2008年02月29日
岡田ジャパンの中間評価
言うまでも無く実際のサッカー、ゲームというものは選手が行うものである。 ひとつひとつのプレーや選択、そのいちいちについて監督が関与している訳ではない。例えが正しいかどうかは判らないが、ユースやクラブチームの監督というものが馬の調教師のようなものだとすれば、代表監督のそれは羊飼いのそれに似ていると僕は思っている。限られた時間と関係性の中で、関与できることなど非常に限定された範囲のみである。そのたくさんの羊の群れを一塊に束ねて、意図するひとつの方向へ誘導するぐらいのことだと思っている。そしてそれは、あくまでもその個々の羊の能力があっての出来事である。 そういう意味で、オシムのそれは世界の潮流からいえば少し異質なものであったと思う。彼はその限定された短い時間の中で、羊飼いでもあり、また調教師であろうとしていた。そして実際非常に短い時間の中で、選手個々の能力を開眼させた部分があったと思うし、またこの群れを一塊にし、非常に良い方向へと導きつつあった。 僕は岡田監督の就任に当たって、このオシムが示した、正しき方向性と、その流れだけは失わないでもらいたいと思っていた。それは個性や趣向の問題ではなく、サッカーの普遍の原理を指し示した道であると思っているからである。その上で、彼なりのアレンジや修正を加えてゆけば、この素晴らしい土台に、オシムのように華美ではなくとも、堅固な城郭を築けるものと思っていた。 率直に言えば、オシムのAC時に比べ、そのチーム力が低下してしまったのは事実だろう。またその方向性やベースの部分が、様々な誤解や行き違いのもとに、そのカタチを喪失しつつある危惧も正直感じている…。が、あのアジアカップ当時も、ここで散々『優勝がノルマ』『ベスト4がノルマ』『でなければオシムの所為、オシム解任!』と騒がれたものだが、僕はあの時と同じように、たった20日や30日ばかりの実働期間で、強化段階のその一々の結果や内容で、監督としての能力の是非を断じられるものではないと思っているし、また一国の代表監督の選定というものが、そんなに“軽い”ものであって良い筈は無い…と思っている。例え選者の思惑がどのようなものであったとしても…である。 …正直に言えば、僕はなぜあの時、あと2、3週間ばかりの“時”をJFAは待つことができなかったのだろうか…という不満が未だに消化できずにいる。そしてなぜ、とりあえず“暫定”や“臨時”のカタチで事を進めることができなかったのだろうか…と。 が、オシム危篤のあの状況から、そしてあのJFAの対応から、このような道を選択した以上、今のこの状況は通過儀礼の範疇の出来事であると“理解”しているし、これこそが、ニッポンの自然な、ノーマルな姿であると思っている。そしてここから、少しずつ、一歩一歩、前へ進んで行かなければならないのだと思っている。 既に新しい道を歩き出した日本代表に、現時点でオシムという対案は存在し得ない。またこの状況で、日本人を率いてどんなサッカーができるものか皆目見当がつかない海外のビッグネームに賭けるギャンブルもナンセンスであるし、Jリーグのどこかから問答無用でクラブ監督を収奪するような、信義を欠く振る舞いなど二度と許されるものではない。それができなかった中で、考え得るベストの選択は、やはり岡田武史であったのだと僕は今でも信じている。 名誉ソムリエの栄誉を授かった川淵三郎さんの口はたいそう滑らかなようで、オシム監督時代には決して口に出さなかった選手選考や起用についてのグチや軽口が新聞紙上を賑わせている。代表戦視聴率の低下や観客動員減の面で、ジェフの無名選手を重用し続けたオシムの選手選考に、やはりこれまでだいぶ不満や危機感を募らせていたのだろう…。そうやって、望んだ未来は果たして満足いくものだっただろうか?欲しいものは手にできただろうか? 来月のバーレーン戦には召集されないようだが、きっとこれから中村俊輔も忙しくなるだろう。彼ももう若くは無い。欧州とアジアの、時差もあり気候も異なる過酷な移動で、体調を崩す事なく、セルティックでのシーズンを全うできるよう心から祈っている。そして願わくば岡田武史監督には、もうひとつの敵とも、怯まず、馴れ合わず、戦って欲しい。僕は彼の、そのもうひとつの戦いも、今後注視してゆきたいと思っている。 オシムさんがまもなく退院する予定だという。 きっと家族の反対もありながら、オシムさんは現場への帰還を望んでいることと思う。体調の回復が思わしくなければ、そのままサッカー界から身を引きボスニアへ帰るのかも知れない…が、リハビリの進展具合によっては、すぐに他国の代表チームや或いはACLを狙うようなアジアの強豪からのオファーがくるのかも知れない…。いずれにせよ、彼の望む未来が実現することを心から祈っている。 次回は、岡田ジャパンの中間評価 その2 で戦略・戦術的な部分について少し触れてみたいと思っている。 ★サッカーブログランキングに参加しています…応援のクリック心から感謝いたします★ ⇒⇒⇒人気blogランキングへ キリタニ100法『中国の蛮行と“理解”への努力』掲載いたしました。こちらもよろしくお願いします。 *コメント欄は閉鎖させていただきましたが、これまでのコメントは各エントリーのタイトルをクリックすれば、ご覧いただけるようになっております。
posted by 桐谷 |11:28 |
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