2007年12月05日

試合は… 

『冷たくなければアイスじゃない』

オシムがオシムでいられた事を心から嬉しく思う。鹿島が勝った事に驚き、WCアジア3次予選のドローに関心を示していた…という。あれほど頑なに召集を拒んでいた鹿島の、最後の最後の踏ん張りをぜひ彼に見せたかったと思う。小笠原満男や岩政大樹の力強いパフォーマンスとその魂を、ぜひ彼に見せつけたかった…と思う。

きっとオシムは、日本代表監督を“勇退”したことをまだ知らない。

寝つきの悪い僕が、深夜いつもベッドの中で、目を閉じて11人の代表選手の選別と配置を頭の中に思い描くように、未だ彼もそんなことをしながら浅い眠りの中でチーム構想を練り続けているのかも知れない。

岡田武史氏の代表監督就任を、僕は一方で歓迎しながら、また一方で複雑な想いにも囚われていた。
彼の人間性には非常に心惹かれる部分があるし、彼が昨年序盤の横浜マリノスで見せた強烈なプレッシングサッカーの原型は、華やかさには多少欠けるかも知れないが、個力で強国に及ばない日本にとっては、もっとも合理的なスタイルであると思う。来年2月からの、しかも前倒しで6月終了が噂される3次予選の日程を考えれば、あらゆる面において彼が適任である事は間違いないと思っている。

けれども…、

その交渉過程がなぜこうもメディアに漏れるのだろうか?
また、毎回毎回同じようなリークにより様々な不都合を生じながら、なぜ誰も処罰されることはないのだろうか?
意識回復の兆しがあったなら、11月まで待つ…と言いながら、なぜもう一週間待って彼にそれを伝えてから公表できなかったのだろうか?
そして結局誰が主導的に決めているのだろうか?
『2010年までの契約とし、オシムイズムを継承しなければならない』と川淵氏は言うが、それが技術委員の仕事でないとするならば技術委員達は何ゆえ存在し続けているのだろうか?

きっとこれでも、フランスWCの頃に比べればだいぶましな組織に変貌しているのだろう。少なくとも岡田さんは、そう思っているからこの難局において苛酷な試練を、そしてさほど報いが見込めずリスクだけが過大なこの職責を、引き受ける気になったのだろう。
僕は岡田氏本人への期待や信頼と、この協会の不透明な人事の在り方を、自らの思考と感情の領域できっちりと隔てて、それぞれを冷静に峻別してものを語るためにここまでこの問題に口をつぐんできた。

岡田さんなら、現チームの良い部分をうまく活かしながら、前でボールを奪う事、そしてそこから早く展開しゴールに迫る事…にも同時に取り組める指導者であるように思う。オシムの植え付けたスタイルを否定するところから、彼が戦術を構築してゆくとは僕はまったく思わない。まただからと言って、オシムイズムの継承などと彼に要求するのは、まったく筋違いな話であるとも思っている。

負けることも勝つこともあるだろう。
それはベンゲルだろうが、モウリーニョだろうが、クーペルだろうが、ブリュックナーだろうが、アリーナだろうが…同じ事である。
そしてオシムを失った以上、地に足つけて泥臭く今在るもので背伸びせずにぶつかってゆけば良いのだと思う。長い目で見れば、それこそがこの国の本来持つ“自力”であることに他ならないし、そこから出発して上を見上げて一歩一歩進んでゆくことこそ、本来あるべき姿なのかも知れない。

この状況で決心してくれた岡田さんに心から感謝するし、また彼と代表の今後を、その最後まで、厳しく愛情を持って見つめてゆきたいと思っている。


そしてオシムさん。

試合は…

試合は、まだ始まってもいないし、終わってもいません。
ピッチではたくさんの選手達があなたを待ちわびている…。スタジアムには数万のサポーター達が、あなたが来るのをずっと待ち続けている…。


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posted by 桐谷 |09:59 | オシムJAPAN | コメント(13) | トラックバック(0)
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posted by 桐谷 | 2007-12-05 10:03

