2009年12月18日

クラブと移籍制度、そしてプロ監督の引き際 【キリタニ】

移籍制度の変更に伴い、今年のオフシーズンは派手な選手の入れ替えが予想されたが、折からの不況とクラブ経営自体の環境悪化もあり、親会社から潤沢な資金が提供されるクラブと、そうではないクラブの間での二極化が、より鮮明になりつつある。

またある意味金満と呼べるクラブも、ここからは大きな違約金を払ってまで他クラブの長期契約のタレントを狙いにはいかない。ここからはそれぞれのクラブフロントと共に、個々の選手自体の契約に対する慎重さや優れた知性も重要になってくるだろう。それによって得をする選手もいれば、大損をさせられる選手もいる。すべて自己責任が原則である。これまでのJリーグのある意味での馴れ合いや甘さが、これによって是正されてゆくことを期待する。

ちなみにこれらの制度改革を、Jクラブの中で一番熱心に批判・反対していたのが、元大分トリニータ代表の溝畑宏氏であったように思う。それが示唆するところをよく考えてみて欲しい。地に足つけたクラブ経営というものの何たるか…が、見えてくるのではないだろうか?ばくちやゲームとは違うクラブ経営、クラブの命を預かりそれを繋ぐ…という意識があれば、きっとこんなことにはならなかっただろう。クラブと同じように、選手というものも、誰かの、何ものかの所有物ではないのだ。

商品のようでいて商品ではない。大切に育ててくださった方々から預かり、いずれはさらに大きな世界へと羽ばたかせてやらなければならない。彼らはサッカー界共通の大切な宝物である…そんな意識が根底の哲学に無ければ、今後は有望な新人獲得さえ、ままならない時代となるだろう。

各チームの補強と編成の評価に対しては、今後個別にサンフレッチェ広島や浦和レッズ等に対するものを書きたいと思っているが、今回はいくつか動きのあった監督人事について、自分なりの感想を書き綴っておきたい。

監督人事にも、クラブとそして監督という2つの立場があり、その双方の立場からその決断に対しての評価というものがあるのだと思うが、どちらにとってもプラスなのかどうか疑わしいのが横浜Fマリノスのケースではないだろうか?

木村浩吉氏から木村和司氏へ、複数年契約を残していた浩吉氏をフロントの決断によって解任し、和司氏を招聘したのであるが、僕からみれば、そうしなければならなかった理由、和司氏でなければならなかった訳がまったく理解できない。

俊輔にフラれて逃した集客増のチャンスをこの一策で再び取り戻そうというのか、或いはうるさがたのOB連中の巻き返しなのか、僕にはよく判らないが、どちらにしてもその結果以前に、クラブとしてのサッカーに対する哲学やビジョンの欠如、カンカクの古さ…を感じさせる決断であった。

これはジェフ千葉にもいえることなのだが、傍から見れば権力者たちの保身、実の無いところへの妙な拘りや執着が、クラブ自体の生命力や成長力に縄をし、拘束しているようにも見えるのだ。横浜Fマリノスというチームは、例えば今、イビチャ・オシムが指揮しているとすれば、オズワルド・オリベイラが指揮しているとすれば、J1優勝争いに絡んでいるチームだと思う。本当にもったいないことをしていると僕は思う。

またそのケースとは別に、アルビレックス新潟の鈴木淳監督、そして川崎フロンターレ関塚隆監督の場合は、クラブ側の立場の損失とは別に、ある意味プロ監督としての立派な引き際…でもあったのかなと思っている。

経済に好況と不況のサイクルがあるように、クラブにも成長のサイクルというものがある。どんなに素晴らしい手腕を持った指導者といえども、そのサイクルに抗ってクラブを勝利に導くということはカンタンな話ではない。逆にいえば優秀な監督とは、そのサイクルを見誤らない人であり、時勢をとらえた身の振り方ができる人であると僕は思う。

今回の関塚隆監督の辞任については、ご自身の健康上の問題や例のナビスコの一件も複雑に絡み合っての事かも知れず、その主因がどこにあったのか僕には判らないが、鈴木淳監督、関塚隆監督とも、それぞれの将来を考えた場合、その引き際としては良いタイミングであると僕は考える。日本にも、本当の意味でのプロ監督というものが誕生しつつあるのかなという印象である。どちらも日本人トップクラスの優秀な指導者である。今後のさらなる活躍に期待したい。

今後のJ1は、大きく3つか4つぐらいの階層に区分けされてゆくことだろう。その中で新潟や広島のような地方の中堅クラブは、優勝という栄冠をその手で実際に掴みとるまで、毎年主力選手をぽつぽつと引き抜かれるような、そんなシーズンを過ごさなければならないのだろう。まただからこそ、そんな惰性を打ち破って、勝ち続けることで、クラブ自体の魅力、プレゼンスを高めてゆかなければならない。ここから2、3年のうちに、川崎を含めたこれらのクラブから、新たなチャンピオンが誕生してくれることを僕は期待している。

