相撲、面白い

平成二十九年春場所、優勝したのは稀勢の里。

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この展開を誰が予想していただろうか。 新横綱として、無敗のまま優勝に突き進む稀勢の里。 そこに並んでいたのは角番で迎えた大関、照ノ富士。 白鵬でも日馬富士でも鶴竜でも豪栄道でもなかった。

13日目無敗のまま横綱戦となった稀勢の里。 立合い、速く強く厳しい日馬富士に成す術も無く土俵を割った稀勢の里。 この取組で左肩から上腕にかけて負傷してしまう。 この時の様子から、翌日は休場かと思われたが、まさかの出場に踏み切る。 しかし、14日目鶴竜戦では全く力が入らない様子で、やはり土俵に上がるだけで精一杯かと思われた。

また、この14日目に照ノ富士の取組で場内が騒然とする。 10勝で大関復帰となる琴奨菊との取組。 10勝まで残りをひとつも落とせない琴奨菊に対し、照ノ富士が立合い変化。 琴奨菊は例によって、真っ直ぐ土俵の下へ。 思い出されるのは去年の春場所、千秋楽。 結びで白鵬が変わって優勝した一番。 あのときと同じような雰囲気だった。

以前、変化についての考えをこのブログでも書いたが、やはり変化も相撲である。 照ノ富士がいかなる選択をしたとしても、土俵を降りた照ノ富士に罵声を浴びせるような行為は絶対に控えるべきだと思う。 ましてや、ひとつも星を落とせない琴奨菊を相手に変化をしたとしても、それは照ノ富士には全く関係の無い事であり、照ノ富士を批判する理由にはならない。 照ノ富士も怪我を抱えながら優勝に向け星をひとつも落とせないのである。

ただ、大関の相撲としてはおおいに残念である。 前日までの取組から照ノ富士完全復活を予感させ、怪我をする直前の相撲そのものだっただけに、正面から受けて欲しかった。 膝の大怪我を抱えながら出場を続け、角番と何とか勝越しという場所を繰り返しながら、やっと掴んだ復調の兆し。 そんな中で彼は変化を選択したのだ。

そして千秋楽。 前日に変化で一敗を守った照ノ富士と、全く力の出せない稀勢の里の直接対決。 誰もがその結果は決まっているように思えた。 稀勢の里は立合い右に飛ぶがこれは不成立。二回目の立合いは反対の左に飛ぶ。 突き合いから、負傷している左を差そうとするが、左は入らず照ノ富士に前ミツを許す厳しい展開。 完全に勝負あったように思えたが、土俵際、逆転の突き落とし。

優勝決定戦では、立合いもろ手で当たるがすっぽ抜け、あっさりもろ差しを許す。 これでまた勝負あったと思ったところで、今度は右からの小手投げ。 まさに二番とも勝つとすればこれしかないという相撲であった。 まさに強い精神力で最後まで諦めない相撲を教えてくれた取組であった。

そしてまた照ノ富士の千秋楽の二番についても素晴らしかったと思う。 左を全く使えない稀勢の里。 右で攻めるしかない横綱に対し、土俵際の突き落とし、小手投げ。 あれさえ気を付ければ、少なくとも13日目までの照ノ富士であればいくらでも勝てた二番。 そこで足を送れなかった照ノ富士もまた、きっと色々なものを背負っていたのだと思わされた。 この悔しがまた照ノ富士が上を目指す過程で確実に大きく作用するであろう。

稀勢の里が怪我をし、照ノ富士も復調かと思われたが、どうやら膝の状態は良くなさそうで、白鵬、豪栄道の休場。 日馬富士、鶴竜も本調子とは程遠い成績となった。 全員が好調で怪我をしていない場所など、存在しないであろう。 それでも各力士が土俵に上がり苦しみながらも番付に見合った責任を全うしようとする。 出るからには怪我を言い訳にせず恥ずかしい相撲を取るな、みっともない姿で出てくるな、という意見もあるかもしれない。 それでも彼らは一様に土俵上で精一杯相撲を取っていると思う。

そんな彼らに、いちファンとして出来ることは、やはり声援を送ることであろう。 自分の相撲を取りたいのに取れない本人が、一番辛いはずである。 休場する勇気も、出場する勇気も、どちらも尊重し彼らの相撲にこれからも期待したい。

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