2009年04月20日

J第6節 1-0の構えと覚悟

精緻な計算に基づき実行された1-0のスコアとは、ある意味サッカーの究極の“理”というものを表すゲームであると僕は思う。また同時に、個別のサッカーのスタイル、その攻撃的か守備的かの隔てとは、0-0というスコアにおいてどう戦うか?によって論じられるのが妥当であるとも思っている。1-0の状況において取るべき構えと覚悟、0-1の状況において取るべき構えと覚悟には、ディテールの違いこそあれ、サッカーの常識、“理”の下においてそれほどの大差はないはずだからである。

ところがニッポンのサッカー、Jリーグのサッカーにおいては、その“理”に基づいた1-0の常識が、しばしば履き違えられているか、“攻撃的…”うんぬんの不合理な欲求への妄執によって、蔑ろにされているかのように見受けられる局面を嫌というほど見せられる。

将棋の格言に、

『ヘボ将棋、王より飛車をかわいがり…』

といったものがあったように記憶する。

Jリーグのそれはまさにその例えのように、追加点に執着するばかりに、1-0という勝利と、その為の様式を軽んずる悪しき傾向にあるように思う。そしてその心理を解析すれば、実は“守備的”との謗りや批判を逃れる為の口実、僕たちそれを見守るものの視点をも含めた“攻撃的”への歪んだ、不合理な、妄執や妄信があるのではないかと僕は思っている。

僕は日本のサッカーの、いつまでたってもその1-0の状況へ正しく向き合おうとしない姿勢や思想、1-0のサッカーへ対するヌルい構えと成熟をみない覚悟を、非常に物足りなく思っている。

アテにならない追加点を求めて、無闇に、そして無反省に、勝ち点3を失い続けるサッカー。実はその心理の成り立ち自体が、いかに消極的で、保身的で、勝敗という物差しに対して腰の引けた様であるかを、それを見守る僕たち自身の側も、よくよく検討・議論してみるべきなのではないかと思っている。

1-0の状況と正しく向かい合い、両サイドを絞り気味にゴール前を固めながら、常に鋭いカウンターの切っ先を相手の喉元に突きつけるサッカー。サッカーにおいて迫られる多様な構えや策を不足なくあわせ持った上で、1-0の状況における究極の“理”を、このJリーグにおいて一番見事に体現しているのが、僕は鹿島アントラーズのサッカーであると思っている。

1-0のゲームを、もっとも優雅に、そして磐石に、支配し、コントロールし得ているチームは鹿島アントラーズである。それはこのニッポンという国の概念において、Jリーグという井の中の情緒において、ただひとつ世界の基準を知らしめてくれる一点の光明であると僕は思っている。

Jリーグ第6節の試合。
FC東京vsジェフ千葉を筆頭にその他いくつかのゲームを見て、僕はまさに今回書き綴ったことを改めて再確認させられたし、1-0という状況に対処できないニッポンのサッカー、Jリーグのサッカーの脆弱さと未熟さを思い知らされた気がした。そしてそれは僕たち自身の情緒や観念ときっと無関係では無いのだと思う。

今週時間があれば、また改めてTV観戦した新潟vs広島、浦和vs京都、磐田vs清水ほかの試合の戦評についてふれたいと思う。非常に残念なのは、今回もまた多くのゲームで、認められるべき正当なゴールがレフェリーの誤審によって取り消され、ゲームの勝敗を決するような大事な局面において、大きな影響を与えてしまっていたことである。

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posted by 桐谷 |11:25 | Jリーグ | コメント(7) | トラックバック(0)
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posted by 桐谷 | 2009-04-20 11:37

