもたくさんの外国人DFは居るが、闘莉王以上の存在感とパワーを有した選手は一人も居ない。あらためて彼の“価値”を再認識したし、指導者にとっては彼やフッキのようなタレントを上手に使いこなすもう一つの力量、人間の度量のようなものが試されるわけで、サッカー監督とはつくづく難しい仕事なのだなと改めて感じる。

また先日の東京V対FC東京戦、その後にフッキのどんな暴言があったにせよ、あの2枚目のイエローはTV観戦から推し量る限り到底妥当なものとは思えない。それが狭量な日本文化的価値観の偏見や予断とどこかで結びつき、或いは干渉しているのだとすれば、お互いにとって非常に残念なことだと思う。
先日のヴァンフォーレ甲府VSセレッソ大阪戦においても見受けられだが、同じ誤審であっても、有ったコトを見落とす誤審と、無かったコトに対して予断や思い込みで下す誤審とでは、その過ちの“重さ”は歴然と異なるものと考える。同じ処分や罰則を下すものとしても、この両者の相違には明確な“区別”を希望したい。

日本においては今現在続くフッキとチームとのドタバタのように、組織や既存のシキタリになじまぬ者=非…といった短絡的価値観が平然とまかり通るが、そもそも組織やシキタリといったものはニンゲンの前に存在するものではない。むしろニンゲンの共存共栄の為の“方便”のひとつと考える事が妥当であり、有用な者を用立て従来の仕組みの中にどう融合させ、またどうやってより良いモノに作り変えてゆくか…こそが指導者の手腕にかかっているのだと僕は思う。言うまでも無く、サッカーとは世界のスポーツである。その作業を放棄していては、欧州トップリーグの“マネージャー”など誰にも勤まるものではないし、この日本においても、本当に優れた指導者とはキチンとした理論と実践にプラスして、その人間としての度量と魅力をも同時にあわせ持つものである…と僕自身は考える。

日本のサッカー界ももう少し、強烈な個性と能力をあわせ持つ、日本文化にとっての“異端”のタレント達を鷹揚な視点で受け入れてみてはどうだろうか?あのピクシーをアセーン・ベンゲルが受け入れたように。そして同じくドラガン・ストイコビッチを、イビチャ・オシムが見事に懐柔し手懐けたように。


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2008年03月21日

浦和レッズの蘇生と川崎フロンターレの挫折

昨日行われたナビスコカップ神戸戦、敗れはしたが随所に浦和らしさの感じられる激しいプレスと厚い攻撃が見られたのではないだろうか。細貝萌の積極的な攻め上がりと梅崎司の果敢な仕掛け、そして堤俊輔の意欲的なポジショニングとサポートへの意識は、チーム再生へのキッカケを感じさせる躍動的なものであった。

一方の神戸も前半のデキは決してこの新生なった浦和に負けていなかったと思う。この非常に完成度の高いプレッシングサッカーは、今現在Jで一番僕の目を愉しませてくれているものであるし、果たしてこのクオリティがどこまで持続できるものなのか…今シーズンのJリーグにもう一つの新たな見所を提供してくれた松田浩監督とヴィッセル神戸に深く感謝したい。
この神戸が今後も快進撃を続けられるかどうか…は、この浦和戦に見られるように、後半足の止まった局面でどれだけ敵の攻撃を誤魔化し、自陣のスペースを消しながらのらりくらりと交わせるかどうか…そして梅雨時からの厳しい蒸し暑さの中で、どれだけプレッシングのクオリティをキープできるか…にかかっていると思う。非常に厳しい挑戦となる事は間違いないが、そのトライを今年一年興味深く見守ってゆきたいと思っている。キム・ナミル、レアンドロ、そしてボッティ…この3人を見るだけでも非常に魅力的なチームであるし、今Jリーグで一番おもしろいサッカーを展開しているのがこの神戸である…と僕は思っている。

浦和にとっては厳しい結果となったが、この日前半の神戸のサッカーこそ、まさに今の浦和がお手本とするべきスタイルであると思う。先取点さえ奪えれば、後半の逃げ切り方、交わし方は浦和の方に一日の長がある筈だ。ややハードラックな失点であったと思うし、現時点でこの相手に互角以上の内容が見せられたことには、ポジティブな評価が与えられてしかるべきであると僕は考えている。

