2007年12月21日

いつかこの巨大な壁を CWC総括

浦和はミランに対して攻めなかった…のではなく、攻められなかった。
ラインを上げてボールを奪いに行かなかった…のではなく、行けなかった。

それが浦和レッズ対ACミランの真実、Jリーグ王者対UEFA王者の現状におけるどうしようもない“現実”であったと僕は思っている。

この攻められない、ボールを奪いに行けない…という状態は、僕は決して選手の臆病や消極的姿勢から生ずるものではないと考える。少なくともあのACミラン戦においては、彼らはその攻められない、ボールを奪いに行けない状態を必死で耐え忍びながら、Jリーグ王者、そしてアジア王者として、勝つための最善の可能性に最後まで賭けていた…今もって僕のその評価はまったく揺るがない。

攻撃的スタイル…というものは、相手との力関係があって初めて成立し得るものである。それはオシムジャパンVSスイス戦の前半を見れば明らかであると考えるし、ACにおけるサウジアラビアの立場から、彼らの日本戦とその他の試合におけるそのスタイルの変貌ぶりを見てもまた明らかであると思う。

あの試合における浦和レッズとACミランをボクシングに例えれば、僕はストロー級の東洋チャンプと、ミドル級の世界王者との戦い…のようなイメージで捕らえている。ミランとボカとの差を、“2~3人で攻めきれるか、さらに1人2人のサポートを必要とするか…”の例えで描写したが、要するにしっかりとガードを固めた上での軽いジャブでKOし得るミドル級世界王者のミランと、その相手にガードを解き大きく踏み込んで、腰の入ったフックを渾身の力で打ち込み、それがミートした時に、初めてちょっとしたダメージが与えられるかどうか…というストロー級の浦和。

この試合の積極的か消極的かの議論や評価とは、両者のその現実を踏まえた上で、僕達それを見る者がいったい何を望んでいたのか…本質的にはその立場こそが問われるのだと改めて僕は思っている。

あの実力差であれば、彼らの一発のジャブを食らわずに、その固いガードを掻い潜り大振りのフックを3発4発と顔面に叩き込み、浦和がミランをKOし得ていたとは僕は思わない。また浦和は失点後、押し上げてゴールを狙いに行く局面も可能な限り形成していたと思うし、アジア王者として今出来る事に最大限トライできていたと考える。

そして敗因として検証すべきは、浦和の戦術や消極的姿勢…などの枝葉の話ではなく、もっと大きな幹の部分、国レベルでの戦略、そしてJリーグ自体の抜本的改革にこそあるのだと僕は思っている。要するにどうやって彼らと同じような苛酷な競争環境をこの国に形成するか、Jリーグのレベルを上げてゆくのか…という事である。その方がこの苛酷な現実に対して、遥かに利益のある議題になるものと考える。そこを変えて行かなければ、本質的な彼らとの差はますます開いてゆくばかりである。そしてこの国は、変われるのだと僕は信じている。

次にこのCWCの舞台にJチームが立つのはいつの事だろうか?
5年に一度位出られれば…とぼんやりと考えてきたが、今明らかにこれまでとは違った熱気と興奮が、この国に芽生え始めているのは確かである。この熱を、どうかJリーグ改革の機運へと繋げていって欲しい。これをキッカケに、クラブレベルでも明確に“世界”を意識したチーム運営に踏み出して欲しい。そしてその為の環境を、クラブとJリーグで徹底的に議論していって欲しい。そしていつか必ず、この巨大な壁をぶち破って欲しいと心から願っている。


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posted by 桐谷 |10:24 | ACL&CWC | トラックバック(0)
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posted by 桐谷 | 2007-12-21 12:00