J第6節 1-0の構えと覚悟 【キリタニ】

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内容は完全にFC東京へのダメだし以外のなにものでもないと思われますが、それで、対比として鹿島を例に出すのはちょっと…。もともと攻撃サッカーを標榜しているチームに、1-0の状況下ではカウンターサッカーが常識でしょ、と言われてもお門違いです。0-0でも1-0でも鹿島が点数が欲しい時にすぐ広島の様なパスサッカーに切り替えられる訳ではありません。もしかして桐谷さんがFC東京を好きすぎて、昨日の敗戦に怒り狂っているのかもしれませんが、少なくとも城福FC東京のサッカーは1-0で逃げ切るサッカーではなく、2-0にして止めを刺すサッカーだと思います。

posted by domo | 2009-04-20 17:10

J第6節 1-0の構えと覚悟 【キリタニ】

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1-0をコントロールするにはチームの成熟が必要だと思います。それにはチーム経験の積み上げと監督の一定期間在任。クラブ経営側の継続理解と支援、覚悟も求められるのではないでしょうか?私的には次に観客かなぁ?
J創設から今季までのクラブのあり方が、現在のチームをある程度写してるようにも見えます。浦和もある時期は1-0ゲームをコントロール出来てましたよね??お金と人材コネクションがあればまた取り返せるけど、そうでないクラブは容易ではないと思います。
昨年の名古屋(ホーム)vs鹿島がホント面白かったです。
0-1で折り返した鹿島は、カウンター要因だけ残し名古屋のゴールに蓋をした。ワクワクしないけどヒヤヒヤする。そして名古屋がこじ開け1点返した。鹿島は糸でメンバーが繋がってるがごとく危なげなく修正し、マルキーが1点追加。派手なショウタイムやスペクタクルではなかったけど、メチャかっこいい!!1-0(0-1)をやれるってことは、1-1になった時の修正も可能でないとだめだし、チーム全体共通理解とコンディションもある。が、90分の流れそのためのゲームコントロールは、流行やアデレナリン放出プレーが優先してはだめなわけですよね。いいじゃん面白ければ、なんでこんなことまで?その理由は、ACLとの両立やW杯本大会など日程が詰まってくると無駄な体力を放出することなく、取りこぼし無しでとなるから。だから、桐谷さんが苦言し切望してらっしゃるのかと・・・今回は思いました。

あくまで私なりの解釈です。
大きく的が外れてたら、UPしないでください。また考えます。安易に質問せず自分で考えた方が成長するかな~~って、
庭の猫=^エ^=なりの努力の足跡”””””

posted by チャアヤ | 2009-04-20 21:46

J第6節 1-0の構えと覚悟 【キリタニ】

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桐谷さん、同意します。

相手との力関係や得点差を考慮したゲームコントロールやプランのチェンジが適切に出来ないチームが多いことと審判の問題、日本人のストライカーや殺し屋のようなDFが育たない現状は、実は根の深いところで一緒なのではないかと思っています。
それは簡単に言うとJリーグが選手やチームや審判に対して大きなモチベーションやインセンティブを示せないでいるという事ですが、そのことに危機感を持っている人は少ないのではないでしょうか。
「選手は何のために戦っているのだろう?」「何を目標に日々鍛錬してるのだろう?」と疑問に思う事があります。もしかしたらJリーガーになれたことに達成感のようなものを持ってしまっているのではないかと思うこともあります。
もちろんJリーガーは簡単になれるものでなく日本サッカーの最高峰です。子供の時からの大きな目標であり夢だったでしょう。でも達成感を持ってしまうのは危険です。選手にとって審判にとってあるいはチームの関係者にとってこのワンプレー、この一点は人生を変えてしまう切実なものかもしれないという緊張感をキープ出来なくなるからです。
欧州リーグでPKを失敗した主力選手が目を真っ赤に泣きはらしながらプレイを続けているシーンや、GKが自分の失敗を悔やんで試合後フィールドに突っ伏したまま泣き崩れているシーンを見ると羨ましい気持ちになります。真の達成感や充実感は失意や絶望と隣り合わせにあるのだと思います。
私は選手やチームの淘汰がもっと進んだ方が結局日本サッカーの為になるのではないかと思っていますが、多分協会は逆だと思っているでしょう。

posted by CHUE | 2009-04-21 13:14

皆さんへ

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僕がいま一番楽しみに見ているのが広島のサッカーです。彼らのサッカーには、単純に僕の“欲望”を刺激するスリルがある。

けれども今のままで、鹿島のようなこの国の王者となり得るとは思わない。いつか彼らがその地位につく時がくるとするならば、このベースは保持しながらも、きっとさらにいくつかのサッカーにおける構え(様式)を備えていることでしょう。

彼らの0-0のサッカーは、きっと他のどこよりも迫力がある。0-1になってもその優位はさほど変わらないでしょう。けれども1点リードしている状況のサッカーはどうだろうか?