一方、ジェフ千葉と戦った川崎フロンターレには少々ネガティブな印象が残ってしまった。

ゲーム内容について…ではない。

この体制では、フッキを使いこなさずに終わる…という予兆を感じたからである。負傷…というインフォメーションがなされていたようだが、その前後の脈略を考慮すれば、実際には関塚フロンターレとフッキとの訣別…なのかも知れない。だとすれば非常に残念な結果であるし、お互いにとって不幸な出来事であると言わざるを得ない。

我那覇、ジュニーニョの2トップとなり、確かに前線の動線もスッキリし、両翼の為のオープンスペースもうまく用いて厚い攻撃が可能にはなったが、破壊力と期待値…という点において、チームとしてのスケールは大分見劣りしてしまったように感じる。川崎というチームはすでに中位の存在ではない。多くの敵が背後に広大なスペースを拵えながら前のめりに出てくるような存在ではないし、その逆に押し込んだ、スペースのない膠着した状況の中で、どうゴールをこじ開けるか…が問われるチームになってきているのだと思う。それを考えたときに、これまでのスタイルであれば良いところまで行っても早晩頭打ちの状況を迎えざるを得ないだろう…と僕は考えている。

これはチームにとっても、選手レベルであっても同じことが言えると思うのだが、敵裏の広大なスペースを利してキラキラと輝ける事と、スペースの無い敵陣の中で、主体的に変わらぬ光を放てる事…との間には大きな差異があるものと僕は考えている。中田英寿がペルージャでの輝きをローマやパルマで放てなかった事がその証左であり、またこの川崎が一昨年と同じ輝きを昨年のJリーグにおいて放てなかった事が、その証左でもある。そういう意味で、この川崎フロンターレがさらに一歩前進して、ダークホースとしてではなく、リーグの大本命として優勝を目標に争うのであれば、これまでとは違うアプローチが必要になってくるのだと僕自身は確信している。そして確かに博打ではあるし冒険ではあるだろうが、現状ではその為の最大の武器となり得るのが、僕にはこのフッキである…と思えたのだ。

ゲーム内容ではジェフ千葉相手に圧倒していたと思うし、バランスとしてはだいぶ均整が取れてきたとは思う…が、これでは突き抜けるパワーが足りていない。勝ちきれずに地団駄を踏むゲームが昨年同様幾度も繰り返されることだろう。すでにフッキの心が離れてしまった状態…なのかも知れないが、ここで千葉に苦杯を喫してしまった事が、逆に小さくまとまってしまわない為のラストチャンスなのかも知れない。関塚監督には、もう一度勇気と覚悟を持ってフッキの起用にトライしてみて欲しいと僕は願っている。

またジェフ千葉に関しては、今年は割り切って今のスタイルを貫徹すべきであると考える。この戦力での残留はカンタンなトライではない。ここ数試合を見た限り、クゼさんはこの現実的なスタイルで丹念に勝ち点を拾いながら、若いタレント達を磨き上げてゆける有能な指導者であると僕は思う。
サポーターも今年一年は我慢の一年になる事と思うが、ここでの辛抱が次のアカルイミライへと続く険しい一本道である事を信じ、どうかこのクゼ体制を最後まで見放さずに見守っていって欲しい。青木孝太や米倉恒貴の頼もしい成長の軌跡を眺めながら、僕自身今年一年の千葉を、多くのジェフサポーターと共に辛抱強く見守ってゆこう…と覚悟している。


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2008年03月20日

【Jリーグ】 浦和エンゲルス2年契約…の違和感

浦和レッズ、ゲルト・エンゲルス新監督へ2年契約提示

というニュースに僕はいささか驚いてしまった。この監督交代を緊急事態における対処の一案と考えていないとすれば、またエンゲルスという人物をそれほどまでに高く評価していたとするなら、なぜブッフバルト後にオジェックという冒険を犯す必要があったのだろうか?

そして彼らにとっての監督交代とは、ただただ面子の挿げ替えのことなのだろうか。そこに自らの、クラブチームたる普遍のアイデンティティとしての、サッカースタイルを審美する視点、哲学といったものは存在しないのだろうか?

オフトと揉めてブッフバルトを招聘する。そのブッフバルトに逃げられるとエンゲルスの頭越しにオジェック招聘を決める。ACLを勝利すればシーズンの天王山を前にそそくさと再契約を締結し、そこから負け続けたことを看過しながらキャンプ・シーズンインを見過ごし、開幕で躓いたところでエンゲルスへの2年契約を提示する…。
この間チームとしてのサッカースタイルの在り方は、両者の間で充分に議論され、明確なコンセンサスが得られ、そしてそれが実践されてきた…と果たして言えるのだろうか?