※関連エントリー
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JUMP改革案への評価 その1
Jリーグは公平ではない

posted by キリタニ |11:25 | Jリーグ | コメント(8) | トラックバック(2)
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posted by キリタニ | 2009-12-18 11:42

クラブと移籍制度、そしてプロ監督の引き際 【キリタニ】

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選手・監督ともにエージェントとの契約によって守られているため、そのエージェントの影響でグルグルと回っている。
チームとエージェントの相関関係を明かせばチームの方向性の無さ、無計画について紐解けると思う。

posted by おかしい人事 | 2009-12-18 13:31

Re:クラブと移籍制度、そしてプロ監督の引き際 【キリタニ】

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古きを温めているだけだと腐ります。
マリノスの今回を悲観するわけではないですけど、
信用には値しない。
強化と普及。のバランス。を見誤っているな、と。
ま、痛い目みればいいんですよ。
それが歴史。それがサッカーってもんです。
贔屓のクラブがこれだと辛いんですけどね。
ついていくことしか出来ません。

posted by 迷鳥。 | 2009-12-18 14:37

クラブと移籍制度、そしてプロ監督の引き際 【キリタニ】

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マリノスの件は論評する気すら起こらない。

フロンターレの件はどうなんだろう。健康問題や表彰式問題が絡むなら別として、J1に上がった時期や優勝争いに絡み始めた時期を考えると関塚さんはクラブやサポーターからイラナイと判断を下されるその時まで、もう少し挑戦し続けることが「責任」じゃなかろうか。

フロンターレ側としてもこの方向性でいくつもりだったのに固辞されて、近い方向性の他の監督を探すのか、あるいは関塚氏が身を挺した意味をステップアップを図るべきと捉えてレッズのように方向性を変えるのか、非常に興味深い。

posted by 蹴鞠 | 2009-12-18 15:08

クラブと移籍制度、そしてプロ監督の引き際 【キリタニ】

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同じくマリノスのことは耳が痛いです。
実はコーキチさんの解任には賛成だったのですが、交代するにしても筋ってものがあるし、
後任を選ぶにしてもそれなりの姿勢や説明ってものが…

つまるところ桐谷さんの仰るところのビジョンの欠如、評価と反省の不透明性、
そしてフロント自身での自浄能力のなさというところになるでしょうか。
そしてそれらはそのまま協会にもあてはまる気がしてみたり。

ただミスターが戻ってきた、という響きにまんまと心が動いてしまうところは
悲しい本能でしょうか。まあ7割ぐらいは不安が占めているのですが。
「1年勝負」という言葉は一見潔いのですが、チーム作りも背負う監督としてはどうかと…
ごめんなさい、愚痴を書く場ではないと思いつつ、つい。

フロンターレさんは本当にどちらに向かうか楽しみですね。

posted by moneru01 | 2009-12-18 20:58

クラブと移籍制度、そしてプロ監督の引き際 【キリタニ】

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管理人さんの言うとおり
ここ3年~5年位で、クラブ力やブランド力が
はっきり出てくるように思います。
そして、上位クラスのクラブが良くも悪くもJリーグを
引っ張っていく形になるのではないかと思います。

それに対し、地方クラブは個性を出し地元に対し
アピールする形で生き残りを示していかなければ
いけなくなるかもしれませんね。

posted by hope_8841 | 2009-12-20 02:14

クラブと移籍制度、そしてプロ監督の引き際 【キリタニ】

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まずは Jリーグの人気を上げることが必要だと思います
稲本選手のJ復帰 小野選手のJ復帰が実現したら
小笠原VS 稲本 稲本VS小野 小野VS小笠原・・・・・
考えただけで 興奮してきます
黄金の世代リーダーになって戦う!!
Jはきっと人気が出て来ます
そう言ううちに キリタニさんの言われる 運営やJのあり方を考えればと思います
さもないと 予算のない我が国の様に 仕分け や富裕層に制限と言った方に進まざるえない状況になると思います 一度Jの人気をまずは上げましょう1!

posted by inaマニア | 2009-12-20 13:28

クラブと移籍制度、そしてプロ監督の引き際 【キリタニ】

コメント投稿者ID :

上の方へ
Jの人気を上げるためにもっと現実的に考えて見ましょう。
たとえばネームバリューのある選手をとったとして、目先3~4年は良いかもしれません。ただ、今後20~30年のスパンでJの人気を日本に根付かせより安定したものに果たしてなるでしょうか。おそらくこのままでは衰退していくでしょう。少子化問題、スポーツ離れもより深刻化していきます。
目先のことより先を見据えて。
2010年・ワールドカップイヤーは代表、そしてJの目指す方向性(戦術云々も含めた)を示すタイミングとして一番大切な時期かもしれません。

posted by 努力 | 2009-12-21 11:30

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