試合は… 【キリタニ】

交渉事が何故漏れるか?それは協会のお偉いさんが「朝日新聞」を使って、情報をリークしているから。
たとえば2000年のトルシエ解任騒動の発端は、同じく「朝日新聞」が1面に『トルシエ解任を協会が決める。後任はベンゲル氏ヘ』とのスクープ記事が出ました。これをリークしたのは誰だったのでしょうか?そもそも解任するなんて話は無かったのに、トルシエを解任に追い込む為に情報を流した。まぁ、こういう事を画策するのは1人しかいないですが。
岡田氏が梯子を外されない事を願います。

posted by 新サン | 2007-12-05 10:55

試合は… 【キリタニ】

はじめまして、管理人がきちんと署名されていますので、こちらも署名入りとしました。何時も貴殿のプログは拝読しております。頷ける事が多くその深慮には敬服いたします。本報も将に本筋を突かれていると思いますが、一言附記させてください。今回岡田氏が取り組むためには著名で賢明な参謀が不可欠です。オシム氏は経験豊富で思慮深い方ですが、岡田氏は、残念ながら経験値が遠く及びません。世界で見ても、未だ認知され難いポジションに立たれていると思います。日本代表に加えて彼自身が成長するためにも、冷静な判断力と熱い心を持った参謀を配さなければならないと強く思います。いかがでしょうか。最後に、私もオシム氏を待ちわびる一人です。

posted by ミウラ | 2007-12-05 10:56

試合は… 【キリタニ】

今回、引き受けてもいいことは何もない代表監督を引き受けてくれた岡田監督は、その決断だけでも大変なものだったと思う。

でも、一つだけ心配なことが。

この人事が、サッカー協会などからの圧力人事なのではないか?という心配。

今の岡田さんの立場を考えると、サッカー協会から爪弾きにされる=職を失う。という立場だったのは、肩書きなどからも明白。

別に、岡田監督は、サッカーのイチ監督として・・・・というのであれば、どこかに属することなく十分やっていけるだけの人物ではあります。

しかし、今の時点ではサッカー協会の中にいることを選んでいたのであれば、先輩でもあり独裁者としても高名なキャプテンから、何かしらの圧力があってしかるべきだ、と考えてしまうのは、少し斜めに見すぎなのでしょうか?

オシム監督がいた頃に比べて、少しだけメディアへの発言が多くなってきて、そしてその内容が、本来監督が定めるべきである「日本代表の今後の指針」ともとれるような部分にまで、発言の内容が食い込んでいるキャプテンの言動に、やはり憂いを感じてしまいます。

岡田監督を正式に監督として選んだ、ということ自体は、ベストかどうかはまだ分かりませんが、アテネの長嶋監督の時の決断に比べると、遥かにベターであることは確かです。そして、決断を下してくれた岡田監督にも、無論感謝です。

しかし、そこに至るまでの様々な経緯や背景に関して、きな臭さや一抹の不安を感じているからこそ、キリタニさんが

「けれども・・・・、」

と、繋いでしまうのではないかな?と感じずにいられません。

誰かがキャプテンに、協会に「日本のサッカーを愛するサポーター、ファンのための代表チームであって、お前と協会とスポンサーのための代表チームじゃないんだぞ」と面と向かって言える日は、まだまだ遠いのかもしれませんね。

posted by アイザワ。 | 2007-12-05 11:41

試合は… 

オシムさんが皮肉が言えるまで回復してくれて、率直に嬉しいです。やはり、もっと代表を見ていてほしいと思います。もっとも、アドバイスができるような状態には相当、時間がかかると思いますし、無理はしてほしくないのですが、慕う人々全てが彼の言葉を望んでいると思うと、できるだけ日本に残ってほしいと願うばかりです。

