2006年08月01日

ガトリンのドーピング疑惑に思う

アテネ五輪金メダリスト、ジャスティン・ガトリン(米)が、筋肉増強剤のドーピング疑惑で、陸上界から永久追放される危機にたっている。
100mの世界チャンピオンという、名誉ある男の騒動は、陸上競技ファンならずとも気になるところだ。

振り返れば、1988年ソウル五輪のベン・ジョンソン(カナダ)以来の大事件である。
あの時は、テレビでを通じて100mの決勝を見ていた。
圧倒的なパワーで走るベン・ジョンソンと、敗北した時のカール・ルイスのリアクションが、今でも脳裏に深く刻まれている。
その後のマスコミ報道でドーピングが発覚したとき、背筋に寒気が走ったのを覚えている。

1995年には、日本の100mチャンピオンである伊藤喜剛(当時ユードム)のドーピング疑惑が思い出される。
彼のドーピング疑惑の発端は、米国アルバカーキ合宿の際、WADA(国際アンチドーピング機構)から抜き打ち検査を受けたことから始まった。
実はあの日、私は実業団チームの監督として伊藤選手たちと同じアパート群で合宿をしていた。
夕食を食べていたとき、突然部屋に入ってきたカナダ人の調査員たち。
女子長距離チームの18才の新人を始め、主力の採尿をされた。
彼らは、日本人選手の名簿をもっていた。
そして「スプリントチームの部屋はどこだ?」と聞かれた。
後に大きな波紋を投げかけたこの事件、結局真相は分からずじまいのまま、世間の記憶から葬り去られた。

2004年アテネ五輪では、ハンマー投げの室伏広治(ミズノ)が、繰り上げ金メダリストとなった。これも、優勝者のドーピングによる失格である。

私は、アテネのスタジアムで100mの決勝を見た。
ガトリンの後半の加速と、地面をとらえる力強さは、他を圧倒していた。
翌年のヘルシンキでも同じ光景を見た。

強く、そして美しい”走り”を目の前で見ただけに、ガトリンの体内に巣くっていたと想像される薬の存在が、たいへん残念で仕方がない。

ドーピング違反は、競技スポーツの根幹を揺るがす。
しかし、いつまでもなくならないこの事実はどうすればいいのか。
人間の欲望と性質が渦巻く、心の闇を感じるのだ・・・

posted by kin_tetsuhiko |12:11 | コメント | コメント(1) | トラックバック(0)
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