僕はこの流れやフロントの決断に、クラブとしての、サッカーへ対する哲学としての、何らのメッセージもくみ取る事はできない。それは長期的展望に欠ける結果至上の刹那主義と、損失の限定…という保身と免責にかまけたフロント側の自己弁護の所業にしか映らないのである。
営業面での努力とその成果は賞賛に値するものであることは間違いない。けれども“サッカーの哲学”を同時に持ち合わせた運営であるのかどうか…浦和フロントの一連の行動から、そこがまったく見えてこないのである。

日本代表というクラブチームのチームフロントであるJFAがそうであるように、浦和レッズという日本最高の、アジア最高のクラブチームにして、未だそのような次元でチームを運営しているのだ。このJリーグも確かになりだけは大きくなったが、チーム運営の面において、文化としての成熟度の面においては、まだまだ未熟であると言わざるを得ない。勝ち負けという刹那の視点にプラスして、サッカーの愉しみと味わい、そして未来へのビジョン…という文化としての異なるもうひとつの視座をファンやサポーターに提示する為にも、アジア1のクラブチーム浦和レッズのフロントには“サッカーの哲学”“コンセプト”を明示し、徹底してそれを踏まえたチーム運営…というものを見せて欲しい…と僕は思っている。それはシンプルに言えば、欧州におけるアヤックスや、今のアーセナルのように…という事である。

エンゲルスが負け続ける…2年契約を反故にする。福田正博氏新監督へ!フロントは異例の長期契約を提示…福田体制を全力を挙げてバックアップ。そしてまた…。

そんな茶番劇が繰り返されるようでは、これまで蓄積してきた“富”も、アジアに築き上げた“地盤”や“名声”も、そして何よりもこのチームを強く支え続けてきてくれたサポーターからの“信頼”も、クラブとして失うことになりはしないだろうか?

次の監督を誰にするのか?

問題の本質はそこではない…と僕は思う。

10年後、20年後、いかなるサッカーで、そして誰を相手に、どんなステージで、このチームは戦ってゆくのか?
そのコンセプトこそを、クラブを支えるサポーターや地域と、膝突き合わせた徹底的な議論の元に、定め、共有し、そしてまた明示し、その指針に沿って運営してゆかなければならないのだと僕は思う。そこさえ定まれば、その時々の勝敗や刹那の出来事にいちいち惑う事などないのだ。そしてその為にも、クラブチームにとって大切なのは、その時々の“監督”のはるか前に、GMであり、権力のトップ…である事が明白である筈だ。そしてその権力のトップと、われわれサポーターがシステムによって没交渉のまま放置された今のJクラブチーム、JFAの組織としてのシステムの在り方、それ自体の問題意識が問われないニッポンのサッカー界の認識の在り方には、大いに議論の余地が有るのだと僕は思っている。

いつの日か、理想のクラブ像…というものをこの場で語る機会があればと思っている。

J創設前からの浦和(三菱)ファンだった僕は、やはり今でも浦和の試合だけはすべてTV観戦ながら1試合も欠かさず見続けている。だからこそ、昨今の浦和をとても誇らしく思うと同時に、またこの地位が如何にも危なげで、脆弱なものに見えてしまったりもする。次のJはホームでの新潟戦になるのだろうか?勝ち負けはともかく、サポーターの愛情に背くような試合だけは見せてはならないと思う。何を理由にしようと、それを失った時、浦和レッズはレッズでいられなくなる。この解れ掛けた赤い糸こそが、一番大切なものである事を、決して失ってはならないもの…である事を、選手たちには片時も忘れて欲しくはない。


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2008年03月17日

浦和のオジェック解任と川崎フロンターレの混迷

たった2節を終えた時点での監督解任…とも言えるかも知れないが、勝ち点6の喪失以上にその内容の絶望的な“貧しさ”に浦和サポーターも大きな失望を感じていたことだろう。それを踏まえれば、オジェック解任は“この時点”でのベストな選択であるとは思うが、元はといえば昨シーズンACL制覇直後の、余りにも間の悪いオジェックとの契約延長が、そもそも浦和フロントの最大の“過ち”であったのだと僕は考えている。