いつかこの巨大な壁を CWC総括

大きなテーマですね。私は、目新しいことではないですが、「個の力」の向上が出発点であり土台だということをあげたいと思います。戦術はいつでも真似ることができますが、それを行うプレーヤーのレベルが低ければ、結局は勝てないからです。相手を抜く、相手を止める、相手から奪う、ゴールを決める。サッカーの原点となる能力を伸ばす指導が非常に重要ではないかと思います。そして個のレベルを上げるためには、あらゆる年代・カテゴリーで「より高いレベルの選手とプレーすること」が何より必要かと思います。

posted by うが | 2007-12-21 17:28

いつかこの巨大な壁を CWC総括

 桐谷さん、こんばんは。あきら@です、またお邪魔します。

 浦和レッズ、試合に臨む姿勢は素晴らしかったと思っています。とはいえ、姿勢だけでは勝てないほどの差。

 ミラン選手は、カメラ内の選手でさえ、ボールホルダー(守備時はマーカー)以外は歩いているシーン多々ありました。また、ボカ戦でのミランを見ると、レッズ戦はやっぱり体慣らし程度でしかなかったのかな、と思います。

 決勝もすぐで、ボカも視察に来ている。そんな状況で、手抜きして、でも要所だけはしっかり試合を進めて、そして勝つ。

 高い高い壁でした。CWC、やがては大陸持ち回りになりそうです。そのとき(今度はアウェー大会もある)もまた、出場し、そして勝つためには…。

 J開幕から15年。今まで以上に長く険しい道のりでしょうね。でもそのときを呼び込むために、応援し続けたいです。

posted by あきら@ | 2007-12-21 18:54

いつかこの巨大な壁を CWC総括

選手が自身を高めるために欧州を目指す流れがあるうちは、
Jリーグのクラブが実力で欧州の有力なクラブと互角に渡り合う事が
常にできるようになるとは思いません

ですので、Jリーグのクラブが世界で欧州チャンピオンレベルと認められる日が
早晩訪れるとは全く思いません

但し、実力で劣っていても勝つ事は可能だと思います
今回のCWCで云えば、エトワールサヘルは正にそういう戦術でした

浦和は全く経験が無かったので、ああいった自分達のサッカーをしていましたが、
敵を知り、己を知れば自ずと違った戦い方を選ぶようになるでしょう

この大会の意義は世界的にはどうあれ、日本のクラブにとっては
世界に広くJリーグの存在を認識してもらえる唯一の機会だと思います

そしてその大会で勝つ事、少なくても魅力を感じてもらう事が大事です
それによって世界中の選手がJリーグに憧れる
(例えそれが欧州のリーグの次でも)
ようになってくれれば、今まで出て行く選手の方が大きく取り上げられた
Jリーグの状況も変わってくるでしょう

これからはアジアのこれまで弱小と呼ばれてきた国からも、
優秀な選手も現れてくるようになると思います
そういった選手がまず、Jリーグを目指す
アジアチャンピオンに憧れる
そういった流れを生む事が出来れば理想です

日本人がミランのレプリカユニに身を包み横浜に集まったように、
浦和や鹿島などのレプリカユニを着た例えばタイ人、
例えばベトナム人が歓声を挙げる、そういう日が訪れる事を望みます

posted by フリフラウ | 2007-12-21 19:34

いつかこの巨大な壁を CWC総括

ボクシングの比喩表現は、とてもわかり易く感じました。私の印象もとても近いです。ただ、ボクシングと異なり一発KOという美しい終結がサッカーにはないところ、どんなに打たれようと果敢に攻撃を仕掛ける挑戦者の気迫を感じたかったのですが・・・。
とは言え、KO覚悟のカウンターパンチを狙う技術も力もなかったのが実状だとは思います。

勇利アルバチャコフが全盛の頃の姿、張り詰めた空気を切り裂く鋭いパンチ、的確なスウェイング、フットワーク、剛胆でありながらも瞬時によける猫のような鋭い反射神経・・・サッカーと関係ないですが、ふと思い出してしまいました。(今はリナレスに期待ですが・・・)
この大会、カカにはそんな技術と力の差を感じました。