この監督人事は、前にも桐谷さんが触れていたことと重なると思いますが、本質をみれば誰かさん1人の問題ではないとも思っています。今回、手続き上、技術委員会主導で行われたようになっていますが、どのような経緯をたどったのかが不明です。実際、どれだけの選択肢があったのか、どのような吟味がなされたのか、その過程を協会は機会を設け、明らかにすべきではないかと思います。WC後、前監督の業績評価を十分に行わず、責任の所在を明確にしないまま、オシムを後任に推した後、ここまで来てしまったことに由来しているのだと思いますが、評価システムが機能していなかったことが原因だと思います。
Jリーグの人気が安定したとは言え、日本代表が依然、日本サッカーの指針となるならば、今までの方向性とは何か、継続すべきことは何かという点を明確にすべきなのではないかと思います。

岡田監督は巻き込まれたんだと言っていますが、その通りでしょう。拒否するのも受諾するのも日本中から批判が起こる状況で、率直に茨の道を進む決意をしてくれたことには感謝したいと思います。
ただ、オシム監督と比較され、厳しい目で評価されるのは間違いなく、それを受容しつつ、自らの方法論を構築して、予選を突破するということは至難の業だと思います。今はただ、それが可能であることを信じ、岡田監督の挑戦を応援したいと思います。

posted by kakara | 2007-12-05 21:07

ミウラさんへ

著名のお気遣いありがとうございます。文面を見ればその人のお人柄が分かるものですし、今後はあまり御気になさらずに、気軽にお書き込みください。
おっしゃられる様にこれまでの面子であれば何かテコ入れが必要になるのでは…とは僕も考えましたが、現状の体制のままフィジコだけを新たに迎える…というところに帰結しそうですね。

本来ならば浦和のエンゲルスや、例えば大木武さんのような方が、参謀として意見できるような体制が望ましい気もしますが、きっと岡田さんの判断もあってのことなのでしょう。

いつもご覧いただきありがとうございます。今後ともご意見いただければ嬉しく思います。

posted by 桐谷 | 2007-12-05 21:42

アイザワさんへ

>オシム監督がいた頃に比べて、少しだけメディアへの発言が多くなってきて、そしてその内容が、本来監督が定めるべきである「日本代表の今後の指針」ともとれるような部分にまで、発言の内容が食い込んでいるキャプテンの言動に、やはり憂いを感じてしまいます。

お抱えの提灯記者をはべらせて置くためには、情報は最大の武器となりますし、あの他者の痛みを省みない過剰なまでのリップサービスも、権勢を維持するためのひとつの手段なのでしょう。腐敗した政治屋の世界とまったく同じ構図ですね。

ただしあなたの言うようにその事と岡田さんの事はしっかりと分けて考えたいですね。オシムにしろ岡田さんにしろ、この問題とはまったく無関係に、日本サッカーの為に勇気を持って立ち向かってくれた。常に彼らのその気持ちを忘れずに、勝つことも負けることも現実として受け入れながら応援してゆきたいと思います。

posted by 桐谷 | 2007-12-05 21:54

kakaraさんへ

実は『たとえ誰が監督であったとしても…』の中で、kakaraさんからいただいたコメントを見て、本当に嬉しかったんですよ。
心から『共感』できる言葉であって、同じものを同じ感覚で見ている人が居ることに救われた思いがしました。あの時はまだ岡田さん就任は未公表の段階だった事もあり、コメント欄でのレスは避けさせていただいたのですが、今回の僕の本文はあの時のあなたのコメントをそのまま引用させていただいたようなものかも知れません。ありがとうございました。

きっと生きてきた環境も、世代も、サッカーとの関わりも、見聞きしてきたものも、まったく異なる僕らだと思いますが、あなたが熱心に書き込んでくださる意見に僕はとても共感しますし、また支えられてもいます。