藤口光紀社長は解任の最も大きな理由を『選手が踊っていない…』と表現された。まったくその通りであると思う。が、それは何も今に始まったことではない。昨シーズン終盤、ACLを制した直後から、すでに選手たちは“踊っていなかった”。にも関わらず、なぜオジェック体制を維持してしまったのか…?やはりそれはオジェックとの“契約”が足枷になり、正当な判断力の妨げになったのだと僕は思う。

そしてそれだけに限らず、彼らは新戦力の補強に関しても少々焦り過ぎ、フライングし過ぎて、本当に必要な選手の獲得を見送らざるを得なかった。今更ながらそれが、柏木陽介であり、そしてフッキであったのではないかと僕は思っている。さらに言えば、オジェックの手腕を見極めながら、ワシントンの残留と天秤に掛けて見守る…という手段もまたあったのだろうと思う。それが叶わなかったのも、繰り返しになるがやはりオジェックの求めるタイミングで安易に契約締結に臨んでしまった浦和フロントの甘さ…にあったのだと思う。

きっと賢明な浦和サポーターたちは、この間のフロントの失策についても重々承知だと思う。オジェックとは実質何年契約であり、この契約破棄に関して浦和レッズの支出がどれだけの金額に上るのか?そしてそれは誰の責任において為され、その責任者はファンやサポーターに対してどのような言葉や行動でその責任を負うのか…?そして今後の運営方針において、今回のそれをどう教訓として活かしてゆくのか…?非常に厳しい在り方かもしれないが、浦和が真に市民クラブとして、サポーターの為のクラブとして在り続けたいと願うのならば、僕はそこを詳らかにするべきであると思うし、またサポーターはそれを要求してゆくべきだと思う。それは単に“辞めろ・辞めない”の話ではない。共にクラブのミライを共有し創造してゆく者として当然の、責任と義務の話であると思う。

エンゲルス体制となっても当面は苦しい時期が続くだろう。まずはこのチームの根幹であったダイナミズム溢れる前からの守備を取り戻さねばならないし、ボール奪取後の預けどころを工面しなければならない。エジミウソンがどこまで対応し得るか…にもよるが、一夜にして再生するような明るい展望は今の状況からは望めないだろう。
根本的にはやはりチームとしての“創造的”なスタイルを確立することが求められるのだと思う。今年一年でそれは無理でも、根本的に追い求めるべきは卓越した“個”の前に、やはり卓越した“組織”なのだと思う。10年20年のスパンで常勝を目指すのならば、来期からでもそれに取り組んでいかなければならないのではないだろうか?


また同じように開幕から大きく躓いてしまった川崎フロンターレであるが、やはりここが関塚隆の正念場であると思う。フッキを乗りこなし得るのか?或いは得ないのか?

今フッキを捨てれば、少なくとも昨年並みには立ち回れる事だろう。が、そこに落ち着いてしまっては、僕は川崎の優勝は無いもの…と思っている。そして現状は、フッキ以上にジュニーニョの弊害が出てしまっている…とも思っている。結果には結びついていないが、フッキという選手は良くも悪くもフッキであり続けている。しかしそれがジュニーニョのプライドには許容できない“存在感”であり“光”を放っているのだと思う。僕ならばフッキに自由を与えて、そのスペースを阻害しない戦術で周りを走らせたいと思うが、昨シーズンの戦い方に川崎が帰結してしまうのであれば、フッキをひとつ下げてその大きすぎる翼に縛りをかけながら懐柔するのもひとつの手法なのかも知れない。そしてやはりフッキを捨ててしまうのであれば、僕はある意味で小さくは無い失望を関塚監督に感じてしまう事になるだろう。そうならない事を祈っているし、浦和の状況とは違いこの川崎に関しては、一夜明けたらすべてが一変するだけのポテンシャルを秘めていると考える。

ただし中村憲剛を抑えられた時のビルドアップ…という面で、何か手を打たなければならない状況にあることは間違いない。3トップを捨てるのが最も手っ取り早いだろうが、或いは片翼を捨てる…という選択もあるのかも知れない。攻撃は最大の防御…である限り、攻撃が流れ出せば守備の問題も遅からず解消に向かうだろう。初戦は確かにチグハグだったが、神戸との試合は現状のチーム完成度における明らかな力負けである。今一番強いチームが鹿島であるならば、現状それに続くのは神戸と名古屋であると僕は思っている。そしてそれらをまとめてひっくり返す力を保持するチームがあるとすれば、それは川崎フロンターレである。その思いにやはり変わりは無い。