桐谷さんは”全て”が足りないと仰っていましたが、以前のエントリーに挙げられた”スピード”が個人的には特に足りないのだと感じます。攻撃に際しては厳しいプレッシャーをかわし、リスクの少ない場所に身を置き、有利な場へとボールを動かす。

そんな状況判断のスピードを上げていく必要性を特に感じました。フィジカルの差を埋められなければ、それを補うだけのアジリティーをやはり伸ばすべきなのではと思います。(筋肉の質の向上や柔軟性をより保つ努力をした上ですが・・・)

であれば、育成時においてもフルプレッシャーを想定した技術、判断力の向上を求める指導が必要になってくるのではないでしょうか。

一朝一夕には解決しない問題だからこそ、今後のCWCは常に試金石として日本サッカー界全体で捉えていけるようになればいいなあと思います。

オシムさんが順調に回復していっているようでとても嬉しいです。1月から始動する岡田-大木体制をどう思うでしょうか。今後の日本代表を見続けてほしいです。できれば、無理のない程度に助言も。

posted by kakara | 2007-12-21 20:26

いつかこの巨大な壁を CWC総括

私は今回のCWCはないよう兎も角意義はあったと思いますよ・・確かにミランは強い!がレッズも手を拱いていたわけではなく戦いの中で確かな差!を感じて何が足りないか?が戦った彼らには見えたと感じています・・確かに高い壁ですが私の趣味でもある山登りに例えれば週末に軽く1泊2日で行く近郊の2000M級の登山と冬に周到に準備し3泊4日くらいで覚悟決め天候を見・また慎重な足取りで向かう3000M級の冬山か.または遠くは異国の天空の山へ向かうがごとき事だと・・しかしその山の麓まではきた事は事実!あとはどお攻略するか・・その為には体力・知力・技術・精神力全ての高みとバランスが要求される・・未来の日本のフットボ-ラ-達に
期待しようではありませんか・・レッズは何を言われようが公式戦にてミランと戦えた訳ですから。

posted by RED ROLL | 2007-12-22 10:45

いつかこの巨大な壁を CWC総括

おひさしぶりです。

自分も準決勝、決勝とも会場で見てきました。

みなさん個人能力の差を一番にあげられますが、自分はそれよりもチーム戦術の差の方が痛感させられました。

ミランはセンターラインより後ろでは浦和相手だけではなく、ボカ相手にもほぼボールを奪われません。
3角形の作りかたが非常に巧みで、全員が細かくポジションを取り直します。
ボールに寄るときも直線で寄っていくのではなく、DFの視界から外れるような、いわゆるウェーブの動きが約束になっており、DFラインにいる選手すらも、これが徹底されています。
サイドに詰まりそうになってもCB、SB、MFの3人でダイレクトでボールを回し、4タッチ以内で中央のピルロ選手もしくはもう1人のCBにボールが出て逆サイドに簡単に展開していました。

練習を見ていましたが、ボール扱いは、カラーゼ選手、オッド選手、ガットゥーゾ選手、アンブロジーニ選手でしたら、浦和の選手たちであればそこまで差がないような気がします。それがあれだけダイレクトでボールをつなげるのは、ポジショニングと約束事と反復練習の成果だと思います。

つまりプレスをかわす高次元の戦術をチームとして確立していたように思います。

ボカは引いた相手を崩す方法を知っていました。
2人が同時に斜めに走ることで、スペースを作るのがとてもうまく、前半はボカの方が得点チャンスが多かったように見えました。

両チームに比べると、浦和の選手たちはオフェンス時に棒立ちしているように感じられました。

ボカとミランの差は、確かに選手の個人能力の差という気がします(カカ選手とシードルフ選手は確かに異次元でした)。
しかし浦和はスーパーな個人に目を向ける前に、チームとしてまだまだステップアップできる要素があるように見えました。

埋めがたい差もあるのでしょうが、埋められる差も見つかったわけで、それは明るいニュースなのではないかと思います。

posted by baron | 2007-12-22 12:07