僕はそこが弱いのだと思う。
そこにもうひとつの確たる構えの構築が必要なのだと思う。サッカーは白か黒かではない。そんな状況などほとんどない。それは決して鹿島のような構えでなくてもいいはず。敵にボールを渡す1-0がイヤならば、可能な限りこちらでボールを保持する1-0があってもいい。サッカーはポゼッションかカウンターかの二択では決して無い。広島なりの1-0。広島なりのクローズの仕方を彼らは創造すればいい。

逆算すれば、広島が鹿島の地位を得るとき、彼らは必ずその構えを会得していることでしょう。僕はいま彼らのある意味での歯がゆいサッカーを見ながら、その過程を楽しんでいるところです。

>1-0をコントロールするにはチームの成熟が必要だと思います。

そうだと思います。そして真に成熟したサッカーとはただひとつのカタチに妄執するものではない。さまざまな相手、刻々と変化する様々な状況の中で、ひとつとして同じ筋書きの無い90分間の出来事に対応し得るサッカー。世界のどのチャンピオンチームを見ても、同じことが言えるのだと思います。鹿島がそうであり、またガンバ大阪が今そのステージに辿り着こうとしているように、広島やFC東京や名古屋やジェフも、いつかそのステージに行き着かねばならないのだと僕は思っています。

もしかしたらCHUEさんの言っていたこととは少し違ったかもしれませんが、ご丁寧にお付き合いいただきありがとうこざいました。第6節の広島戦について、今更ですが時間があればアップしてみたいと思っています。

posted by 桐谷 | 2009-04-22 08:44

J第6節 1-0の構えと覚悟 【キリタニ】

コメント投稿者ID :

お初です。俺、頭良くないんで聞きますが、この1-0っていうのは相手より力があっても1-0でとどめてゲームを余裕でコントロールするサッカー?それとも相手より弱いんだけど数少ないチャンスをものにして、その唯一の得点を守り切るサッカー?どっちなんですか。両方とも?

posted by あるおバカです | 2009-04-24 14:46

J第6節 1-0の構えと覚悟 【キリタニ】

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桐谷 様

超ご無沙汰しております。

>1-0の状況と正しく向かい合い、両サイドを絞り気味にゴール前を固めながら、常に鋭いカウンターの切っ先を相手の喉元に突きつけるサッカー。サッカーにおいて迫られる多様な構えや策を不足なくあわせ持った上で、1-0の状況における究極の“理”を、このJリーグにおいて一番見事に体現しているのが、僕は鹿島アントラーズのサッカーであると思っている。

1-0のゲームを、もっとも優雅に、そして磐石に、支配し、コントロールし得ているチームは鹿島アントラーズである。それはこのニッポンという国の概念において、Jリーグという井の中の情緒において、ただひとつ世界の基準を知らしめてくれる一点の光明であると僕は思っている。

いつも我がアントラーズを評価していただき、ありがとうございます。

さて、昨日、柏vs大分戦の後に日立台サッカー場近くのサイゼリアでrecklessさんとお茶しました。
文は体を表すと言いますが、ロベルトと違い落ち着いた感じの素晴らしい方でした。
サッカーに始まり政治・経済の話で盛り上がりました。
この様な、素晴らしい時間を持てたのも桐谷さんのお陰です。
ありがとうございます。

最後に、ロベルトのブログとメルマガで豚インフルエンザで苦しむメキシコの人々に援助物資を届ける提案をしました。

今後とも宜しくお願いします。

posted by ロベルト・ジーコ・ロッシ | 2009-04-30 21:18

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