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2007年12月04日

浦和レッズの敗北とJFAの使命 

終盤戦の浦和の疲弊ぶりには痛々しいものがあった。

10月のACL準決勝2ndレグ城南戦のあたりになると、それは目を覆いたくなるほどの疲労困憊振りで、この状態では川崎や鹿島どころかJ1下位チームからも勝ち点3を得るのはなかなか難しいのではないだろうか…と危惧していた。

Jリーグ、ナビスコカップ、A3、ACL、天皇杯、そして灼熱のアジアで行われたアジアカップを戦った選手達もいる。欧州にもこのレベルの試合数をこなす選手達はそれほど多くないと思うが、さらにこの国では真夏の連戦と代表チーム興業への頻繁な召集が重なる。

2つの栄冠を取りに行って、最初のひとつを手にしたところで力尽きてしまった。

と言ってしまえばそれまでなのかも知れないが、JFA・Jリーグはベストメンバー規定などの圧力も含めて、整理するところを整理し、見直すべきところを早急に見直してゆくべきであるし、各大会のステータス、優先順位をある程度位置づけ、さらにインセンティブを明確に打ち出してゆくべきだと考える。

カップ戦覇者からJリーグ2位チームへ、ACL参加資格の変更をAFCに働きかけてゆくのもその一環として有効だろうし、改めて言うまでもないが、今の枠組みであればA3などは根本から考え直す必要があるだろう。

勿論、浦和とてその選手層の厚さを有効に使いきれたとは言えず、その点に関してはサポーター達の思いも本当に不本意なものがあるだろう。これだけの苛酷な連戦をほとんど15、6人ばかりの選手で戦いきってきた。ブッフバルト時代には頻繁に見られた若手の登用もまったく無くなり、レギュラーが潰れてしまえばそれまで…というオジェックの采配には、確かに傍から見ていても、負けた時には一滴の救いすらないようにも見える。

ACLは間違いなくそのスタンスで制しているのだし、どちらが正解だった…のかは分からないが、この1年…という視点でチームを見るのではなく、5年10年の浦和の未来も合わせて考えるのであれば、ここまでの彼の刹那的な決断のあり方にはいささかの危惧も感じる。

ただし全てをオジェックの所為と片付けるのは合理を欠く感情論であって、足りなかったFWのコマに手当てをせず、余りにも長い間ネネをベンチに囲い続けたフロントにもいささかの過怠があったと思うし、選手達も臆せず自分達の主張をぶつけ理解を深め合う為のコミュニケーションが、オジェックとの間に少し欠けていたのかも知れない。

ここまで落ちきった状態から短期間に立て直すのは非常に困難だとは思うが、アジア王者として出場するクラブワールドカップ、来年に繋がる良い試合を見せて欲しい。一緒に戦ってくれた多くのサポーター達の為にも、ミランとの試合まではなんとか辿り着ける事を祈っている。


そして最後に、鹿島の鹿島らしい復活を心から嬉しく思う。

勝負どころでガンバに敗れ、名古屋に敗れてから、諦めずに戦い続けた彼らの闘志こそが、今年のJリーグの“記憶に残る”感動を演出してくれた。来年のACLは鹿島というチームを得てさらに興味深いものとなった。彼らの闘志が韓国や中国の闘志と対峙してどのような興奮を呼び起こすのか…彼らのリアリズムが中東のリアリズムに対峙して、どのような結果を手繰り寄せるのか…。
来年のACLが今から待ち遠しい気分である。


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【キリタニ100法】ニッポンの未来を築く100の立法

posted by 桐谷 |08:49 | 浦和レッズ | コメント(8) | トラックバック(0)
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2007年11月13日

オジェックの困難とポストワシントンの動き

11日に行われた第31節川崎フロンターレ戦。
レフェリーのジャッジに粗が目立ち、またその粗が一方の利に偏ってしまったことで荒れた試合となってしまったが、ACL決勝を控えた浦和にとっては“負けなかった”ことに大きな意義のある一戦であったように思う。

内容的には0-2や0-3で惨敗していてもおかしくない試合であった。そしてそうなっていれば退場者も出していただろうし、3日後のACL決勝2ndレグに対して、非常にネガティブな状態に陥っていたかもしれない。
川崎の不運に同情すると共に、浦和の体を張って最後まで1-1のスコアを守りきったディフェンスの頑張りに拍手を送りたい。