きっとあなたも、未だこの巨大な喪失感と戦いながら、それでも前を向きサッカーを見守り続けていこうと…と決意されていることだと思います。

この国のサッカーを、希望を持って見守り続けていきましょう。そしていつかまたACの時のような興奮と感動を、一緒に味わいましょうね。

posted by 桐谷 | 2007-12-05 22:16

試合は… 

こんばんは。

最近忙しくて情報があまりないんですが、監督に岡田さんが就任したと聞いて自分はほっとしました。前々からその人間性や頭の良さに惚れ込んで岡田さんのファンでした。
実際、サッカー関係者やJリーグの監督の中でも自分は認められる人があまり見つかりません。もっと優秀な指導者を育てる必要があると思います。まぁと言っても優秀な指導者がそう簡単に来てくれるんなら苦労はしませんが。

ところで桐谷さんは野球とか見ますか?このまえの野球のアジア予選を観ていて感じたことなんですが、勝ったときの選手たちの喜び様をみてサッカーの代表はつくづく覚悟が足りないなと思いました。野球は日本が世界レベルだから重圧も違うと思うけど、同じスポーツをするものとして見習って欲しいものがありましたね。関係ない話ですいませんです。

posted by koichi | 2007-12-06 02:40

試合は… 

桐谷さんへ

寒いです。
寒さは、とても苦手です。 ><;


予断を許さない状況に変りは無いと思いますが、少し会話が出来たとの事。
とても嬉しく思っています。
ぜひ、サッカーの観戦が出きるくらいまで回復してくれるといいのですが。
サッカー場で手を振るオシムに歓声をあげるサポーター。
とってもいい絵だと思いませんか? ^^;

>けっきょく・・・
これは、本当にそう思います。
憤るのは、水面下で進むべき話を、誰が何の目的でリークしているのか。?
これでは、多くのサッカーファンやサポーターにコンセンサスを得られないと思うのです。
どのような経緯があって監督を選考したのか、明らかにして欲しいと思います。
桐谷さんのプロフィールにある
>日本代表のサッカーが、それ単体で強くなる事は有り得ない。
>それは『あらゆるもの』の結集によって育まれる。
代表を応援している多くの方々を蔑ろにするような事は、ぜひぜひやめて貰いたいです。

posted by lionheart | 2007-12-06 19:25

koichiさんへ

>前々からその人間性や頭の良さに惚れ込んで岡田さんのファンでした。

サッカー界には非常に根強い海外指導者信仰があるようですね。欧州での実績と、日本人を率いて何ができるか…は、僕は決して=で結ばれるものとは考えません。
そういう点でも、僕は岡田さんは非常に信頼性の高い指導者だと思っていますし“理”を的確に解し、実践できる方だと考えます。

先日の台湾戦は見させていただきました。
非常にスリリングなゲームでしたね。アジア予選を勝ち抜くことと、五輪でメダルを獲得することとは、それほど大差の無い難関であると思いますし、それだけに選手の意気込みや緊迫感はペナントレースのそれとは随分違うものに見えました。もっとも降格の無いペナントレース、最終盤に変なトーナメントで決着してしまう王者決定戦のあり方にも問題があって、それだからこそ今回のような天国と地獄の戦いがより引き立っている…という構図もあるのかも知れませんね。

posted by 桐谷 | 2007-12-06 21:14

lionheartさんへ

>寒いです。
寒さは、とても苦手です。

本当にめっきり冷え込んできましたね。
僕は北国生まれですから寒さはわりと平気なほうなのですが、さすがに最近は朝ベッドから抜け出すのに気合が必要になってきました^^;

lionheartさんの言うように、やはりすべての原点に“透明性”と“情報公開”というものが求められますね。これはJFAだけに限らず、世の中全てに言える事だと思います。
そういう意味でも僕は岡田さんには本当に期待しているんです。彼のような方にこれからの日本のサッカーやJFAを指揮していただきたい。その為にも、彼にはぜひある程度の“成功”を収めて欲しいと強く願っています。

posted by 桐谷 | 2007-12-06 21:27

試合は… 

桐谷様 

オシム監督が病に倒れて以来ずっと落ち込んでいました。生きがいでしたし死ぬまで監督やって欲しいと思っていたからです。今日、病院食が食べられるまで回復したと聞いて涙が止まりません。

posted by とくにありません | 2007-12-12 04:17

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