2008年01月09日

水野晃樹のミライ

水野晃樹のセルティック入りが正式決定間近だという。

当地のワークパーミットの問題は非常に複雑であるし、それ如何によってはどちらへ転ぶか、まだ判然としない部分もあるが、情報発信の多元性から見て、セルティックが本腰を入れて水野晃樹獲得に向けて動いていることは間違いないだろう。

スピードとドリブル。そしてアジリティと足腰の強さを活かした、敵を抜ききらずとも通す確度の高い高速のクロス…。FKやそのスタミナにも非凡なものがあり、ここ1.2年で身体の線も大分逞しくなった。
この年代では本田圭佑と並び、現在もっとも完成された攻撃的タレントであると思うし、本来彼の持つそれは本田圭佑と比較しても、さらに現代的な汎用性に優れた資質であると確信している。

ところが、この一年の彼のパフォーマンスに僕はある種の危惧を感じ始めていた。その『光』の部分での華やかな躍動は、反町氏率いる五輪アジア予選を引っ張り、ジェフにおいて間違いなく攻撃の主役となり数々のゴールシーンを演出したが、その『影』の部分で、勝負どころでの手痛い失点に繋がる軽率なパスミスやディフェンスにおける“軽さ”を露呈していたことも確かだ。“ひたむき”なジェフのサッカーの中で、それは少しずつ目に余る粗となって、僕の中で看過できないものとなりつつあった。

アマルはよく水野晃樹を途中交代で引っ込めていたが、僕はそれをケガやスタミナ面だけの問題とは感じなかった。むしろ11人の総体としての、戦術的な面での“正と負”を彼なりに的確に判断しての決断であったと思っている。そしてそれは、アマルの意図するところかどうか、部外者の僕には見当もつかないが、水野晃樹にとっての“最良”のチャンス…であったと。

これは人生においてもきっと同じ事なのだろうが、サッカーの1プレー1プレーには、必ず失うものと得るものがある。得るものだけ…という100点満点のプレーなど、まず現実には起こり得ない。厳しいプロの世界であれば、なおさらのことである。
そしてその失うものと得るもの…その選択、そのトライを誤らないのが強国のサッカー、フットボーラーの強者であり、その逆が弱者のそれであると僕は思っている。

そしてその的確な“選択とトライ”と共に、11人の役割の中で曖昧さの許されない“責任”というものがある。これはUKのサッカーであれば、日本のそれとは比較にならないほど、選手もサポーターも明確に認知している“基準”がある。
その判断力と基準さえ身につけるならば、そしてどんな時にも1プレー1プレーにひたむきに打ち込む“情熱”さえ失わなければ、彼は充分に欧州で開花し得るタレントであると思う。
報道通り、現時点でセルティックに加入するのであれば、きっと厳しい我慢の時を強いられる事もあるだろう。そしてそんな困難な時こそが、自分自身の将来にとっての“最良”のチャンス…である事を忘れずに、必ず成功へと結び付けて欲しい。


2004年Jリーグ最終節、対ジュビロ磐田戦。
僕は臨海のバックスタンド最前列で、ただ水野晃樹の動きだけをその目で追っていた。
生まれたてのヒヨコのようなかわいい顔をした彼は、スムーズに中へ絞る事も、パス回しに顔を出す事もうまく出来ずに、ただピッチ上を縦に行き来するだけのまだ初々しい少年だった…。それは逆サイドの、全盛期の村井慎二のパフォーマンスとはまったく比較にならないものではあったが、なぜか僕の目は、この名前も知らない若者の、前へ出て行く際のそのスピードと、ボールを持った時の気品と佇まい、そして勝負する“気持ち”に釘付けにされた…。

『ターン!』
『リターン!』
『前へっ!』
『中に絞れっ!』

心の中で必死にそう叫んでいた。そして今も、心の中でずっと叫び続けている。

悔いのない選択を、そして彼の輝かしい未来を、心から祈っている。


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前回のエントリーに対してたくさんのメールをいただきました。
本当にありがとうございました。すべて参考にさせていただき、対処していきたいと考えております。

何名かの方にご質問いただいたのですが、これまでのコメントは、各エントリーのタイトル部分をクリックすれば、ご覧いただけるようになっております。
例えば『オシムジャパン最終章』であれば、タイトルクリックでこれまで皆様から寄せられたコメントが本文の下に繋がって出てきます。

本文を素通りされては困りますが(笑)、そのコメント欄もどうか覗いてみてください。
多くの方々の、サッカーに対する真摯な“気持ち”に、そこで触れられるはずですので…。

                            桐谷

posted by 桐谷 |10:15 | ジェフ千葉 | トラックバック(0)
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