ワシントンのゲーム中の乱心は弁解のできないものであったと思うし、共に厳しい局面を戦うチームに対する無責任な行動であったことは間違いないが、彼なくして3日後のセパハンと戦うことは浦和にとっては非常に厳しい選択となる。幸いブラジル人である彼の情熱を、間近に迫ったクラブワールドカップの舞台がギリギリ繋ぎとめてくれているようだし、厳格なオジェックも今は自身の信念を飲み込んで、セパハン戦では彼の“個人能力”に賭けることだろう。

ビッグチームの監督、そのマネージメントの困難さは計り知れない難しさがあるように思う。これは代表においても同様だと思うが、単に教育者としての手腕のみに止まらず、人並みはずれた忍耐力と、どこまでも“鈍感”に徹しきれる懐の深さが求められる。
ボーフムやフェネルバフチェでの監督経験はあるものの、このタフさはオジェックにとっても初めての経験なのではないだろうか。

負傷者も続出し、選手の疲弊しきった今の状況では、オジェック自身打つ手はかなり限られるものと思うが、彼がこの一年間チームに植え付け続けてきた厳しい勝者のメンタリティーは着実浸透しつつあるように思う。きっとこれまで同様、いや、それ以上に厳しい試合になることと思うが、もう一度チーム一丸となってACLラストマッチに挑み、そして必ずこの栄冠を手にして欲しい。


ワシントンの契約終了とともに、新潟エジミウソンの来年からの浦和加入が現実味を帯び始めているという。一説では年棒2億とも言われているが、確定となれば浦和らしいとても手堅い補強となると思う。

現在のJリーグに在籍するFWを見渡せば、ヴェルディ所属のフッキ(パスは川崎F所有という)が浦和の第一候補であるとずっと思ってきたが、エジミウソンであれば能力的には少し見劣りしても、そのキャラクターも含めた信頼性で、ベストな人選と言えるかも知れない。
それを受けてフッキが予想通り川崎へ復帰すれば、ジュニーニョとの強力な2トップで一躍浦和を脅かす存在となることだろうし、浦和が磐石を期してもう一人のFWを取りに来るとすれば、やはりこのフッキがそのターゲットの最右翼なのかも知れない。今後のストーブリーグの展開も非常に興味深い。


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2007年10月25日

【ACL準決勝】最大の難関とサポーターの熱情

現在のアジアレベルで最高の試合であったと思う。

勝ちあがった浦和レッズとともに、城南一和のチームとしてのクオリティとこの戦いに賭けたその情熱は、大いに賞賛されるべきものであると思う。
この試合における両チームのパフォーマンスは、ACLの権威とそのレベルを、さらに一歩上へと引き上げる素晴らしいものであった。そして日本人にとっては、クラブチームの試合で味わう“初めての感覚”だったのではないだろうか。

やはり運動量と球際の強さにおいては、韓国のチャンピオンチームに太刀打ちできる日本のチームはない。あの浦和にして、やはり運動量とパワーの部分で押されてしまう。さらにこの城南にはスピードがある。そしてアジアレベルではトップクラスの組織とインテリジェンスも併せ持つ。今回出場できなかったモタが加われば、ここにポンテやマルシオ・リシャルデスばりの“うまさ”も加わっていたはずであり、さらに浦和を苦しめていたことだろう。

この非常に厳しい相手に、また厳しいスケジュールの中で浦和がPK勝負にまで持ち込めたポイント…それは城南に対する相対的な助っ人のクオリティの差とサポーターの熱さ…だったような気がする。これまでもレッズのサポーター達には何度も驚かされてきたが、今回のACLへの彼らの“熱情”には心から感服した。彼らが注ぎ込んだ魂が、このACLそのものを価値あるものへと高めている。これはサッカーとともに、ぜひCWCの舞台でアジアチャンピオンとして世界に発信したい、日本のもう一つの誇りである。


前半21分のワシントンのゴール。

ユース世代の選手、そして子供達には、あのトラップの技術以上に、あのアイディアとイマジネーションをぜひ見逃さないで欲しい。ゴール前で一番必要なのは、シンプルに手数をかけずにゴールへ向かう事。そこで生み出した“時間的余裕”が、多くの選択肢と正しい判断を導き出す為の間を与えてくれる。
逆に言えば、あのアイディアがあるからゲームの中で本当に必要な技術が磨かれるのだ。ワシントンを筆頭に、ポンテ、マグノアウベス、マルシオ・リシャルデス、フランサ、ウェズレイ、そしてフッキ。彼らのプレーから学ぶべきものは非常に大きい。そのアイディアさえ持ち得れば、技術は必ずついてゆくものと僕は信じている。この日のワシントンのプレーを、近い将来Jの舞台で、日本人ストライカーによって見られることを、僕は心から待ち望んでいる。

先日のジェフ千葉戦、そしてこの日の城南戦。
阿部勇樹は本当に浦和の一員となったのだな…とここ数年ジェフの試合を見守ってきたものとして非常に感慨深いものがあった。ポンテや山田にFKを持っていかれる部分には、未だにイライラさせられるが、この試合の彼のパフォーマンスは文句のつけようの無い素晴らしいものだった。
そして長谷部誠の持ち味も存分に示されていたと思う。彼ほど磐石なドリブルキープのスキルを有した中盤のタレントは日本人にはいない。そしてこの試合においては、阿部と共に完全に疲弊しきった左サイドの守備を本当に良く助けていた。オシムにはこの長谷部を、もうひとつ上の段階へとぜひ代表において導いて欲しい。

最大の難関をくぐり抜けた。
あとはこの戦いの最後を、浦和らしく閉じて欲しい。
城南に勝った以上、そして最後の敵がアルヒラルでない以上、勝つべきは浦和であると僕は思っている。Jリーグ、そして日本人としての誇りと共に、ACLの未来が、今それを望んでいるのだと僕は思っている。



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posted by 桐谷 |07:41 | 浦和レッズ | コメント(17) | トラックバック(2)
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2007年10月04日

【ACL準決勝1st】浦和VS城南 戦評

これまでとは1階級異なる相手に対して、アウェーにおいて限りなく1-0の勝利に近い結果を得られた。これは次戦にとっての大きなアドバンテージである。

ただし、2ndレグ/ホームで0-0の引き分けでも良い状況…というのは、UEFA/CLを見ていても往々にしてホームチームの苦戦を招くシチュエーションでもある。
守りに入ることを恐れて安易に攻め込むのではなく、その都度のボール保持をキチンと攻め切る、厳しい状態からでもフィニッシュまで完結させるシンプルな攻撃を心がけてゲームに臨んでほしい。

この試合においても山田暢久などのプレーに度々見受けられたが、手詰まりになってからの判断の遅い横パスは厳禁である。城南の敵のミスを許さないチームスタイルに付け込む隙を与えてはならない。怖いのは数的不利な状況でのボールロスと11番モタに前を向かれフリーでかき回される展開である。その2点を押さえ込み、走り負けることの無いよう準備を整えて2ndレグに臨めば、決勝進出のチャンスは非常に大きいはずだ。もちろんサポーターの力も欠かせない要素だろう。

この城南戦1stレグ、闘莉王や坪井らの痛々しいまでに疲弊した姿を垣間見て心が痛んだ。
彼らはAC後からほぼ休みの無い状態で、厳しい暑さの中週2回の試合をこなしてきている。さほど力のある相手とは思えない敵アタッカーに不用意に間合いをつめて簡単に振り切られる闘莉王、まったく必要の無いトラップミスで敵にボールを奪われ、足を攣らしながら力なくその背中を追う坪井慶介…好調時の彼らであれば絶対に見ない情景である。

この肉体的な疲労の蓄積によって、ベテランや代表選手達のプレーに、試合全体を通してあと一歩の踏ん張りが効いていない。それに輪をかけて、調子の上がらないワシントンの度重なるボールロスがさらに彼らの体力を蝕んでいる。彼にはもう少し“持つ”工夫と“待つ”工夫でDFラインを引き上げてほしい。サポートの無い状況で苦しいのは判るが、今こそが耐えるべき時なのだと思う。

今後も代表召集を含め週2試合の状況が続いてゆく。
オシムに代表召集の見送り…を打診するか、或いは優勝争いの最中のJで何人かの主力を温存させることができるのか…オジェックやチームスタッフにはとても難しい選択が迫られる。

僕がオシムであれば『アンフェア』との謗りを受けようとも、次戦のエジプト戦に限り浦和選手の召集を見送りたいと思うが、果たしてどうなるのだろうか?オシムの決断と選手達の頑張りを見守りたい。



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